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2019年11月28日 (木)

デジタル時代の人材獲得で一番辛いのは銀行

今の仕事についてから色々な業界の人と、イノベーションについて話すようになった。
そして、イノベーションの話をすると、とりあえず全ての業界で大なり小なりデジタルトランスフォーメーション(DX)という単語を聞くようになった。もちろん本音では、「デジタルなんかいらない」と思っている会社もあるだろうけど、そんなことを大声でいう会社はない。そうする意味がないからだ。


デジタルトランスフォーメションは自分でしか出来ない

実際にデジタルトランスフォーメーションをやろうとすると、すぐに気がつくのが、社内に適した人材がいないという現実だ。IT部門はあるかもしれないが、アプリを自分で作っているところは少ないし、そもそもITに関する知識がないというIT部門も少なくない。
そういった会社にとって、ITとかデジタルというのは「買ってくる」ものだったのだ。ところが、DXを実現するためにはどうやら自分でやらなければならない・・・ということにこの頃気が付いたという会社が多い。

そうなると中途か新卒で人材を獲得しなければならないのだけど、自分が見る限り、最も辛いのはメガバンクを含む銀行だ。今現在でも難しいが、今後も今のままだと絶望的だと思う。

まずもって、社内で内製をするという文化がない。IT業界から見ると、金融業界というのは最もお金を落としてくれる業界だ。コンプライアンス要件や、処理能力などの要求が非常に高いがしっかりお金を払ってくれる。
そういった金融業に対してIT業界は優秀な人を贅沢に貼り付けてきた。そういう状況で、内製であえてやろうとする会社は少なかった。
とはいえ、これは何も金融業界に限った話ではない。ただ、実質的にITなしでは業務が回らないにも関わらず、驚くほど社内の専門家が少ないのが金融業界だ。

 

次にガチガチの給与体系。能力よりも年次でお金を払うシステムである銀行では、「優秀だが高給なエンジニア」を雇うための方法がない。
ただ、これも多くの伝統的な業界に共通する。

装置産業としての魅力を失う銀行

そして最後の、そして最も大きい理由として、「銀行でしかできない、先端的な取り組みはほとんどない」ということだ。銀行の中の人はそういうことを言われるのは嫌がるかもしれないが、2020年になろうとする今、銀行というのは巨大な装置産業だ。ITシステムと「資本」をレバレッジするのが、その本質の一端といっていい。
そして、装置産業の中で、最も代替が進むのが銀行なのだ。

装置産業間での比較を考えてみよう。例えば、AIで非常に有能でもある人材が「自動車や二輪車」を作りたいと思っていたとする。彼にとって現実的な選択肢というのは、テスラという例外を除けば、既存のどこかの自動車会社に入ることだろう。

同じことは製造業のほとんどにいうことができる。スタートアップがこれだけ一般化した今でも、モノを作るには資本と設備が必要になる。ファブレスという選択肢もあるが、それではカバーできない領域もたくさんある。
そういった「モノづくり」に興味があり、かつ先端技術もできる人間は一定数はいるので、製造業はそういった人材を獲得することができるだろう。

翻って、金融業はどうだろう。
もしかしたら自分の周りが偏っているだけかもしれないが、「自分はどうしても銀行で与信をやりたいんだ」といって銀行に入った人間を僕は知らない。もともと明確なゴールを置くのが難しい業種だ。
もちろん、金融業で身を建てたいという人間はたくさんいるかもしれないが、そこにAIのような先進技術を掛け算で持っている人間は、Fintechと呼ばれるスタートアップにいったり、あるいはAIコンサルのような仕事を選ぶだろう。
さきほど述べたように、銀行業はいわゆる「ベンダー」にお金を払うことは得意だから、AIコンサルも仕事を取ることはそれほど難しくない。
でも、それでは銀行自身の中にノウハウが残らない。

グループとしての人材レベルを保つために

Fintechはよく「業界への破壊的なイノベーション」と言われる。ただ、個人的には、たとえ業界構造自体が変わらなくても、そういった代替かつ魅力的な存在が出ることで、人材レベルがゆっくりと確実に下がっていくことの方が長期的な影響が大きいと思っている。

そういう観点から、常に注目しているのはJapan Digital Design (JDD)だ。
三菱UFJが設立したFintech子会社は、社員のほとんどが有期雇用で外部から集められた人材で、既存人員の異動はほとんどない。あえて本体から切り離し、給与レベルも本体とは別立てとすることで「先進技術を使って、金融で何かしたい人」を集めることに成功している。

これまでの人事制度が「銀行に入りたい人に、何をさせるか」を考えていたとすると、ちょうど正反対の発想だ。まだ収益に貢献しているとはいえないこの試みだが、個人的には伝統的な企業が人材を集めようとするとこの方法しかないと思っている。

この一点だけで自分にとっては、三菱UFJは「面白い」取り組みをし続ける銀行だ。

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