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2019年8月 6日 (火)

最近読んだ本のこと(2019年8月前半)

8月は出張もあまりなく、お客さんもお盆前ということでやや動きが止まっており、引き続き読書が進んだのであった。



● イノベーションの研究 生産性向上の本質とは何か51tx1czqgkl_sx350_bo1204203200_
もともとはヤフーのCSO (Chief strategy officer)で名著「イシューからはじめよ」の著者である安宅さんが発表された"シン・ニホン"をもう一度しっかり読みたいと思い購入した本。タイトルからはイノベーションに関する網羅的な研究とビジネスに関する示唆があるかと期待していたが、実際には論文集という感じで、かなりがっかりした。一つ一つの論考は意味があるものの、全体で一冊の本としてみると、議論の対象が重複していたり同じ対象を微妙に違う観点から議論していたりするために、書籍としての統一性がなくなってしまっている。
また個々の内容についても、前半はいわゆる「生産性」をマクロの視点から議論するものが多く、残念ながらビジネスパーソン向きとは言えない。また、スタンスとしては分析がメインとなってるため、処方箋となるような打ち手にワクワクするという読み方も出来ない(※1)。全体としては、自分はターゲットとは違ったな〜のが実感。安宅さんの論考については、そのうち大学での研究内容とあわせて出版されるタイミングがあるだろうと思うので、それを気長に待っていようと思う。



● イノベーターのジレンマの経済学的解明51vd3ipjozl_sx338_bo1204203200_
経営学の概念としては最も世に広く知られたものの一つであると思われる「イノベーター(イノベーション)のジレンマ」と「破壊的技術(disruptive technology)」を底本として、そのような事実があるとしたら、何がそれを引き起こすのかということを可能な限り「定量的に」かつ「因果関係を持つ」構造として記述しようとする取り組みをまとめた一冊。ちなみにビジネススクールで学ぶとこの「破壊的技術」という概念をかなり正確に学ぶので、世の中に溢れている「破壊的技術」に対して苦々しく思っているMBAホルダーは結構多いはずだとひそかに思っている。
本書で上記の目的を達成するために、一般の読者にもわかりやすいように「共食い」「抜け駆け」「能力格差」の3つの観点から既存企業と新興企業に対する検討を行なった上で、最終的に"既存企業のほうがイノベーションを達成する能力は高いが、既存の製品/商品と新しい製品/商品のかぶりが多いため、イノベーションへの取り組みが遅れてしまう」という結論を出している。本書のキーとなる3つのコンセプトをもう少し詳しく記述すると下記のようになる。
 
  • 共食い:自社の製品間で需要が重なっているため、新規製品/サービスを出すと既存事業に影響が出てしまう
  • 抜け駆け:新規製品/サービスを出すことで、どのくらいのビジネス上のベネフィットがあるかを考慮した上で、インセンティブがあった場合には最初に行動を起こす意味がある状態
  • 能力格差:イノベーションを起こす能力

裏側では膨大な理論的検証とシミュレーションを行なったであろうことが行間からも読み取れるのだが、難しい計算式は一切なく、誰でも読み進めることができるように工夫がされている。個人的にはもう少し専門的な内容を含んで欲しいと思ったのだが、それはまず巻末の参考文献に目を通しなさいということだと理解した。



● 教養としての世界史の学び方51bmqbppyl_sx344_bo1204203200_
著作は一通り追っている梶谷壊先生も執筆者の一人ということで購入したのが本書。タイトルは売れ線を狙ったかのようなカジュアルさなのだが内容はかなりハードで、大学学部1〜2年生向けの「●●概論」の教科書のようだった。理系で大学院卒業の自分にとっては「史学という学問自体のコンセプト」がかなり新鮮で知的好奇心を満たしてくれる内容ではあったが、やはり最初の部分はかなり重いというか咀嚼する時間が必要だったのは否めない。また、本書で紹介されている内容は最新の学術的議論よりも少し遅れているであろうとは想像がつくものの、とはいえある程度人文学的な知識がないとさっぱり意味不明・・・という可能性もあり、もう少し間口が広い本にしてもよかったのではないだろうか。せっかく良いトピックを取り上げているのに、軽い気持ちで買って挫折した人が多いのではないかと心配になってしまった。

 



● High Output Management 41gxcbbwl
インテルの元会長であるアンディ・グローブの名著の再版したもの。絶版になっていた前の版は学生時代に読んだことがあったのだが、手元に置いておきたくであらためて購入。昔は気づかなかったのだが、社会人としてそれなりに時間を過ごした後だと、全編に渡って役に立つ情報が埋め込まれていることに気がつく。最初から最後まで、マネージャーとして組織の中で価値を産むためにどうすればよいか、に焦点を当てて書かれている。特に前半部分は今の経営書では間違いなく省かれるような現場管理の方法論が書いてあって、こういった実務的な情報が必要なんだよね・・・と思う一方で、この時代には経営者がこのレベルの話を書く価値があったのかと考えると、経営に関する知識というのもここ30年ぐらいでかなり一般化かつ深化したのだなぁと感じる。
 
引退した経営者の自慢本とは全く違う、生きた知識が詰まった経営本のAll time bestの一つであると個人的には思っている。いわゆる「戦略論好き」な人には向かないが、現場で日々の経営に悩んでいる人にはぴったりの本。
※1・・・マクロレベルの話なので、そもそもあっと驚くような打ち手が出て来たらそちらのほうが驚きではある。

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