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2018年3月

2018年3月23日 (金)

光良第一次東京演唱会に参戦

 

この前の日曜日は東京で初めて開催される光良(Michael Wong)の演唱会(ライブ)に参加してきた。光良といえば、私のように2000年代に駐在していた人間はほぼ100%知っている歌手である。日本人がおそらく最初に歌えるようになる中国語の歌の1つは彼が歌ている「童話」だし、他にも「勇気」や「天堂」など数々のヒット曲をもち、かつどれもこれも歌いやすいと来ている。

一方であまりにも駐在員が童話ばかり歌うので、"童話はもういいよ" ==> "光良はもういいよ"となってしまい、いわゆるスーパースターという扱いではなくなってしまっているという歌手でもある。別に本人は悪くはないのだが・・・。生粋の中国人ではなく(彼はマレーシア人)、それゆえに発音がちょっと大陸とは違う・・・とか言われてしまったり、既に40代後半を迎えていることもあり「ピークは過ぎ去った歌手」と日本人には見られているかもしれない(※1)。


そんな感じの先入観があったので、今回のツアーの情報を知った時にまず最初に思ったのは「Zepp東京でやるなんて、売り上げ大丈夫なのかしら。動員する自信がないのかしら」だった。なにせ、すでに二回参戦して、今年も参戦する予定の五月天のライブ会場は日本武道館である。会場のキャパシティを考えるとZepp東京はいかにも小さいし、チケット代から考えても大きな売り上げになるとは思えない。
そもそもこれまで日本では一度もライブをしたことがないということで、これは少しピークをすぎた歌手が、いわば地方営業みたいな気持ちでくるのではないだろうか・・・という、失礼千万な気持ちを持ってしまった。

とはいえ、知っている中華圏歌手のライブを日本で聞くというのは常に貴重な機会である。今回もチケット発売日の発売時間にはしっかりとPCの前でスタンバイをして、確実にチケットを確保。申し込みタイミングが早かったおかげでかなり前の席を取ることができた。

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そして迎えた当日、会場では中華圏スターのライブらしく、言語は中国語が基本である。会場に着くまでは知らなかったのだが、MIFCと呼ばれるファンクラブがあり(Michael Wong International Fan Clubの略だろうか)、そのクラブが来日にもかなり力を尽くしたようである。席はちょうどその方々のすぐ後ろで絶好の場所。何から何までお世話になってしまった感があり、感謝感謝だった。



開場はギターから、ベース、キーボード、ドラムと演奏をしながら入ってくるというシンプルな構成で、最後に光良が入場。最初の感想は、歌手には失礼だが「歌がメチャクチャ上手い」!日頃聴いているデジタル音源に比べて、
声の張りも歌い方も段違い。一瞬でライブに来て良かったと
確信させるレベルだった。



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曲目も日本での公演は初めてということで新旧のヒット曲を満遍なくちりばめていて、一度も聞いたことがない曲はほとんどなかった。衣装替えやステージの変化などは一切なかったものの、ボサノバ風に編曲した如果你还爱我があり(これは途中で歌詞を飛ばしてしまい、歌い終わった後に気づいて再度歌い直すというサービス付き)、引き語りでの天堂と勇気ありと、シンプルながらもメリハリが効いており、全く飽きさせない。勇気は最も好きな曲の一つなので、本当に涙が出そうだった。



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クライマックスでは「日本でも舞台から降りて歌ってもいいかな?」と聴いた後に、無印良品時代の想見你客を歌いながら、何と客席の間を歩く!会場は盛り上がるが、みなこういった展開になれているのか混乱はなく、近づいて握手する人がいるのはもちろん、一緒に自撮りするカップルもいたりする。かくいう自分も、ファンクラブに向かって歩いて来た光良に向かってダッシュで近づき、握手をすることに成功!中華圏スタート最接近した瞬間であった。

最後はもちろん最大のヒット曲である童話で、合計2時間強のコンサートは全て終了。期待値以上の歌声に大興奮して、今後生涯通じて光良のファンであることを誓ったのであった(単純)。


※1・・・日本に帰ってきてからも継続的に中華圏ポップスを聴き続けているのだが、確かに近年は「大ヒット」と呼べる作品はなかったりする。というか、そういう作品がなくてもいまだに現役スター感がある張学友などがすごいのだ。

2018年3月12日 (月)

今から人工知能の勉強を始める人向けにお勧めする2冊

転職する前は、日本で最も有名になったAIソフトウェアのマーケティングを担当していたし、振り返ってみれば大学院時代は遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm)やニューラル・ネットワークなどの手法を使って研究をしていたので、今ではほとんどコードは書かなくなってしまったとはいえ、AIに関する技術的な基礎というのは一般的な意味ではあるほうだと思う(※1)。

一方で、転職した企業は技術開発を専門に行なっている企業ということで、極端に言うと「AIが絡まない仕事」というのはない。それくらい全ての領域でAIというのは組み込まれてきているし、現状で主に米系クラウドベンダーや日系SIが提供しているような「PCを用いて利用することが前提とされているような」AIというのは、むしろAI利用という観点からは一部でしかないということがわかる。


私が大学院で勉強してた頃はちょうど「直近のAI冬の時代」の終わり頃なので今のようにAIが一般的に盛り上がるというのはもはや隔世の感がある。今では、マーケティングやってる人も製品担当も、とりあえずAIという文言をつけようとしているような状況で、今までとほぼ何も変わっていなくても「AI」と付ければマスコミも取り上げてくれるような状況だ(※2)。ただ、先日も付き合いのある「AIをマーケティングしている人」から、『御社のAIソリューションは日本語が使えるのか?』という謎の問い合わせをもらったように、AIに対する理解という意味では、世の中の一般はまだまだ追いついていない状況だと感じる(※3)。

そういうことで、自分としても2018年の現場までの発展を再度理解しなおすとともに、どのようなステップで話をすればよいかを学ぶために、AIについては基礎から学び直すこととした。今日は、そのはじめとしてまず2冊取り上げたい。
なお、私のポジションは「AIを利用して何かをしたい会社に、研究開発プロジェクトを立ち上げる」というのが現場での役割なので、あまり技術的なことを"自分で"実践することはあまりない(codingをするとかはメインの仕事ではないという感じだし、自分の興味もあまりそこにはない)。


● AI発展の外観と可能性を理解する ●


2015年の出版のため、すでにこの業界ではだいぶ古くなってしまった情報が含まれているが依然として全体を概観するというためには最も役に立つと思われるのが、東京大学の特任准教授である松尾豊先生が出版された「人工知能は人間を超えるか」が、この領域を最初に学ぶには良いと思う。技術的な内容は最小限にして、AI研究の歴史的な内容を概観するとともに、現在起こっていることにどのようなインパクトがあるのかをわかりやすく書かれている。

 

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この本の中で特に強調されており、また最も重要なことは、現在のAI研究を牽引している「Deep Learning(深層学習)」が何故にそれほど重要なのかということだ。一言で言うと、この技術を使うことで、AIが「何に注目して学びを行うのか?」を人間が考える必要がなくなるのである(実際にはそんな単純なものではないが)。これまでは、AIに何かを学ばせるためには、人間がその現象を捉えるためのモデルや変数を考えてプログラムしなければならなかったのだが、Deep Learningを利用することでそういった「現象のモデリング」の問題を回避して学習を行わせることが出来るようになった(※4)。


この技術を使えば、これまではAIで取り扱うことが難しいとされていた人間の様々な活動をソフトウェアでコピーすることが出来るようになる。例えば人間だけが出来るような微妙な細工、例えば工芸作品の作成、といったものも理論的には学ぶことが出来る。もちろん実際の世界に結果を反映するためには、ソフトウェアだけではなく、ハードウェアの進化や様々な要素の統合、またAI自体の学習方法の工夫など様々なハードルが残っているが、少なくとも「理論的には」可能であると言うことが何よりも重要なのである。


一方で、2018年の現在から見ると、著者が想定していたことが想定しているスピードで進んでいないこともわかる。特に重要かつ残念なのは、この技術は日本にとって極めて重要であると言う提言があったにも関わらず、日本ではまだまだこの領域に投入されるリソースが足りていないということである。この領域を長年引っ張って来た米国はもとより、急速に力をつけている中国にも圧倒的な差をつけられているのが現状である。その最も大きな要因が、松尾先生がすでに指摘されているように「AIの発展により直接的にビジネスの結果が改善する」産業が日本には非常に少ないと言うことがあげられる。
実際には、日本にはAIとハードウェアの組み合わせにより改善が見られる分野は多くあるのだが、まだまだ経営者の視点がそこまで向かっていないというのが現状だというのが、私の率直な感想だ。とはいえ、私が勤務しているSRIでもこれから少しずつではあるが日本企業のAI活用事例を発表できるようになっていくと思う。すでに遅れてしまっているのは事実だが、あと1年・2年で「なんちゃってAI」ではない、産業現場におけるAI活用は急速に日本で広まっていくはずだ(と期待している)。


● 人工知能開発最先端の現場を知る ●


もう一つは、現在日本で人工知能を産業界で大きく牽引している清水亮さんが(当時の)日本の人工知能開発の最先端を担う方々にインタビューをした「よくわかる人工知能」だ。これも2016年の出版なので、この本が出版された時点から色々と世の中は動いてしまっているのだが、依然として方向性について理解するにはとてもわかりやすいと思う。・・・というよりも、今となってはAIについての変化が早すぎるということを実感するための良書という位置付けとしてもよいかもしれない。

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まず、本書で取り上げられているNVIDIAだが、2017年末には事実上Deep Learning の学習用のGPUではほぼ独占という立場を築き上げることに成功したものの、その地位を利用したライセンス規約変更を行なうという荒技に出た。本書の著者である清水さんもNVIDIAを使わずにDeep Learningをする方法をブログにあげたりと、一時の「NVIDIAさまさま」という状態からはだいぶ変わってしまった。

また、本書の最後で取り上げられていたスパコン開発会社PEZYの斎藤社長は詐欺事件の被疑者として逮捕をされてしまった。本書に記載されている成果とは異なるところでの逮捕のため、成果自体は依然として輝かしいものだが、今後の進歩は遅れてしまうことは否めないだろう。


本書は基本的に「清水さんが話を聞く」というスタイルなので、本人がノッている場面とそうでない場面で、あからさまにテンションが違っているのが面白いところだ。言い換えれば、この本はあくまで「清水さんが見ている世界」を表現しているだけなので、考え方に対してどのようなポジションをとるかは個人の自由である(※5)。そういった意味で、興奮しつつもかなり客観的に書こうとしている前書と、こちらではかなりニュアンスが異なる。それでも、どういった方向性に進むのか・・・といったことを知るには最先端の方に話を聞くのが一番というのは、全くその通りだと思うし、その内容をこれだけわかりやすく噛み砕いてくれる本書は入門書にうってつけだと思う。


※1・・・ここではあくまで一般的な知識レベルと比べてということであって、対象分野を研究している、例えば情報科学専攻を終了した方と比べられるようなレベルではない。

※2・・・似たような状況にあるのがブロックチェーンで、世の中のブロックチェーン・ソリューションのうちかなりのものは、ブロックチェーンを使わずとも実現できるし、Initial Coin Offering(ICO)なんかも、技術的なこととはもはや何の関係もないフェーズに入っているように見える。

※3・・・アルゴリズムという意味ではある言語特有ということはあまりないので「使える」が、日本語向けにチューニングしていると聞きたいのか、それともすでに日本語利用を学習済みなのか、Input/Outputのことを指しているのか、そういったことを明確に切り分けずに「日本語が使えるのか/使えないのか」と質問されても回答のしようがない。

※4・・・ちなみに私の大学院における研究領域は、この「現象のモデリング」である。

※5・・・本書でかなり肯定的にとりあげられている「受動意識仮説」については、自分は批判的である。厳密な意味での「意識」の定義が異なっている可能性があるが、意識は受動的なものではなく、「自分の意識を、自分が感知するまでの時間的な遅れ」があるのではないのか・・というのがスポーツなどの経験からの私の仮説・・・思いつきレベルだが。

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