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2012年10月

2012年10月31日 (水)

上海でのハロウィーン

Term5に入って1日一コマしか授業がない・・というのが基本になり、また就職活動も大陸以外をメインにしてしまったので、近頃はすっかり時間が余るようになってしまった。自分の中では少なくとも今は上海でシャカリキに仕事を探すというモードではなくなってしまうと、5年間住んだこの街とも少なくとも一時はサヨウナラするのかもしれないと思うと、少しは街を見ようかという気にもなる※1

ということで、最近は少しはschoolからも外に出るようになっていて、近くのショッピングセンターにも買物に行ったりしている。部屋が狭いのであまり買いたいものはないのだが、それでも街を見るのはやはり好きなので。

先週の週末もなんとはなしにフラッと出かけたのだが、ずいぶんと目についたのがハロウィーンのPOPや飾り付けだった。こんなに上海ではハロウィーンを盛り上げるものだったっけ・・と振り返って見ても、昨年はschoolに閉じこもりっ放しで全然わからないのだが、一昨年はこれほど盛り上がっていなかったような記憶がある(というか正確には盛り上がった記憶がない)。上海ではちょっと気をぬくとドンドンイベントが増えているような気がするのだった。


■ 消費を盛り上げる気分としかけ ■20121028_175439

今回ハロウィーンの仕掛けをみたのはschoolからほど近い場所にある嘉里城(ケリーシ ティ)という新しくショッピングモールだった。もともとこのショッピングモール自体も万博後に出来たような場所で、作りもこれまでの中国の建物とはちょっと違う形をしている※2。輸入食品が多いOleというスーパーが中にあったり、H&MやGAPも入っていたりと、基本的な生活は全て区域内で完結できるようになっている。
近くには上海でもかなりレベルが高いと言われているInternational schoolがあり、欧米人も多く住んでいる地域だ。そういう意味ではハロウィーンとはかなり親和性があるのかもしれない。20121028_175332

ちょうど買物に行ったのが休日の買い物時間帯(18時前)ということもあったのだろうけど 、たくさんの子供たちが仮装してTrick or Treatをしていて、かごを手にぶら提げた子供がテナントの中に入っていくと、お菓子をもらえるというイベントをやっていた。どうやらショッピングセンター全体でハロウィーンを盛り上げようと企画をしているらしい。仮装した子供をタクシーでわざわざ連れてきている家族もいるほどだったから、かなり前から告知をしていたのかもしれない。


仮装はさすが中国ということでキョンシーもあれば、狼男もあるということで和洋折衷。欧米系の子供が魔女の格好をしていると、こちらも「お、ハロウィーンだな!」とわかるのだが、スーパーマンの服を着ていたりよろいをつけて剣を振り回している子供がいたりと、中国的にはハロウィーンというのは結構適当に仮装をすればいいものらしい※3

上にも書いたようにこのハロウィーンイベント(中国語では万聖節)、僕が来たころにはほとんど街中で見かけなかったのだが、あっという間に上海では市民権を得たようだ。外国人が多くてそれまでも祝っている人がいたということもあるだろうけど、上海のこのイベントをドンドン取りこむ姿勢は本当にすごい。とにかく何かしらイベントを起こして小売りを盛り上げようという商魂のたくましさはさすがである。

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思いだせばホワイトデー何かもすぐに市民権を得たイベントの一つだった。こちらではバレンタインも男性から女性に何かを上げる日だったのに、また一月後に男性から女性に上げるイベントが足されて、この街では常に男性から女性にモノをあげているのだな~と感心したものだ(イベントが足されても都合よくルールは変更されるらしい)。

こういうイベントがすぐに広まるのはもちろんまずは仕掛け側があの手この手を使って売上を増やそうというのはあるのだけど、上海で生活している人達(あるいは中国人)がとにかく「お祭りがあればそれにみんなで乗ってみよう」というノリがあるというのがすごく大きい。良くも悪くもとりあえず同じ方向で行動をしてみようという圧力はすごく強いのだ。


うちのschoolの求人状況やゲストトーク、それから各種消費予測を見ても来年に向けての景気の冷え込みというのはたぶん数字で出ている以上の落ち込みを実感することになると思うのだけど、一方でこういうイベントを起こして消費を活発化させようというのは何かしら逞しさを感じさせるものだと、あらためて感じたのだった。日本人としてはちょっと恥ずかしい感じがするのだが、やっぱりイベント関連はまだまだ上海であっても強い「巻き込み」を発揮できるものなのかもしれない。



※1・・・自分の中では、中国語能力があるというのは一生の売りだと思っているのでどちらかというと戦略的撤退という感じ。もし何かしらのバックを得て、あるいはそういうハコを自分で作ることが出来れば、また戻ってきたいと思っている。
※2・・・少なくとも上海では古い建物は風水の観点から中央部が吹き抜けになっていて、周囲にテナントが入るという形になっていることが多い。あの形は防災的に、特に家事対策ではちっともいいことがないのだが、だいたいはあの形をしている。
※3・・・米国でも友人によるとダースベイダーの格好をしたり、バットマンだったりするらしいので正直世界中どこでも何でもいいのかもしれない。

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2012年10月28日 (日)

第64週目終了! - MBAは起業に役に立つのか? -

10月も終わりのこの時期になるともうすっかり上海は朝晩が冷えてきて、冬が近いのだな~ということを実感する。考えてみればもう上海に来て丸5年が経過したのだが、6回目の冬を迎えようとするこの時期になっても、未だに上海の冬は寒すぎて慣れないし、シャワーのお湯がなかなか温かくならないこの時期は正直言えばあまり好きではない。とはいえ、今の情勢からはおそらく少なくとも数年は上海にいないだろうことを考えると、いよいよ最後の冬なんだな~とちょっと感慨を感じたりしている。

Term5の前半が既に終わったしまいテスト一つしかなかったMBA第64週目もまったりと無事に終了。風邪ひきにだけは注意しないと。。



■ MBAと起業 ■

先週・今週とかなり僕よりも若い複数の人から「MBAにいるということは将来起業を考えたりしているのですか?」という質問を受けた。Twitterとか見ていると確かにTOP MBAを出て起業した人が積極的に発言したりしているし、MBAの教授はかなりの確率で「Make world better」というのでMBA==起業と思っているという人は結構多いと思う。また、実際にMBA卒の後に起業をするということで、既に友人たちと会社を設立したという人間も僕の周りにいることも確かだ。


ただ、それでも僕はMBA==起業というのは間違った認識であると声を大にして言いたい。


まず第一に思うのは、基本的にMBAとはどういう存在か・・というところがちょっと違っているよな~と思っている。メディアに取り上げられたり、積極的に発言している方というのはいわゆる本当のTOP校出身の人が多くて勘違いをしがちなのだが、少なくとも米国においてはMBAというのはとにかく裾野が広く、必ずしもスーパーエリートだけが行くような場所ではない。言い換えれば、普通に働いている方が、キャリアチェンジをしたいからあるいはスキルアップをしたいからという理由で行っても何ら問題がない場所なのである。MBAを出た起業家は確かに多い。ただ彼らも最初からそれが目的だったわけではなくて、会社をレイオフされたからという人もいれば、友人に誘われたという人もいるし、上司にむかついたからという人もいる※1

次にMBAの勉強内容と起業というのは、それほど関係が強くないということだ。確かにMBAの中ではアントレプレナーシップという授業を学ぶことが出来るし、その分野ですごく強いMBAというのも存在する。ただ、MBAというのはこれまでも書いてきたように広く浅く経営スキルを学ぶものなので、MBAで学んだからといって即座に起業するほど世の中を広く知れるわけではない。ただ、僕のように就職後一貫して営業とかMarketingのように市場側にいた人にとっては、Financeや会見を学ぶのは有意義ではあると思う。

最後に言いたいのは、少なくともMBAにいる人間の中で自分でモノが作り出せたり営業が出来るような人間はあんまりいない・・・という事実である。うちのschoolだけでなくTOP schoolというのは結構似ていると思うのだけど、やはり過去経験はFinance畑にいました、とかコンサルにいました・・という人間は多い。他はMarketingとか法務とかHRというのもいないわけではないが、これが現場でバリバリプログラムを書いてました、とか営業でガンガン開拓していました・・みたいな人間はほとんどいない※2


実際に起業をした方ならわかってもらえると思うのだが、普通の人間が自分が用意できるお金で起業をしようと思ったら、「何を売るか」と「誰に売るか」を準備できる人間が一番強い。素晴らしいビジネスプランを書いてお金を集めるんです・・・というのは、確かにあるにはあるが、そういうことが出来る人はもともとそういう場所に近いところにいたわけでMBA卒業をしたから誰でもそういう場に立てるわけではない。立ちやすくなる・・というのは事実だけど。

ということで、総じて言えばMBAを取るということは「起業をする際に有利になる点もあるだろうけど、だからと言ってMBA==起業というのは、そういう目的を持ってきた人のみに当てはまる話」というのが僕のスタンスである。


■ 天才でない僕たちが出来ること ■

こういうことをいいつつも、じゃあ起業をしたい人がMBAに来る意味がないかというそういうわけでもない。ということで「起業のためにMBAに行けばいいのかな・・」と悩んでいる人にはいくつかのことをまず考えてほしいな~と思う。

  1. どういう規模の会社を作りたいの?
  2. そういう質問をすると「チャンスがあれば大きくしたい」と答えるのが自然だろうとは思うのだけど、自分がどういうビジネスをしたいのか・・ということを考えればある程度最初に必要最低限な大きさというものは見えてくる。

    率直に言ってしまえば「とりあえず自分の会社を作りたい」というのであれば、保険業界に入ってたくさんお客さんを捉まえて独立する、とかプログラムを一から勉強してIT土方と言われようがなんだろうが自分で開発をし続けるとか、そういう方法はたくさんあるわけで、そういう人がMBAに来るのはある意味時間の無駄である。

    また逆に「俺は世界で最高の建設会社を作るんだ!」という野望があったとしても、あんなに資本を使うような業界でいきなり一から起業するというのはまず無理な話なので、そういう業界で経験を積んで資本家から声をかけられるのをまったら・・という話になる。


  3. 売るものを作れる?
  4. もし仮に自分がお客様に売れるものを作る能力がない(例えコンサルをするということであっても、Solutionを売るという話である)としたら、確実に誰かと組まなければならない。優秀なバックオフィスというのは、バックオフィスが出来たら初めて役に立つわけで、会社が立ち上がるタイミングで必要なのは「売るもの」と「客」の二つである※3

    もし自分が作れないとしたら「どこかから買ってくるか」「誰かにやってもらうか」しかないわけで、そういう人やモノを自分が過去に惹きつけることが出来てきたか、あるいは今後は惹きつけることは出来そうか、を考えてみるといいと思う。もしそういう経験が全くなければいくらMBAを出てもかなり起業は大変だと思う。アントレプレナーの授業でも、起業というのは現在満たされていないOpportunityを探し当てるということであり、そのためには業界内部の知見が必要であるという話がされていた。


  5. 世界を変えるって?

    「世界を変える」って確かに格好いい。ただ、世界を変えるというのはいったいどういうことで、いったいどういう風にやればいいのか・・というのは一度立ち止まって見るとよいと思う。そうすると、極めて、本当に極めて独創的な技術とかセンスを持っているまさに「特別な人間」以外は、まずは努力すれば手に入る技術や小さなアイデアからスタートするということが分かると思う。やはり、大きくなったことで出来るようになる、ということは確実にある。

    Microsoftは確かにPCの普及に圧倒的に貢献したと思う。でもMicrosoftは最初はApple向けのソフトベンダーだった。Facebookによって人のつながり方は変わったかもしれないけど、My spaceという競合は一時はFBよりもずっと先に行っていた。Amazonは今ではテクノロジーで世界に大きな影響を与えているけど、最初は本をネットで売るというシンプルなモデルからスタートしたし、同じようなことを考えた人はたくさんいた。

    僕は「世界を変えると思えること」というのは、本当に何かを成し遂げたいと思う経営者が持つべき才能の一つだと思う。なぜなら多くの人が、ある程度の成功で満足をするし、そこから先の辛いことを耐え続けるほど野心を持てるということそれ自体が才能だと思うからだ。だけど、一方でスタートは目の前のマーケットから、でもちっとも構わないと思う。そこに誰も解決していない課題があり、自分のアイデアでそれをOpportunityに変えることが出来るのであれば、それは少しだけ何かを良くしたことにはならないだろうか。


僕が起業をしますか?と聞かれたら、そういう気はないですね・・というのは、上の3つの基準と僕の指向性を考えた時に、その方向では必ずしも起業という必要はないからだ、というのがある。僕のやりたいこと・・というのはどちらかというと社会インフラに関わることだったり、あるいは市場を広めていくということだったりするのだが、今からそれを一から作りあげるというのは、やはり本当に天才と運に恵まれた人間以外にはとてもとても難しいことだと思うというのも否定しない。そして、僕は自分がそういう才能に恵まれているとは思わない。

MBAをもうすぐ終えようとする今の自分は、努力を否定するということでは全然ないしこれからも努力をし続けることに疑いはないのだけど、一方で僕の社会の中での立ち位置というか当てはまる場所があるだろうというのもやはり常に思っていることである。そして、もしそういうところを見つけることが出来て、自分のパートナーとか大切な人と満足する生活を送ることができれば、それが僕の生きる意味だと思っている。
もし起業をするということがその人にとって、特別な意味があるのであればそうするのがきっと正しいことだろう。どちらかと言えば、そういうことを真剣に考える時間がほしい・・そういう人にこそ、MBAという場所は向いているのかもしれない。少なくともこの期間には時間だけはたっぷりあるから。


※1・・・実際にこのschoolでの友人の中には、中国に来た理由が「元の会社でレイオフされたから」という人間もいる。そういうのは別に珍しいことではないのだ。
※2・・・スタンフォードとかMITとか行けばプログラマーからなった人も普通にいると思うが、そういうTOP校はそもそも今回の話とはちょっと違うので割愛。
※3・・・じゃあ、ライフネット生命はどうなんですか・・と聞かれるとちょっと困るのだけど、あれは極めて特別な例なので、今回の話には当てはまらない。ああいうことが出来るような人は僕のこの記事を読んだりはしないだろうし。。

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2012年10月21日 (日)

第63週目終了! - 意識しないと見えないものが国というもので・・・-

ここ数日で上海は一気に寒くなってしまい、あっという間に寝る時も長袖でないとつらい気温になった。毎年上海は春と秋はない・・と思えるぐらい短いのだが、今年も本当にあっという間に冬が来そうな気配がする。こういう時期になると、待ってましたとばかりに風邪をひいてしまうのだが(だいたい年最低四回は風邪をひいている気がする)、今年も木・金曜日は微熱があったのほぼ一日布団にふせっていた。授業もあまりないこの時期はどうしても昨年に比べて必死さがたりないな~と思いつつも、ようやく落ち着いて過ごせる時期を楽しんでもいる。ということで、MBA生活第63週目も無事に終了。



■ 今度は韓国人がビビる番・・? ■

9月におこった反日運動も随分と下火になったように見える日中関係だが、うちのschoolでは今度は韓国人の友人がビビる番になったようだ。というのも、先日韓国側領海に入った中国人漁民が韓国の沿岸警備隊のゴム弾により死亡するという事件があったからである。(詳しくはこちらをご確認ください)

正確にいえば、この事件の後NET上では多少「韓国人め~」的な発言もあったし、中国側としても抗議をしていたというのは事実だが、対日のように実際に事件になるようなことは何一つ聞いていない。それでも韓国人の友人としては「この前は日本に対してああいうことがあったし、次は韓国になっちゃうんじゃないかな。韓国側も妥協することはできない時期だし」ということで、早くもビビりモードに入っているというわけである。


面白いのはこの話をしてくれた韓国人の友人は、9月の反日の時期には「上海は平和だし、全く問題ないだろ~」とものすごく楽観的な発言をしていたということ。いざ自分に関係あるかもしれないとなると途端にリスク許容度が下がるというのは、ある意味とてもわかりやすい態度だと思う。たぶん多くの外国人にとっては、反日というのは「中国ヤバい。けど自分たちには(今のところは)関係ない」ということなんだろうな・・と改めて思った次第。

ちなみにかの時期にはタクシーで日本人ですか?と聞かれたら「韓国人です」と答えようというのが一つのTipsとして日本人の間では言われていたのだが、今回の事件で韓国人とも言えなくなったよな~、この友人とは笑いあったのであった※1
こういうことを書くと反対する人も日本国内にはきっといるんだろうけど、身を守ることが何よりも大切なのだから、個々人が自衛のために嘘をつくことは全然問題ないと僕は考える。だからと言って『そうするべき』と主張するわけでもないので、結局のところ個々人が自分の信じるように対応すればよい・・というのが僕のスタンスである。


■ 中国人が見えない「中国」、日本人が見えない「日本」 ■

今回の9月の事件では当然何人かの中国人とも話をしたのだが、彼らとの会話も個人としては非常に面白かった。うちのschoolの中国人の中にもいわゆる党籍をもつ人間というのは結構いるのだが、それでも彼らは意図的にか無意識的にか、政治問題からは距離を取るようにしているように見える。なので、逆に彼らが時々発する政治的な発言というのは、結構的外れだな~と感じることが多い※2※3

例えば最もよく言われるのは「今回のことは一時的な問題だから、じきによくなるよ」ということ。僕を励まそうという意図からそういうことを話してくれるのはすごくありがたいのだが、今回の僕(そして多くの現地日本人が考えていること)が今回の問題そのものではない、ということにはなかなか想像力が働かないようだ。僕らがむしろ「今回のようなことが今後も発生するという可能性があるし、少なくとも今後もそれを抑えるような手は打たないであろう」ということにたいして、軽く絶望しているというのに。

次に言ってくれるのは「今回のことは乗りやすい誰かがやっているだけで、俺たちの関係には全く関係ない」ということ。これも個人としてはすごくありがたいことなんだけど、一方でそういう「誰か」がどこかにいた時に困ったことが発生したらどうすればよいか・・ということにはあまり触れられることはない※4


中国人と話していると、このことに関わらず「ものすごく大きなこと(マクロ)」と「ものすごく小さいこと(ミクロ)」について話すのは得意なのだが、その間をつなぐような内容については想像力を働かせたり考えたりするのが苦手だな~と感じることが多い。いいかえると、ものすごく理念的な内容と自分たちの経験をつなぐリンクを想像するのが苦手ということである。

じゃあ日本人がそのようなことが出来るのか・・というと、決してそんなこともないというのも、今回の出来事のあとに同じように感じるたことである。例えば今回の出来事だって、もちろん中国で日本人が危険な目ににあったり、財産を壊されたりということの責任はそれをした当事者にあるのは間違いないとしても、一方で日本側からのメッセージが間違って伝わっていなかったか?、あるいはどのようなメッセージが伝わっているかを考えていたか?と聞かれれば、考えが浅かったよね・・・というのは日ごろから日中関係を見ている人ならだれしもが思うことだと思う。

また僕が上海にいると知っている複数の友人から「うちの会社の人はそれほど危なくないって言ってるけど」という連絡も貰った。決して彼らを責めているわけではないが、日本の大企業にいていざとなれば会社が引き上げのための費用を負担し、中国という職場がなくなっても少なくとも職は保障されている立場と、一人でこちらにいるのでは当然感じるリスクは異なるだろう。


なんとなく取りとめのない話になってしまったが、このごろ思うのはどんなに国際経験を積んで、どんなに他国のニュースに触れるようになっても、最後のところでの判断というのは「自分が感じた身体的な経験」に依存するというのは誰しも変わらないということだ。もちろん自分の頭の中にあるフレーム・・もう少し強い調子で言えば「思いこみ」というのは誰しもが持っているのだけど、一方でそれを柔らかくする、あるいは柔らかくするという努力は誰でもできるわけで、そういうことこそがもし国際的に活躍していと思うのであれば求められることなんだと考えている。たぶん語学なんかよりもずっと大切なこととして。




※1・・・このネタは日本人に優しいタクシードライバーからも真剣な顔をして教えてもらったので、結構一般的に広がっているネタだと思う。活動に参加するような人間は日本人も韓国人も見分けつかないだろうから確かにこれはよい方法。でも、さすがに日本語の音と韓国語の音は結構違うので、日本語で会話をしたらたぶんばれるだろうと思う。
※2・・・党籍を持つからといって必ずしも政治的な活動をしているわけではない。仕事をする上でも党籍を持っている方が有利になることは多いので(主に人脈の面で)。ただしその分面倒くさいことも多いらしいが・・。
※3・・・中国人は日本人と違って酒の席で自国の政治について語ったりしない。たまに日本からのお客さんで僕が同席している時にそういうことをする人がいるのだが、個人的に自分の評判を下げることになるので、以降はその人とはお付き合いをしないようすることにしている。
※4・・・中国人というのはある方向性にど~っと走ってしまうことはよくあるので、例えば回りが反日に染まっている時にそれに対抗するようなことはすごく難しいだろうと思うし、そういうことをして自分たちを傷つける可能性を上げてほしいとは僕も思わない。

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2012年10月15日 (月)

第62週目終了! -寧波で後輩の結婚式に参加 -

国慶節休みがあけて最初の一週間は、選択している授業であるRetailing Strategyの集中授業週間。なにせ教授が日常はフランスに住んでいるため、一週間ずつの集中授業を二回やるという日程になっているのである。休みあけにもかかわらず読み込むCaseが盛りだくさん、かつ簡単なグループプロジェクトの発表もあるということでかなりしんどい一週間だったのだが、何とか無事に発表までこぎつけることが出来た。これで今のTerm5-Aは残り授業が三回のみと、ほぼTerm5-Aも終了。空いた時間はまた就職活動に充てるということで、だいぶ心の余裕を取り戻してきた。ということで、MBA生活第62週目も無事に終了。



■ 2年ぶりの寧波 ■

今週末はMBAの日本人の後輩が結婚式を行うということで、せっかくの機会に参加しないわけにはいかない・・と寧波まで足を伸ばしてきた。寧波に行くのは、MBA受験の準備をしていてTOEFLを受けるために寧波大学に行った2年前以来の二回目である。あの時も前日夜入りから試験を受けて、ちょっと観光ですぐ帰るという弾丸ツアーだったのだが、今回も1泊2日の弾丸ツアーである。

寧波は上海から湾を挟んでちょうど南側にある街で、直線距離だとだいたい車で4時間(滅茶苦茶長い橋が通っていて、上海から寧波までは車で行けるようになっているのである)。高速鉄道を使えば、杭州やお酒で有名な紹興を抜けて、だいたい3時間強といったところにある港町である。近頃では上海の経済発展が落ち着いたこともあり、かなり経済成長のスピードが上がっているらしいが、二年前に行った時にはまだまだ田舎だったな~という記憶しかない。また、観光地が市内中心部から30kmとかそのくらい離れている御寺だったりするので、なかなかフラッと観光に行けるような場所ではないのが残念な街である。


今回も前回と同じように虹橋駅から高速鉄道(中国では「動車」という)で寧波東駅まで行って、そこからタクシーでホテル入りという至極シンプルな計画をたてて、寧波に向かったのであった・・といいたいところなのだが、中国では新しい街に行くと全然土地勘がなくて結構苦労する。

  • 自分が行く場所が有名かどうかわからない
  • 上海のように土地勘がある場所では、では例えば自分が「○○ホテルに行きたい」と言う時に、そのホテルが有名でなければ近くの道路の名前を調べておく、ということが出来るのだが、新しい場所では自分が行く場所が有名であるかどうか・・というのは事前にはわからないので、たとえサイトを使って予約しておいても必ず道路の名前を覚えておかなければならない※1。その上、自分が調べた道路の場所をタクシー運転手がわからないということもあるので、近くにある太めの路をおぼえておいたほうがベターである※2



  • タクシーがつかまるかどうかわからない
  • 中国の地方都市に行くと、ほぼ100%移動はタクシーに頼ることになる。地下鉄はまだ通っていない都市が多いし、バスは本数が多すぎて自分がたどり着きたい場所にたどり着くという保障がどこにもない。それで結局タクシーを使うことになるのだが、駅とホテル(出来れば外資系)の間であればタクシーを捕まえるのは容易でも、たとえば観光に行ってしまうと、その近くでタクシーを捕まえることが出来るかどうか・・というのが全然想像がつかない。つかまらなくて電車をのりすごすということになったら洒落にならないので、結果として地方都市での旅行はやたら予定がスカスカということになってしまう(タクシーを捕まえる時間を長めに想定しておくため)


  • トイレがあるかわからない
  • 正確にいえば「綺麗なトイレが」あるかどうかわからない、ということ。中国のような都市にいるのだから、汚いトイレでも我慢できる、いやすべき・・というのは頭ではわかるのだが、心でそれを受け入れるのは容易ではない。お腹に張りを覚えれば出すべきものは出さなければならないのだが、それでも出来る限り綺麗な場所でするに越したことはない・・のだが、地方ではなかなかそういう場所を見つけるのは容易ではない※3。僕は既に5年も中国に住んでいるのだが、旅行に行く時にはトイレから逆算した行動をするようにしている。一回失敗して万里の長城でトイレに行く羽目になり・・・(以下略)

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二年ぶりに訪問した寧波は駅の周りこそほとんど変わらなかったものの、宿泊するホテル の回りはかなり整備されていて、外国人もかなり多く住んでいるようだった。駅周りがものすごく中国らしさが残っていたので、数キロ走るだけで全然変わってしまうというのに驚きもしたし、上海のように市内中心部がかなり開発された場所ではちょっとこういう体験はできない※4
そこかしこにまだ建設途中のショッピングモールや、あまり人が住んでいなそうなマンションが並んでいて、ここでも中国の地方政府得意の不動産開発による経済発展(というかGDP底上げ)をしているということが見て取れる。日本企業でも商社と組んで、寧波の開発を手掛けている会社の話を聞いたことがある。それでも夜になれば、外国人20121014_131501が住むような場所でもまだ屋台があるのをみかけることが出来た。

本当は街をしっかり見たかったのだけど何せ弾丸ツアーだし、結局ちょっと時間があまった 日曜日の午後も、前回来た際に観光した天一閣という古い図書館をもう一度訪れるというヘタレッぷりで、早々に上海まで戻ってきたのであった。
ちなみに観光情報を調べると寧波は市内にはこの天一閣と月湖という大きな湖が観光地として紹介されていて、後は市内から遠くて弾丸ツアーではたどり着くことが出来ない。中国の地方都市は、地方と言っても数100万人が住んでいるという場所はザラなので、ちょっと一泊二日でいっただけでは、何がどうとかいうことはできないのだ(もし寧波に住まわれている方がいらっしゃり、情報の間違いなどあれば優しく訂正いただけると嬉しいです)


■ 中国らしい賑やかな結婚式 ■

MBAというのは短くて1年間、長くて2年海外に留学するわけで、ついでに人生の一大事である結婚をしてしまうという学生は結構多い。特に我々の年齢ぐらいだと、留学をするので一緒に来てください → 結婚というのはよくあるパターンだ。
一方、MBAというのはある意味価値観が似通っているし、それなりに将来の収入も期待できるということで、MBA schoolで出会って結婚というカップルも結構いる。うちの学年でも順調にいけば少なくとも2カップルは近いうちにゴールインすると思われている。

ただ、結婚式までやるとなると話は別で、MAB schoolは仕事をしている時と比べれば暇だとはいえそれなりに忙しいし、海外にいて準備を進めるのも一苦労と言うことで、在学中に結婚式をあげるカップルというのはかなり少ない。今回、僕が参加して後輩の結婚式も奥様が中国人であるということで、中国留学中に結婚式をというのがあったのだと思う(本人に聞いたわけではないが・・)


中国の結婚式というのは、日本の結婚式と比べるとよく言えば鷹揚、悪く言えば適当で始まる時間に全員が着席していないこともザラだし、終わる時間も一応司会者が終わりを宣言するものの、食事が残っている間はダラダラと残っていていいというものだ。
これまでは上海の結婚式にしか参加したことがないのだが、上海でお金持ちが結婚する場合には、男性側は一回もお色直しはないが女性は3回以上お色直しをする・・ということもあったりと、かなり女性が強いのも特徴だ※5

さらに日本ではほぼ絶対見かけないが、いわゆる司会者が歌を歌ったりゲームの司会をやったり、マジックをやったりとかなり活躍をする(というか単純に目立つ)。こちらでは結婚式の演出をする「プロデュース会社」という業界があり、各社は提供するサービスで差別化しようとしているので、たくさんの結婚式に参加すれば、もっと突飛な出し物を見ることが出来るかもしれない。

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今回の結婚式は、新郎新婦は日本語が堪能で日本で出会ったという背景がある一方で 、式が行われるのは寧波という地方都市ということでどういった結婚式になるか非常に興味があったのだが、結論からいうと前半は日本的、後半は中国的な結婚式だった。新郎新婦入場時には日本でもよく見られるように、生まれてから今までを写真で振り返るというイベントがあり、入場後も新郎新婦の挨拶へと続いて20121013_190646いく。ただ、後半は中国らしくお祭りになる予定が決まっていたらしく、日本であれば最後に 持ってくる新婦側両親への挨拶も最初の段階で終了。お色直しのためにいったん新郎新婦は退席。

戻ってくると今度は中国色で、司会者が歌ったりゲームの司会をして、新郎新婦が各テーブルを回って乾杯をするまでの時間をつないでいる。日本では普通正面にいる新郎新婦に客側があいさつにいくものだが、中国は全く逆で新郎新婦が参加者全員にお酒やジュースをついで回るのだ。今回はおそらくお酒にあまり強くないということで、新郎はジュースだったが、以前参加した結婚式では新郎側が白酒を何杯も飲むことになり式が終わったころにはベロベロになっていた。中国ではなんだかんだいっても、まだまだお酒に強いといことは男性に求められることだったりするのだ。


フィナーレは皆で恭喜発財を歌って、式は約2時間半ほどで終了※6。新婦が中国らしい真っ赤なドレスを着て、本当にうれしそうに笑っているのが大変印象に残った結婚式だった。また料理も非常においしくて、持って帰ってこれなかったのが大変残念だった(もしかしてお願いすれば持って帰れたかもしれないが・・・)。

schoolに戻ってきてから話を聞いたところでは新婚旅行の予定などはまだ全然たっていないとのことだったのだけど、MBA生活は長い夏休みがあるので、2人でたっぷりと時間を使うチャンスもあると思う。今回は結構日程的には厳しく、授業も一つスキップして参加したのだが、本当に幸せそうな結婚式で参加できたことを嬉しく思ったのであった。新郎新婦のお二方、本当におめでとう!

[追記]
新郎よりご連絡をいただき、いくつか僕の勘違いがあったようなので訂正します。

1. 写真を使って生い立ちから結婚までを振り返るのは中国でも今はメジャーなようで、司会者側から提案を受けたとのことでした。数年前はまだあんまりみなかったけど、少しずつ変わっていってるのだね。。

2. お酒に関しては寧波では車での移動がメインということで、中国人でも飲まない方も多くいたそうです。また若い人はあまりお酒を飲まないとのこと。これは上海でもだいぶそうなってきているかな・・・。ただ、上海はタクシーでの移動が普通に行われているので、結婚式だとやはり飲む人は多いかもしれない(少なくとも数年前は・・)

※1・・・中国ではタクシー運転手が目的の場所の名前を知っていることは少ないので、基本的には目の前を通っている道路の名前を伝えるほうが効果的。
※2・・・上海に住み始めた外国人が失敗するのがだいたいこれで、細い道名をいってもタクシー運転手がわからなくて、家の近くまでたどり着けないということが結構ある。近くを通っている太めの路を覚えておいて、そこから先は「右行け、左行け」というのが正しい方法。
※3・・・中国のトイレのカオスっぷりは、綺麗好きな人であればトイレに入った時点で帰国したくなるレベル。ほぼ100%安心できるのは自分の家と、外資系ホテルのみ。自分の家ですら時折詰まってしまい泣きそうになる人もいるらしい(自分はそういう経験なし・・上の家から汚水が漏れてきたことはあったが。。)
※4・・・二年前に寧波に来た時には寧波東駅から北側に向かったのだが、今回は南側に向かったので単純に比較することはできない。二年前から立派な建物が建っていた可能性は十分にある。
※5・・・とにかく中国くて結婚式のようなイベントは各地によって全然違うので「中国の結婚式は○○」のようなことを言うことはできない。上海は女性が強いのだが、北のほうにいったらまた違う形かもしれない。あと今回のエントリーでは新郎新婦の許可をもらっていないので、お二人が移っている写真は掲載しないようにしています。

※6・・・恭喜発財というのは中華圏では大スターのアンディ・ラウの歌で、ノリノリのメロディと馬鹿明るい歌詞で中国人ならほぼ全員が知っているであろうと思われる歌である。

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2012年10月 7日 (日)

第61週目終了! - 日本で感じる、日本の中国の見方-

先週に書いたように、10月第1週は中国語が国慶節のため授業はお休み。この期間を逃してなるものか・・ということで、今週は日本に帰って就職活動やら、久しぶりに友人と飲んだりする時間を取る事が出来た。毎回弾丸ツアーで、今回も日本にいるのはわずか3日間で、その間に実家に戻り東京で就職活動をするということで非常に忙しい時間を過ごしたのだが、それでもやはり日本に戻ると毎回ファストフードとコンビニ食事のうまさに感動するのと、タクシーの高さに悲しい気持ちになるのは毎回変わらない。ゆっくり骨休み・・というわけにはとてもいかなかったが、日本にて実りある活動をして、MBA生活第61週目も無事に終了。


■ 日本も少しずつ変わって行く ■

日本の方が中国に来ると「数ヶ月こないだけでも上海ってあっという間に変わってしまいま すよね~」と言うのだが、外から見ると日本、特に東京周辺は結構なスピードで変わっているように感じる。例えば、今回一番驚いたのは羽田の国際線ターミナルがすっかりちゃんとしたターミナルになっていた事。僕の記憶の中では羽田発の国際ターミナルは”Imag0314とりあえず横につくってみました”感があふれていて、食べる所とかもほとんどなかった場所だったはずなのだが、今回はしっかりしたターミナルもあるし、待っている間に買い物をしたり食事を楽しむ事が出来て、結構感動した。羽田は東京からは近いし、こういうように建物が立派になることは、外国人の目から見たら少なくとも悪い事は何もない。

さらに感動したのは、羽田空港内ではWi-fiが無料で使える事。日本では3Gネットワークが世界で一番早く商業ベースにのったという事 も関係していると思うのだけど、他のアジア各国に比べてもFree Wi-Fiの数が圧倒的に少ない。今のようにスマホで地図を調べるという事が待ち歩きで普通になってしまっていると、国際ローミングは高いし、Pocket Wi-fiはどこで申し込めばよいか(少なくとも外国人目線では)よくわからないし、(増えてきているとはいえ)街中でWi-fiの店を見つけるのが難しかったりというのは結構精神的にしんどいモノがある。今までは国際空港ですらWi-fiが使えなかったわけで、こういう所から「外国人が短期で来やすい国」にしていくというのは方向性としてアリだと思っている※1

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今回は東京駅周辺の会社をお伺いした事もあり、新しくなった東京駅も見てきた。こういう のって言われてみないと気付かないし、回収以前の色合いなどさっぱり覚えていないのでどのくらい奇麗になったのかは検討もつかないのだけど、色々な人が写真をとっていたので、とりあえず自分も一枚パチり。なんと交通誘導の警察官までいて、そこまで盛り上がることなのだろうか・・と一瞬疑問に思ったモノの、やはり古いものを残しつつ街が変わって行くのを見るのは気持ちがいい。

前回7月に日本に戻ってきた時には渋谷のヒカリエも一瞬見てみたのだが、便利に見える東京でもまだまだ変わって行く余地はあるし、そういう投資は積極的に進めて行くべきだと思う。僕がいつも東京に戻る度に思うのは、東京、特に再開発が行われた渋谷や六本木というのは「未来の都市」だな~ということである。移動はほとんど公共交通で事足りるし、新しく開発された商業地区は便利さとデザインが融合している。


日本は確かに2011年の地震で諸外国から改めて「地震がある国」という認識をされてしまったかもしれない※2。けど一方で、9月の反日騒動(というか英語ではriot: 暴動)で中国という場所が潜在的に不安定であるという事が、欧米人にもまた認識された訳で、土地の高さという問題はあるものの、極東の経済都市として東京というのをもっとアピールしていくというのは、決して日本にとって損な話ではないと思うのだ。当然大きな方向性なので、国全体としての意思決定が必要だし、少なくともオリンピック開催とかそういうことではないと考えているのだけど。


■ 日本人から見る中国って? ■

今回は9月の騒動以降初めて日本に戻ったわけで、当然多くの人に「中国は危なかったね~」というように声をかけてもらった。今までもこのblogに書いてきたように、僕は上海に住んでいる人間として不安に思う気持ちが半分と、実際にはほとんど危険は感じた事がなかったという気持ちが半分ずつぐらい同居しているので、それを正直に伝えることになるのだが、はっきり言えばその話をすることは非常に億劫だった。
なぜなら僕に話しかける多くの人、特に友人ではない人というのは、自分の中で既に「中国では●●が起こっていた」というイメージが出来ていて、いわばそれを補強するために僕に話を聞いているからだ※3。それも日本での報道で作られた、かなり悪い方にバイアスがかかっている話だ。

僕がそういう人に考えてほしいと思うのは、僕は中国にすでに丸5年もいるわけで少なくともその話しかける人よりは中国に愛着を感じているということ。彼らからすれば中国での暴動というのは『一時盛り上がったニュース』でしかないし、日々の中で消費されていく娯楽でしかないのだろうけど、僕からすれば中国人の友人がいて逆に気を使わせてしまったり、日々の生活で気をつけなければならないこともあったり、そして仕事をどうするのか・・ということも考えなければならない。そういうことをイメージしてほしいとは思わないが、少なくとも「数年間も住み続けている人間が住んでいる国を嫌いなわけがない」ということは感じてほしいと思う。そういう意味で日本に帰って中国の話をするというのは、中々に億劫なイベントである。


一方で今回複数の人と話して、日本人はよくも悪くも中国という場所が近いために、過剰に良いイメージで語っている人もいるんだな・・ということも感じた。特に中国について「日本で」書かれたものを読んでいる人にその傾向が強いかもしれない。例えばこれは前回も日本で出くわしたのだが「中国の儒教っぽい考え方が好きです」という方は結構いる。ただ、詳しく話を聞いてみると、イメージしているのはどちらかというと日本的な「自然になっている」状態を指しているらしく、それって全然儒教とは違いますよ、という突っ込みをしたくなる。

ものすごくざっくり言えば、儒教というのはご存知の通り孔子が打ち立てた学問・・というか宗教体系なわけなんだけど、論語というのは非常に端的に書かれていてあれだけではよくわからないことが多い。そこで中国では、その長い歴史の中で儒教の論理体系を磨き上げて王朝の統治理念として磨かれてきたというのが、少なくとも中国では一般的な理解のされ方だと思う※4。少なくとも毛沢東が中華人民共和国を建国した際には、儒教というのは排すべき論理だったわけだ。 ところが日本ではそういう基本的な所があんまり理解されていないようで、儒教というのは「みんなが仲良くそれぞれ生き生きとしていた」みたいなイメージを持っていたりすると、そもそもの会話が噛み合なかったりする。それってもしや「竹林の七賢」?、みたいな。あるいは「どっちかというとそれって曹洞宗ですね」みたいなこともある。


繰り返しになるけれど、僕は上海に丸5年住んでいるが、中国を理解したなどというのは露ほども思う事が出来ない。僕は学問として中国に関する内容を学んだわけではないし、それこそ数千年の歴史を持つ東洋哲学などかじってもいない。じゃあ現在についてはわかっているかといえば、僕は政治に関しては何らインサイダー情報を持ってないし、そもそも土地ごとに違っている経済状態を全て把握するなんて言うのは、それを専門にでもしない限り無理だ。僕が話せるのはあくまで、僕が限られたソースから手に入れた情報と、それと現実での体験を掛け合わせることで出来る推測のみである。

中国でも日本については多くの間違った情報が流通しているけど、同じように日本でも中国に関する間違った情報が流れているように感じる。相手を無駄に持ち上げるのでもなく、蔑むのでもない・・というのが、僕は人がグローバルになるということの第一歩だと思うのだが、そのためにもどちらの立場を取る方にも、中国(だけではないけど)については思い込みを排して、よりたくさんの情報を取るようにしてほしいな~と思ったのであった。


※1・・・僕は日本の食・気候・街並というのは世界でもTOPクラスだと思っているので、外国人をドンドン呼び込んで観光と短期ビジネスの街にするというのが、将来に向けての大きな方向性であるべきだと考えている。
※2・・・ここに関しては新聞を追ってたりするわけではないので、よくわからない。僕の周りの友人は「あれだけ大きな地震があっても、速攻で回復する日本凄い」みたいなことを言ってくれたりもしているが、こういうのはデータをしっかりみないと何とも言えない事の一つだと思う。
※3・・・僕の友人達は海外経験が多い人間が多いので、日本で語られるイメージと実際が違う事を知っているため、あまり紋切り型の話はしてこない。
※4・・・とはいっても、このごろは孔子復興みたいな流れもあるし、現代中国人が持っている儒教イメージも変わってきているかもしれない。

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