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2009年7月29日 (水)

ベネッセの方にお話を伺いました -中国でのサービス業展開のコツを聞く-

本日はちょっと会社を早めにあがって、大学の先輩とお食事にいきました。
今回お時間をいただいたのは、前回の大学同窓会で出会ったベネッセコーポレーションの方。実は転職直後にNBOnlineで記事を読んでから、一度ベネッセさんの話を聞いてみたいと思っていたのです。同窓会という場でお会いできたのをこれ幸いとばかりに御連絡させていただき、早速お時間をいただいたという次第。

海外展開成功の秘訣は“基本に忠実”たること(NBOnline)


ベネッセといえば、しまじろうをメインとした教育事業がまずは想像される企業ですが、中国で展開しているのは1歳~6歳の幼児向け知育事業。今回お会いした方のお仕事はその幼児向け商品の企画を統括をされている方でした。これまでほとんど接点のない事業だったのでいろいろと根掘り葉掘り聞かせていただきました・・・。


■■中国での事業展開について■■

中国では外資系企業が教育に関する事業に参加することは厳しく制限されています。またメディア(出版・テレビなど)事業を行うことも同じく厳しく管理されており、基本的には事業展開を行うことは出来ません。そんな中で、教育×出版ということで難易度が高い事業を展開している・・・というのが、まずはベネッセについて一番の驚きのポイントです。

幼児向けということで、教育色がやや薄く「知育」ということで許可を得ているとのことですが、おそらく事業開始時の交渉は厳しいものがあったことでしょう。とりあえず申請すればほぼOKが出る業態とはそもそも異なるフィールドですから。

僕が子供のころはそもそも知育グッズとか知育事業といったものはほとんどなくて、絵本や紙芝居といったものがメインでしたので、どういう事業かもわからずに「幼児向けというとお受験ですか?」という質問をしたのですが、それも一つではあるものの、それだけではないとのお答え。
幼児向け事業ではオムツのお稽古といった「しつけ」の部分と、お受験用の「知育」がメインの軸で、日本と中国ではそれぞれに求められるニーズが当然異なっているとのこと。・・・というか、中国でも「しつけ」用の教材が売れるとのことが驚き。てっきりおばあちゃん・おじいちゃんがやるとばっかり思ってました。


リクルート時代は雑誌+NETというビジネスをやっていたものですから、やはり意見が一致したのは、社会インフラが日本とは大きく異なるというところ。日本では当たり前のように書籍や雑誌が流通し、個別宅配もほぼ100%機能しますが、この国ではそうではありません。結局、一つ一つ地道に解決していくしかないのですが、それが機能するようになったのもここ数年とのことでした。10年以上かかって、ようやくある程度形になる・・ってのが中国という感じなんですよ。本当に。

■■サービス展開のコツ■■

事業展開以外にもこれまでの苦労とか(10年近く中国におられるとのことで、苦労も半端ない・・・)、ご家族のこととかも伺ったのですが、やはり聞きたかったのはサービス展開のコツ。これまで他の会社の方にも伺った話に近い部分もあり、やはり共通点があるのだなぁ・・・と改めて感じました。


1.中国では人との出会いが全て

これまでに比べてずっと法治化が進んでいるとはいえ、やはり中国ではまだまだ人脈やコネというものが効きます。なにせ、13億の巨大国家の上、建前上は社会主義なわけで官僚(公務員)の数も半端ではありません。ただでさえまだまだ不透明な取引が行われている中国では、新しいことをやろうとすれば、この官僚組織との交渉が最も重荷になってきます。

この交渉がうまくいくかどうかも所詮は『人』。誰にどのように話を持っていくかでほぼ全てが決まってしまうのです。ベネッセもいろいろと紆余曲折があった末に最終的に今の提携業者とであったのが今の成功のきっかけになったとのこと。そして、この出会いは結局は『運』でしかない・・と。

ここら辺りがやっぱり理論どおり行かないこの国でのビジネスの面白さだと思うんですよね。


2.TOPの思い入れが事業の継続性を生む

中国では上記のように、当局との交渉やいろいろな法的規制により「思ったように」事業が進むことなどほとんどありません。もちろん勝算のない戦いならやらないほうがよいのですが、一方では日本と比べて変動要素が多いのも事実。どうしても「経営計画」どおりには行かないことが多いのです。

こうなった時にやっぱり最後にきいてくるのがTOPに思い。最終的に事業の継続・非継続はTOPがどれだけその事業にコミットできるかにかかっていると思います。事業展開の一つとして中国進出を行うというのは間違っていない。けれど、特にサービス業という「モノ」もない事業が、日本とは異なる社会インフラの国に出てくるにはやはりそれなりの覚悟と辛抱強さが必要なのです。


3.戦線を広げすぎない

マーケティングに関しても、流通にしても日本ではほぼ単一のサービスを展開することが可能です。もちろん例外もたくさんありますが、基本的には東京である程度知名度があるようなWEBサービスや出版サービスであれば、本気で全国にマーケティングをしているのであれば、ある程度の知名度を手に入れることは可能です(もちろん地域密着のマーケティングという方法もあるので、程度の問題の話です)。

しかし、中国ではなかなかそのようには進めることが出来ません。上海で人気の雑誌やWEBサービスでも、北京では知られていない・・といったことはザラです。ですから、ある地域で一定の成果を収めたからといってすぐに他地域に戦線を広げていくのは非常に危険です。

確かに、中国にも誰もが知っているようなメガブランドがたくさんあります。しかし、これは資金力が豊富で展開のスピードも速く出来るようなベンチャー企業か、長年の蓄積が実っているような一部の企業のみです。基本的に資本をあまり必要としない(と思われている)サービス系企業が中国で戦っていくためには、まずは個別地域での戦いを行うほうが良いように思います。

と、いろいろ話を伺うことであっという間に2時間がすぎました。最後に、『最低5年は中国にいてほしいですね』とおっしゃられたのが強く心に残っています。まだ2年弱・・・。先は長いってことです。。

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