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2014年4月27日 (日)

[書評] ビッグデータ分析に巻き込まれた時に読むとよい本

今の仕事はいわゆる「戦略コンサルタント」ともう少し業務よりの「ITコンサルタント」の間のような仕事をしているのだが、やっぱり世の中で言われるようなbig dataに関する問い合わせというのは特に昨年度下半期ぐらいからかなりある。
このbig dataという言葉、世の中に積極的に広めている会社の一つに間違いなく今自分が働いている会社があるので、功罪ともにあるというのは感じるのだが、実に曖昧かつ適当な使われ方をしているんだな~と感じる。

例えばお客さんのところにいくと「上司から○○分野でbig dataを使って、何か施策を考えろと言われまして・・・・」みたいな話をされるわけだが、だいたい7割ぐらいは「それってExcelでも十分Okですね」みたいな回答をしている※1。重要なのはデータの量ではなくて、何のためにどういったデータを利用するべきか・・・ということを考える必要があるんですよ~という話をするわけだが、だいたいの場合はお客さんは満足してくれない。なぜなら上司から求められているのは、「big dataで何かをすること」であって、今の技術で出来ることをするというわけではないのだから。


ちなみにこの傾向と言うのは何もお客さん側だけではなく、社内でも見ることが出来るのが結構厄介だ。さすがに、自分がいるような部署は実際にサービスを提供するほうなのでそういったことはあんまりおこらないが、営業のようにとにかくたくさんの商品を扱う側になるとイチイチ一つ一つの商品を詳しく勉強してくる時間もないので、とりあえずbig dataといって話を持ってきたりする(そこで修正するのが、自分がいる部署の役割だったりするわけだ)。

そんな感じで猫も杓子もビッグデータ状態なIT業界なのだが、実際に何が出来て、何が出来ないか・・ということを真正面からちゃんと解説した本と言うのは意外にない。だいたいの本は、「ビッグデータで○○が出来る」系のあおり本か、テクニカルな解説を行っていて数学に慣れていない人には開いた瞬間から眠くなってしまうような本だ※2。そういった「何が出来て、何が出来ない」という話に真正面から答えようとするのが本書だ。ただし、実際の内容の半分ぐらいは「ビッグデータでなくてもできることはたくさんありますよ」という内容なので、ビッグデータ真正面からの本というわけでもない(公平のために記しておくと、著者は僕の恩人というべき方)


会社を強くする  ビッグデータ活用入門  基本知識から分析の実践まで

Part1. 活用のための基本知識と計画41uasfh16ml
第1章 ビッグデータ活用の基本知識
第2章 ビッグデータを競争力強化に使う
第3章 事例から見る競争力強化のポイント
第4章 ビッグデータで事業構造を正しく知る
第5章 分析のための準備

Part2. 分析の実践
第6章 データ分析のステップ
第7章 事業構造の概要を把握する
第8章 顧客を軸に分析する
第9章 打ち手につなげる分析


Amazonを見ても章立てがなかったので書きだしたのだが、これを見るとわかるとおり本書は「どうやって」を追求するよりも、「何のために」を伝えるために書かれている。そして、そのメッセージはすごくシンプルで、要約してしまえば「ビッグデータを使って、顧客と自社の関係を正しく把握しましょう」ということに他ならない。

Par1では、ビッグデータを利用する前にまず最低限、自社の理解を行おうということを言う。ここで重要なのは「本当に把握をするためには、何もビッグデータである必要はありません」ということだ。著者は経営コンサルタントの経験が長く、すらっと書き下してしまっているが、まずはデータを使うためにはそれを理解するための構造を正しくイメージする必要があるということ、を伝えている。

ちなみに、この部分は「ビジネスに限っていえばそうだよな・・」とは思うのだが、研究生活の端っこをかじったことがあるぐらいの自分からすると、未知の分野では必ずしもそういうアプローチをする必要はない、とも思っている。例えば物性科学の世界では「論理関係はまだよくわからないけど、並べてみたらパターンが浮かび上がってきたので、空いているところをめがけて研究を行う」というアプローチがあり得る。論理的な関係性を作るというのは、多くの場合においては調査のための時間を削減してくれるし、アプローチの方向性を定めてくれるのでよいのだが、一方で認知バイアスになってしまう可能性があるということには注意が必要。


Part2では、一歩進んで実際にビッグデータを利用することが出来る事例について紹介している。ここで紹介されるのは基本的な方法論で、データに二次属性を追加して分析を行うという手法なのだけれど、これは実務の世界においてはかなり役に立つ。特にデータ量が少ない場合には全データ解析を行ってもあまり意味がないので、人の手を使ってしまったほうがずっと楽。少なくとも、この本を手に取る層にとってはまずこういった手法を身につけることは重要だろう。

ちなみに、この部分もビッグデータ分析をアカデミックに行おうとすると「邪道」な方法である(著者はそのことを自覚していると思うけど)。人の手を入れて二次属性を付与してしまうと、どうしても判断にばらつきが出てしまうため、本来であれば多次元空間上で距離を参考にしたり、参照データをもってきて分類学習用のデータセットを準備してあげるほうが、よりアカデミックなアプローチではある※3


繰り返しになるが本書は「まずビッグデータを使って何かやらなければ」となった企画部門の人が対象であって、本格的に統計解析を学びたいという人は別の本を読む必要があるし、自分のテーマにビッグデータがふさわしいかどうかを真剣に考えたいという人には、また別の参考書が必要となる。そういった「まずは何が出来るの」を考えたい人にとっては巻末に実際の事例があるというのはうれしい処で、とりあえず何か上司にレポートを出さなければいけない、という時にはここをまとめるだけでも、時間を稼ぐことができるのではないだろうか。

個人的には、このビッグデータ関連の話はデバイス側と組み合わせたり、いわゆる「モノのインターネット」と絡まないと活用できる領域は限定的なんだろうな・・と理解をしているのだが、否も応もなくこの世界に巻き込まれてしまった人には、本書のようなガイドブックがスタートを切るのに参考になるだろうと思う。





※1・・・最新のExcelは100万行を越えるデータを扱えるので、たいしてデータ量がないものに関しては十分に解析可能。
※2・・・理数系である自分にはこういう本も嬉しいのだが、なかなか実務イメージがつくような本がないというのも難点。
※3・・・とはいえ、こういう話をしだすといきなり「見た目上は」難しくなってしまうので、そんなのは蘊蓄を語りたい人だけが考えればよいのだ・・・というのが本書の眼セージだと思っている。

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2013年10月15日 (火)

[書評]対中とか反日とかワンワードではない中国 -「壁と卵」の現代中国論

日本に帰ってきたら、いままで読むことが出来なかった本をたくさん読もうと思っていたのだが、いざ帰ってくると仕事はそれなりにあるし、友人にもあいさつしたいし(なんせ5年半ぶりの帰国だ)、新生活を安定軌道に乗せたりという中であっという間に半年がたってしまった。いいわけをすれば、結婚・転居・帰国・転職と立て続けに大イベントが発生して、休む間もなかったということ※1


5年半の中国にいる間に、中国関係の本だけでもたくさん出ているし、それ以外にも知識の方向性が変わって読みたい本はたくさん出ている。気がつけばAmazonのWishリストは1000冊を超えていて、さすがに一気に読むことはできなくなってしまったが、少しずつ消化をしているというのが現状である。

そういって読んだ中で、中国関係や話しておきたい本についてはこのblogでは書いておこうと思う。今回はそういう本の一発目として、梶谷懐さんの「「壁と卵」の現代中国論  リスク社会化する超大国とどう向き合うか」という本をとりあげたい。


 

目次:
第1章 自己実現的な制度と私たちの生活  
第2章 グローバルな正義と低賃金労働
第3章 赤い国のプレカリアート
第4章 中国とEUはどこが違うのか?――不動産バブルの政治経済学
第5章 米中の衝突は避けられないのか?――中国の台頭と人民元問題
第6章 歴史に学ぶ中国経済の論理
第7章 分裂する「民主」と「ビジネス」
第8章 これからの「人権」の話をしよう
第9章 日本人の中国観を問いなおす――戦前・戦後・現在
第10章〈中国人〉の境界――民族問題を考える
第11章 村上春樹から現代中国を考える

あとがきに代えて――リスク社会化する中国とどう向き合うか


「壁と卵」といっても、本書は村上春樹を論じるものではない。もちろんわざわざタイトルに持ってくるだけあって、著者は村上春樹のファンであると著書内に記してあるが、本書が主題とするのは現代中国におけるいくつかの一般市民とシステムに関する話題 -一つ一つでも十分に大きなテーマとなりうるが、あえて「壁と卵」=「システム」と「個人」という観点から問題点を括っている‐ である。

2011年の後半に出された本書は、ちょうど中国へのジャスミン革命の波及の懸念がひと段落された頃に出された本である※2。2年たって読んでみると、この本で取り上げられている内容と言うのは、確かにあの時の影響を感じさせるものではあるけれど、同時に現在進行形の内容でもある。なぜなら、ジャスミン革命事態は中国で大きなうねりを見せることはなかったけれど、あの時期確かに中国は緊張していたし、今もってその緊張感は変わらず中国の底で流れているようにも感じられるからだ。


この本は章ごとに別々のトピックが取り上げられているので、、全体をまとめて書評することは難しい。そこで、今回はMBAでも似たような話をとりあげた第二章について簡単に僕の考える話を書いておこうと思う。

第二章では先進国のグローバル企業が中国においてCSR活動を広げることについて、批判的な観点からと肯定的な観点、両方を紹介するという形をとっている。どちらかというと本書ではグローバル企業が行おうとしている発展途上国におけるCSR活動については批判的な視点で物事を見ているが、僕には十分にフェアな議論をしているように思えた。

グローバル企業が新興国で行うCSR活動と言うのは、簡単にいえば、例えばNikeで問題視された自動労働(チャイルドレーバー)や、この本が出版された後に繰り返し中国で目の敵とされたAppleへのサプライヤーによる環境破壊に対する対応など、いわゆる「欧米的人権・CSR」から発展途上国における経済活動を改善しようという試みである。
本書ではこういった活動が、単に欧米側の自己満足や現地ニーズにそぐわない形での援助(本書ではプランナーと呼んでいる)となる傾向にあることを指摘したうえで、現地ニーズや状況をしっかり理解したうえで活動を行うことが重要という指摘を行っている※3


こういった「発展途上国におけるグローバル企業の取り組みの偽善性」というのは僕がいいたMBA Schoolでも当然のように議論をされるのだが、個人的には少なくとも現場レベルにおいては企業に属している人間であっても、この問題に対して真摯に取り組んでいる人間もいるし、また効果のある部分もあると考えている。
例えば授業ではNokiaの例をとりあげて、実際に欧州から工場に査察に来て改善指導を行おうとする担当者と、何とか実情を隠そうとする工場側のやり取りのビデオを見たことがあった。このビデオ、最後には担当者が改善活動に疲れきってNokiaを退職するところまでを取り上げていた何ともほろ苦い気持ちにさせてくれたのだが、それでも少なくとも現場レベルでは試行錯誤をしながらも取り組みを何とか成功させようとしているという実例で、単にグローバル企業の取り組みが掛け声だけではない、ということを実感させてくれるものであった。

またAppleのサプライヤーの例に関しても、中国と言う場で議論をしていることもあり、Appleはサプライヤーをたたくだけでなく環境保全分の金額も上乗せして払うべきだという意見が驚くほど多かったのだが、一方で効果が全くないという意見はほとんどなかった※4。というのも、グローバル企業のサプライヤーの例に関して言えば、仮に形だけの対応を行っているような場合に問題視するのは「同じように欧米から来ているNGO」の場合が多いからだ。


「先進国マーケットにおけるマーケティングのために掛け声をあげるグローバル企業」と「同じく先進国の価値観で監視を行うNGO」が、発展途上国という「場」でやり取りをしているという構造である。
この構造だけを見れば、確かに中国地場の外部プレーヤーがやり取りをしているだけでしかないが、一方でそのサプライチェーンには中国企業(正確にいえば中国マーケット)も確かに組み込まれているわけで、全く影響がないということはあり得ない。


結局のところここで僕がいいたいのは、グローバル企業の活動がある意味プランナーとしての活動となって効果がないという批判もまた、企業活動の現場を十分観察していない「プランナー的な批判」になっているのではないか、ということだ。ビジネスというのは、個々の企業活動とは別に現場の人間のなにがしらの思いと言うのは必ず反映されるものだし、むしろ個々のそういう思いと企業の方向性が一致するような仕掛けづくり(あるいは単純に人事)を行うことこそ、企業運営の一つの力なのであはないかと思っている。

何だか話がずいぶんととっちらかってしまったが、本書ではこの章の話題のように、一貫して著者は「壁と卵の対比する視点」(あるいはマクロとミクロの視点)のバランスをとるように気を配って議論を進めている。

わかりやすい「対中戦略」や「反日」の掛け声だけではない、中国という「場と人」を考えるにあたっては、よいきっかけとなるのが本書ではないだろうか。


※1・・・実際に8月中旬の夏休みまでは本当に体の調子が悪くて困っていた。
※2・・・僕がMBAに入学したのは2011年秋だが、時間があった自分は上海でのジャスミン革命の影響でデモが起こると言われた場所に写真を撮りにいったりしていた。今考えれば随分のんきなものである。
※3・・・正確にいえば、そのような参考文献を参照したうえで議論を行っている。
※4・・・ビジネス的には、Appleが金額を上乗せするべきという結論が出るのはおかしな話なので、授業に出ている時は軽い絶望感を感じたのであったが。



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2013年9月16日 (月)

故あって「巨象も踊る」を読み返す

今の職場に入ると決まってとりあえず最初に読もう・・というか、読みなおそうと思ったのが、ルイ・ガースナーの「巨象も踊る」。今の職場とどういう関係があるかといえば、もうそれは察していただくしかなく※1

この本は発売した当時はそれなりに話題になっていたし、今でも大企業経営を語る上ではmust readの一つだと思うのだが、日本に帰ってきてAmazonで調べると在庫がない。。古本で買うのも何か気が進まなかったので、結局英語版をKindleで購入して読んでいたのだが、やっぱりどうも英語だと腰が重いのか中々読み進められなかった。
で、ダラダラとこのままゆったり読むかな~と思っていたところに、妻より「区立の図書館が大変充実してる」と聞き調べたところ、なんと所蔵している。しかも、徒歩10分の別館まで郵送してくれるそうな!・・・ということで、カッコつけて購入した英語版にはそうそうにあきらめをつけて、日本語版でサッサと読み終えたのであった※2

さて、この「巨像も踊る」、ざっくり言ってしまえば90年代の頭に経営危機にひんしたIBMに乗り込んで再生を成功させたCEO、ルイ・ガースナーの回顧録である。ガースナーはIBMの前にはナビスコ、その前はAME、その前はマッキンゼーといわば「経営のプロ」としてのキャリアを築いてきた人間である。そのガースナーが90年代当時、既に終わったと思われているIBMに入ってどのように経営を立て直したのか・・・というのがこの本のメインテーマである。

・・・と書くとかなり面白い話が出てくるのでは、と期待するのだが経営者の本としてはあんまり面白くはない。それほど厚くはない本で(日本語版で400ページ弱)、IBMの話だけではなく自分のキャリアや経営全般の話をしているので、全体としてはフォーカスされていない印象を受ける。同じ経営者本で、しかも会社規模が似てるとくればジャック・ウェルチの「わが経営」のほうがずっと詳細で面白い(そういえば表紙も似てる・・)。

それよりもこの本で素直にすごいな・・と思うのは、日本語版出た2002年の段階でかなり正確に現在のIT状況を予測していること。もちろん多少技術の形は違うが、2013年現在のマルチデバイスとサーバー側のクラウド処理はほぼ完全に読み切っている。
多少うがった見方をすれば、IT業界にいて主導的な立場にいれば「読んだ方向に未来をもっていく」というのは不可能ではないのだけれど、それよりもこれは、地道に基礎研究をすれば、少なくとも10年後までは見通すことが出来たのだ・・ということの証左だと思う。

考えてみれば、IT技術というのはムーアの法則ではないが、「誰が」「どのタイミングで」実現するのかということさえこだわらなければ、結構先の方は読みやすいものだといえる。アプリケーションに関して言えば、時々非連続な発展というのもあるし、10年単位での発展と言うのはかなり予想が難しい。
一方でハードが絡んでくるようなビジネスであれば、ある程度技術ロードマップはあるし、ほぼそのロードマップに沿って「誰かが」ブレークスルーを起こすのは間違いないわけで、お金と人がいれば、そのブレークスルーを買うという方法をとれば、ポジションを維持し続けることが出来るのかもしれない。

じゃあ、なんで会社自体は伸びたり凹んだりするのか・・といえば、それはまさしくこの本に書かれてることで、そのよみにどれだけ早く「ついていける」かどうか・・ということなんだろう。

ちなみに、IBMというのはアンチもいればファンもいるという意味では大きい会社らしいといえばらしいのだが、僕がいた中国では大変に尊敬を受けている会社で「給料はあまり上がらないが、なかなか人がやめない」会社としても有名である。僕がいたMBAにも採用のためにかなり偉い方がきたが、彼はガースナー以前も知っている生粋のBlue(IBMのイメージカラーである)で、IBMの素晴らしさを、それこそ涙を浮かべて話すような人であった。

個人的には、IBMのガースナー時代、それ以降の在りようをケースで学んだり、人から聞いたり、あるいは極めて近くから(笑)見ているので、必ずしもこの本の通りには言ってないと思うところもたくさんある。なんせ今でも数十万人が勤めている会社だし、僕がいたのはアメリカから遠く離れた極東なわけで、そりゃー全てが理想通りにはいかないよね、とも理解
はしている。

とはいえ、MBAを卒業して思うのは「でっかくて人がたくさんいる会社」にもやりがいというのはあって、それはたぶんスタートアップで色々切り盛りしたり、金融でガッツリ稼いでみたいな人生とはだいぶ違うんだろうけど、それでも価値と言うのはそれなりにあって、やっぱりそういう大きい組織から逃げてばっかりというのは駄目なんだろう、ということだったりする。
そして、そういう会社の方向を個人が変えていくということ、そして実際に自分が引退て既に10年を越えても何らかの形で足跡を残すというのは、人間としてとても幸せなんじゃないかと思う。もちろんその陰には数万人を超える人が仕事を失ったわけなんだけど。


※1・・・外資系ITコンサルタントで、この本が関連していると言えば一社しかないのでバレバレなのであるが。
※2・・・数か所訳がおかしいと感じたところがあったので、そのあたりは英語版で補足をしたりもした。買った以上ちょっとは読んでおきたいし。。。

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2013年5月12日 (日)

無事にCEIBSの卒業式に参加してきた

全然ブログが更新できないまま気づいたらまた一ケ月以上がたっている・・。仕事が死ぬほど忙しいというわけではないのだけど、なんとなく毎日まとまった時間をとることが出来なくて、blogを更新したり何かを読んだりと言う時間をとることが出来ずにいる。

・・・という愚痴をするのは別の機会とするということにして、今回は先日無事に迎えたCEIBSの卒業式について書いておこうとおもう。いろいろな人のお世話になり何とか入学したMBAも気付いたらあっという間の卒業式である。2013年4月28日、上海のCEIBSキャンパスで無事に卒業証書を受け取ることが出来たのだった。



■ 無事に卒業証書を受け取る

僕がすでに3月から日本で働いているように、MBAとしての学事日程はとっくの昔に終わっており、今回の卒業式は正真正銘の「セレモニー」である※1。とはいえ、卒業式というのは伊達ではなく、今回の卒業式で「卒業証書を受け取ることではれて卒業が認定される」ということになっているので、これまでは厳密にはMBA candidateのままだったのである。これは主にMBAランキングに関係するちょっとした工夫(というかトリック)なのだが、まあ僕のように「MBAだから採用します」というわけではない人間にとっては、どうでもいいことではある。

今回の卒業式、当然のように僕のように既に働き始めてしまった学生や、学務終了後に国に帰ってしまった学生もいるので、全員が参加するわけではない。スクール側もそういった事情は理解しているので、事前に申請しておけば自宅まで卒業証書を郵送してくれる。いったんアメリカから帰ってしまうと12時間近くかけてこの卒業式まで戻ってくるのはなかなか大変な話だ(とはいえ、今回はこのためにセルビアから戻ってきた同級生がいた)。

僕もすでに働き始めているので無理して戻る必要はないのだが、ちょうど4月29日が祝日でお休み、27日には同級生の結婚式があるということで、27日の早朝日本発‐29日の午後日本戻りという弾丸日程で上海に行くことにした。日本に戻ってたった二カ月とはいえ正直上海の空気を吸えるのはうれしいので、本音は会社を休んでもいくぐらいの気持ちである(新入社員なのでそんな我儘がいえたかどうかはわからないが・・)※2


ということで27日の朝は羽田から一路上海へ。鳥インフルエンザのこともあったので、万が一の可能性も考えて会社には「上海に行く旨」は伝えての万全の渡航である※2。特にトラブルもなく上海虹橋に到着すると、早速タクシーで市街へ。さすがに5年半もすんでいただけあって、「来た」というよりも「帰ってきた」と言う感じである。

その晩はスクール近くで行われた同級生同士の結婚パーティーに参加した。他のMBAは知らないのだが、うちの学年は実に多くの学生が在学中に結婚し(てしまい)、最終的に同級生間で4カップル8人が結婚し、学外の人との結婚も含めると13人が結婚しているという「勉強しに来て何をやっているんだ」と言われても仕方ない学年である(ちなみにその中には自分も含まれている・・・)


今回参加したのは、同級生同士の結婚の中でも最もユニークなカップルである、新郎は韓国人、新婦は中国人(かついわゆる国内の”優等生”)という組み合わせである。なんかこれだけ聞くといろいろ大変なことがあったのだろう・・・と想像していたのだが、まったくそんなことはなく極めてスムーズに結婚は進んだらしい。

僕は新郎とは同じサークル(自転車サークル・・)に属していたのと、酒好きでよく酒を飲みに行ったという関係でパーティーに参加してきたのだが、実にアジアらしいパーティーで、新郎新婦はひたすら飲まされていた。こちらは数カ月ぶりに会う友人たちと一日前にあうことができたことがうれしくていろいろ進路の話をしていたのだが、新郎新婦はひたすら飲まされている。これは卒業式の出席は出来ないのでは・・と思ったら、案の定翌日の卒業式は二人とも仲良く欠席していた。。。


さて、その卒業式。当日は朝から昼まではフォトセッションということで「良く欧米の卒業式で見るガウン」を着込んで写真撮影を行った。これを前に来たのは工学系修389137_10201331295911239_123323030_士を出た時なので、9年ぶりのコスプレである。もう一回ぐらい人生できるチャンスはあるだろうか。。
もう大人になっているからか一応欧米系のschoolだからなのか、パートナーを連れての撮影をする学生も多い。自分も一緒に暮らし始めてから痛感したのだが、忙しい学生生活に家族を連れてくる場合は、パートナーや子供の協力はかかせない。せめてこういう場に一緒に参加して感謝を表すのはある意味当然という気もする(ということで、我が家も一応二人で撮影をしてきた)。

この卒業式の写真はMBA生活の一大イベントなので、いろいろなところに使われるのだが、僕もなぜか小冊子に利用する写真撮影メンバーに選ばれてしまい(日本人を出したい意向でもあったのだろうか・・)、個人の撮影が終わった後は2時間ほどあれやこれやで撮影に参加した。もしかしたら、来年以降でCEIBSを受ける方は、変な格好をした僕の写真を見ることになるのかもしれない。。


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卒業式自体はよくある卒業式で、偉い方が来て(偶然にも自分が日本で働いている会社の中国法人のTOPだった)、学生代表が挨拶をして卒業証書を受け取るというもの。ただ、日本の卒業式のように厳粛なものではなくて(そういえば大学院の卒業式も相当適当だったが)、各人が卒業証書を受け取るためにステージに上がった時にはいろいろ掛け声をかけたりするのもOK。ひどいのになると、昼から飲ん
でいる瓶ビールをそのまま式 場に持ち込んでいたりもした。

まあ、最後なので何をやってもOKである。


■ 終わりではなく通過点20130429_190542

卒業式の後は家族にお礼をするという名目でディナーをスクール内で食べて全てのイベントは終了。MBA生活の終わりというにはあっという間の二日間だった。

正直言えば既に働き始めた段階で自分のMBA生活は終わったという気がしていたのだが、今回自分が式に参加してみて感じたのは、意外にも「終わりではなく通過点」という感覚だった。

一昔前であれば、卒業式を終わればもう二度と会うこともないかもしれない・・・と感傷的になることもあったし、実際に小中高校ぐらいまではそういう感じだった。だが、今は一度知り合った人に関してはFacebookで近況はほぼリアルタイムでチェックできるし、親しい友人とはChat用のアプリでほぼ毎日連絡をとりあっている。
むしろこれからは「ずっと一緒にいなかった」分だけ、世界のどこかで会うのが純粋に楽しみであるという気分である。


そして何より、我々が通っていたのはどんなにどんちゃん騒ぎをしていたと225642_10201212864827877_1703466953してもビジネススクールである。これから各人が進む道が時には絡み合って、時には支えあってということを考えるだけで、純粋に心が躍る気持ちになる。
MBAは「終わり」でも「始まり」でもなく、自分の人生の一つのマイルストーン。これぐらいの 気持ちで日本での日々を過ごしていきたい、そんなことを思った卒業式だった。

また(遠くない未来に)アジア圏に戻るまでは、日本で力を蓄えるのです。



※1・・・最後の学期に授業をとらなければ1月の第二週で、最後の学期に授業をとっても2月中旬には学務日程はすべて終了となる。
※2・・・いちおう入社時に人事には伝えてあったのだが、当然自分の上司はそういった話は聞いておらず。それでも快く送り出してくれた。まあ、休み中の動きなので何か言うこともできないのだが。。。

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2013年3月10日 (日)

新生活始動とともに、blogのタイトルを変更しました

日本に帰国してから2週間。ようやく帰国と就職にまつわる膨大な事務作業の終りが見えるようになり、一息をつけるようになった。5年半の間になくなってしまった書類も随分あるし、そもそも今とはだいぶ自分の状況も違っていてかなり適当に処理をしたものもあったので、おかげでほとんど全ての公的書類を一から出し直しているような気すらした。

仕事に関して言えば3月1日から出社しているのでとりあえず一週間は過ぎたのだが、実際の仕事をはじめたわけでもなく、ただひたすらこちらも事務処理をして、入社研修を受けているのみなので自分がそれこそ何をやるのかすらもまだよくわかっていない・・・。何せ世界中に支社のある会社なので、覚えることも膨大にあるし、情報入力だけでもとても一日では終わらない規模である。こちらもゆっくりとスタートを切れればと思っている(あまりゆっくりだとクビになってしまう危険性があるけど)


さて、そういうわけで少しずつ日本での生活も慣れ始めたところで、気分を一新しようとblogのタイトルも変えてみることにした。新しいタイトルは、これまでのMBA生活と、そして日本に戻ってきている気持ちを率直に表すということで"Outsider's eye"としてみた。タイトルとしては本当はそれだけでもいいのだけど、日本ではまだあまりいないCEIBSの卒業生としては、これからも母校の情報を引き続き載せていきたいとは思うし、また実際にCEIBSの情報を目的に来ているかたも結構いるので、そのあたりも入れ込むようにしている。

正直にいえば、自分が入った会社のことを考えると今までのMBA生活のように自由な発言をすることはできなくなるし、本来は実名や所属を出して自分の立場を明確にしたほうがよいのだろうか・・ということも悩んだのだけど、家族が出来た今となっては実名をデカデカと載せるのはやめておいたほうがよいだろうということで、TOPページには引き続きニックネームだけとすることにした。会社名に関しても、わかる人にはわかるだろう・・というレベルのままで実名を載せることはとりあえず控えている。


このblog、数回のタイトル変更を経てもう5年近く書いているのだけど、今までは上海のことを書いたりMBA生活のことを書いていたのが、日本に帰ってくるとごく普通のサラリーマンの日記になりかねない(爆)。そうなるのを避けるためにも、これからもアジアの話をメインに、自分が日本で学んでいることを書いていきたいと思う。
MBAが終わったとはいえ勉強が終わったわけではないし、電子書籍が普及してきたとはいえ、中国関係はまだまだ本でしか手に入らないものがたくさんあるので、そういうものを一つ一つさらっていきたいと考えている。MBA生活のエピソードで書けていないものもまだまだあるし。


タイトルの理由についても説明しておきたいと思う。
一つには、5年半いた中国をいったん離れて「外から」中国を見ていこうという気持ち。中国の中にいると物理的にも電子的にも容易に隔離されてしまうことから書けないこともあったし、手に入れずらい情報と言うのもあった※1。もちろん現地でしかわからないということもものすごくあるのだけど、同じ都市に5年もいて慣れてきたことを考えれば、少し距離をとって広く見るという意味では、今回の帰国と言うのは「より中国を知る」ための一つのステップにしたいと考えている。

二つ目には、5年半もいたのに結局自分は最後まで中国では「よそ者」だったという、その気持ちを忘れたくないということがある。中国語も話せるし友人たちもいても、それでも何か核心に触れたということが出来ない、そういう気持ちを持ったまま中国を離れることになったというのが嘘偽りのない今の気持ち。

世の中にはたくさんの立場があり、いろいろな言葉があふれているけれど、やはり母国以外の国に行って、自分が「そこに同化」したと感じるのは決して容易なことではない。個人的には、そこの国の人と結婚するか、受け入れる側が「対応可能な何かしらの条件と態度」を常に出し続けてくれる・・そんな環境でない限りには、なかなか自分が同化していると感じることはできないのではないかと思うようになった。・・・そして、僕がいた国は中国である。


最後に、自分が日本に帰ってくると、今度は「自分が海外で長く暮らしていた」ということをそこかしこで痛感する羽目になるだろう・・ということを今から覚悟しているということ。
もともと日本で働くよりももっと広い世界で働きたい・・と思って海外に出たことを考えれば当たり前という気もするが、やはり帰ってきても自分のリズムと社会のリズムと言うのはずれているなというのは実感する場面がたくさんある。きっとこれからも、ちょっとした違和感、ちょっとした擦れ違いを感じたり、あるいは「ああ、やはり海外で暮らした人間は変だな」と思われる場面はたくさんあるだろうと思えば、今からそういう心構えでいたほうがずっと気が楽だという気もする。

日本を出る時には「もう二度と日本で働くことはない」という気持ちをもって出て行ったのだけど、いろいろあってもう一度戻ってくることになった。ただ、昔はOutsiderであると感じることにどこかしらの寂しさというか、不適応であることに対して構えた気持ちがあったのだけど、今は幸運にもそういったことは感じることはなくなった。これからの少なくとも数年間は、自分のいた場所・いる場所をあたかも遠くから見ているように判断出来る、そういうことに喜びを感じながら生きていきたいと思う。


ということで、ダラダラとなってしまいましたが、過去のコンテンツもそのままに引き続きblogを続けていくことといたしましたので、今後ともよろしくお願いいたしますm(_ _)m


※1・・・VPNを使えば越えることが出来るとはいえ、twitterもFacebookも規制されている中国はやはり「壁の中」である。

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2013年1月12日 (土)

[告知]中国トップMBA説明会開催@上海

来たる1月19日(土)、チャイナMBAマネジメント協会主催で「中国トップMBA留学説明会」が上海・虹橋にて開催されます。

現在上海にお住まいでMBAに興味ある方がいらっしゃいましたら、是非お越しください。
残念ながら僕は所用で上海にいない予定のため参加できそうにありませんが、僕の同級生がCEIBSについても説明を行う予定です。

(以下貼付)
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中国ビジネスに従事するビジネスパーソンである我々を取り巻く環境はより複雑化し、また要求される能力も日々高まっています。この難題に対して、中国MBAへの留学を経て中国ビジネスに深くコミットする日本人が増えています。

今回、日本人卒業生・在校生をプレゼンターに迎えまして、中国トップMBA校への留学説明会を上海にて開催することとなりました。またとない機会ですので、ご関心のある皆様はぜひご参加ください。

<内容>
中国MBA校の日本人卒業生&在校生による以下プレゼンテーション(各約20-30分)

  • MBAプログラムの概要説明
  • 留学を通して得た知識・経験・人脈
  • 卒業後のキャリアディベロプメント 等

<対象者>
中国ビジネスに従事している以下ビジネスパーソン及び人事担当者の方

  • 将来のビジネスパートナーとなる優秀な同世代の中国人や欧米等外国人仲間を得たい方
  • 中国ビジネスを理論的、体系的に学びたい方(中国事業戦略、マーケティング、投資・ファイナンス、人事組織管理など)
  • 英語と中国語をマスターし、トリリンガル人材として中国を基点に世界中で活躍したい方
  • 中国MBAを自社社員の育成機会として検討しておられる人事担当者 等

<開催概要>
日付 :2013年1月19日(土)
時間 :13:30開場, 14:00開始 17:00終了
場所 :長江商学院 上海キャンパス 上海市虹桥路 2419 号
行き方:地下鉄10号線 上海動物園駅より徒歩10分 (代表TEL:021-6269-6677 中国語のみ)

【発表予定プログラム】

  • 清華大学経済管理学院(英語MBA)
  • 長江商学院(英語MBA)
  • 中欧国際工商学院(英語MBA)
  • 中山大学嶺南学院(英語MBA)

【卒業生・在校生の在籍・出身企業】
三菱商事、テルモ、三井倉庫、野村総合研究所、リクルート、東京海上日動火災保険、オリックス、日興シティグループ証券、BNPパリバ証券、矢崎総業、国土交通省等

参加費:無料9c65c373
主催者:チャイナMBAマネジメント協会
     (HP:http://cmma.biz/)
協賛者:長江商学院
使用言語:日本語
問合せ先:菊地 敬 ask.tuck@gmail.com
(右地図は開催場所のCKGSB(長江商学院) 上海キャンパス地図になります)

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2013年1月 6日 (日)

第74週目終了! -Term 6 にて最後のまとめ期間 -

三週間の冬休みも終わり、中国では1月4日から最後の授業が始まった。今年の日本はカレンダーの都合で結構長い休みをとることが出来ている人もいるようだけど、新年といえば「旧正月」を意味する中国では3ヶ日だけが休みである。そのうえ、その休みの幾分かは埋め合わせが行われるので、カレンダーによれば1月4日から8日間連続勤務となるような会社もあるようだ。
うちのschoolも最後の授業は集中授業形式ということで、5日間連続で授業が行われることになっており、本日は折り返し地点の3日目が終わったところである。単位も全てとり終わったことが確定したので、本当にMBAとしては最後の授業を堪能している第74週目も無事に終了。



■ MBA最後の授業 -Simulationで経営ゲーム- ■

長いようで短かった18カ月もあっという間に終わり、Exchangeに行っていて同級生も全て上海に戻り、今週は最後のIntegrated Simulationの授業が行われている。この授業、1チームを5人から6人に分けて、1つの会社を担当し、期間内で自社の価値を最大化させることを目指すというゲームである。

ゲームと言ってもかなり本格的に作りこまれていて、全てのデータを見て意思決定をするというのはとても不可能なほどデータは多いし、とりうる手もかなり豊富に設定されているので、各チームは限られた時間の中で、自分たちが最善となる手を打たなければならない。またデータの範囲は製造やFinancial Statementといったものだけではなく、Marketing dataやTechonologyなどかなり広い分野をカバーしている。このゲームで勝利しようとしたら、自然とMBAで学んだ範囲を応用しなければならない・・というように設計されているといえるだろう。


意思決定の方法は各チームに任せられているが、多くのチームは各メンバーの嗜好と得意分野にあわせて、製造担当/Finance担当・・・のように割り振りを行って手分けをして作業を行うようにしているところが多いようだ(最初のガイダンスでそのようにするように求められているということもある)。なぜか自分は理系院卒ということで、テクノロジー調査やR&Dに関する意思決定を行うという役目になった。

最初はいったいどういうゲームなんだと皆目見当がつかないまま各チームがスタートするのだが、少し経つとこのゲームの面白さがわかってくる。自分の打った手によって、結果が大きく動くというのはもちろんやりがいがあるのだが、それよりも各メンバーが自分に割り振られた「役割」に忠実に動いて、実際に議論の時にそれが反映されるのが面白い。


例えばテクノロジー担当(僕の担当だ)はかなり長期的な視点にたってR&Dセンターの建設を早期に行いたいと思っているし、Marketing担当はそれよりも短期的な商品改善をしたいと思っている。オペレーション担当は在庫を残すよりは、多少需給ひっ迫しているほうがいいのではと考えているし、CFOはおかねを使いたくない・・。という感じで、みなちゃんとそれぞれの役割に沿った行動をするようになるのだ。

もうひとつは、最初は皆色々な分野に首を突っ込みたがるのだが、ある程度時間がたつようになると明確に「自分の範囲」だけを気にするようになる、ということ。よくある「組織が硬直化する」という問題が、わずか5-6人の作業でも見られるようになるのだ。こうなると各担当者の処理能力と分析能力が露骨に結果に反映されてきて、なるほどMBAで学んだことは情報量が非常に多くなると役に立つのだな~とわかる仕組みにもなっている※1。自分の役割としては、いかにテクノロジーへの投資を正当化するというのが難しいというのもわかった※2



■ やりたいことはわかる、が中国はそれを許さない...■

正直、実際にソフトを触るまでは「最後にみんなで集まって、適当に時間をつぶして終わりなんだろう・・」と思っていたのだが、始まってみると学べることが非常に多い科目で最初にもこれをやっておけば、MBAの知識がどれほど役に立つかわかるのに・・と思うほど有意義なこの最終授業。しかし一方で、中国という場所がそういったありがたみを遠慮なくブチ壊してくれるのであった。


まずこれはschool側の手配の問題なのだが、200人近くが5人ずつチームを組んで40チームともなると作業用の部屋数が足りず、かなりのチームが「会議室の外」で作業をする羽目になっている。一応建物の中で暖房もお情け程度にはついているのだが、はっきり言って1日を過ごすことなど想像できないくらい寒い。

不運にも僕が所属しているチームもこの「会議室の外組」になってしまったのだが、外につながるドアにもっとも近い場所が割り当てられたため、とてもではないが座って作業をするような気になれない※3。集中力は始終吹き込んでくる風に削られ、各メンバーがひざ詰めで話し合うということもなく、パフォーマンスも落ちていく。4日間も続くのだから、毎日部屋をシャッフルすれば条件もフェアになると思うのだが、こういったことをしないのは何か理由があるのだろうか・・・(たぶん、何も考えていないだけだと思う)。


この件についてはschoolのアレンジの問題で解決可能なのだが、もうひとつの問題はそういった個別の事情を無視して対応が不可能な問題である。
このblogでも時々触れているのだが、中国というのは国を挙げてインターネット規制をしている国の一つである。始まった当初は一部のページにアクセスできない程度だったのが、年々システムの能力は増強されており、今ではGmailすら開けない時があるほど日々の生活に影響を与えている(特に外国人に)。

色々な面で「とりあえずやってみよう」精神が発揮される中国のこと、このシステムだけ精緻にコントロールされるというわけもなく、時々中国人が「自分の大学のページにアクセスできない!」というようなトラブルも発生したりするのだが、今回のシミュレーションでもその能力をいかんなく発揮してくれたのだった。


教授の説明によればそういったことも事前に考慮して業者側と相談しておいた・・とのことだったのだがら、システム側が12月に増強されることまでは予想できなかったに違いない。本来なら各メンバーがそれぞれ自分のPCからシステムに接続できるはずが、レスポンスが返ってこないということが多発し、結果として各チーム2名までしか接続はまかりならん・・ということになった。

さらにいえばこの2名というのは「最大値」なので、システムのご機嫌が斜めの場合に1人も接続できないということも発生するチームもあり、フェアな競争などそもそも出来ないという状況になったのであった。何と言うかいつもの通り「やりたいことはいいのだけど、実現がイマイチだね・・」という状況になってしまったのである。


今回の最終授業、学生側も「まあ最終ということで・・」ということで特に騒ぐ学生もいなかったのだが、年々増強されている規制システムを考えると来年辺りには「そもそも接続が出来ない」ということになったとしてもおかしくはないと思う。
そもそも外国人にとってYouTubeやらFacebookに接続できないというのはかなりの苦痛だと思うし、Gmailに至っては家族と連絡できないというようなリスクすら発生してしまう可能性があるので、そろそろこの規制問題はschool上げて取り組むか、現実的に考えて難しいのなら、せめて入学の手引書に書いておくべきレベルだと思ったりもする。


※1・・・通常読んでいるCaseレベルだと、情報量がそれほど多くないので構造化する必要を感じないこともあるのだが、今回のソフトではかなりのデータを見ることが出来るし、一回の意思決定に2-3時間しか使えないのでデータのまとめ方は非常に重要。
※2・・・使っているソフトウェアだと他社の研究開発の動向が「後追い」でしかわからないので、予想をたててやるのだが、だいたいMarkteing担当に予算を分捕られてしまうという結果に。。。
※3・・・(追記)予想通り授業期間終了後に熱を出して寝込む羽目になった。ひどい話である。

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2013年1月 1日 (火)

Happy New Year & プライベートのご報告

早いものでMBA生活にどっぷり浸かった2012年も終り、2013年を迎えることとなった。昨年は自分史の中でも結果的に1・2をあらそう激動の年になり本当に未来に向けてかなり方向性が見えた年になったな~ということを感じている。このblogも色々と宿題は積み残しているものの毎週の更新は何とか続けることが出来た。

MBA生活も残り実質的に二週間という状況になってしまったので、今年はMBAというよりは卒業後のことを考えているのだが、毎年続けている1年の抱負を今年も書いていこうと思う。


■ 昨年の振り返り

毎年懲りずにかいていることのメリットの一つに、自分でも年明け二月ぐらいにはすっかり忘れている「一年の抱負」を振り返ることが出来るのがある。昨年も例年通り、書いた内容をすっぱり綺麗に忘れていたので、先ほど見返してみて「2012年の自分の抱負」に自分で驚いた。。ということで、恥ずかしながらの振り返りをしてみよう。

(1) 中国でHSKをとる! →  ×(結局何もできずじまい)
(2) 仕事の獲得!      → ○(2012年中に次の仕事の確定完了)
(3) 原点に戻る!   →  △(全体的にMBAっぽくはなったはず・・)


まず(1)の中国語のことだが、実際に生活をしてみるとTerm2は変わらず授業で忙しく、term3以降はず~っといろんな内容でインターンをやっていたので全然時間が作れず、実質的に時間が出来るはずの9月以降は後述する私的な理由で時間をとることが出来なかった。・・・非常にいいわけ臭いが、中国語に関してはこの1年間で想定の10%ぐらいしか進まなかったというのが正直なところだった。。

次に(2)。9月の反日活動以降で大きく方向転換をした就職活動だが、多くの方の支援をいただき、無事に12月までにいくつかの会社から内定をいただくことが出来た。現在は最終的なオファーレターにサインをするのみ・・という状況になっており、この目標に関しては自分で満点をあげてもよいのではないかと思っている。実際にどのようなところに就職するのかということに関しては、正式な入社内定通知書をもらった上で会社のソーシャルポリシーを確認しないといけないので、現時点では秘密ということでご了解をいただければと思います。

最後に(3)だが、これは非常に自分では判断が難しい。もともとYes/Noで答えることや、数値化できない目標を設定していたからというのが判断が難しくなってしまう一番の理由なんだけど、個人的にはTerm3のプロジェクトで同じグループのメンバーから学んだり、Internでいろいろなお仕事をして、だいぶ数字で考えるということについて慣れてきたんじゃないかというのは実感している。
Term1を終わっただけの段階に比べれば成績も少しずつ上昇していったし、レポートでもジャーナルを引用したりインタビュー結果をまとめたりということで自分らしさを発揮できたのか、高得点をもらうこともできるようになった※1。自分が描いていたMBA生活ほどには成果を出すことが出来なかったという点を割引くと、△というのが妥当なところだろうと感じている。


■ 今年の抱負

さて、続いて今年の抱負・・というところなのだが、正直言うと今年はあんまり具体的な抱負はないのである。。というのも、MBAというある意味短期的なプロジェクトは無事に終了を迎えつつあり、今年は遠からず次の仕事を初めていることを考えると、当然最初の抱負は「仕事を頑張る」以外ありえないからだ。

MBAはビジネスを勉強するといってもやはり広く浅くになってしまうし、現実のビジネスと比べた場合に「自分で自分の目標を設定できる」という大きな違いがある。また、現在方向性と考えている進路は、過去経験とは遠くもないが近くもないという領域なので、当然勉強しなければなららないことも非常に多い。新卒というにはかなり年をとってしまったし、いただく予定の給料も新卒の時よりはかなり多くなっているので、一刻も早く自分の場所を作るためにまずは全力で次の仕事に打ち込むつもりである(というかそうしないとクビになってしまう・・)。


また、もうひとつの理由としてはすぐ後述するように私生活が大転換を迎えてしまったので、とにかくまずは健やかに暮らすという、当たり前ではあるが自分には難しい目標が出来たからだ(ここまで書けばもうバレバレですね。。)。どのような生活になっても過去一年間の平均よりは睡眠時間は減るだろうし、プレッシャーも増えると思う。そうなった時に、どれだけ自分の心と体の健康を保てるかというのは一つの大きなチャレンジだと思うし、これからはそのことを常に念頭に置いて生きていきたいと思っている。


ただ、抱負というか方向性としては、今後の職場を念頭においた時により中国についての多面的な内容をもう一度勉強しなおしたいという気持ちはすごく強い。もともと「中国におけるビジネス」を学ぼうと思って今のschoolに入学したのだけど、昨年の反日活動にも見られるように『中国』という存在はビジネスを考えるのにあたりビジネス以外のことも考えなければならない国である、ということをますます感じるようになった。

そのためには歴史や思想、政治や外交関係、そして戦略(ビジネスにおける戦略ではなく、War study)も広く学ぶ必要があるのではないかと思っている。もちろん僕の生きていく場所と言うのはビジネスというのは変わらずに思っていることなんだけど、年齢的にもキャリアのステージ的にも業務では深堀を、それ以外の時間では意識的に広がりを・・というのを志向したほうがよいのではと考えるようになった。
具体的にどのような内容を学んでいくのか・・という点についてはある程度心の中にはあるのだけど、これも自分のキャリアを明確にして段階であらためて書くようにしたい※2



■ 私的なご報告

今回のエントリーでも書いてきたように、2012年というのは自分にとってとても大きな出来事があった年でもあった。あらためて書くと、上海で出会った日本人女性と結婚をすることになったのである。


実は8月には結婚を決めていて9月からは上海市内で一緒に生活を始めていたのだが、自分が学生の身であり少なくとも次の方向性が決まるまでは公にしたくなかったこと、上海で暮らしているために家族やお世話になった方々に報告をする時間をもてなかったこと等から今まで発表を控えてきた※3
今回自分の方向性がおおよそ固まったことと、授業の合間に自分の近しい人に直接報告をする機会をもてたことで、このように発表をすることが出来るという次第。

MBA生活を過ごす中で、次にどこで働くかわからないという感覚をずっと持っていたし、これからの長い人生をず~っと一人で頑張るほどキャリアへの執着心も強いわけではないということをなんとなく感じてくるようになった中で、ぼんやりと一生のパートナーを見つけられたら・・とは思うようになっていたのだけど、まさか自分が2012年中に結婚を決めるようになるとは思いもよらなかった。


妻となる女性とはMBA生活の初期に上海で出会い最初は遠距離での関係だったのだが、気が付いたら結婚まであっという間に決まったということで、つくづく人生というのはわからないものだと感じている※4。僕はこのblogでもわかるとおり、ダラダラと考えることも多いし一緒に暮らしやすい人間では決してないと思う。また学生と言うことで無職の上に就職先も決まっていなければ、働く場所も決まっていないという不安定な生活だし、何よりたんまりと借金も残っていて少なくとも数年間は裕福な生活はとても送れそうにない。

そういった色々なマイナスがあるにもかかわらず、一生をともにしたいと言ってくれた妻にはとても感謝をしきれないし、またこの広い大陸で自分を見つけてくれて本当にありがとうの気持ちでいっぱいである。自分がこれからどれだけのものを生み出し共有できるかはわからないのだけれど、自分の命が終わるまで出来る限り長く側にいられたらいいな、と思っている。今後もこのblogに登場することは恐らくそう多くはないと思うのだけど、自分に起こった大きな出来事として、このようにご報告をさせていただきました。


ということで、2012年は学業・仕事・私生活の全ての面で大きく動いた年になりました。2013年はその動いたことを一つ一つ固めていき、これからの長い人生を過ごす上での新しい基盤を作る年にしたいと思っています。あまり更新頻度も高くなく、ダラダラとした話を続けているblogではありますが、本年もよろしくお願い申し上げます。


※1・・・一方でやはりレトリックや表現能力という点においてはnativeにはどうしても勝てないな~と痛感した一年でもあった。英語能力はすぐには伸びないので、今後も継続的に勉強し続けるしかない。。
※2・・・我ながら奥歯にものが挟まったような書き方で切ないし申し訳ないと思っているのだが、ご了解いただけるとありがたいです。
※3・・・実際に生活拠点が変わったりしたので、MBAの同級生たちには早めに伝えていたし、直接顔をあわせることが出来る友人たちには個別にお伝えをしていました。
※4・・・書類などを準備しないといけないので、実際の入籍は卒業後を予定している。

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2012年12月23日 (日)

第72週目終了! - 改善をもとめたい授業Best 3 -

先週末に日本から返ってきてからはほとんどイベントらしいイベントもない一週間で、夜はいくつかのイベントがあったものの、基本的にはschoolで運動をしては寝るということを繰り返した一週間だった。すでに就職活動はある程度形になっているし、来週は台湾で同級生の結婚式に参加することになっているので、今週はちょうどぽっかり空いてしまった感じである。10月に台湾に行った際にはとにかく食べ過ぎてしまってその後遺症が未だに残っているので、今回は出来る限り体を絞って行きたかったのだ。こんな感じで冬休みをゆるゆるとエンジョイした第72週目も無事に終了。


■ 改善をお願いしたい授業 ■

さて、今週は先週のエントリーとは反対に「MBA Officeにはぜひ改善をお願いしたい授業」3つを取り上げてみた。ぶっちゃけて言えばWorst3の授業ということになるのだが、前回も書いたようにこれはあくまで個人の嗜好が反映されたものだし、僕が選択していない授業の中でさらにひどいものもあった可能性があるので、あくまで「自分としては改善をしてほしい授業」という位置づけになる。

判断基準に関しては前回と一緒の基準としているが、改めて振り返ってみると圧倒的に「教授」の思いを高くして判断している気がする。エントリーの趣旨(改善をお願いしたい)から、どうしても教授とコンテンツに重点をおいてしまうのはご了解をいただきたいと思う。ちなみに順位はWorst3から発表。一番最後が一番(以下略)。


  • 第3位:Strategic Management(Term 2)

  • 名前の通り、純粋にStrategyを学ぶ科目。ある意味MBAの花形科目と言う気がするので、のっけからこの科目ってどうなのよ・・と自分でも思うのだが、あらためて全科目を見直してみても、この科目は自分の中でかなり不満足度が高いものだった。

    CEIBSの場合はある程度専門分野にあわせて3人の教授がStrategyの授業を受け持っているのだが、何と言うかそれぞれ一長一短があって誰一人として、個人的に満足な授業を展開してくれる教授はいなかった。また、質疑応答などもflexibiltyが足りず全体として「Strategyという科目で必要とされているToolを学ぶ授業」であって、「Strategyとは何なのかを学ぶ授業」ではなかったというのが自分の感想である。結果としてわかったのはStartegyというのは大変に難しい領域なんだな・・というだけである(爆)。


    またこれは教授も人間であり、また上海市がスポンサードしているうちのschoolで教えている以上仕方がないのだが、分析があまりにもデータとして取得可能なビジネス面に偏っているのも気になった。もっと言えばこれまでも時々言及しているように、中国において重要な側面である「政治的な影響力/有形無形の優遇政策」はほとんど考慮していないのである。

    中国で学んでいる自分としては出来る限り中国ビジネスに関連しているほうが嬉しいというのは本音だが、分析可能なことに制約が多いのであれば思い切って理論としてはもっと成熟している市場からのものを多用してもいいのではないかと思う。


  • 第2位:Responsible Leadership Project(Term 1)

  • この授業は日本でも今では一般的になったCSR(企業の社会的責任)について、実際にプロジェクト形式で学ぶというもので、うちのschoolのウリの一つとなっている科目である。なので、これをここにあげるのはある意味「うちのschoolのウリはイマイチですよ」と言うようで申し訳ないのだが、ある意味「改善を求められる」という意味においては最も当てはまっているともいえる授業である。

    まずこのCSRという概念、中国ではある意味「格好いいもの」として色々な有名企業が取り組みをアピールしているし実際に調査を行うと消費者の関心も非常に高い領域なのだが、実際はどうかというと、まだまだ目の届かない領域が多すぎるほどあるこの国では取り組みが一般化しているとは言い難い。つまり、こういったことに専門的に取り組んでいて指導できる人間があまりいない。そのため教授も自分でこの分野のコンサルティングを行っているビジネスマンで、この授業も彼のビジネスに関連していると言えなくもない。プログラム自体がいわば一つの「実験」なのだ。


    加えて、この科目はプロジェクト型授業と銘打っている割には必ずしも全チームにクライアントがあてられるわけではない。必ずクライアントを見つけてこなければならないという制限はないので、そこまでプレッシャーは強くないのだが、基本的にクライアントが見つからないチームは自分で想定するクライアントを設定しなければならない※1。言い換えれば「お客さんを自分で(勝手に)想定して、勝手に(自分たちで)問題を設定し、それに解を出す」ということで、投げっぱなしもいいところの授業である。

    「教授がアカデミックの専門でない」ということと「クライアントを自分で設定しなければならない」というこの二つがかけあわさった結果として、各グループがてんでバラバラのことをやってしまい、最後には「何だかよくわからないけど、とりあえず終わってよかったね」という感想をほぼ全員がもつという授業になってしまった。
    個人的には授業でとりあげるフレームなどは非常に興味深いものだと思っており、ちょっと惜しいな・・というのが正直な感想。もう少しオーガナイズされればよい授業になるのではと期待もしている。


  • 第1位:Chinese Economic Reform (English) (Term 3)

  • 残念ながらというかぶっちぎりで最下位に輝くのがこの授業。あまりにもひどかったために既に一回エントリーでも取り上げているので、ここでは同じことは繰り返さないでおくが、とにかく逆の意味で僕の記憶に強烈に残っている授業である。

    この授業はある意味非常に罪作りな授業で、友人も言っていたように「CEIBSに入る外国人は多かれ少なかれ、中国経済の発展については興味がある」のだが、そういった期待を木端微塵に砕いてくれるパワーがこの授業にはある。中国経済について深く理解していて、かつ英語でそれを説明できる人間が少ないというのもあるが、もう少し何とかならなかったのだろうか・・という思いは今でも消えない。

    ちなみに、今年の我々の評価が考慮されたかどうかはわからないが、交換留学生向けに当初予定されていた同内容の彼の授業はキャンセルされて、他の教授が担当をしていた。しがらみや中国人の官僚的な対応でが多いため極めて動きが遅いうちのschoolでは画期的なことだと思わず感心してしまった・・・。


ということで全体をまとめてみると、やはりどうしても必修授業のほうが満足度が低いのだな~ということがあらためてわかるランキングとなってしまった。必修授業に関しては入学前に自分でそれなりに想像を膨らませているために、どうしても期待と実際のギャップに腹が立ってしまうというのもあるのかもしれない。

また、実際には一つの授業について1エントリーをたてることが出来るくらいかけることがあるのだが、そういうのもあんまり生産的ではないし、自分で自分のクビを締めることになってしまうのでさらっと理由を書くぐらいにとどめておいた。


今回選んだ三科目でもう一つ共通するのは、仮に「MBAの指導層」という人材プールを想定すると、おそらく人材の層があまり厚くない部分だろうと想像されるということだ。実際にMBA生活を終える今となっても、やはり「中国ビジネスを理解しているて英語で自由に指導を出来る指導陣人材」というのはまだまだ薄いな・・というのが生意気ながらも率直な感想である。

こればっかりは一朝一夕に解決されることではないし、うちのschoolもIESEと共同でDoctorプログラムを立ち上げるなど、アカデミックな部分を強化しようとしていることは明らかなので、おそらく中国人でDBA(MBAの博士課程)を卒業した層がもう少し大陸に戻ってくるであろう、あるいは大陸でMBAを取得してビジネスの現場でExectiveになる人が増えているであろう数年後には、また現在とは違った状況になっていると思う。



※1・・・うちのチームもクライアントを設定することが出来なかったので、ある一名が見つけてきた資料をもとに勝手に課題を設定してプロジェクトを行った。その一名は本来はMarketingで自分が発表をしなければならない回の前日に奥さんと大喧嘩をしてまったく作業が出来なかったという理由でドタキャンをしたという負い目があったため(変わりは僕が徹夜して作業してどうにか終わらせた)、この科目では最後のペーパーは全てを自分一人でやってくれるという勇者になってくれた。

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2012年12月16日 (日)

第71週目終了! -よかった授業Best 3 -

Term5のテストも終了して、今週は日本に戻っていた。といっても東京に家があるわけでもないし、就職活動やらこれまでお世話になった方へのご挨拶ということで、あっという間に一週間がたってしまい土曜日には上海戻り。さすがに5年以上も海外にいると長期間お会いできなかった方もたくさんあり、一週間ほど戻っただけではとても全ての方にお会いする時間はもてない。毎回不義理をしっぱなしで本当にもうしわけない・・と思いつつも、東京はホテル代が高いので早々に上海に戻ってくるのであった。
ということで、三週間の冬休みもあっという間に終わってしまったMBA生活第71週目も無事に終了。


■ MBA生活でよかった授業 Best3 ■

Term5で僕は全ての単位をとり終わったので(不可が来ていなければ・・だが・・)、あらためてMBA生活の中で良かった授業/これはCEIBSとして自信を持ってお勧め出来る授業であると僕が思うBest3を紹介したいと思う。
こういうのは個々人の評価基準が全然違うので、なかなか参考になりづらいものがあると思うのだが、一応選択基準は以下の3つを設定した。


1. コンテンツの面白さ
MBAはいろいろ言われているとはいえ、「academicな学び」を求めているのは事実なわけでまずその意味から学ぶ内容が面白いかどうかというのは重要な視点だと思う。ただ、ここでいうコンテンツは「学ぶ内容」だけではなく、その他のCaseや読み物、ビデオ、ゲストスピーカーなどを含んだ総合的な内容を指している。

2. 教授
教授の何なの・・?と聞かれると難しいのだが、自分の中ではスマートさ×面白さ×熱意をあわせて「いい教授かどうか」という点を見ている。もっとざっくり言ってしまうと、その授業とこれからも付き合いたいか・・という点になってしまうかもしれない。。(我ながらすごく曖昧)

3. お役立ち度
MBAに来る目的は個々違えど、実際にその知識や経験を使ってまた実社会に戻っていくことを考えると、学んだ内容がどのくらい役に立つかというのは重要な視点。ただ、学びと言うのは一生ものでどこで役に立つかもわからないというのも事実なので、とりあえず卒業後短期的に役に立ちそうなものを選んだ。当然ながら、僕の指向が反映されている。


という結構かなり曖昧な基準で選択した僕的Best3は下記。


  • 第3位:Mergers and Acquisitions Management (Term 5-B)
  • M&Aというと、多くのschoolでは買収企業のValuationをどのように決定するか、あるいはそれぞれのstructureの比較をしてどのようなメリット/デメリットがあるのか・・という話をすることが多いらしいのだが、この授業はまったくそういうことには触れず、ひたすら「M&Aが終わった後に、どのように企業価値を向上させるか」ということをトピックとして話していた。いってみれば完全にmanagementによった話だと言える。

    僕はもともとどこかの分野でspecialistになるよりは、組織を率いる(気分としてはリーダーというよりも、率いるといったほうがふさわしい)ことを希望しているので、組織運営としては最も難しいM&A直後の話を聞きたいと思い授業を選択した。


    もともと教授がとある欧米系大企業でM&Aの後の統合プロセスをIT畑として長年手がけて最終的に失敗したという経験を持っているので、話がどうしてもITによってしまうというところを一部学生からは指摘されていたのだが、僕はもともとIT畑であるし、むしろ「いかにITの統合は大変なのか・・」ということを繰り返し話していたので、興味深く聞くことが出来た。

    この授業の良かったところは、とにかく教授が熱意あふれる方だったこと。毎回自分の人脈を使ってゲストスピーカーを呼んできては、自分が一番多く質問をするほど深く話を聞いていたし、毎回の授業の最後には"1 minute paper"と称して、授業の中でわからなかったことを確認して次回の授業までに準備してきてくれるということをしてくれた。MBAの教授はとにかく忙しくて、あまり捉まえることが出来ない人が多いのだが、この授業については少なくとも授業中の疑問は100%解消することが出来た・・という意味で、とても満足度が高かった。


  • 第2位:Managing Business Marketing & Branding (Term 5-A)
  • タイトルだけ見ると何の授業か全然わからないが、B2B Marketingについての講義である。教授が実際に営業や営業企画を経験した後に、Academicの道に入ったということで、色々な中国B2B営業の裏話をしてくれるというのが非常に魅力的だった。彼に言わせれば、やる気がある営業を採用して、常にmotivationを高く保てればB2B Marketingの7割は成功らしい。。

    B2B Marketingというのは、いわゆるMBA的なMarketingとは違い、これといった教科書はなかなかなかったりするらしく、この授業ではとにかく教授が必要と思っている内容をいろんなところからPick upして紹介するというスタイルをとっていた。このように書くと、てんでバラバラな内容になってしまっているように聞こえるかもしれないが、実際には第1回から最終回までしっかりと構成がされており、一通りの内容を理解することが出来るようになっている。


    この授業の良かったところは第3位と同じく教授の熱意なのだが、この科目では毎回ケースを読ませて小レポートを提出させるというのが非常によかった。この授業以外でもほぼ全ての授業でケースを読むということが一応のところ義務になっているのだが、この授業では教授が全ての小レポートに目を通してちゃんとFBをくれるというのが、非常に満足度が高かった要因である。

    やはり自分が書いた答案に対して、点数がつきどの観点がよくて、どの観点が悪かったのかを明確にしてくれるというのは非常に学生としてはうれしいものである。


  • 第1位:Entrepreneurial Management (Term 3)
  • 文字通りベンチャーをどのように運営するか・・ということを取り上げた授業である。全7回と短い授業ながら、どのようにopportunityを見つけて、チームを作り、お金を集めて、Exitするか・・ということを一通りカバーするように授業が設計されている。

    この授業、おそらくアンケートをとればかなりの学生がお気に入りに入れると思うのだが(実際、教授は毎年Awardをもう一人の教授と争っている)、とにかく学生を飽きさせないように工夫がされている。ビデオを利用するのはもちろんのこと、学生を急に指して緊張感を持続させたり(これをcald callという)、ゲストスピーカーを数人呼んで簡易的なセッションを行ったりと、3時間という長い時間を感じさせない授業を展開してくれる。

    またこの授業、最終的な成績判定はテストではなく「実際のアントレプレナーに話を聞き、内容をまとめる」という課題をかすため、無理やりにでも実施のアントレプレナーと触れないといけないという設計になっている。必修授業でこれは中々に大変な課題ではあるのだが、結果として逆説的に「スタートアップを立ち上げるというのは、理論通りにいかないのだな」ということを実感させてくれる授業でもある。


    惜しむらくは、この授業の長さではとても全てを深くカバーできないため、この授業を聞くだけではスタートアップを成功させることはできないだろう・・ということである(これは他の授業でもおそらく同じだが・・)。僕は自分がMBA入学前に既に一回スタートアップを体験しているので、「あるある・・」と思う場面が数多くあったが、そういった経験をしていない学生がどのくらい得るものがあったかというと、中々判断は難しい。


こうやって自分で振り返ってみると、Best3をピックアップといっても極めて個人的な志向や経験が反映されていて、なかなか一般的に通用するかどうかがわからない感じがする。特に僕はMarketing系なのでそういった授業を多く取っているが、Financeを希望している人は全く異なった経験をしているし、その中で自分にあった授業を選んでいくのだろうと思う。

またこれはある意味しかたないのだが、全体的には必修授業よりも選択授業の方が満足度は高い。選択授業は当然学生数が少ない(最大で60人までと制限されている)ので、教授の目も行き届くし、そもそも自分が「選んで」学んでいるので、そもそものmotivationが高いというのもある。
必修授業の場合は内容が基礎的なものも多いし、選択授業と比べればcommunicationの数も減ってしまう。さらにいえば「教授が興味を持っていることを教えているわけではない」というのもあり、後から振り返ってみれば、選択授業のほうより多くを学べたような気がする※1。ただうちのschoolの場合、必修のMacroeconomicsには毎年学生の人気ナンバー1の教授がいるので、それでかなり救われている部分はあるかもしれない。


僕は入学当初は「Marketing専攻」というタイトルが欲しい・・と思っていたため、そのために必要な授業をとろうと思っていたのだが、Term3辺りからそういったことにこだわるよりは面白そうな授業/過去に評価の高かった授業を選択しようと切り替えたのが結果としてよかったように思う。
やっぱり例え授業の選択一つでも自分で調べて自分で判断と言うのが、人生の満足度に影響してくるのだよな~と、あらためてこの順位を見ると思ったりするのであった。



※1・・・これは日本でも同じで、必修授業を教えるよりも自分の専門を教える方が教授としても楽しいらしい。
※2・・・彼とは個人的にも親しくしており、大変僕も尊敬している教授なのだが、そもそも学ぶ内容が基礎的すぎたということでBest3には入れていない。

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