カテゴリー「経済・政治・国際」の記事

2014年4月26日 (土)

[書評] 中国を学ぶためにこんな本を読んでみた2 -現指導者層の選出前後を振りかえる-

2014年現在では中国の話と言えば、習近平体人制の対日強硬姿勢だったり、環境問題の話題だったり、あるいはようやく大物が対象とされてきた(一応は)腐敗対策だったりするわけだが、現指導体制が出来る前、2010年や2011年の最大の関心事というのはそもそも「胡錦濤以降の体制はどうなるか」だった。ちょうど僕はそのころは上海にいて、MBA受験の勉強をしていたり、最終的には合格をして学生への準備を始めていたころだったのだが、それこそそういった話題は「他人事ではなく」最大の興味関心だった。

日本では盛り上がるようになったのは随分後だったが、薄熙来の話題は中国に興味がある人の間では長い間のトピックであったし、それこそ一発逆転で李克強が国家主席になるのでは・・と言われている時期もあった。
日本に帰ってきて、中国の生の声はだいぶきけなくなってしまったのだが、あらためてあの頃のことは日本ではどのように語られていたのだろうかということが気になって、最近立て続けに3冊ほど当時の話題を読んでみたのであった。


● チャイナ・ナイン41v5pnkuurl

この本は、中国生まれで日本育ち、成人してからは中国の公的機関の顧問も経験したと いう立場から現代中国について発言をしている遠藤誉さんが書かれた本で、タイトルは中国の最高指導者層である中央政治局常務委員が9人で構成されているところからきている。

この本では当時の関心事だった、家主席が誰になるか(結局は習近平になった)や、結局のところ政治的には完全に終わることになる薄熙来は常務委員になれるのか、といった人事に関することから、そもそも9人が選ばれるのか、それとも7人なのか、といったように多くのトピックが含まれている。

この本はその結果(18大)がわかる前に、現指導者層を予測するということで書かれた一冊で、著者は独自のネットワークも使って指導者層をめぐる権力闘争の内幕の「絵解き」を行っていく。中国にそこそこ長くいた人間としては、こうやって「中の人とつながりがあります」的なこと堂々という人は、あまり信頼が置けない・・・というのがあるのだけれど、そこはある程度割り引いて読むほうも考えるしかない(深淵をのぞいている時には、向こうも覗き返しているという文を思い出す)。


2014年の今となっては結果がわかってしまっていて、当たり外れを語るというのは後だしじゃんけんになってしまって意味がないが、そもそも中国の権力構造がどのようになっていて、意思決定というか「彼らの内側の世界観」がどのようになっているのかを理解するにはうってつけの本だと思う。
このあたりまでは遠藤さんの書く文もも楽しく読むことが出来たのだが・・・、。

● チャイナ・ジャッジ

話の流れ的には前作「チャイナ9」からの続きで、結果として第五世代
では指導層に入れなかったどころか、政治的には51trhekpzl完全に終わることとなってしまった薄熙来に関する多くの謎について語る本。

・・・というと、冷静なノンフィクションかと思いきや、内容的には著者の想像が大半を占めている。これまでは中国生まれで日本育ち、成人してからは中国の公的機関の顧問も経験したという立場からの光るコメントが多かったのに、ちょっとどうしてしまったの・・・というのが正直な感想である。

著者自身も書いている通り、自分の幼少期の体験と関係してくるような内容だっただけに冷静に語ることが出来なくなってしまったのだろうか。事件直後になるべく早く出そうというのもあっただろうと想像するけど、完成度は類書に比べるとかなり低い。前作はなかなかよかっただけに残念。。

 


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● 紅の党

こちらは朝日新聞が2012年に三回に分けて特集された中国の新体制(習近平体制)の立ち上げに対する取材結果を一冊にまとめた本。中国ネタに興味がある方であれ既知の情報が多く、とりたてて新しいネタはない(とはいってもこの取材が行われたのは2012年で、僕が読んだのは2014年であるからこういった評価はフェアではないかもしれない)

この本が書かれたきっかけになるであろう薄熙来は日本ではそれほど報道は

 

されていなったかもしれないが、中国では2010年ぐらいからかなり注目をされていたので、正直なところ中国総局といっても現地で報道されている情報とあまり変わらないな・・というのが率直な感想。

現指導者体制がどのようにして出来あがったか・・・ということをコンパクトに把握するには向いていると思う一冊。


中国の現指導者層の話題が大きく取り上げられた理由の一つに、指導者層入りを狙って派手な動きをしていた薄熙来の失脚と、それに関連する多くの謎があったのは間違いない。実際のところ、僕個人も彼の動きを見ていて「今後、指導層に入ったら、外国人にとって住みづらい国になるんじゃないのかな・・・」と思っていたぐらいなので、直前の失脚と言うのには、こうやって安全装置が働いたのだろうか・・という気持ちをもったぐらいだった。

一方で、薄熙来について公式に発表されたことというのはほとんどなくて、党員としての資格を失ったこと、裁判が行われていること、妻の谷開来は罪が確定していることぐらいである。現在も進んでいる腐敗対策の大物対象である周永康に関連があつだろうといわれているように現在進行形の話題でもあるのだが、基本的には彼の話と言うのは「終わったこと」のようにも見える。もちろん、彼という存在が明らかにした中国の現状課題というのは何も変わっていないようなのだけれども。


あれだけ騒がしい時期を過ごしても、あっという間に歴史の1ページのような扱いになってしまう時間の早さを、この3冊を読み直して改めて感じたのだった。

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2013年9月14日 (土)

四か月間で健康を取り戻そうと四苦八苦してました

4カ月ぶりのエントリー。気がつけば随分とご無沙汰だったな~という感じがする。

この4カ月、何をしていたのかと言うと普通に会社に行き、週に二回ぐらいは飲みに行き、普通に休日は休み、普通に夜眠るという生活・・・言ってみれば、普通のサラリーマンの生活をしていた。ただ普通の生活とちょっと違うのは、日本で生活するのは5年半ぶりで、サラリーマンをやるのは2年ぶりで(人に雇われるという意味においては、3年半ぶり)、初めての結婚生活というのを同時に体験している・・ということ。
つまり、何がいいたいかというとちっともリズムがつかめずに、とっても疲れていたのだ。

実際、日本に帰ってきた直後は大変体調が悪く、健康診断でも肝臓やら血圧やらが普通にひっかかる状態だった。向こうでの最後の半年で体重が増えてしまったというのもあるし、帰国と入社、その他もろもろの事務作業でストレスがたまってしまったというのもあると思う。
そのストレス、自分で感じていたのはかなりのもので、もともと痛めていた背中がさらに悪化してしまい、帰国後3カ月はスポーツ医科学の医者にかかってリハビリをする羽目になった。幸いにも友人にいい病院を紹介されて、3カ月で無事にリハビリ期間を終えることができたのだが、完治と言う状態ではまだなく、いまだにケアは欠かせない。

他にもいきなり高熱が出たり、たった一杯ビールを飲むだけでクラクラするようになったりと、正直自分の体はどうなってしまったんだろう・・という不安を結構長く抱えていたりもして、なんとなくすっきりしない生活をしていたのが、この半年だったというわけである。


もちろん今はこうやってblogに戻ってきたということはそれなりに良くなったということなのだが、この感じが抜けたきっかけとなったのは、夏休みにいった上海だった(やっぱり上海か・・という感じがしないでもない)。
今回の上海は結婚関係のイベントの一つで一週間ほど滞在したのだけど、以前に住んでいた時に息抜きにとまったホテルにゆったりと宿泊することにしたのがよかったみたい。そのホテル、値段の割には食事もよく、またジムとプールがあるということで、滞在期間中は毎日そこで運動をしていた。

ホテルのジムと言うのは、終わったらすぐに部屋にもどればいいし、つかれればそのまま昼寝をすればいいし、利用客はそれほど多くはないし・・ということで、気楽に運動するにはまさに理想的な場所だ。今回の旅行ではその環境をいかして、とにかく体をゆっくりと追い込むということをして汗をかくようにしたのだが、結果的にはそれがよかったようで、日本に帰ってからは見違えるほど体調がよくなった。

おかげでここ数カ月ほとんど出来なかった、本を読む・ものを書く・語学を勉強する・・といった、これまでは日常だと思ってたことがようやく出来るようになってきた。もちろん実際には会社生活にも慣れ、自分の時間の使い方がわかってきたというのもあるのだろうけど、それにしても休み前と後では体の感じが全然違うのには自分でも驚いている。ホントに健康って大事なんですね。。

ということで、少しずつこういう時間もとれそうな今日この頃、またぼちぼちと中国ネタやら考えたことを書いていこうかな・・と思っている。雇われ人になって著しくニュースを見る時間が減ってしまったので、本のネタが中心になるとは思うのだけれど。

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2011年12月19日 (月)

金正日死亡報道で思い出した、MBAのケーススタディ

今は冬休みということで午前中はゆっくり眠る時間を確保できているので、今日もいつも通りゆっくり目を覚ましたのだが、目を覚ますとまさに大事件でTwitterのTime Line(TL)が埋まっていた。ここ数カ月は極端に中国関連のニュースから切り離されているせいもあって、まったく予兆をキャッチできていなかったのだが、北朝鮮の金正日主席が死亡したのだ※1。

しばらくは頭がボーッとしていてなかなか考えを巡らせることが出来なかったのだが、しばらくTLを眺めているといろいろ論点が提示されていることがわかってきて、少しずつ自分の意見を書き込むようになった(僕の本日のTwilogはこちらから見れます。どうでもいい内容もたくさん呟いていますが・・・)。
僕はこのblog上・Twitter上では政治関連のことを述べないことにしているのだけど、今回の出来事は純粋にビジネスのこととしてとらえても、いろいろと影響があると予想されるので、主に中国ビジネスの観点から考えをめぐらした結果を呟いたのだ。
その際に、頭にあったのはこれまでの中国生活から手に入れた知識に加えて、この短いMBA期間で読んだ一つのケースのことだった。



■ Harvardではドイツ統一を「教材」としている ■

我々のschoolに限らず、多くのBusiness schoolではHarvard Business school(HBS)の作成したCaseを利用している。特にCEIBSはHBSと提携している・・というか設立時にサポートをしてもらっているので、特に利用が多いのかもしれないが、とにかくとりあえずここまでの教科でHBSのケースを使っている※2

HBSのケースが凄いと思うのは、例えばMarketingやStrategyのようにケースで勉強するのがある意味「当たり前」と言えるような学科だけでなく、経済学(Economics)や統計学(Statistics)などのような学科にもしっかりケースが用意してあることだ。
CEIBSではこういう学科は宿題+座学という形を取っているのだが、経済学向けに準備された数少ないケースの中には、まさに今回の出来事を考える上で一つの参考となるようなケースがあった。

そのケースが取り上げているのは「東西ドイツの統一とその経済的影響」である。
(東西ドイツ統一時の教訓はこちらに簡単にまとめられておりました。豊かで、健康で、活動的な、人生を目指して:春山昇華


もちろんケースで学んだ内容が今回の出来事にそのままあてはまるわけではない(あまりにも諸条件が違いすぎる)。しかし僕が大切だと思うのは、MBAで学ぶことによって何かこういう突発的なことが発生した際に「考えるための手掛かり」を自分のなかから引き出してこれるようになる・・ということだ。

確かにこのケースを読まずとも興味がある人は自分で勉強することはできるだろうし、大学や大学院でより詳しく学んだ人もいるだろう。ただしMBAに来ない限り、こういった枠組みに触れない人もいることは事実であり、MBAはそういった人(僕も含む)に一つのパッケージを提供しているということだ。


■ ざっくりと大枠をつかむことが出来るという強み ■

今はそれこそ世界中の人が自分の意見を述べることが出来るし、コメンテーターというか、とにかく「ある分野に詳しい人」が自分の専門外の分野についても、極めて正しく「聞こえる」話しをすることが簡単にできるようになった。言いかえれば、僕たちは自分でどの情報が正しいのかを判断しなければならなくなってしまった。

こういう状況にあって、何かしらの「考える枠組み」が自分の中にあるというのは、瞬時に判断をしなければならない時に強みを発揮するのだと感じている。例えば、ドイツ統一の事例を知っていれば、統一においてどのような経済問題が発生するのか、それに対して周辺国家がどのような対応を立てるのか、そこにビジネスの機会やリスクが発生するのかということを何となくは判断できるようになる※3


もちろんこういった「マクロ」の情報を知らなくても日々のビジネスをする上では何の問題もないし、マクロ経済よりも目の前の顧客の反応の方が大切というのが一般的な意見だろう。だが、少なくとも自分が中国にいるこの4年と少しで感じるのは、こういった色々な出来事 -それは大なり小なり- 必ずビジネスに影響しているということである。

また自分がいずれ大きな判断を任せられるようなポジションにつきたい・・と思うのであれば、いずれこういう知識や視野の広さは必ず必要になってくる※4。MBAにはそれこそ色々な価値があるのだが、少なくともこういった「色々な引き出しを身につけることが出来る」というのは極めて実務的な意味で有用な一面だと感じている。



※1・・・深夜の段階でニュースを追っている限りでは、どうも今回は事前の情報はほとんどなかったようで、たぶん世界中の人が驚いたのだろう。
※2・・・HBSのケースは内容も当然ながら、その英文自体も非常に面白くて読み応えがあるものが多い。HBSに比べると、CEIBSのケースは英文も内容もまだまだ修行しなければならないと感じる(特に読ませる・・と言うことに関してはHBSは凄く面白い)。
※3・・・経済的なファクターだけで政治が決定されるわけではないので、事態が発生する確率を判断できなくても、複数のシナリオを設定することは可能。
※4・・・僕は以前の職場で明らかに需要-供給曲線を無視した商品計画を見たことがあり、それ以来少なくともミクロ経済はたとえWEBやITであっても判断をする上で重要であると信じている。

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2011年11月10日 (木)

MBAをMBA的に見てみる -Finance課程の新設-

MBAというのは、一応「経営を学ぶための学校」と言うことになっているのであるが、それ自体は世間で言うところの学校と言うよりも、事業体というほうがしっくりくる。大学の一部門である場合でも、独自運営されているということが多いし、CEIBSのようにMBA課程しかないようなschoolの場合、よりその傾向は強くなる。
経営というのは何も企業だけを対象にしているものではないので、学校のような事業体もMBAで扱う範囲に含まれる。特にMBAの場合、世界中で同じランキングで評価されるので競争も非常にシビアであり、それぞれのschoolがランキングやプレゼンスをあげようと必死に頑張っている※1


もちろんCEIBSも例にもれず競争を繰り広げており、-特にここ数年でアジアMBAは一気に知名度があがったため、競争がし烈になっている- プログラム策定側代表者はもちろんMBAを持っているし、事務側のTOPはMNC(multi-national company)から来た組織運営のプロフェッショナル、就職サポートメンバーにも複数のMBAホルダーがいる※2。ランキングをあげる、そのためにより良い教授陣をそろえ、学生を集め、寄付金を集め、よいキャリアを提供する・・・これが「事業体としての」MBAの目標である※3。



■ 新たなプログラムの立ち上げ ■

つい先日発表になったのだが、CEIBSは新たにFinance専門のPart-time MBAを立ち上げることになった。
MBAの収入と言うのは基本的には「卒業生や企業からの寄付」か「学生の授業料」の二本立てであって、一つのプログラムの収容学生数をホイホイ増やすわけにはいかないことを考えると、短期的にはEMBAを開いたり寄付講座を開いたりと複線化(サブブランド化)を進めるしかない。

ということで、新たなプログラムも収入増につながることが期待されているわけであるが、もちろん闇雲にコースを増やしたわけではない。


  • CEIBSはこれまでmarketingが強いと言われてきたのだが、一方でCEIBSの上にいるHKUST(香港科技大)、そして現在ライバルになりつつある長江商工学院がFinanceに強いということもあり、率直に言うとFinance部門はCEIBSの弱点と競合の強みが直接ぶつかっているということになる。今回のプログラム設置をきっかけにschool側としてもよりよい指導陣を招き、弱点の補強をしたいということだと思う。

  • 収入に直結するという意味においては、やはりFinance分野というのは学生にとって強いモチベーションになる。我々の学年でもだいたい40%ぐらいはFinance分野への就職を希望しているようで、Finance部門を強くすることは長期的によりよい学生を獲得できるチャンスが広がるはず。

いわば「収入増」と「ランキング対策」の両方を兼ねる戦略として、新たにFinance課程を追加したということである。



■ 成功するかどうかは・・運営次第 ■

この新しいプログラムの立ち上げは学内ではずいぶん前から議論されていたし、学生向けの説明会も複数行われていたのだが、おそらく学生の気分としては反対のほうが強いのではないだろうか(そもそも賛成の人は説明会などに出ないので、バイアスがかかっているが)。学生はCEIBSというschoolがE-MBA課程に力を入れていることも知っているし、よりよくなるためには多くのお金が必要であることを知っているので、感情的な反対はしない・・のだが、それでもやはり懸念点はある。

  1. 学生がドンドン増えてしまうと価値が下がってしまうのではないか?
    → これは中国において他の多くの大学が売上増加のために安易にMBAを増設していることが頭にあると思われる。私も一番最初に頭に浮かんだのはそれだった。
    → 実際には逆になることもあって、優秀な学生が入ってくれれば逆に評判は上がるわけで、もうこれはやってみないとわからない。

  2. 本当に優秀な学生が入ってくるの?
    → これは今のEMBA学生を見ていると、確かに疑問になるのもわかる。EMBAは人数が多いし、年齢が我々よりも高いだけに本当に色々な人がおり・・ここら辺は中国と言う事情を考慮してある程度は(個人としての)許容度はあげなければならないのかもしれない。

  3. MBA学生(特にFinance志望)とどう差別化するの?
    → これは前述したとおり、Finance希望の学生にとってはかなり切実な悩みだと思う。school側としては入学条件(年齢や社会人経験が違う)や期間に差をつけることで差別化するということだったが、はたしてマーケット側がどうとらえるかは分からない。ちなみにこの説明のところで初めて学位は全部MBAであるということをしった※4。

このように色々と不安を持つのは事実なのだが、運営が上手くいけば万事問題なし・・・というのも事実なので、MBA課程に存在する学生としては、既得権益にしがみつかず積極的に改革・・を応援していきたいと思う。もちろん自分がいる間は全く効果はないだろうけど、卒業後も母校のランキングがあがることは自分にとってプラスになるからね。


※1・・・例をあげればアジアNo.1(フランスとのダブルキャンパスなので厳密にはアジアだけではないが)INSEADは、そのものずばりINSEADとHBS(ハーバードビジネススクール)を比較対象としてベンチマークしている。
※2・・・中国には華僑を入れるとものすごい数のMBAホルダーがいる。ちなみに、現在日本人の海外MBA取得はだいたい毎年200人ぐらい。
※3・・・もちろん各schoolにはそれぞれの教育上の目的があって、単にたくさんMBA学生を輩出すればよい・・と考えているschoolはあまりない・・と思う。少なくともこの資本主義全開の大陸にあるCEIBSでも、それなりの教育目標は存在する(ように見える)。
※4・・・ちなみにEMBAも学位としてはMBAということで、今後私が人生でEMABに行くという意味は、少なくとも学位と言う意味ではほとんどなくなった。そうでなくても元々工学修士を持っているので、これ以上学位はいらないが。。

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2011年11月 1日 (火)

Lenovo会長、Dow会長の講演 -どのリーダーからも学べること-

以前も書いたことがあるように、MBAには様々な外部講師が講演会や課外授業を提供しに来てくれる。だいたいが実際のビジネスで名を成したエグゼクティブの方が、自分の経験を話してくれるのだが、昨日schoolに来たゲストはその中でもかなりの(というかものすごく)大物だった。一人はIBMのPC部門を買収したことで今や世界中でブランドが浸透しているLenovoグループの会長、もう一人は化学工業のTOPプレイヤーであるDow ChemicalのCEO兼会長である。


■ Lenovo会長が語る国営企業のあり方 ■

Lenovo(中国名:联想)と言えば、中国企業による欧米企業買収の口火を切ったIBMのPC部門買収で世界的に有名なった企業であり、今では世界PC販売シェアで第四位につけている企業である。中国企業がまさに世界展開をしようとするにあたり、先陣を切った企業というのは中国人一般の認識なので、講演会も人が入りきらないくらいの賑わいだった。その会長が来るとは、こんなチャンスはめったにないぞ・・とテスト前にもかかわらず授業を入れ替えて参加したのであった。


・・のだが、残念なことに講演は全て中国語!もちろん同時通訳付きでイアフォンを通して英語が聞こえてくるのだが、この同時通訳のクオリティが著しく低い※1。この講演にかかわらずCEIBSでの中国語・英語同時通訳というのは毎回レベルが低くて、何を言っているかわからなくなるので、結局講演者の言語で聞くことになる。

自分の語学力では中国語での会話は可能と言っても、さすがに講演を聞くにはかなりの集中力が必要であり、また講演の中には四文字熟語(中国語では成语という)が入ってきたり、韻を踏んだりするので内容を追うのに精いっぱい。結局1時間で脳みそがオーバー日0として外に出てきたのであった。


さて、その1時間の中で話していたことだが、もっぱらLenovoがどのように発展してきて、またこれからどのようにmanageしていくか・・ということに集中していた。Lenovoは元々は国営研究所である中国科学院のメンバーが設営したものだが、現在も株式の過半数は中国科学院が持っている準国営企業である。

もちろんmanagementは基本的には民間企業と同じように展開されてるわけだが、例えば株式についてストックオプションを発行する(厳密に言うと中国の会計基準では新株発行によるストックオプションは認められていない)ことができなかったり、報酬についてもある程度制限があったりと、それなりの制約があり、CEOとしてはより自由度がある経営を行いたい・・ということを匂わせていた※2


またCEIBSの教授が「例えばAppleのように数十年後を狙ったinnovationをになう会社でありたいか?」と言う質問をした時に、Lenovoはまだそのような段階にまでは成長しておらず現段階ではoperationを強化している会社だとはっきり明言していたのは、かなり驚いた。一般的に言えば、中国全体のムードとしては「中国はこれまでは世界の工場だったが、この後はイノベーションをになう国家になるのだ!」という感じなのだが、さすがに実際にグローバル企業を経営している身からすると、そういう夢を語ってばかりいるわけにはいかないようだ。これに関しては、中国の教育体制があまり向いていない・・ということも語っており、かなり思い切った発言をするものだと感心しきり、だった※3


ちなみに、会場には数人メディア担当者もいたのだが、翌日(本日)掲載された記事は「Lenovo会長、ユーロ危機に懸念を表明」と全く趣旨と違う内容で、これを見た我々はやはりあの話はかけなかったのかな・・という話をした。確かにユーロ危機については話していたのだが、どちらかというと、今後も巨大マーケットを維持するために頑張ってほしいという内容だったのだ。



■ Dow会長が語る中国戦略 ■

夜にはDow会長本人が講演するということで、これまた多くの学生が・・・と思いきや、水曜日にあるテスト向けの勉強をしている人が多く意外なほどMBA学生の参加は少なかった。代わりに社会人学生(E-MBA)や他校の教授、そしてヨーロッパ委員会からの参加があり、聴衆もかなり豪華。


講演ではまず第一に「学生はぜひ金融だけではなく工業(manufacturing)にも目を向けてほしい」という話を繰り返していた。確かにMBA学生にとってDowのような化学工業というのはあまり魅力的に映らないもので、確か入学時に希望を取った時も志望者は200人中で数人という状況だった。
かくいう会長本人もFinancial MBAでは世界一のWarton school出身で、彼が学生時代も工業に関する授業は二年間で一つしかカリキュラムになかったという。実際、TOPのほうにはかなりMBA卒が多いのだが、目先の給与を考えるとなかなか選択肢とするのは難しい※4

とはいえ、今回の講演でメインだったのはDowの話しではなく、やはり中国がどのように今後発展していくか・・という話しである。もちろんリップサービスも多分に含まれるのだが、彼としては中国と言うのは今後も基本的に発展を続けていく・・という認識であり、今後もDowとしては投資を続けていくようだ。彼の話しの要点をまとめるとだいたい以下のような感じになる。


  1. 中国のインフラストラクチャー投資は基本的には正しい戦略であり、事業継続の基盤となるものである。このインフラストラクチャー投資には人への投資が含まれる。
  2. Global化が進むにあたって今後も中国のみが高い成長率を持つということは難しい。キーとなるのは人材育成であり、外資系はその面で重要な役割を担っているという認識をしている。
  3. 現在のように情報が流通する世界では、情報の囲い込み(もちろんPatentは除く)は意味がない(「Dowでの発見が、他のどこかで行われないということはありえない」という表現をしていた)。世界経済はzero-sumゲームではなく、情報のshareは競争下でのWin-Winを生み出す。
  4. 企業と言うのは本質的に不確実性を嫌うものなので、中国のように「国家がまるで企業のように意思決定をする」のは企業としては”現状は”望ましい。

個人的に特に重要な観点は一番最後の観点で、中国という国家を考えるに当たり大切な視点であると常々思っていることである。もちろん色々な見方があるだろうけど、少なくとも経済発展と言う観点からは「中国という国家は、巨大な組織(共産党)が経営している企業」と考えるのが一番すっきり来る。

いくらGlobal化したとはいえなんでこの方はこういう視点を持てるんだろう・・と疑問だったのだが、彼は元々技術者として香港に駐在経験があるとのこと。現在少しずつFortune 500レベルでも「アジア勤務経験」というのが重視されていると聞いていたのだが、実際に目の前で話をしているのを聞くと、やはり自分がいる場所がHot spot(ただし上海がそうであるとは限らないが・・)なのだと強く感じた。


ちなみにDowの目から見ると、国家として戦略的に行動して人材に投資していると感じるアジアの国家は、シンガポール・中国・韓国であるらしい。日本には競合がいてマーケットを十分に取れないといった要因もあるかもしれないが、やはりこういうところで名前が出てこないのは正直残念。。


■ リーダーから何を学ぶか ■

僕はMBAにいる限りは、できる限り今回のようなLeadership関連のイベントには参加するようにしているし、今後も参加し続ける予定である。はっきり言って自分の興味とはほとんど関係ないような話も結構あるのだが、話しの内容は二の次で参加する価値があると思っている。

僕はよほどの天才出ない限り、人間のキャパシティというのは結局自分があってきた人間たちのキャパシティ最大値による影響が非常に大きいと思っている。人間と言うのはなかなか自分一人では努力し続けることは難しいし、天才出ない限り「自分よりもすごい人がいる」ということを想像し続けるのは難しいとからだ。

そして、その機会と言うのはできるだけ早く、できるだけ多いほうがもちろんいい。この前も同級生と話していて思ったのだが、心が柔らかい間にできる限り高いレベルでそういう「自分が凄いと思う人」に合わないと、きっとどこかで「この人は自分とは違う」とか「自分には理解できない」というように思考停止してしまうと思うのだ※5


もう自分は31歳と若くはないのだが、せっかくこうやって「普段は会えない人からも学べる環境」にいるのだから、できる限りこの機会を生かさずにいつやるんだという気持ちで、これからも人に会い続けていきたいと思う。・・・テスト勉強もしなけりゃいけないんだけど・・・ね。




※1・・・話が長くなってくるとだんだん同時通訳が遅れていき、ある時いきなり遅れをカバーするためにショートカット!ということをするので、話しの流れが捉えられない。しかも、時々英語の中に中国語はいるという謎の同時通訳。
※2・・・こういった話をする時に、かなり細かい数字までスラスラ出てくるのはさすがという気がする。
※3・・・中国の大企業のTOPというのは、あまり政治家と変わりないスタンスの方も多くいるので、人前では中国の国家目標に合致することを話す傾向にあるのだ。
※4・・・化学工業は雇用を生み出すにも役に立つし、環境適応材料を作ることでQuality of Lifeもあがる、発電事業は世界をクリーンにする!と確かにいいことがたくさんあるな・・と思ったのは事実なのだが・・・。
※5・・・もちろん心を柔らかくし続けるというのは一つの才能だと思う。また、この感覚と言うのはどちらかというとスポーツに近いと感じている。サッカーでも若いうちに世界レベルを体験すると、目標が高くなる・・と聞いたことがあるし。

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2011年10月20日 (木)

MBAで日本企業はどう見られているのか?

CEIBSではほぼ全ての授業でCaseと呼ばれる練習問題(というか短い論文)を読んで勉強を進めていく。このCaseというのは、ただ練習問題をやるというわけではなくて、ちゃんと世界各国のMBA Schoolにいる教授(またはケースライター)が現実の企業の戦略や行動を調査したうえでまとめている。基本的には会社名は実名で出てくるので、学生たちはそのケースを読む時には、実際に過去の該当企業がやったこと、あるはやったことの結果をネットで調べることが出来るのだ。

Caseを使わないような授業であっても、MBAでは単純に理論だけを勉強するということはほとんどない。ほぼ必ず、現実に適用した場合にはどのように考えなければならないのかということを問いかけられるので、授業では頻繁に多国籍企業の名前が登場する。

CEIBSはアジア(中国)にある企業なので、なるべく中国やアジアの話をメインに持ってこようとする※1。中国経済の歴史と言うのは実質的には30年なので、Caseで取り上げられるような企業と言うのはまだそれほど多くはない。ということで、取り上げられるの日本企業と言うことになる。


■ 日本、そして題材となる企業たち ■

日本が取り上げられる際に、真っ先に言及されるのは90年までの急成長と、その後の失われた20年間である。マクロ経済学の授業では丁寧にもGDPの移り変わりと、日本がそのまま伸びていたらと仮定した図が用意されており「あのまま行けばアメリカを抜いたかもしれない」という話を教授がしていた。
中国は現在世界第二位の経済大国になったわけであるが、日本という地理的にも文化的にも(比較的)近い国家がどのように成長し、そしてどのように低迷したのか・・というのは彼らの興味の対象となっている(そして、なぜかと聞かれて困るのであった)。

一方企業はどう取り上げられるのかというと、Caseの場合にはおもに1990年から2005年ぐらいの期間の話が取り上げられており、また事例がどうしても欧米に寄りがちなため、それほど「成功した企業」という例で出てくることはない。授業中に教授が言及するのがメインなのだが、皆ほぼ企業名を知っているためイメージがしやすいということがあるのだろう。


[トヨタ]
トヨタはinnovationの代表例として言及されたことがある。トヨタが成功したinnovationとは「プリウス」で、車の低燃費化と環境対策を一気に進めるきっかけとなった・・という評価をされていた。


[ソニー]
経済学のゲーム理論の演習で、ソニーとサムスンがテレビ開発を行うに当たりハイテクとローテクのどちらに投資すべきか?・・という設定で取り上げられていた。どちらもアジアにあるテレビメーカーと言うことで取り上げられたものと思われる。

ゲーム理論で得られる利得は完全にでっち上げのはずなのだが、なぜか教授が「ではこのゲーム理論から過去の戦略についてはどのように考えられるだろうか?」という問いかけをしたため、ソニーの戦略は成功だったのか失敗だったのかという議論に話が飛んでしまいしっちゃかめっちゃかになってしまった(そもそも利得関数が想定値なので議論の意味はない・・と言おうと思ったが面倒くさいのでやめた)


[マクドナルド]
Marketingの授業でフランチャイズ(代理店)を利用するか、直接販売を行うか・・という議論を行った時に、日本のマクドナルドが取り上げられた。マクドナルドというのは基本的には直営なのだが(中国でも基本は全て直営らしい)、日本では戦後藤田商店が長く日本の独占契約を結んでいたということと、2000年代になり直轄契約になるという事例がユニークであるということで言及されたのだ。

ただし授業では「直轄契約にしたのは日本があまりにも独自の商品開発を行っていたから」と理由を説明したのだが、実際にはそれだけが理由ではないので、この表現は誤りである。またそれに関連して「例えば日本では寿司バーガーがあるかも?」と言われたので、即座にそれは否定しておいた。しかし月見バーガーはあるんだよね。。。※2


[オリンパス]
これは本日参加した「The Job of the CEO…and How you Get it!」という特別授業(学外のビジネスパーソンが来て話をしてくれる授業。以前にもこういう授業があった)の中で、ヘッドハンターファームの方が質問に答えた時にオリンパスの名前が出てきた。もちろん、現在進行中の事案関連での言及である。

質問は「グローバルカンパニーでも発祥国民以外の人間がCEOになるのは難しいのではないか?」というもので、確かに難しい・・という例として日本がとりあげられたのだ。回答者は2000年代以降の日本のグローバルカンパニーでは15人の外人がCEOになったが、2人しか残っていないということと併せて、そういえばつい最近オリンパスのCEOもクビになったという表現をした※3


■ グローバル化するとはどういうことか ■

MBAにいると企業がグローバル化するというのがどういうことか・・というのが実感として理解することが出来るような気がしている。

企業がグローバル化するというのは、極端にいえば「自国以外で多くの人がその企業の行動を当たり前のように知っている」ということに他ならない。日本にいて、日本の新聞を読み、日本のテレビを見ている限りにおいては日本企業の不祥事というのは、なんとなく遠い出来ごとに感じる時がある、しかし一歩海外に出ると、こんなにも多くの人が日本企業について知っており、一挙手一投足が何かしらイメージやブランドに影響を与えているのだ、ということに驚くと共に、これがグローバル化することの難しさなんだなというのを日々感じるのだ。


しかしながら、僕は海外で成功を収めている日本の多くの企業が真の意味でグローバル化をしているとは、まだ思わない。それはなぜか?

授業で日本企業のことが言及されて学生が意見を言う時、ほぼ必ず同級生たちは「チラッ」と僕の顔を見る。もちろんそれは日本企業が「失敗例」として取り上げられており、僕が発言を気にしないか・・ということが気になるからである。
しかし例えば同じようにGEやアップル、シーメンス、マイクロソフト・・・そういった企業について意見を言う時に、アメリカ人やドイツ人の顔をみる同級生はいない。もちろんクラスで僕がただ一人の日本人ということもあるだろうけど、日本企業と言うのは良くも悪くも「日本」という人格の一部を形成しているのだな、ということを改めて感じる。

もし多くの同級生が僕に気兼ねなく日本企業の批判が出来たのなら、きっとその企業はグローバル企業として認知されたのだと思う。今のところ、それに該当する企業は・・・ソニーだけである。ということで、頑張れソニーと授業で話されるたびに思う今日この頃である。


最後に、一つだけ。
個人的な思いを込めて、野村証券にはぜひNOMURAとしてよりグローバルな存在になってほしいと思っている。本当に個人的な思いだけど、金融機関が真の意味でグローバル化するということは、想像しているよりもずっと大きなインパクトを日本経済に影響を与えると考えているし、野村ならきっとそれが出来ると信じている。



※1・・・とはいっても、各教科に「必ず読まなければならないCase」というのはほぼ全世界で共通なので、そのようなCaseではグローバルカンパニーしか出てこない。そしてほとんどの場合Caseはハーバードが出したものである(CEIBSがハーバードと提携していることも影響している)。
※2・・・照り焼きチキンバーガーも日本発祥だが、上海にも似たようなメニューがあるので、日本オリジナルとは言えないような気がする。
※3・・・この二人と言うのはおそらくソニーのストリンガー氏と日産のゴーン氏のことだと思われる。実際には有名なところでは日本板硝子のCEOはクレイグ・ネイラー氏で日本人ではないので、2名と言うのは誤り。

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2011年8月 3日 (水)

CEIBS教授が語る「中国経済の5つの迷信」

少し古い記事になってしまうのだが、ウォール・ストリート・ジャーナルに、僕が行くB-schoolであるCEIBSの教授のコメントが取り上げられていたので、今日はそれを紹介したい。短い記事なので、説明が足りない所が多いのだけど「中国のビジネススクール」にいる立場としての意見で、非常に面白いと感じた。
記事のタイトルは「Five Myths About Business in China」(中国ビジネス,5つの神話)インタビューを受けたのはJohn Quelch教授である。

■ John Quelch 教授について ■

John Quelch教授はLondon Business School(LBS)でDean(学部長)を務めた後、ハーバードで中国ビジネスに関する研究を行い、現在は僕が在籍しているCEIBSで教鞭を振るっている。専門はグローバル(特に新興国)マーケティングで中国市場に関する様々な研究も行っている。今年は学内の教育委員会の委員長にも就任しMBAコースの売りでもある「中国国内のマーケティング」を担当されていることもあり、CEIBSの教授の中でもスター教授の一人であると思う(教育における貢献によりCBEも受けている、School HP上のプロフィールはこちらを参照)
今のところ必修授業の担当教授としては名前が掲載されていなかったので、1年目後半以降から選択可能な授業のどれかを担当していると思われる。僕もタイミングが合えばぜひ授業を受講したいと思っている。


■ 記事のサマリー ■

この記事では中国に関する「5つの神話(迷信)」についてQuelch教授が反対の意見を述べるという形で構成されている。以下はそれぞれの5つについて簡単にまとめたものである※1

1. Chinese consumers don’t consume( 中国の消費者は消費をしない)

 基本的にバカげた意見である。中国の人口はアメリカの4倍であるがGDPに占める個人消費の割合は全体の1/3でありまだ中国においては90%以上が年5000ドル以下で暮らしている。つまり、まだ個人の消費拡大余地は非常に大きい。その利用としては社会保障は未成熟であることがあげられる。。一人っ子政策により家族のサポートを受けるという老後の保証もできないこともある。しかしながらこの問題に関しては中国政府は社会保障整備のための投資を行っている。これがうまくいけば、より消費は活発になるだろう。


2. Chinese consumers aren’t social(中国の消費者はソーシャルではない)

中国社会は競争が激しく、流動性が高い。そこでは、個人ブランドや関係性(socialな関係性)が重要になる。またある調査によれば、SNSなどのソーシャルメディアは週当たり平均で5.6時間利用され、 54%が毎日利用している。実際の消費活動でもタオバオでの見知らぬ人通しの交渉や、Flash marketingも進んでいる。



3. Chinese can imitate but can’t innovate(中国は真似は出来るが、創造はできない)

中国は現実と世界の工場として欧米企業への輸出を行う一方、製品コントロールが聞いていない所では模倣が行われているのは事実である。低労働作業は賃金上昇により内陸部やベトナムやインドネシアなどの他のアジアに移っており、中国企業はサービス産業に適応する必要があり、それはうまくいくと考えている。
中国企業がサービス産業に適応すると考える理由は3つある

  • 中国企業の製造管理レベルは上がっており、多くの機会を柔軟にとらえることが出来ている。
  • 中国企業はマージン拡大のために、オリジナルのブランドを構築し、研究開発に投資をしている。例として太陽電池とBYDが取り上げられている。
  • 博士号取得者の増加と華僑の帰国

4. Chinese managers won’t go global(中国のマネージャーは国際的になれないだろう)

世界経済はグローバル化しており、中国人マネージャーは英語の重要性を理解している。中国人は文化的な面において、グローバル化が進まない日本経済よりも、遥かにオープンでで直接的である。また海外企業の買収を進めることで、海外企業を運営する経験も増えている。さらに言えば欧米企業(Fortune500)でも、アジアにおけるキャリアがより重要になるであろう。



5. Chinese students are passive(中国の学生は受動的である)

「上海の学生の理科系の点数は高い」というのは、しばしば欧米では、中国の教育システムが多大なプレッシャーを与えている結果であると誤解されている。しかし現在の社会ではcreativeであるためにはまず基礎が必要であり、中国の家庭では教育が非常に重要視されているのである。
また、10%近い成長が続いている経済状況では、勉強のために時間を割くことによる機会損失は大きい。それゆえに少なくともCEIBSでは学生は非常に他のビジネススクールと同じように授業に積極的に参加している。


■ 僕の意見 ■

インタビューを見ていただくとわかる通り、全体として非常に前向きなトーンで中国経済を語っている。もちろん、自分が所属しているschoolがメインとしているマーケット(すなわち中国)を悪く言う意味はないので、これは100%そのまま受け取ることはできない。


1. Chinese consumers don’t consume( 中国の消費者は消費をしない) 

中国のように人口が巨大な国家では消費は「割合(%)」ではなく、「量」で測るべきであると考えるので「消費はしない」というのは確かに誤りであると思う(シェアを取る必要がないということではなく、成長マーケットではまずマーケットに参入し売り上げ確保をするほうがよいということ)。
しかしながら、文中にあるような公的な老後の保障や、全国民にいきわたるような健康保険制度が実現するにはまだまだ多くの財政的・政治的・行政的な課題が山積みである。個人的には全国レベルの公的な皆保険制度ではなく、むしろ地域単位でビジネスも絡めたの相互補助的な保険制度のほうが実現可能性が高いと思う。
(詳しい制度設計のアイデアはまだないので、just ideaなのだが・・・)


2. Chinese consumers aren’t social(中国の消費者はソーシャルではない):

この意見に関しては教授の意見の通りだと思う。中国においては個人的なつながりである「关系」が非常に重要である。またチャットツールやBBSが本当に盛んに利用されており、口コミ効果は非常に重要である。


3. Chinese can imitate but can’t innovate(中国は真似は出来るが、創造はできない):

現在まさしく日中間でも話題になっているテーマ(高速鉄道)も思いだされるような話題であるが、個人的には中国企業のinnovationの能力はまだまだ低いと考えている。もちろん今後は向上していくだろうが、人口が多く国土が広大なので「山は高く底辺も低い」という感じで向上は進んでいくだろうと想定している。

一点だけ気を付けるべきなのは、マスコミの報道の多くは平均値かそれ以下を取り上げるが、中国においてはinnovationというのは必ずしも平均値だけでなく山の高さが重要だということである。まだまだ「マネをすること」が堂々と行われていることの正の側面(皮肉ではない)として、「いいものがいったん出ると一気にマーケットに浸透する」ということがあげられる。少数のイノベーターがマーケットを一気に変える可能性があるのが、中国マーケットなのだ。


4. Chinese managers won’t go global(中国のマネージャーは国際的になれないだろう)

なぜか日本企業が対象として言及されているのだが・・・この問題に関しては、中国企業の実態についてはあまりにサンプル例が少ないので判断は保留したい。しかし、韓国最強の企業であるサムスンを見てみると、なかなかアジアの企業の中で欧米人がコアマネージメント層になるのは難しいのではないかと考えているのだが・・・。
(中国には華僑の存在があるので、その点は前提が異なることは押さえておきたい)


5. Chinese students are passive(中国の学生は受動的である)

この質問については、質問に対して正面からは回
答をしていないと感じる。「基礎をしっかり理解していること」と「家庭の教育熱が高いこと」と個々の学生が積極的であることは論理的には繋がらない。
また、そもそも質問自体が多少曖昧で「passive」であることの反対語が「creative」である明確にされてない(文中からはcreativeが反対語であるように使われている)。仮にcreativeが反対語であるとすると、確かに新しいことを生み出すためにはこれまでの知見をしっかりと押さえておく必要があるのだが、そのことで必要十分条件を満たしているわけではない。


■ どこに焦点を当てるか ■

自分も含めて中国のビジネススクールで学ぶ意味というのは、中国市場を理解し、どのようにすればよりビジネスをうまく行うことができるかを理解することだ。そのため、どうしても焦点を「うまくいっている」企業に当てざるを得ない※2。そのため、一般的な認識のもととなる「平均的な」企業に対するものとは異なる分析結果がかたられることもある。また、CEIBSという中国を代表するビジネススクールとしては、中国マーケットの魅力をよりアピールし、結果としてCEIBSのプレゼンスをあげたいという気持ちも当然ある。

しかし、全てがポジショントークであると理解するのも誤りだ。なぜなら、現在の経済は平均値よりも、優れている部分がどれだけ優れているかが重要であり、中国においては優れたコンテンツはすぐに模倣されることにより、全体の進歩が想像よりも早く進んでいくからだ。
この記事に限らず大切なのは筆者がどのような部分にフォーカスを当てて語っているのかを正しく理解することである。内容をいたずらに盲信したり、逆に強烈に反対するのではなくある一部分について記述されたことをそれぞれつなぎ合わせていくことが、この地理的経済的に変化が大きい中国を理解するキーになると考えている。

※1・・・直訳ではなく、各項目の内容を再構成している。誤訳があった場合にはご連絡いただけるとありがたいです。
※2・・・失敗例の分析から、どうすれば失敗をせずに済むかという研究もあるので先端例のみを取り上げているわけではないということは記しておく。

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2011年1月15日 (土)

中国のグル―ポン系サービス情報その2 ~中国でも本家Grouponがlaunch? ~

先日紹介した中国のグル―ポン系サービス(「中国のグル―ポン系サービスのすごさ(?)  ~家が買える(?)クーポンもあり~」)だが、本日、アメリカの本家Groupon(以下Groupon)がいよいよ中国でもサービスを開始させるという報道がされた。進出形態としては現地インターネットサービス業者(※)のテンセント(腾讯)との合弁とのこと。
(※ 日本ではプロバイダーという表現がされていますが正確な表現ではありません)

美国团购网站Groupon发布招聘启 团购巨头进军中国(IT新闻网)

Grouponの中国進出は以前からうわさが流れてたし、提携での進出を模索しているとのことだったので、とりたてて驚くような情報ではないが「サービスを二週間以内に開始したい」との報道はさすがにスピード感があるなとは思わずにはいられない。

また合弁比率も50%同士で、感覚としてはテンセントが思いきって譲歩したな・・・という感覚。腾讯としては既に独自にグル―ポン系サービスを提供しているので、無理して提携をする必要がないような気もするが、何せサイトが乱立していることと、他の大手と組まれるよりはという判断をしたのだろうか。
(Gruponから提供される各種情報が有用であると判断したということだと思う)

また中国ではインターネットサービスを開始するためには当局への申請、または許可が必要で、クーポン系サービスは現状のところ「申請」で済むとなっている状態のため、強気で取引を進めることができなかったのでは・・というのも想像できる。

一方Grouponとしては腾讯と組むことで資本、集客および営業網を手早く手に入れることができるし、上記の規制区分の変更などに対しても柔軟に対応可能であると考えたのだと思う。また現実的に考えれば、Grouponとそれなりにうまくやっていくためには国際ビジネスの経験が必要だと思うし、そうなると組める相手というのは自然に限られてくる。腾讯は欧米でも中国ナンバーワンサービスプロバイダーとして認識されているので、ここを選んだのは自然な流れだともいえるかもしれない。

今後の展開としては、やはり現在腾讯が独自に展開しているサービスを新会社に合流させるかどうかが一番気になる。普通に考えれば自社でサービスを展開し、なおかつ子会社で展開するのは重複で意味がないと思えるのだが、中国側報道では「一から立ち上げる」という文言があるので、そのあたり今後テンセント側のプレスリリースに注目だ。

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2011年1月12日 (水)

上海にカプセルホテルが開業!(予定)

日本でも結構取り上げられていた『上海初のカプセルホテル開業』を、僕も流れに乗ってとりあげてみたいと思います。といっても、実際に見に行ったわけではないので新しい情報を提供するというよりは、中国での取り上げ方と上海のホテル事情を簡単にまとめてみようとB_60793138 思う。

日本報道記事:上海にカプセルホテル誕生(MSN産経ニュース) 
(右写真は索狐転載の新民网ニュースより)

■ 上海のホテル事情 ■

昨年の万博の影響もあり上海はいまや世界で一番(中国系以外の)5つ星ホテルが多い街である。ハイアット、ウェスティン、リッツと有名どころから日本のオークラホテル(花園飯店)まで世界中の高級ホテルを楽しむことができる。万博が終わった今はかなり競争がきついようなので(とはいえまだ新しいホテルがOPENしたりするが・・・)お値打ち価格で高級ホテルに泊まるチャンスが大きい都市だと言える。

一方、下を見れば200元程度(3000円ぐらい)で外国人が宿泊可能なホテルもあり、値段の幅は非常に広い。中国語がまったく話せない人でも日本円で1万円も払えば少なくともお湯が出ないとかシーツが湿っているなどの心配をしなくても大丈夫だ。

さらに中国人向けには「旅館」と呼ばれるもっと安い宿があるのだが、さすがに外国人が止まるのはしんどそう・・というかそもそも宿泊できない可能性があるので、まだ試したことはない。上海でも中心部を外れれば150元ぐらいでも宿泊可能な場所はあるだろう。
(※中国では外国人はホテルに宿泊する際に公安に届け出をする必要があり、多くのホテルでは代行してくれるのだが、その対応ができないホテルは外国人の宿泊が許可されない)

ここ1年ぐらいは市内や大学の周りに、日本でいうラブホテル(ブティックホテル)もできつつあり、ホテル事情は日本よりもバラエティに富んでいいる。今回そこにカプセルホテルが新しく加わったというわけだ。

■ カプセルホテルの概要 ■

今回新しく開業するカプセルホテル(中国語:)の概要は以下の通りで、ほとんど日本と変わらない。

●カプセルの大きさ:高さ1・1メートル、奥行き2・2メートルWs000000
●値段:基本利用料28元(400円くらい)+時間チャージで4元、15時以降の利用は24時間まで88元で利用可能。
●設備:シャワー室、喫煙室、トイレは別

開業の場所は中山北路駅の近くの高架沿いにある雑居ビルの1Fだとのこと。
(右地図は上海の北側地図:上の緑針が宿、左下の青針が中心地のひとつ、静安寺  Mapは百度地図より切り出し)


この地域は長距離鉄道が止まる上海 駅と長距離バス駅の間にあり、他都市から来た場合の上海の入り口というイメージがある。上海市内に比べればまだローカル色が残っている場所で、土地代も市街地にくらべれば安い。
またもう少し北にいけば大学があるので学生の住人も多い。


■ 上海での取上げられ方 ■

昨日は上海でもニュースで第一報がとりあげられたが、本日になると早速体験レポートをしたというニュースが流れていた(なぜか利用出来ない女性記者が突撃みたいな記事もあった)

<中国での記事の一部>
上海のカプセルホテルについてのQ&A(中国語)
上海“胶囊旅馆”探密:进“胶囊”靠钻(← 体験レポート)
女记者亲身体验上海胶囊旅馆(← なぜか女性記者)

中国人記者が気になる点は、やはり寝心地、安全性やプライバシーの問題。変わったところではカプセルの中に寝ていると息が詰まってしまうのではないか?という質問をした記者もいるようで、日本由来の技術により1時間で7回の換気が行われるので大丈夫・・と開業者が回答したという部分もあった。

まだ正式に開業許可が下りたわけではないので評価をすることもできない部分もあるが、「日本から技術と経験を携えて!」というところに一定の評価をしているような雰囲気は文面からは感じる。


■ ビジネスとして成功するのか? ■

少なくとも写真や記事をみる限りにおいては(新しいもの見たさもあって)好意的に取り上げられているカプセルホテルだが、ビジネスとして成功するのか?というと、これは最初なかなか難しいと思う。

(1) 競合の問題
現在すでに上海には相当安い金額で宿泊可能なビジネスホテルがたくさんあり、記事でも99元でのホテルが取り上げられていた。開業者によれば10元の差しかなくてもパッと入れてパッと出れるカプセルホテルは優位性があるとのことだが、個人的にはそこはあまりアドバンテージにならないと考える。
確かに中国の事務処理はキビキビしているとは言えないが、それでもせいぜい10分程度であり、10元出して個室に泊まれるのであれば一般のビジネス客は個室ホテルを選ぶだろう。記事を見る限りではそもそもビジネス客を想定していないとあったのだが、やはり価格競争は相当厳しいとみる。

(2) 客層の問題
日本のブログの中には「ビジネスパーソンが利用することを見越して・・」とあったが、開業者としては学生や農民工と呼ばれる地方からの出稼ぎ労働者をターゲットにしているとのこと。
開業場所の選択もこのメインターゲットに沿って決められたと思うのだが、一番の問題ははたしてこの客層の選択は正しいのか?ということだ。中国に住んだ経験がある方は間違いなく同意してくれると思うが、農民工ははっきり言えば乞食とそれほど変わらない衛生状況だ。プライドの高い上海人はもちろんのこと外地人も農民工が止まっているホテルに好き好んで宿泊に来るとはあまり思えない。
また学生に関していえば、中国ではルームシェアが当たり前だし、友人が来れば数日部屋に泊らせるというのも普通に行われているのでわざわざ80元払ってホテルに泊まるというのはあまり想像できない。もちろん90年後はこれまでとは感覚が違うので、宿泊する人もいるだろうが、なんとなく気が付いたら農民工のたまり場になってしまうのではないか・・という気がする・・。

(3)衛生面・安全面

(1)とも関係してくるのであるが、どうしても客層のレベルが下がると安全面・衛生面での懸念点が増えてくる。喫煙室があってもカプセル内でタバコを吸う人間は絶対にいるし、シャワーなどもかなりメンテナンスが大変だろう。汚い話になってしまうが、シャワー室で排泄する人間もいるだろうし、衛生・安全面のプレッシャーは大きいと思う。

ということで、個人的には日本の形をそのまま持ってきても厳しいと考えている。同じく中国経験者と話した限りでは、むしろ温泉+簡易ベッドで眠れるような形のほうがまだ差別化できるのではないだろうか・・・という話になった。すでに上海市内には小南国という銭湯というか温泉のような施設があるので、新しく免許を取る必要があるならそれを組み合わせたら面白かったのでは・・と外野からは思ったりしている。

中国は一回流行るとあっという間に模倣が続出してものすごい勢いで普及し、値崩れが起こり、大資本が勝つという流れを踏みやすいので、最初にある程度成功している・・と思わせれば勝ちである。オペレーションの問題はかなり大変だと思うが、日本由来のサービスということで心の中では応援しています!(まだ外人は宿泊できないので・・・)。

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2010年9月10日 (金)

中国でNET通販が外資に解禁?(追加情報求む)

本日の日経新聞で、中国でNET通販が外資に解禁・・というニュースが報道されたようです。

ユニクロも参入、中国のネット通販が解禁で

早速中国側のニュースソースも探してみたのだが、ニュースソースを見つけることが出来ずにいます。工業化和信息部(工业化和信息部)==情報関連の行政を担当している部署にも言ってみたのだが、やはり通達は掲載されていない。

一応僕は日経の有料会員なので記事も読むことができるのだが、報道内容も今一つよくわからない。銀行と提携することで決済が可能に・・・とあるが、これは銀行決済が可能になったということを言いたいのでしょうか・・・。現状でもpayingサービスのアリペイを利用すればほぼ同じ仕組みを構築することは可能です。

中国でネット通販をやるには二つのハードルがあるのですが、今回の通達が仮に本当だとするとどちらがの許可に関係するものだと思われます。

・ネット通販をOKにしてもらう電子商取引の営業許可が取りやすくなる
・ネット通販用WEBサイトが取得必要な経営性ICPが取得しやすくなる

現状では追加のニュースソースがない状況(日経は中国関係ではしょっちゅうトバシがあるので・・・)ですので、どなたかご存知の方がいらっしゃればご連絡いただけるとありがたいです。

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