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2011年11月 1日 (火)

Lenovo会長、Dow会長の講演 -どのリーダーからも学べること-

以前も書いたことがあるように、MBAには様々な外部講師が講演会や課外授業を提供しに来てくれる。だいたいが実際のビジネスで名を成したエグゼクティブの方が、自分の経験を話してくれるのだが、昨日schoolに来たゲストはその中でもかなりの(というかものすごく)大物だった。一人はIBMのPC部門を買収したことで今や世界中でブランドが浸透しているLenovoグループの会長、もう一人は化学工業のTOPプレイヤーであるDow ChemicalのCEO兼会長である。


■ Lenovo会長が語る国営企業のあり方 ■

Lenovo(中国名:联想)と言えば、中国企業による欧米企業買収の口火を切ったIBMのPC部門買収で世界的に有名なった企業であり、今では世界PC販売シェアで第四位につけている企業である。中国企業がまさに世界展開をしようとするにあたり、先陣を切った企業というのは中国人一般の認識なので、講演会も人が入りきらないくらいの賑わいだった。その会長が来るとは、こんなチャンスはめったにないぞ・・とテスト前にもかかわらず授業を入れ替えて参加したのであった。


・・のだが、残念なことに講演は全て中国語!もちろん同時通訳付きでイアフォンを通して英語が聞こえてくるのだが、この同時通訳のクオリティが著しく低い※1。この講演にかかわらずCEIBSでの中国語・英語同時通訳というのは毎回レベルが低くて、何を言っているかわからなくなるので、結局講演者の言語で聞くことになる。

自分の語学力では中国語での会話は可能と言っても、さすがに講演を聞くにはかなりの集中力が必要であり、また講演の中には四文字熟語(中国語では成语という)が入ってきたり、韻を踏んだりするので内容を追うのに精いっぱい。結局1時間で脳みそがオーバー日0として外に出てきたのであった。


さて、その1時間の中で話していたことだが、もっぱらLenovoがどのように発展してきて、またこれからどのようにmanageしていくか・・ということに集中していた。Lenovoは元々は国営研究所である中国科学院のメンバーが設営したものだが、現在も株式の過半数は中国科学院が持っている準国営企業である。

もちろんmanagementは基本的には民間企業と同じように展開されてるわけだが、例えば株式についてストックオプションを発行する(厳密に言うと中国の会計基準では新株発行によるストックオプションは認められていない)ことができなかったり、報酬についてもある程度制限があったりと、それなりの制約があり、CEOとしてはより自由度がある経営を行いたい・・ということを匂わせていた※2


またCEIBSの教授が「例えばAppleのように数十年後を狙ったinnovationをになう会社でありたいか?」と言う質問をした時に、Lenovoはまだそのような段階にまでは成長しておらず現段階ではoperationを強化している会社だとはっきり明言していたのは、かなり驚いた。一般的に言えば、中国全体のムードとしては「中国はこれまでは世界の工場だったが、この後はイノベーションをになう国家になるのだ!」という感じなのだが、さすがに実際にグローバル企業を経営している身からすると、そういう夢を語ってばかりいるわけにはいかないようだ。これに関しては、中国の教育体制があまり向いていない・・ということも語っており、かなり思い切った発言をするものだと感心しきり、だった※3


ちなみに、会場には数人メディア担当者もいたのだが、翌日(本日)掲載された記事は「Lenovo会長、ユーロ危機に懸念を表明」と全く趣旨と違う内容で、これを見た我々はやはりあの話はかけなかったのかな・・という話をした。確かにユーロ危機については話していたのだが、どちらかというと、今後も巨大マーケットを維持するために頑張ってほしいという内容だったのだ。



■ Dow会長が語る中国戦略 ■

夜にはDow会長本人が講演するということで、これまた多くの学生が・・・と思いきや、水曜日にあるテスト向けの勉強をしている人が多く意外なほどMBA学生の参加は少なかった。代わりに社会人学生(E-MBA)や他校の教授、そしてヨーロッパ委員会からの参加があり、聴衆もかなり豪華。


講演ではまず第一に「学生はぜひ金融だけではなく工業(manufacturing)にも目を向けてほしい」という話を繰り返していた。確かにMBA学生にとってDowのような化学工業というのはあまり魅力的に映らないもので、確か入学時に希望を取った時も志望者は200人中で数人という状況だった。
かくいう会長本人もFinancial MBAでは世界一のWarton school出身で、彼が学生時代も工業に関する授業は二年間で一つしかカリキュラムになかったという。実際、TOPのほうにはかなりMBA卒が多いのだが、目先の給与を考えるとなかなか選択肢とするのは難しい※4

とはいえ、今回の講演でメインだったのはDowの話しではなく、やはり中国がどのように今後発展していくか・・という話しである。もちろんリップサービスも多分に含まれるのだが、彼としては中国と言うのは今後も基本的に発展を続けていく・・という認識であり、今後もDowとしては投資を続けていくようだ。彼の話しの要点をまとめるとだいたい以下のような感じになる。


  1. 中国のインフラストラクチャー投資は基本的には正しい戦略であり、事業継続の基盤となるものである。このインフラストラクチャー投資には人への投資が含まれる。
  2. Global化が進むにあたって今後も中国のみが高い成長率を持つということは難しい。キーとなるのは人材育成であり、外資系はその面で重要な役割を担っているという認識をしている。
  3. 現在のように情報が流通する世界では、情報の囲い込み(もちろんPatentは除く)は意味がない(「Dowでの発見が、他のどこかで行われないということはありえない」という表現をしていた)。世界経済はzero-sumゲームではなく、情報のshareは競争下でのWin-Winを生み出す。
  4. 企業と言うのは本質的に不確実性を嫌うものなので、中国のように「国家がまるで企業のように意思決定をする」のは企業としては”現状は”望ましい。

個人的に特に重要な観点は一番最後の観点で、中国という国家を考えるに当たり大切な視点であると常々思っていることである。もちろん色々な見方があるだろうけど、少なくとも経済発展と言う観点からは「中国という国家は、巨大な組織(共産党)が経営している企業」と考えるのが一番すっきり来る。

いくらGlobal化したとはいえなんでこの方はこういう視点を持てるんだろう・・と疑問だったのだが、彼は元々技術者として香港に駐在経験があるとのこと。現在少しずつFortune 500レベルでも「アジア勤務経験」というのが重視されていると聞いていたのだが、実際に目の前で話をしているのを聞くと、やはり自分がいる場所がHot spot(ただし上海がそうであるとは限らないが・・)なのだと強く感じた。


ちなみにDowの目から見ると、国家として戦略的に行動して人材に投資していると感じるアジアの国家は、シンガポール・中国・韓国であるらしい。日本には競合がいてマーケットを十分に取れないといった要因もあるかもしれないが、やはりこういうところで名前が出てこないのは正直残念。。


■ リーダーから何を学ぶか ■

僕はMBAにいる限りは、できる限り今回のようなLeadership関連のイベントには参加するようにしているし、今後も参加し続ける予定である。はっきり言って自分の興味とはほとんど関係ないような話も結構あるのだが、話しの内容は二の次で参加する価値があると思っている。

僕はよほどの天才出ない限り、人間のキャパシティというのは結局自分があってきた人間たちのキャパシティ最大値による影響が非常に大きいと思っている。人間と言うのはなかなか自分一人では努力し続けることは難しいし、天才出ない限り「自分よりもすごい人がいる」ということを想像し続けるのは難しいとからだ。

そして、その機会と言うのはできるだけ早く、できるだけ多いほうがもちろんいい。この前も同級生と話していて思ったのだが、心が柔らかい間にできる限り高いレベルでそういう「自分が凄いと思う人」に合わないと、きっとどこかで「この人は自分とは違う」とか「自分には理解できない」というように思考停止してしまうと思うのだ※5


もう自分は31歳と若くはないのだが、せっかくこうやって「普段は会えない人からも学べる環境」にいるのだから、できる限りこの機会を生かさずにいつやるんだという気持ちで、これからも人に会い続けていきたいと思う。・・・テスト勉強もしなけりゃいけないんだけど・・・ね。




※1・・・話が長くなってくるとだんだん同時通訳が遅れていき、ある時いきなり遅れをカバーするためにショートカット!ということをするので、話しの流れが捉えられない。しかも、時々英語の中に中国語はいるという謎の同時通訳。
※2・・・こういった話をする時に、かなり細かい数字までスラスラ出てくるのはさすがという気がする。
※3・・・中国の大企業のTOPというのは、あまり政治家と変わりないスタンスの方も多くいるので、人前では中国の国家目標に合致することを話す傾向にあるのだ。
※4・・・化学工業は雇用を生み出すにも役に立つし、環境適応材料を作ることでQuality of Lifeもあがる、発電事業は世界をクリーンにする!と確かにいいことがたくさんあるな・・と思ったのは事実なのだが・・・。
※5・・・もちろん心を柔らかくし続けるというのは一つの才能だと思う。また、この感覚と言うのはどちらかというとスポーツに近いと感じている。サッカーでも若いうちに世界レベルを体験すると、目標が高くなる・・と聞いたことがあるし。

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