カテゴリー「映画・テレビ」の記事

2011年7月26日 (火)

【映画紹介】夏休み武狭映画 武狭 -アクションだと思ったら違ったでございます-

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GWに次いで今回は今年第三回目の武狭映画紹介でございます(武狭映画とは何ぞや? という方は以前書いたこちらのエントリーを参照のほど)。今回紹介するのは夏休み向けの武狭映画大本命である、その名もずばり「武狭」。現在の中国のアクションスター筆頭に位置する甄子丹(ドニー・イェン)と、日本人にもおなじみ日本語を話さないと益々格好いい金城武、そして「ラスト・コーション」の体当たりラブシーンを演じてから本土ではしばらく干されてしまっていた汤唯の3人の主役級が共演する・・という豪華俳優陣がウリの一本である。このごろ少し涼しいとはいえ、基本的には太陽が痛い上海で、夏の暑さを吹き飛ばすべく、わざわざ誕生日に見に行ったのであった。まあ、実際には見てびっくりだったわけだが・・・。

■ ストーリー概要 ■
ドニー・イェン演じる刘金喜は10年前にふと田舎のとある村に現れ、偶然出会ったま 演じる村の女性と結婚し、村で生活をしていた。子供も生まれ、貧しいながらも幸せな生活を送る家族。しかし、ある時その村に強盗が押し入る。たまたまその場にいたドニー・イェンは格闘技の経験がないにもかかわらず、幸運にも助けられ二人の強盗を倒すことに成功する。
多少の不自然なところはあるとはいえ、強盗を倒したことを喜ぶ村人達。しかし、死体と事件の検分に訪れた徐百九(金城武)はカンフーの達人である強盗二人を素人が倒したことを信じられず、自分の針師の知識を生かしつつ独自の推理を進めていくのであった。はたして、本当の刘金喜は一体どんな人間なのか・・・彼の過去を調べていく中で徐(金城武)は彼の正体に近づいていくのであるが・・・。

今回は監督である陈可辛の志向が反映されたのか、単純なキッタハッタではなくミステリー仕立てとなっており、アクションと謎解き、そしてそれぞれの登場人物の過去が少しずつ明らかになっていくという仕立てとなっている。

■ 配役と見どころ ■

武狭映画というのは基本的には(少数のアクションスターの中の)「誰が」「どうやって」「どんな敵」を倒すのかを見る映画なので、配役は大変重要である。ということで、今回も主役は甄子丹(ドニー・イェン)。本人もインタビューで言っていたように、この頃映画にでずっぱりである。いつ見ても切れがいいアクションだが、今回は多少うそくさい連付きが多かった。やはり彼は蹴り+突きがあって初めて映える。
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本来であれば準主役として、敵役に注目される配役がされるはずだが、金城武は今回は 探偵役ということでほとんどアクションには参加しない。撮影時には2分の長回し格闘シーンがあったそうであるが、編集段階でゴッソリ削除されたとのこと。彼は中国語を話すとやはり格好いい(と思うが、友人に言わせるとちょっと変らしい)上に、今回は半分くらいは四川語を話している。ところどころ聞き取れない所があるな~と思ったら、四川風の言い回しをしていたようだ(実は、四川語は多少聞き取れるのだけど、いきなり四川語になったりするので耳が追いつかない時のほうが多かった)。245e8bca9417f8d6c8176814

武狭映画には欠かせない「アイドル枠」は汤唯。彼女はラスト・コーション(中国名:色・戒) という映画で濃厚なラブシーンを演じて(それだけが理由ではないが)ここ3年ほど大陸映画界では干されていた女優である。2011年、中国がまさしく総力をあげて「大ヒットさせた」建党偉業(建党伟业)にも撮影は参加したが、編集で全部カットされるという悲哀を味わった(と言いきれないかもしれないが・・・)。
パッと見ると范冰冰に似ていると思ったのだが、夫に対して疑いを持ちつつもそれに耐えて生活を続けていく不安定な心情をよく表現していて、これから頑張って大陸でも活躍してほしいものである(目が大きい女優は好みなので)。

しかし、孙丽・范冰冰・汤唯と似た感じの女優ばかりなので、たまには全然違うタイプの美人は出ないものだろうか。李冰冰は冷たい感じの美人でタイプが違うのだけど背が低いのが難点か。

さて、これだけ魅力的な俳優をそろえているこの武狭、絶対面白いに違いない・・と思って見に行ったのだが、正直ガッカリした。期待値が高かっただけに「本年度最もガッカリした映画」にノミネートされてしまう勢いである(しかし、中国内では評価が高い)。

ガッカリした点をあげるとキリがないのだが、以下三点をあげたいと思う。

  • 甄子丹が出ている時点で、彼がカンフーの達人であることは明らかなのに、謎解きのシーンを引っ張りすぎている。スティーブン・セガールが弱いわけはないのと同じように、甄子丹が弱いわけがないのだ。前半部分のなぞ解きは新機軸で面白いと思ったけど、アクションまでの入りが長すぎて、少々疲れる。そして、アクションシーンになるといきなり全力。
  •   
  • 金城武のキャラ設定が謎。まったく貢献していないと思われる四川語はとまかくとして、彼が「もう一人の自分」を意識しているシーンは意味不明だった。意図はわかるが、あそこまで画面を暗くして演出する意味はゼロ。明らかに欧米の類似の作品から持ってきたアイデアで浮いている。
  •   
  • 戦闘に無理がありすぎ。僕は武狭映画は基本的に「何でもあり」派なのだが、ちゃんとファンタジーの中でも、その文脈に沿った闘いが必要だ。いきなり理由もなく無敵になったりしてはいけない。

と、不満をあげればきりがないのだが、一言でいえばこの監督はアクション映画の「起承転結」をわかっていないのだと思う。毎年毎年同じように出てくる武狭映画の中で自分の色を出したいというのはわかるのだが、まずはそのテンポをわかった上で自分の工夫を載せてほしいものである・・と強く思った。
個人的にベスト3にあげる武狭映画である「十月围城」(日本名:孫文の義士団)ではプロデューサー側ですばらしい仕事をしたので、ぜひ今後もプロデューサーの時の視点で武狭映画を作成してほしいな・・と思いながら、帰宅して口直しをかねて十月围城を見直したのであった。

(※文中の写真はすべて百度百科とWikipediaのものを利用しています)

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2011年5月 8日 (日)

【映画紹介】GW武狭映画 関雲長(关云长) -髭がバッサバッサと敵を倒します-

今年第二回目の武狭映画紹介でございます(武狭映画とは何ぞや?0b14ad1970ddfb1d43a9add7
という方は、以前書 いたこちらのエントリーを参照のほど)。今回紹介するのは中国の労働節(劳动节)向けの大作である「関雲長」(关云长)。文字通り三国志で有名な関羽が主人公のアクション大作である。
三国志は日本でもいろんな作家が書いているが、ストーリーを最初から最後まで追うとするととても映画では収まらないので、だいたい映画になる時にはどこか一部を切り取って映画化する(ドラマでは演義を全部やったりする)。今回は関羽が曹操の元から劉備のところに戻る五関六将の場面を映画化している。中国人はほとんどすべて(と思う)の人がストーリーを大まかには知っているので、どこかの名場面を切りだしたとしても問題がないのかもしれない・・・。

■ ストーリー概要 ■
時は三国時代。劉備配下の関羽は訳あって曹操が納める魏にいた。有能な人材を愛し、特に関羽を愛する曹操は何とか関羽を自分の配下にしたいと考えていたのだった。しかし、関羽は度重なる勧誘を振り切って、劉備の妻を連れて劉備の元へ戻る決断をする。
関羽の要望を受け入れた曹操は各関所に無事に通すように通達を送るのであるが、一方皇帝は曹操を殺すように命令を下すのであった。関羽は無事に劉備のもとに戻ることが出来るのであろうか・・・。

これがストーリー概要である。ちなみに毎度のごとく上記ストーリー導入は映画冒頭で文字で紹介されるので、中国語がわからないと何が何だかさっぱりわからない。今回は100分と短い中に原作にはない恋愛模様を入れてしまっているので、さらにストーリーがわかりづらくなっている。繰り返して言うがアクションを見るものなので、深いことは二回目以降に考えればよい(と個人的には思っている)。


■ 配役と見どころ ■

今回の映画の見所は何と言っても中華圏のアクションスターの中ではNo.1である甄子丹(ドニー・イェン)演じる関羽と、性格俳優である姜文(ジャン・ウェン)演じる曹操とのやり取りにある。あとは、いつもはカンフーで闘う甄子丹が今回は関羽らしく武器を使って闘うというところであろうか。

甄子丹は以前もちらっと紹介したが、とにかく彼のカンフーアクションは「本物」であることに 特徴がある。大陸にある武術学校(体育学校)でしっかり基礎を勉強しているため足運びや体の使い方が理にかなっているのだ。
今回は武器を使って闘うシーンが多いので、彼の得意技である高速回転のWs000000蹴り+突きのシーンがほとんどないのだが、武器を持った状態でも細かなステップを踏んでいて、ちゃんと格闘になっている。ちなみに彼は監督をしたり演技指導もしたりするのだが、今回は絶対に自分が関羽を演じている絵を取りたかったに違いない・・と想像している。一戦終わるたびに一々見栄を切るシーンが挟まれており、京劇を思い出した。

曹操役の姜文は、個人的に中華圏の俳優の中でbest3に入る好718e25c71b4ed092d0006066きな俳優だ。彼は性格俳優という言葉が似合う俳優で、とにかく黙っていても変態オーラがほとばしるところがいかにも曹操らしくて、映画を観る前から期待していたのである(今回は彼を見に行ったようなものである)。
今回も「(性的な意味ではなく)男として男が好き」な曹操を好演している・・・というか、自分の場合彼が好きでしょうがないので冷静には語れない。。本来の曹操はもう少し冷酷なんじゃないかと思うし、彼はそういう演じ方もできたと思うのだが、今回はややわかりやすく人情に厚い役を演じている。

武狭映画に必ず一人はある「アイドル枠」は今回は孙俪(ソン・リー)。貧乏な街娘だったところを劉備に見染められて側室になるという設定の役どころで、確かにそういう役割だったら彼女の雰囲気にはあっている。なぜか関羽とも以前から知り合いで・・という設定にしてしまったため、ストーリーが散漫になってしまったのは否めないが、出ている以上は意味づけをしなければならないので、これはいたしかたないと思う。Ws000001
これまで孙俪の出ている映画を画皮しか見たことはなかったのだが、アイドルというイメージが強かったので、今回はステップアップになればよいな・・と思っている。・・・と思ってちょっと調べたら既に大陸ではベスト10に入るmoney making starらしい。そこまで可愛いとは思わないのだが、なんでなんだろう・・・幼い感じがうけるのかしら(次は頑張ってアクション映画の主役を張ってイメージを変えてほしい)。

今回の映画は完全にエンターテインメントに徹しているため、六将がなぜ闘っているのかがよくわからないシーンがあったり、そもそも人間関係がおかしい部分があったりするのだが、個人的にはあまり気にならない。とにかく甄子丹が武器を持って戦っていればそれでいいのである。
WEBの評を見ていると「演義から離れ過ぎている」という批判があったのだが、そもそも演義だって正史とは相当異なっているわけだし、こういう作品に時代考証を求めるのはちょっと違うな、と常々思っているのだ。そもそも日本の時代劇だって本気で時代考証やったら話し言葉が聞き取れないだろうし、人にはそれぞれ許せる範囲がある中で、自分は無茶苦茶範囲が広いのだろう。「時代考証をしっかりやりました」と宣言している映画ならともかく、自分にとっては武狭映画はファンタジーなので特に問題はないのである(ファンタジーじゃないならワイヤーアクションも駄目だろう・・)

最後に一言だけ。この映画でもそうだったのだけど、近頃の三国志関連の実写作品は服装がドンドン派手になっている。これは明らかに日本のゲームメーカーであるKOEIの影響。本家にも影響を与えてしまうほどの破壊力があるということで、これからも不況に負けずKOEIにはドンドンアホな三国物を制作してほしい。

(※文中の写真はすべて百度百科のものを利用しています)

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2011年1月11日 (火)

中国AudiのCMに中国の発展スピードを思う

先ほど家に帰ってちらっと見たテレビのCMが忘れられなかったので、今日はこの話を記録しておきたい。本当は映像があったほうが圧倒的によいのだけど、You Tubeにも优酷にもなかったので、言葉だけになってしまうことをお詫びいたします。
(たぶん読んでも伝わらないと思うので・・・)

商品はAudi A6L 2011年モデルである。

■ CMのあらすじ

1.一人の50代男の人が出てきて、飛行機チケットを手にゲートチェックインをしていく。
2.かぶさるようにして、若い男がチケットを持って古い電車に乗っているシーン(セピア色)
3.Audiを運転する男の横顔
4.かぶさるようにして、若い男が自転車をこぐシーン(セピア色)
5.ふたたび現代に戻り男が聴衆の前でプレゼンをして、最後祈るようなシーンに
  Audiがかぶさる

実際にはこのシーンの間にAudiが走るシーンが流れるのですが、概要はこんな感じ。これメッセージはすごくシンプルで、『成功した人が乗る車』のとしてのAudiということなんだけど、僕の心に残ったのはこの部分ではなく、このストーリーが今の中国人にとって違和感がないだろうということ・・・だ。

■ 成功の記憶をリアルに保持する世代が中国を引っ張っている

日本では消費の主役として80年代生まれ(80後)や90年代生まれ(90年)が注目されていると思うのだが、なんだかんだいっても中国経済を引っ張っているのはまだまだ30代後半以降のいわゆる「働きざかり」の人達だ。

彼らはちょうど生まれたころに改革開放が始まり、すごいスピードで中国経済が発展するのを目の当たりにしてきた世代である。確かに彼らが中高生の頃は古臭い形の自転車で通学をしたのかもしれないし、希望に燃えて都市に来た人たちもたくさんいただろう。
もちろん実際には世の中はCMのようにうまく行ったわけではないだろうが、少なくとも同世代の「共通な神話」として、このストーリーを共感することはできるのではないだろうか。

一方、日本はどうだろうか・・というと、おそらく僕たちの世代(1970年代~80年代)の人達にはこういった共通の物語はない。強いていえばバブルがあったね~というくらいだ(80年生まれの僕にはバブルの記憶は皆無である)。もちろん小さい頃を思い出せばPCも繋がってはいなかったし、携帯はなかったし・・・と変化はものすごいものがあるが、それは変化であって「世代を貫くストーリー」のようなものではない。

舌足らずでうまく伝わらないのは自覚しているが、この「ストーリー」のありなしというのは、何かに向かう時に大きな差になってくるのではないだろうかと思う。「信じる者」と「信じない者」では、やはり信じる者のほうが強い。
しかし、僕は一方でそれが悪いことだとは思わない。信じることで戦えるのは、産業発展のある一段階でしかない。悲観することなく、軽やかに足音をならせば、今の我々にだってダンスを踊るステップは踏めるのではないだろうか。

そんなことをCM一つ見て思った次第であります。

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2011年1月10日 (月)

【映画紹介】2010年の大作武狭映画 剣雨のご紹介!

今年は心の余裕も若干あるということで、中国の映画やドラマの紹介もしていきたい。何せDVDも格安で手に入るわけだし。

中国で映画といえばやはりカンフー。さすがにそればかりやっているわけではないが、やはりカンフー映画は質量ともに世界最高峰であり、後から後から名作が出てくる。ちなみにこれらの映画は中国では武狭映画と呼ばれている。武狭映画については明確な定義はないものの、個人的には以下のようなものが武狭映画であると思っている。

  ① カンフーを主体として「戦い」を見せることに主眼を置いた映画である。
      なのでストーリーはあってもいいが、別になくてもいい。
    ② 主人公側は少数精鋭であり、敵は大軍。ボスキャラはやたら強い。
       仲間はだいたい戦闘で少しずつ減っていく。たまに最後に主人公も死んでしまう。
    ③ 「そんな動きができるわけないだろう!」というようなワイヤーアクションは
       もちろん空を飛んだり、火を吐いたりしても許される。
    ④ 服装や武器は「格好いい」ことが優先される。時代考証はおまけ程度にある。
       (そして都合が悪い時は無視される)
    ⑤ 必ず一人は美人スター・アイドルがキャスティングされ、無駄に入浴シーンなどが
       ある。契約で縛られていたんじゃないかと心配になるぐらい、無駄な登場カットが
       頻発する。
    ⑥ 火を使うシーンが始まると突然夜になったりするが、気にしてはいけない。

基本的にはこういったおバカ映画なのだが、Lovers(中国名:十面埋伏)やらGreen Destiny(中国名:臥虎蔵龍)が世界中でヒットしたため映画の1ジャンルとしてしっかり認知された、はず。
僕は大学時代に体育会系で四年間少林寺拳法をやっていたため、こういう映画は死ぬほど好きである。とにかく中国の武狭映画は技の切れがハンパなく、動きの一つ一つが理にかなっていることが多い(もちろんワイヤーアクションを除く)。ぜひこの愛すべきおバカ映画たちを世界により広めたい。

ということで、今日のご紹介はあのジョン・ウーが総監督を務めたという剣雨(Reigns of Assassins)をご紹介する。

■ ストーリー概要 ■35da1d3b06922da915cecbc8
時は中国のどこかの時代。朝廷ではひそかに、800年前にカンフーの奥義を極めてなく なった達人のミイラを手に入れると神秘と奥義が手に入ると信じられていた。上半身と下半身に分かれた遺体を手に入れるべく、黒石と呼ばれる暗殺集団は一子相伝で厳重に管理を行っている寺を急襲する。
無事に遺体の半分を回収した暗殺集団だったが、主人公は突然遺体をもって集団を抜ける決意をする。主人公を追う黒石達。彼らが遺体を集める目的とは何なのか。そして残された遺体の半分はどこにあるのか・・・。主人公は無事に平穏な生活を手に入れることができるのか・・・?

これがストーリー概要である。ちなみに上記ストーリー導入は映画冒頭で文字で紹介されるので、中国語がわからないと何が何だかさっぱりわからない。まあ、わからなくても開始6分ぐらいでストーリーにはまったく関係ない敵が出てくるので、大丈夫という気もする。

■ 配役と見どころ ■

何といってもこの映画の見所は今や大御所となったジョン・ウー(中国名:吴宁森)が本格的な武狭映画を撮るということに尽きる。あの世界的監督がどんな映像を撮るのか!ということで広告宣伝もやっていたのだが、見てみるとジョン・ウーらしさはあまりない。
まず有名な鳩が飛ぶシーンはどこにもない(鳩のシーンはレッドクリフにはあった)。次に銃の両手撃ちがない(これは現代劇ではないのでしょうがない)。ただしそれに近いシーンはあるので、ファンならにやりとすることと思う。
それからジョン・ウーと言えばやたらめったら出てくるスローシーンだが、中国の9252ae7efe147b7f0dd7da78映画はとにかくスローが大好きなので、これも特に大きな特徴とは言えない。今作はmakingで自分でもいっていたのだが、とにかく気楽に武狭映画を作りたかったということだと思う。

主役はミシェル・ヨー(中国名:杨紫琼)。グリーンディスティニーにも出ていたアクション俳 優である。結構年齢を重ねているので目を見張るほど美人というわけではないが、動きの切れは素晴らしい。

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アイドル役は大S(中国名:徐熙媛)。アイドルと呼べるほどの年齢でもうないのだが、可愛らしさ全開でちょっと頭のイカレた女性殺し屋役を一生懸命演じている。アクションの切れはあまりないが、そこはCGとワイヤーの頑張りでカバーしてい る(個人的には今まではただのケバい元アイドルとしか思ってなかったのだが、この映画を見て見直しました)。

主役のお相手は郑宇成。韓国人俳優とのことだが、全然知らないので、あまりご紹介できることがない。

敵の大ボス役にはワン・シュエチー(中国名:王学圻)。このD019d2bf666f0b4318d81f1c人は中国映画では大物で、大 作ではかなりの割合でみることができる。古いところだとヘブン・アンド・アース(中国名:天地英雄)の敵役をやっていた・・役者さんだといえばわかるだろうか。堅い役をやりながらもちょっとコミカルな味わいを出せる貴重な役者さんだと思う。

見どころは「カンフーでお願いします」としか言えないのだが、主人公の剣技として「曲がる剣」が使われているので、それを利用した殺陣はかなり面白い。剣を使うと動きが直線的になってしまうところを、あの剣を使うことで円の動きを取り入れている。

またこれは中国拳法をやったことがある人しかわからないのだが、中国拳法の『型』に対するこだわりも、かなり惹かれた部分だった。現代格闘技ではほとんど役に立たない中国拳法だが、あの時代の闘い方では十分価値があると同時に、どうして現代では役に立たないか・・ということが見ていてわかるようになっている。あくまで中国拳法をやったことがある人にしかわからないが難点だが・・。


・・・・と、ここまで書いてきたのだが、この映画の面白みは想像の斜め上をいくバカストーリー展開にある。(ネタばれになるのでかけないが・・)中国についてちょっとは知識がないとこのストーリーの意味がわからないが残念だが(それゆえに世界公開しなかったのだろうが)、ぜひこの馬鹿さ加減を味わってほしいと思う。さらに中国語がわかれば馬鹿場面での会話を何倍も楽しめる。
ただこの展開のおかげで、キャラクターの設定がかっちりはまるようになっているので、裏を返せば最初から貼られている伏線が回収されているともいえる。さすがジョン・ウー、バカを馬鹿では終わらせない。

武狭映画としては平均的な映画だが、中国風両手撃ちと大Sのお尻を見たい人にはお薦めの一本である。
(※文中の写真はすべて百度百科のものを利用しています)

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2010年2月23日 (火)

万博に向けて市民啓蒙が進む上海

これまで何回かこのblogでも取り上げてきたが、上海にとって今年一番のイベントはやはり万博だ。何せラジオでも時間ごとに流れるアナウンスで「万博まで○○日」と毎日いうのだから、まさしく市を挙げてのイベントである。

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北京オリンピックの時も同じような取り組みがあったのだが、今回の万博でも上海市は「市民のマナー向上」にかなり力をそそいでいる。これまでもいろんな取り組みがあったのだが、先月あたりから地下鉄内のテレビで「金玉良言」というタイトルで、様々なマナー向上のCMが流れ出した。例えば、

・街中でバスを待つ時にはちゃんと歩道で待ちましょう。
・エスカレーターは右側に立ち、左側は歩く人用です。
・電車にはあまり大きな荷物は持ち込まないようにしましょう。
・電車の中で物乞いをするのはやめましょう。
・電車の中で小さな広告(フライヤーみたいなもの)をばら撒くのはやめましょう。

といった感じだ。ちょっとしたドラマ仕立てになっていて、その後解説まで入るものだから、一生懸命みているとちょっと恥ずかしくなる(たぶん外人のほうがものめずらしさでしっかり見るような気がする・・・)。

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こんな内容の啓蒙CMを流すということは、逆にいうと現状ではそれが出来ていないということも意味しているということでもある。ぱっと見の日本人からすると「こんなことも出来てないなんて、やっぱり中国はダメだな」という意見を持つかもしれない。

ただ、文化や慣習というのは一人で行動をしても変化はおこらないので、強制的な方法でしか変更が出来ないということを考えれば、こういう取り組みもけっして悪くはない。やって損はないのだし、恥ずかしがっているよりもまず行動というのはよいことだ。
(ちょっとマジメに考えると・・・・簡単なゲーム理論を考えるだけでも、行動規範や文化は複数均衡点があるので、外からのルールの変更などをしない限り、内発的な均衡点移動は起こる確率がすごい低いはず・・・)

ただ実際に万博期間中にどれくらい効果があるかというとかなり疑問。こういう取り組みは大体において外国人に向けてのイメージUPのために行われるのだが、万博期間中はそれこそ上海以外からもたくさんの人が来ることが想定されている。

この上海以外から来る人たち、お世辞にもマナーがいいとはいえない人たちも多いし、例えば「地下鉄に初めて乗る人たち」もたくさんいる。チケットを買おうという努力をしてくれるならまだしも、ゲートを潜り抜けていく・飛び越えていく人たちもたくさんいるので、本当はそういうところもしっかり抑えなければならないのだ(が、人が多すぎてそんなことは現実的ではない)。

ということで、結論としては万博期間中に狙ったような効果はあまり出ないが、終わった頃には街が綺麗になっている。。というのが、一連の取り組みで僕が期待していることである。。。

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2009年10月17日 (土)

山東省で全国運動会スタート


一つ前のエントリーに続いてスポーツネタをもう一つ。

昨日から山東省で第11回全国運動会(日本でいうと国体のようなもの)がスタートした。国体のようなもの・・・と書いたように、この運動会は全国にある省ごとにチームを分けて、各省の対抗戦という形で、メダル数を争うというフォーマットになっている。ちなみに日本と違うのは「解放軍」というのが一つのチームとしてエントリーをしているところ(必ずしも全ての企業でTOPにならないところが、妙にフェアな感じがする)。

ここ一ヶ月ぐらいスポーツチャンネルでは「オリンピックに続いて、全国運動会!」というキャンペーンをやっていたのだが、昨日の開会式を見て、本当にオリンピックと同レベルの開会式の規模であることに驚いた。先日の建国60周年記念の閲兵式でもそうだが、とにかくこの国ではイベントのたびにものすごい数の人が動員される。オリンピックでは参加している人の数に世界中の人が驚いたと思うのだが、閲兵式と今回の開会式をみると決してあれが「特別」ではなかったと思い知らされる(ちなみにここから開会式の映像が見れるが、注釈がないとオリンピックの開会式と間違えそう・・・)。

オリンピックでも強さを発揮した体操・卓球・飛び込み・バドミントンなどは、この全国運動会が事実上の世界一決定戦だったりするので、すさまじくレベルが高くて、たとえ多少言葉がわからなくても十分に面白い。特に飛び込みに関してはテレビで繰り返し見ているおかげで、だいぶルールや見方がわかってきて、テレビでやっているのを見るとついつい目が放せなくなってしまう。


あれだけの人を投入するのならもっとほかの事に有効利用できないか・・とも思うのだけど、やはりスペクタクルにはかなわず今日もスポーツチャンネルを見てしまうのでした・・・。

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2009年7月 5日 (日)

『メタ』はハイコンテクストな文化でないと楽しめない -:名探偵の掟-

毎回日本に帰ると、東京都内の手近の大きな本屋に必ず立ち寄るにことにしています。東京駅近くなら丸善八重洲ブックセンター、有楽町なら駅前にある三省堂書店など。他にもだいたい日本では大きな駅には本屋が併設されているので、時間があるときには(ないときにでも)必ず入るように心がけています。

今や日本で売っているベストセラーはネットでだいたいチェックすることが出来ますし、僕のRSSには多くの書評サイトが登録されているので、ほぼ100%ベストセラーの出版状況を追うことが出来ます。その気になれば、Amazonなどで簡単に購入も出来ます。

ただ、やっぱり本屋が好きなんですよね。何が好きって、あの本屋の『ちょっと空気を切り取ってます』的な雰囲気がたまらない。だいたい世界中どこでもそうなんですけど、本屋ってその国にいないとわからないネタが転がっているものです。例えばドラマのノベライズとか、ローカル有名人の自伝だったり、プチ流行の解説本だったり、それから賞がらみの本だったり。
やっぱりそういうのは圧倒的に『現地』にいかなければわからないんです。

で、だいたい目的も決めずにぶら~っと本を見て、数冊を買って帰ってきます。本当に必要だと思っている本は大体事前にホテルにAmazonで購入していますからね。本当に目についた本を買ってくるんです。で、本日書評するのは、その中の一冊。どうやらドラマ化をきっかに新装版の文庫本が出たらしい、東野圭吾さんの名探偵の掟 (講談社文庫)です。

名探偵の掟


東野圭吾さんの本は、『悪意 (講談社文庫)』とか『どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)』なんかは結構昔に読んだんですけど、ここ数年はとんとご無沙汰しています。・・・というか、大学院ぐらいからお金もなかったし、何か時間がもったいない気がしてほとんどミステリは読むのをやめてしまったんですよね。また、読み直そうかなぁとなったのは中国に来てから。ず~~~っと仕事ばっかりだと体も心も持たないよね、と思い出したからでしょうか・・(社会人生活が3年過ぎてちょっとバランスを取り出したというのもあります)。


文庫本というのはちょうどスーツのポケットに入る大きさですし、この本は短編集なので気楽によめるな~と思って買ったのですが、なんのことはなく帰りのバスと飛行機待ちの時間とあっという間に読み終わってしまいました。内容が軽かった・・というわけではなくて、面白かったからなんですけどね。


この本、ミステリ好きならそれなりに誰でも楽しめると思うんですが、やっぱり一回は一通り本格モノを楽しんだことがある人のほうが圧倒的に楽しめると思います。何が面白いって「ミステリのお約束」をメタ(一次元高い視点)から突っ込んだり、壊したりするところで笑えるかどうかで面白いかどうかが分かれると思うのです。やっぱりそのためには一度は「お約束」にどっぷり使ったことがあるほうがいいなじゃないかなと思います。

一歩はなれた見れば面白い・・ってことは結構あるものなんですが、同時にその面白さがわかるためにはある程度その文脈がわかってなければなりません。例えば「二時間ドラマ」のあたりなんて、日本人じゃないと絶対わからない面白さでしょう。例えばこの本を日本語がものすごく出来る中国人に読んでもらってもやっぱりわからない。なぜなら、この「お約束」==コンテキストは日本人でないとわからないからです。

先ほどドラマ化にあわせてこの文庫本も新装版が出たといいましたけど、こういうメタ作品が地上波のドラマになってしまうというのは、実はとてもすごいことなんです。本格にどっぷりつかったことがない人でも楽しめるってことは、逆に言うと「日本人は基礎的なミステリ知識を"誰も"が持っている」ってことですからね。中国人なら誰でも三国志を知っている・・みたいな感じで、日本人はミステリの文法を知らず知らずのうちに習得して島手いるということなんだと思います。


昔、日本の出版界が元気になるためには、もっともっと海外への翻訳モノを増やしていかなければならない・・っていう話を見たことがありますが、今日いっているようなことを考えるとちょっと簡単じゃないな・・って思います。どんな小説でも固有のコードというか記号があります。それがどのくらい「私達にとって自明」だけど「海外のひとにとって自明じゃない」というかを考えないと、とりあえず翻訳してみたのに全然面白さがわかってもらえないなんてことも十分に起こりえますものね。

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