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カテゴリー「On」の記事

2020年6月 2日 (火)

組織を内からダメにする有能で邪悪なマネージャー

大学院卒のうえにビジネススクールにも行っているため同じ年の人よりは働いている時間は短いのだが、これまでにそれなりの数のマネージャーと呼ばれる人達と働いてきた。時には自分の組織で関わることもあれば(いわゆる上司というやつだ)、お客様側にいる場合もある。

そうやって色々なマネージャーと働いている中で、”有能だと言われているが、組織を少しずつダメにしていく“タイプの人と複数回働く機会があった。

一見すると優秀だし良い組織人であるのに、優秀な部下が離れていってしまうのである。最後には組織が停滞してしまうのだが、優秀という評価があるだけに替え時が見つからず、傷口が広がってしまうという結果になることが多い。


そういったタイプは一般的には下のように見られていることが多い。

  • 仕事をする上では普通に有能である。打ち手の説明も論理がキチンとしていることが多いし、スケジュールもしっかり守って仕事をしている。
  • 打ち合わせではちゃんと相手の話を聞いているように見える。部下へのレビューもちゃんと行う。むしろ丁寧に教えてくれるタイプであるとみられることが多い。
  • 上司に対しても適切に意見をするものの、最後には上司の判断に従うという組織人らしい行動も出来る。

こういった上司が組織にいたらどうだろうか?きっと組織もしっかり回り出すし、業績も伸びると思うだろう。実際に最初の頃は仕事が上手く回るという評価がされることが多い。


ところが時間が経過してよく観察すると、この一般的「よい」評価の裏で少しずつそしきが腐り始めることが多い。
そしてそれは、こういったタイプのマネージャーの表には出てこない下記のような行動が引き起こしているのだ。


  • 自分がした論理的な説明に対して、より精度の高い論理で反論をされると経験や「君の知らない情報も含めて考慮した結果」というような言い方をして、自説を変えようとしない。
  • 相手の話を聞いているように見えるが、自分が予想可能/想定可能な話を聞いているだけなので、想像もしない角度からの意見は聞き流す。
  • 数字がシビアに出るような仕事は巧妙に回避して、可能な限り結果ではなく過程で話すようにする。時々のトピックを上手く紛れ込ませながら、結果が出ないことについて自分以外に理由があることを論理的に説明しようとする。

こういったマネージャーは上の行動をみるとわかるように、「成果を出すという」ことそのものにフォーカスしているわけではなく、「自分の考えで、成果を出す」ということを第一にしていることが多い。

この微妙な差は、組織やビジネスが安定している時にはいい。特に大きな課題もなく、マネージャーの差があまり業績に影響しないような環境であれば、「自分の考え」を第一にすることはマネージャーの特権でもある。

一方で、現在のように外部環境が激変している時、あるいは会社が急速に伸びて「自分よりも優秀な人間が入ってくる」ような環境では、こういったマネージャーの存在は致命的になる。
なぜなら、「自分の考えよりも優れていること」を採用することが非常に難しいタイプなのだから。


こういったタイプのマネージャーを、組織の傷口が深くなりすぎる前に発見するためには、数字で語る文化を作る/維持することが重要になる。もちろん数字だけに偏りすぎると、それはそれで別の問題が発生してしまうのだが、少なくとも「優秀に見えるけど成果は出せない」マネージャーを一定期間で動かすことは出来る。

・・・・ただ、そういった設計が出来ないから、これまでも多くの「優秀な人が必要だが、数字では評価されずらい」部署で、こういったタイプのマネージャーが長生きしたりするのだよねぇ・・。今だとデジタル・トランスフォーメーション(DX)とか、イノベーション組織みたいなところに、多くいるイメージがあったりする。

リモートでの営業活動時に気をつけたい4つのこと

自分の仕事は事業開発なので、この自粛期間でもリモートで営業活動は行なっている。アメリカ側との会議でリモートでの会話は慣れているので、自分が話す分には特に違和感なく話すことができている。

ところが、今日とある打ち合わせで「営業をされる側」になってみたころ、色々と新しい発見があった。折角なので、備忘録がわりに記録しておこうと思う。


1.集中しているせいか、すごく疲れる

これまで自分が参加していた電話会議は基本的に、知っている人と継続している内容を話すものだ。一方で、今日受けた営業は「知っている人が話しているが、内容はほぼ知らないこと」だった。

当然知らない内容なのでそれなりに一生懸命聞いていたのだが、わずか30分の営業を受けただけで、いつもは感じないような疲労感を感じてしまった。
画面にすごく集中していたせいだと思うのだが、画面に近づいて自分の視界がほぼ画面になったまま話を聴き続けるというのは、想像以上に疲れるものらしい。

自分が話す時にも緩急をつけて、相手側が気を抜けるタイミングを作った方がよいのかもしれない。


2.話したいタイミングで話せないとストレスが溜まる

リモートの会話はどうしても遅れがあるので、実際に会っている場合と比べて、相手の話に自分の相槌を差し込んだり、ちょっと質問をしたりするということがすごく難しい。
相手側が話を適度に切ってくれないと、延々と話を聞き続けることになる。

自分はわからないところがあったり、自分が聞きたいことが相手に伝わっていないと感じた場合には即座に聞いたり修正したりしたいタイプなので、この「自分が聞きたいことをタイムリーに聞けない」ということが、かなりストレスになる。

その上、リアルではそういった雰囲気を感じることができるような営業も残念ながら画面越しではそういったオーラを感じてくれないことが多い。この「自分の気配を感じ取ってくれない」こと自体もストレスになるため、相手が話し続けるというのは、正直かなり辛い。

1とあわせて、リモートでは通常よりもかなり多く、相手の意見を聞くという”隙間"を作った方がよいのだろう。


3. PC画面を使ったデモはすごくわかりやすい

ソフトウェアやSaaS製品のようなものは、PCを使ったデモが定番だ。リアルの営業活動ではプロジェクターを借りたり、そういった機材がない場合にはプリントアウトしたものを準備した上で、自分のノートPCを見せたりする。

これがリモートだと、画面共有でまるで自分のPC上で動いているかのようにデモを見ることが(見せることが)出来る。

これまでは話している側だったので気がつかなかったのだが、客側になってこのデモを受けてみると、これまでになくスイスイと頭に入ってくることを強く感じた。1とは反対の作用で自分のPC上での動きに集中できるせいなのかもしれない。

もし相手がノートPCを気楽に持ってこれるような職種の場合、今後はリアルの営業活動でもデモは相手側の画面にも共有できるようにしたほうがいいような気がする。


4. 画面共有での資料共有は圧迫感がすごい

これも1や3と同じ要因によるものだろうけど、文字が細かい資料を共有で説明されると圧迫感がすごい。自分の知らない情報が詰め込まれた画面が目の前に突きつけられるというのは、かなり辛いものがある。

せめて画面上で矢印を動かしてくれれば、どこを話しているかを理解できるので、話している側は「今は自分がどこを話しているか」が相手に伝わるような工夫をしてほうがよいだろう。
ちょうど、リアルのプレゼンでもポインターを使うような感じだ。


今回の感想はノートPC上でのやり取りをもとにしたものなので、タブレット端末を使った場合には、また違った感想になるかもしれない。
世の中はUX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉が大流行りだが、思わぬところで体験価値の重要性を知った。

営業のコンテンツがよくても、こういった要因で相手が話を聞いてくれなければ商談もうまくいかなくなってしまう。リモートでは、リモートなりの話し方があるということだ。

2020年3月 6日 (金)

2020年: 2月後半と3月前半で読んだ本

2月後半ぐらいからコロナウイルスの影響で仕事が少なくなったのだが、その空いた時間は映画を見ていたので、あまり本は読めなかった。Kindleだとサンプルを送ることができるのだが、積ん読が溜まる一方だ。


デジタル・トランスフォーメーションで何が起きるのか?51xao8wjp7l

Twitterでも精力的に情報発信をされており、個人的に応援しているITジャーナリストでもある西田宗千佳さんの最新書籍。
タイトルは随分と大上段だが、主な内容はAdobe社の製品を採用している企業への取材とそこから読み取れる考察だ。若干Adobeのパブ本という感じはするものの(※1)、そこは経験豊富なジャーナリストらしく、Adobeわっしょいという感じではない。
本書で指摘されているいちばんん重要な点は、単にデジタルを使えばデジタル・フォーメーションであるというわけではないということ。デジタル化することで商流を変更し、データが取得可能なような形で「商流を再構成」することが重要なのだ。
僕は個人的にRPA(Robotics Process Automation)と呼ばれる技術が大嫌いなのだが、まさに理由はこれで、単なる自動化をデジタル・トランスフォーメーションと言って欲しくないのである。


二重国籍と日本415zhsdbuql

2018年~19年に4大大会を連覇した大阪なおみ選手の活躍をきっかけにした訳ではなく、蓮舫議員の二重国籍騒ぎをきっかけとして起こった議論を出発点とした新書。

台湾関連のジャーナリスムでは第一人者の野島さんが執筆陣に含まれていることから手に取ったのだが、残念ながら各執筆陣の記述内容を編集側がうまくコントロールできてないようで、同じような話しが延々続くという感じの内容になってしまった。

また、タイトルに「二重国籍と日本」とあるわりには主要な議論の焦点は台湾との二重国籍に絞られている。台湾は現在の日本では国として認められていないということから、様々な法的に難しい点が生まれているということは、本書から十分伝わってくる。だが、台湾との問題にこれだけページをさくなら、もう少しタイトルは工夫すべきだったのではないだろうか。


デジタル時代の競争戦略41gdrnwbhbl_sy346_

プラットフォーム事業者(一番イメージしやすいのは、いわゆるGAFAかもしれない)に関する規制当局の取り組みについて理解をしたいと思い手に取ったのだが、実際にデジタル関連の記述は全体の1/3にも満たなかった。内容自体は面白いのだけど、ちょっとタイトルに偽りありという感じだ。

全体としては3章構成になっており、第1章は独占禁止法と公正取引委員会についての総論。第2章は具体的な反競争的行為についての解説があり、第3章でようやくデジタル時代の規制についての記述になる。肝となるのは、これまでは主にB2B取引に使われて来た独占禁止法の考え方をB2Cにも応用するということと、消費者がプラットフォーム事業者に提供しているデータは「投入財」であると位置付けて、プラットフォームの利用についても財とサービスのやりとりであると見なすということだろう(私の理解が正しければ)。

150ページ程度の本書では精密な議論がなされないのは仕方がないのだが、上記の議論が正しいとすると「ユーザーがサービスを"利用すること"により発生したデータ」をどのように取り扱うのかは不明確だな・・・と感じた。プラットフォームを利用する時にはユーザーが明示的に「投入した」以上のデータが発生するわけで、これを全て投入財とするのはかなり無理筋だと思う。
また、仮にこういった取引に付随するデータに関して独占禁止法を適用しようとすると、B2BやB2Cでの通常の取引行為で生み出されるデータも同様の規制の対象となると思うのだが、そこは濫用がされていないと解釈をするのだろうか・・。

・・・という感じで、競争政策に関して知識がない自分のような人間が全体感をつかむのにはよいのだが、一方で深い議論はされていないので、本書を読んで興味をもった人間は、より専門的なトピックを取り上げている本を読む必要があると思う。


※1・・・Adobeに勤めている友人によると、Adobeが便宜をはかって描いてもらったとのことだが、本当かどうかは不明。便宜をはかったかどうかはわからないが、取材先の紹介はしているとは感じる。

2020年3月 2日 (月)

アメリカ出張は取りやめになったけど、結果オーライかもしれない。でも、今年はかなりしんどいことになる。

二週間ほど前に、「このままだと日本からの入国が制限されるという可能性もないとはいえなくなってきた」と書いた米国出張。今の所少なくともアメリカではそういった事態は起こっていないけど、出張はキャンセルになった。一緒にいくはずだったお客様が、2月25日から国内外の出張を一斉にストップさせたからだ。
お客様から連絡があった段階では自分だけいくというオプションもあったのだけど、あまり意味がないし、もし家族に何かあった場合には海の向こうから心配しないといけないし・・・ということで自分もキャンセルした。結果として、3月2日段階では正解だったと思っている。


アメリカは2月28日までは対岸の火事だった

今回のキャンセルを伝えた時に、アメリカ側の最初の反応は「日本は大変だなぁ」だった。アメリカ側ではそれほど問題ないんだけど、お客さん側がそうやって決めてしまったなら仕方ないよねぇ・・という感じだったのだ。
週末である28日(日本時間では29日)は少しトーンが変わって、「風邪をひいてしまったようだけど、コロナではないと思うので心配しないでね」という感じで、まだジョークで話せるレベルだった。ただ、現地の社員が日本にくるのは避けた方がいいかもしれない・・というメッセージは出てきていた。


だが、この雰囲気も今週に入ってだいぶ変わってきた。
一つは日米間のUA便が減便になったこと。UA便は本数も多く日系の航空会社に比べて運賃も安いため、日本に来るアメリカ人はよく使っている。これが減便したということで、米国から日本への出張についても本格的にキャンセルが発生するようになった。

次に、アメリカでも感染者が少しずつ増えてきたこと。
インフルエンザが猛威をふるっていようとあまり気にしないアメリカ人ではあるが、今回は予防方法が事実上なく、かつ誰がかかっているかがわからないということで、それなりに心理的に影響が出て来るようになった。うちの会社でも、会社に入る時には手のひらのアルコール消毒をしっかりするようにとの通達が出ている。

最後は、もしかしたら本当に他国からの帰国後に隔離措置がされるかもしれないという雰囲気が出てきたことだ。
現段階ではまだ出国時の制限(といっても強制することはできないが)だけだが、入国時に隔離される可能性があるとなると大事だ。アメリカではこういった措置が一回発表されると、しっかりと運用がなされる。隔離措置により家族と会うこともできなくなるし、仕事にも大きな影響がある。これで、アメリカ側の雰囲気もだいぶ変わったようにみえる。


2020年は不況になる、少なくとも会計年度上半期は(9月までは)

それからもう一つ見えてきたのが、今回のコロナウイルスの問題は2020年度の予算設定に対してメチャクチャでかい影響を与えるということだ。
出張や会議が減ることは色々な方面に影響を与えるけど、それ自体が経済を冷やすことはあんまりない※1。インバウンドや旅行、イベント関連といったところは、現在も既に大打撃を受けているが、これもある意味で「コロナによる直接的な被害」ということで、コロナの問題が解決すれば少しずつ回復して来るだろう(とはいっても、いつまでかかるかわからないので、決して優しい問題というわけではない)。

これに加えてお客さんと話していると、この先行きの不透明感により2020年度の予算が影響を受けていることをヒシヒシと感じる。先ほどは「直接的な被害」という表現をしたが、こういった予算策定の問題 == 正確に言えば、保守的な予算計画による支出削減は「間接的な被害」ということができるだろう。

うちのような研究開発を生業にしているような業者は真っ先に影響を受けるし、成長戦略やデジタル・トランスフォーメーション系のB2Bも影響を受けるだろう。そして、そういった影響は回り回って消費者にも影響を与える。昨年の米中貿易摩擦や消費税増税で弱っていたところに、最後の一撃が加わった感じで、いよいよ不況が来ることがほぼ確定してしまったといっていいだろう。
少なくとも予算の組み換えが行われる可能性がある下半期(10月以降)までの6ヶ月はかなりの厳冬になるに違いない。

このコロナウイルスの影響がつらいのは、ある意味で世界同時に発生してしまうことだ。人口減と高齢化の影響で国内がしんどいから、インバウンドや海外展開で稼ごう・・というストーリーが使えなくなってしまった。もしかしたら中国は予想よりも早く立ち直るかもしれないけど、彼の国もこれから2022年に向けて、決して安定しているわけではない。

今から出来る準備などタカがしれているのだけど、想定していたよりも冬の寒さははるかに厳しくなる予感がしている。これが「終わりの始まり」にならなければいいのだけれども、とこの頃は真面目に心配している。


※1・・・「3月はじめに取締役への報告を行い、3月下旬に納品完了してください」みたいなプロジェクトは結構あると思うのだが、こういったものは今回の措置が直撃するけれど・・・年度内に締めたかったプロジェクトはどうすればよいんだろうね。。。

2020年2月27日 (木)

5GでIoTのコンセプトは実現するのか? 書評: 5Gでビジネスはどう変わるのか

購入したのはかなり前だったのだが、年末は引っ越しで忙しくてなかなか読み進めることが出来ず、読み終わった後はその意味づけをしばらく考えていたせいで感想をかけずにいたのが本書だ。
通信領域で長年にわたって政策提言やコンサルティングを従事されていただけあり、5Gビジネスに関連する内容を網羅的に取り扱っている。IoTと5Gに関する知見を手っ取り早く、かつ全体感を持って手に入れたいというなら、間違いなく本書を最初にオススメする。
ちなみに、著者のクロサカさんは引っ越す前に近所に住んでおられていたようで、時々ご家族と歩いているのをみかけたことがある。流石にお声がけするのは憚られたので、「おお、クロサカさんだ!」と勝手に興奮していたものだ。


2020年現在の米国での5Gの位置付けPhoto_20200227135801

本書にも繰り返し書かれているように、世界各国での5Gを利用したビジネスというのはまだ黎明期だ。5Gならではのメリットを提供しているサービスはほぼ存在しないし、米国でも5Gの商用利用は始まっているものの、メジャープレイヤー(今後企業価値が大きくなると期待されるスタートアップ含めて)はまだ存在しない。
正直なところ2019年末の段階では、5Gを利用したサービスというのは「お金持ちのオモチャ」と呼ばれているような状態だった。

なぜそういう状態になっているかというと、まだ明確なユースケースを描ききれていないからというのが大きい。
本書にもあるように、5Gの特性を考えるとサービス自体はB2CというよりもB2(B2C)のような形にならざるをえない。言い換えるとB2Cのようにアプリを開発して、一気にマスを取りに行く・・といったこれまでのスタートアップの勝ちパターンを適用がしづらいのだ。

すでに一足先に波が来て、そしてその第一波がさりかけているロボティクスと同じように、スタートアップが既存の大企業に採用されるには(B2B2Cの最初のBがスタートアップで、真ん中のBが既存の大企業)かなり明確にユースケースが定義されていなければならない。そして、矛盾するようだがユースケースを明確に定義するためには、最初のお客様との協働実験やβ版の利用が始まり、考慮すべき外的要件を明らかにする必要がある。

つまり「使えるようになるためには、"何に"”どうやって”使えるのかを明確にしなければならない」一方で、「"何に"”どうやって”使えるのかを明確にするためには、まずは使って守らないといけない」のだ。
このジレンマに陥らないようにするには、多少ユースケースが甘くても、言い換えればMVP(Minimum Viable Prodcut)の状態でも利用してくる一般ユーザー(C)に向かうしかない。しかし、5G特性が活かせるようなネットワークが整備されておらず、デバイスも少ない状態ではこちらの方法も難しい。
・・・・ということで、米国のスタートアップ業界でも5Gはまだメインストリームにはなっていない。


本書にもある通り、米国でもおそらく最初に利用が始まるのは動画配信やゲーム、ライブエンターテイメントだろう。その中でも、個人的にはライブエンターテイメントで面白いスタートアップが立ち上がってくるのではないかと思っている。アリーナやスタジアムというのは比較的外的要件が安定しているし、付加価値を出せばチケット代や利用料にも転嫁することがそれほど難しくはない。

それ以外の領域では、既存のメジャープレーヤーが音頭をとってビジネス開発が進むのではないかと思っている。日本の動画配信やゲームのプレーヤーは米国に比べれば小さいが、それでも「大企業発のビジネス開発」であれば日本企業でも十分に面白いものができるのではないかと思っている。


重要だけど、本書にかかれていないこと

各領域のビジネス開発や展望については本書で網羅されている一方で、極めて重要だけど本書にかかれていないことがある。本書の射程ではないということで、クロサカさんはあえて本書から外したのだろうと確信しているのだけど、一方で5Gからのユーザーメリットを享受するためには極めて重要な視点だ。

それは、端的にいうと「センサーは壊れる」ということだ。センサーが壊れると、当然ながらデータを取得することが出来ない。そして、壊れたものは誰かが直さなければならない。
本書の第3章では、分野別の新事業の有望株が挙げられている。この中には、機器の設置者が継続的に機器をメンテナンスするインセンティブが強い領域(ライブ中継やスマートファクトリー)などと、ユーザーにはメリットがあるものの機器の設置者が継続的に機器をメンテナンスするインセンティブが弱い領域(スマートシティやスマートハウス、スマートサプライチェーン)などがある。

現在の携帯基地局の保守業務を見るまでもなく、配置するセンサーの数を増やせば増やすほど、1日あたりに故障する確率というのは増えていく。私は今の業務で、大量のセンサーを導入している工場を見学しに行ったことがあるが、「何もない日というのは1年で数えるほど」という状況だ。これは、工学的に作られるものである以上は仕方がない。工場でも携帯基地局でも、設備を作ったプレイヤーと管理/運用を行うプレイヤーは同じなので、リソースさえ投入すればメンテナンスは可能だ。


では、スマートシティやスマートハウス、サプライチェーンといった「設備の設置や建築を行う業者」と「管理を行う業者」が違う場合には、どうなるのだろう。
例えば以前に住んでいた築20年を超えるマンションでは、故障したインターホンを取り替えようにも在庫がないという状態が発生してしまい、最終的に管理を行う業者が全戸一括して交換するという対応を行なっていた。さすがに、インターホンが使えないマンションなどありえない・・・というのが一般的な妊娠期だろうし、インターホンの変更自体はそれほど難しくはないので、管理業者でも行うことが出来た。


この例と同じように、例えばスマートハウスを売りにしているマンションの壁に埋め込まれたセンサーが壊れた場合はどうすればよいだろうか?上記の事例と同じように考えれば、管理業者が替えるべきだろう。ただ、センサーのように進歩が早く、それなりに専門知識が必要とされる領域に機動的に対応できるような体制(人的リソースを含む)を管理業者が構築できるだろうか・・?

センサーをたくさん利用している場合、ユーザーは各センサーの状態を把握しているという仮定を置くのは無理があるので、故障が発生した場合には、まず「どこで」「何が」壊れているのかを同定するところからスタートするのだ。


本書では、この辺りの問題を「利用に関する費用をどのように分配するのか」といった問題としてまとめているが、主に問題の焦点をビジネス開発時 == 導入時に限定しているように見える。しかし工学的な観点からは、むしろ運用がスタートしてからのほうが重大な問題になるのではないかと思っている。また保守がしっかり行われたとしても、サービス提供者自体がサービスを終了したり、潰れてしまっては意味がない。


5GとIoTの組み合わせのように、統合して、かつ長く運用することにより初めて価値が出せるような領域というのは、長期に渡って持続的なビジネスを設計する必要がある・・・というのは、いうは易しで実際にはすごく難しい。実際に日本では、(そういう意味で使ったわけではないという反応があるだろうが)「100年使える」はずのauのメールがわずか6年でサービス終了という実例があるのだ。

理想的には運営企業が潰れてもデータの引き継ぎが容易にできるように、データ形式を共通化することが望ましいだろう。実際、いわゆるGAFA(というか米国のテックジャイアント)はそのような取り組みを進めている。データをどのように取り使うのか、本書で言われているようなTrustをどのように実現するのかという問題はあるものの、データの可用性と可搬性の観点から、変なところで独自規格みたいなものを作らないで進むことが望ましい・・。

2020年2月13日 (木)

40代の始まりにキャリア構築に惑う

今の会社(SRI International)に転職して2年。仕事の内容は自分が好きな内容であり申し分のないものなのだが、キャリアという観点からは結構悩んでいる。
日本の大企業では少しずつ課長職などになってくる40代になろうとする今年、少しキャリア構築の方向性を真剣に考えている自分がいる。

 

プロフェッショナル・キャリアかマネージメント・キャリアか


キャリアの分類の方法には色々な切り口があるけど、一つの切り口として「プロフェッショナル・キャリア」か「マネージメント・キャリア」という考え方がある。

プロフェッショナル・キャリアというのは文字通り専門的な仕事を極めていくという考え方で、例えば士業(弁護士)などは典型的なこちらのキャリアといえるだろう。
もう一方のマネージメント・キャリアというのは、一般的な企業での出世をイメージするのが一番わかりやすいと思う。係長 → 課長 → 部長というように、部下を多く持つようになり、取り扱う課題の抽象性があがっていく。


もちろん、厳密にこの2つは分けられるわけではない。
プロフェッショナル・ファームと呼ばれる組織では階層構造があり、能力があり望むものはマネージメントを行う必要があるし、マネージメント層では異動があるとはいえ、完全に畑違いのところに移るということはあまりない※1

一方で個人のキャリアとしてみると、この二つの仕事は価値の出し方が異なるという点において大きな差がある。プロフェッショナルキャリアでの価値の出し方というのは、ある領域において余人では出すことが出来ない事をすることが大きな価値だ。
知識でも経験でもいいが、とにかく「この人でないと・・」と客が選んでくるというのが究極のプロフェッショナル・キャリアだといえるだろう。ある意味では生涯をかけての個の追求だ。

マネージメント・キャリアは、それとは逆でチームや人を管理する事を志向する方向であり、人を束ねることでより大きな価値を出す。個々の能力は傑出してなくても、方向性の揃った集団というのは、個々の力の単純な合計以上の力を出すことが出来る。そういった力を生み出すことが出来るのが、優秀なマネジャーと言えるだろう。


40代の転職事情と現状の環境におけるキャリアパス


自分が大学院を卒業した頃(2005年)に比べて、日本全体としてはプロフェッショナル・キャリアのチャンスは増えている。かつては弁護士とか会計士(いわゆる士業)がプロフェッショナル・キャリアの代表という感じで、そういった資格を持っていない人間は否が応でもマネージメント・キャリアを選ぶ必要があった。
それが2020年の現在では、ITエンジニアはプロフェッショナル・キャリアを志向する人間も多くいるということは一般的になってきた。

トレーダーやマーケティング、その他の「専門的なスキル」が必要と思われるような職種もプロフェッショナル・キャリアだと認識されるようになって来ている。全体としては、日本でもプロフェッショナル志向が高まっていると言えるだろう。

では、自分が今しているような仕事、Business Development(BD)はどうか・・・というと、残念ながらまだプロフェッショナル・キャリアの一つだとは思われていないように見える。
アメリカでは既にBDはプロフェッショナルであるとみなされている・・・言い換えると、固有のスキルが必要とされるし人によって出せる価値が大きく変わる職種だとみなされている。一方では、日本ではまだまだ「営業の一つの形態」とみなされているように見える。


日本では一定の年齢を超えると、転職活動ではまだまだ「何人をマネージメントしていたことがありますか?」という質問をされることが多い。これは暗黙の前提として、マネージメント・キャリアを想定しているということだ。

今の仕事の仕方や条件を考えると、今から日本の大企業に入るという選択肢はほぼないと思うのだが、たとえスタートアップであろうと外資系であろうと「日本人が人事をしている会社」では、どうしてもこういったバイアスが存在してしまう。


一方で、今の会社はきわめて少数で運営されていて、どちらかというと小規模な法律事務所みたいな感じだ。個々がある程度自由に活動をしており、日本人が考えるような管理する/されるといった関係性がほとんどない。

こういった環境に長くいることが果たして、自分のキャリア開発という意味でよいのか、それが今悩んでいることなのである。
これから学齢期になる子供もいるし、安易に転職を考えるということはないのだけれど、気がつけば40歳になろうとする自分がいる。これからどうやって生き延びて行こうか・・ということを考える時期にきたんだなと実感している。

※1・・・日本企業ではあまり関連性のない部署への異動が今でもあると聞くが、かつては効果があったと思われるこの人事慣行も2010年代以降では、一部のリーダー候補だけに意味があるように思われる。

2020年2月 9日 (日)

2020年1月の出張記録と東海のおすすめホテル

今年最初のエントリーでは「週1本は書けるようにしたい」と書いたのだけれど、最初の月からあっさり目標達成を放棄したようなかたちになってしまった。一応言い訳を書いておくと国内出張が結構入ってしまい、それどころではなかった・・といいたいのだが、こういった言い訳はダメですね。
ちゃんと毎日の中で「書く」ための時間をとらないと。

 

1月は第2週に6日間、第4週に3日間、東海地域に出張に行ってきた。東海地域は言わずと知れた自動車産業の集積地で、うちの会社もいくつかの企業とおつきあいがある。毎月定期的に営業活動で行くようにしているのだが(それが後半の3日間)、1月はそれに加えてプロジェクトのデータ取得があって結構長く滞在した。



東海地域は車社会なので、東京から出張に行くと移動が大変だ。一社だけであれば近くのホテルに泊まればいいのだが、地域内で移動するとなると交通の便がいいところがいい。
ほぼ毎月出張に言っているので色々なホテルに泊まってみたのだが、結果として定宿として落ち着いたのは知立にあるホテルクラウンパレス知立だ。知立駅から徒歩5分以内で、和室もあり、朝ごはんも結構美味しい。何よりWi-Fiの速度が十分出るので、仕事でビデオ通話をしても全く問題ない。これはかなり重要。

 

この宿にたどり着くまでに刈谷のホテルもいくつか試したのだけど、Wi-Fiが遅くて仕事にならなかったり、ベッドのパイプが背中にぶつかるような構造のものを採用していたりと、なかなか納得できるホテルを見つけることができなかった。食事だけなら、知立よりも刈谷のほうがはるかに便利なので、この辺りはもうトレードオフとして諦めるしかない(個人的にはご飯はコンビニでも我慢できるが、ホテルはよくないと我慢できないタイプ)。

 

この時期は東海地方はかなり寒いので、暖かいお風呂に気兼ねなく入れるホテルは貴重なのだ。

2019年11月28日 (木)

デジタル時代の人材獲得で一番辛いのは銀行

今の仕事についてから色々な業界の人と、イノベーションについて話すようになった。
そして、イノベーションの話をすると、とりあえず全ての業界で大なり小なりデジタルトランスフォーメーション(DX)という単語を聞くようになった。もちろん本音では、「デジタルなんかいらない」と思っている会社もあるだろうけど、そんなことを大声でいう会社はない。そうする意味がないからだ。


デジタルトランスフォーメションは自分でしか出来ない

実際にデジタルトランスフォーメーションをやろうとすると、すぐに気がつくのが、社内に適した人材がいないという現実だ。IT部門はあるかもしれないが、アプリを自分で作っているところは少ないし、そもそもITに関する知識がないというIT部門も少なくない。
そういった会社にとって、ITとかデジタルというのは「買ってくる」ものだったのだ。ところが、DXを実現するためにはどうやら自分でやらなければならない・・・ということにこの頃気が付いたという会社が多い。

そうなると中途か新卒で人材を獲得しなければならないのだけど、自分が見る限り、最も辛いのはメガバンクを含む銀行だ。今現在でも難しいが、今後も今のままだと絶望的だと思う。

まずもって、社内で内製をするという文化がない。IT業界から見ると、金融業界というのは最もお金を落としてくれる業界だ。コンプライアンス要件や、処理能力などの要求が非常に高いがしっかりお金を払ってくれる。
そういった金融業に対してIT業界は優秀な人を贅沢に貼り付けてきた。そういう状況で、内製であえてやろうとする会社は少なかった。
とはいえ、これは何も金融業界に限った話ではない。ただ、実質的にITなしでは業務が回らないにも関わらず、驚くほど社内の専門家が少ないのが金融業界だ。

 

次にガチガチの給与体系。能力よりも年次でお金を払うシステムである銀行では、「優秀だが高給なエンジニア」を雇うための方法がない。
ただ、これも多くの伝統的な業界に共通する。

装置産業としての魅力を失う銀行

そして最後の、そして最も大きい理由として、「銀行でしかできない、先端的な取り組みはほとんどない」ということだ。銀行の中の人はそういうことを言われるのは嫌がるかもしれないが、2020年になろうとする今、銀行というのは巨大な装置産業だ。ITシステムと「資本」をレバレッジするのが、その本質の一端といっていい。
そして、装置産業の中で、最も代替が進むのが銀行なのだ。

装置産業間での比較を考えてみよう。例えば、AIで非常に有能でもある人材が「自動車や二輪車」を作りたいと思っていたとする。彼にとって現実的な選択肢というのは、テスラという例外を除けば、既存のどこかの自動車会社に入ることだろう。

同じことは製造業のほとんどにいうことができる。スタートアップがこれだけ一般化した今でも、モノを作るには資本と設備が必要になる。ファブレスという選択肢もあるが、それではカバーできない領域もたくさんある。
そういった「モノづくり」に興味があり、かつ先端技術もできる人間は一定数はいるので、製造業はそういった人材を獲得することができるだろう。

翻って、金融業はどうだろう。
もしかしたら自分の周りが偏っているだけかもしれないが、「自分はどうしても銀行で与信をやりたいんだ」といって銀行に入った人間を僕は知らない。もともと明確なゴールを置くのが難しい業種だ。
もちろん、金融業で身を建てたいという人間はたくさんいるかもしれないが、そこにAIのような先進技術を掛け算で持っている人間は、Fintechと呼ばれるスタートアップにいったり、あるいはAIコンサルのような仕事を選ぶだろう。
さきほど述べたように、銀行業はいわゆる「ベンダー」にお金を払うことは得意だから、AIコンサルも仕事を取ることはそれほど難しくない。
でも、それでは銀行自身の中にノウハウが残らない。

グループとしての人材レベルを保つために

Fintechはよく「業界への破壊的なイノベーション」と言われる。ただ、個人的には、たとえ業界構造自体が変わらなくても、そういった代替かつ魅力的な存在が出ることで、人材レベルがゆっくりと確実に下がっていくことの方が長期的な影響が大きいと思っている。

そういう観点から、常に注目しているのはJapan Digital Design (JDD)だ。
三菱UFJが設立したFintech子会社は、社員のほとんどが有期雇用で外部から集められた人材で、既存人員の異動はほとんどない。あえて本体から切り離し、給与レベルも本体とは別立てとすることで「先進技術を使って、金融で何かしたい人」を集めることに成功している。

これまでの人事制度が「銀行に入りたい人に、何をさせるか」を考えていたとすると、ちょうど正反対の発想だ。まだ収益に貢献しているとはいえないこの試みだが、個人的には伝統的な企業が人材を集めようとするとこの方法しかないと思っている。

この一点だけで自分にとっては、三菱UFJは「面白い」取り組みをし続ける銀行だ。

2019年9月10日 (火)

監視国家の次の一歩: スマートグラスが世界を変える

以前のエントリーでは「幸福な監視国家・中国」の書評と、そこから日本の方向性をなんとなく想像してみた。プライバシーと監視というのは色々な要素が関係する大きな話なのだが、技術的な観点からは、監視国家の次の一歩を想像すると、間違いなくスマートグラスの実用化が大きな転換点になる。



スマートグラスと万人の万人による監視

 

すでに中国では国内の治安維持に活用がされていると報道がされてように、スマートグラスは「データの記録」という観点からも、「ARを用いた情報のリアルタイムでの検索」という観点からも、社会における監視活動の質を劇的に変えるはずだ。2019年の現在でも、交通事故の情報がドラレコで記録されたり、道ゆく人がたまたま出くわした事件をスマホで撮影する・・・というのは普通になっているが、スマートグラスが普及すれば、さらに録画のためのコストは下がる。

 

バッテリーをどうするか・・・という問題は依然として残るものの、例えばスマートグラスであれば「三回連続して瞬きをしたら、録画を開始する」といったコマンドを設定しておくことは容易なので、スマートグラスをかけている人は望んだタイミングで自由に今目にしているものを録画することが出来るようになる。

 

つまりスマートグラスが十分に普及した世界では、全てのことが録画されてしまう可能性があるということだ。もちろん人が見ることが出来ない死角(例えば満員電車の中の手の動きとか・・・)はあるものの、誰もが誰かの監視を可能にする社会が出来上がるということになる。



プライバシー、組織のルール、訴訟

 

スマートグラスが普及すると、まず問題になるのはプライバシーだろう。ほとんどの人は、知らない間に自分の行動や発言が勝手に記録されのは気持ち悪いと思うのではないだろうか。もしかしたら「記録されない権利」と言う権利についての議論が起こるかもしれない。

 

そして、おそらくこの「記録されない権利」と言う考え方は、かなりの支持を得ると思う。自分が望まない限り、記録には残りません、というのは直感的だし、自然な欲求に沿っているからだ。一方でそういった議論が盛り上がると、既に公共の場やショッピングモール、コンビニなどで多く設置されている監視カメラの存在は、矛盾したものとなる。

 

これが中国であれば「公共の利益を満たす場合はOK」という解釈で乗り切るだろうが、日本の場合はそう簡単にいかないだろう。どういった場合に録画が許可されるのか、ということを法的に決めていく必要がある。誰でも監視可能となることにより、逆に監視という行動に対して拒否感が露わになるかもしれない。



次に反応をするのは、会社や団体などだろう。今でも社内で「録音や写真撮影は禁止する」という規定を設定している会社はたくさんあるが、スマートグラスの利用を禁止する規定を作る会社はすぐに出てくるに違いない。

 

ただ、2019年現在の判例によれば「同意を得ない録音、あるいは許可がない録音であっても証拠には採用」されるので、もしスマートグラスの利用が許可されていない会社であっても、例えばセクハラやパワハラの証拠に使うことは法的には問題ないと判断されるに違いない。

 

結果として、表に出てくるようなパワハラやセクハラを抑止する効果は出てくるだろう。それがいいことかどうかというのは、おそらく議論を呼ぶであろうが、おそらくは支持する人間の方が多く、また利益を得る人間の方が多いだろうと思う。結果として、スマートグラスの活用は急速に進むに違いない。



常に緊張感を持つ社会に

 

こういった世界では、どこで誰が自分の発言や活動をデジタルデータに残しているか判断することが出来ない。そうなると、ほとんどの人が「自分の行動は記録されている」という前提で活動をするようになるだろう。ちょうど、「幸福な監視国家・中国」で運転マナーが劇的に改善されたようにだ。

 

こういった状況は、社会にいる全ての人にかなりの緊張感を強いることになるはずだ。なにせ、ちょっとした冗談やつい出た本音が記録され、時には思うままに編集されてしまい、あっという間にデジタルの世界で広がるのだから。正直いって、人間がそのような緊張感を長期間保ったまま、正常に生活することが可能かどうかすらわからない。

 

それでも、この流れを押しとどめることは中々難しいと思う。なぜなら現在は虐げられている人、あるいは我慢をしている人から見たら、現状を変えるための有力な道具になるからだ。もちろん、社会を管理する側も積極的に利用するようになるだろう。

 

Fakenewsに見られるデジタルデータ改ざんなどを考えると、このように全てをデジタルデータに還元できる世界が幸福であるとは言うことは出来ない。それでも、いずれは全ての空間がデジタル化されて、我々は今よりはるかにお行儀の良い世界に暮らすようになるのではないだろうか。そしてその世界では、おそらく「デジタルに触れない権利」について、今よりもずっと真剣に議論がされることだろう。

2019年8月29日 (木)

本社出張にきています(本年3ヶ月連続4回目)

昨年も同じだったのだが、夏場はお客様の時間がとりやすいようで6月から3ヶ月連続で本社出張中。こちらに来ると毎回気持ちがリフレッシュできるのだけど、飛行機の待ち時間を含めると片道12 時間以上かかるわけで、慣れてきたとはいえかなり疲れる。ここ最近は乗る飛行機も固定、ホテルも固定という感じで、なるべくルーティンで回せるようにして少しでも疲れを減らすような心がけをしている。

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こちらがいつも宿泊しているホテル。本社があるMenlo Park市はは規制が厳しくてほとんどホテルがなく、近くの市だと朝から車で移動することになるので、会社から歩いて15分ほどのこのホテルにいつも宿泊している。働いている方々ともすっかり仲良くなり、毎回同じ部屋を準備してくれたりもする。
規制によりホテルが建築されない ==> サービス向上のインセンティブがないということで、お湯が出ない部屋があったり、ヒーターが動かないということもあったりするのだが、仲良くなるとそういう部屋を避けてくれるという有り難さである。

 

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ベイエリアの不動産価格がシャレにならないくらい高い・・・というのはよく日本のニュースでも流れているが、スタンフォードで色々なイベントが行われるタイミングでは、ホテルも1泊600ドル台とかよくあるので、出張するのもかなり勇気がいる。日本人からみると600ドルに見合うクオリティはさすがにないと思うのだが、中庭にはスパがあり、夜には火を囲んでリラックスすることが出来る・・・といった感じで、ちょっとしたラグジュアリー感を出している。最初の頃はスパに入る勇気が全くわかなかったのだが、この頃はすっかり場所に慣れて、夜に足だけつけて音楽を聞いたりしている。

ちなみにこの火は本物で、毎日夕方になるとホテルの方が火をつけている。

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ホテルのすぐ隣には大手スーパーのSafewayがあり、毎回出張のたびにここで必要なものと、ホテルで飲むビールを買っている。簡単なデリもあるので、到着日はだいたいここのデリで買った中華が夕食になる。ホテルで食べる食事を探そうとするとマクドナルドや、ハンバーガーぐらいしか近くにないので、ここのデリはかなり重宝している(味は期待できないのだけど・・・)

 

Unnamed今回はいつもより少し滞在期間が長くて、日曜日に東京戻りの予定。2日間のセッション×2回が予定されていて、オフィスワークがほとんど出来なそうで、仕事がたまりそう・・・。 

 

 

 

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