部下の退社 -中国就職事情
昨日、1月から僕のアシスタントをしていてくれた女の子が『退職をしたい』と突然告げてきました。なんとなく元気がない感じだったので、「このごろ元気ないけど、大丈夫?仕事が大変?」と聞いた答えがそれだったので、かなりの驚きをもってうけとめました。
よく話を聞いてみると、春节(旧正月)に実家に帰省した際に、母親から相当強く反対されたようです。
女の子は外資系などの企業に勤めるのではなく学校や政府、公務員といった職業のほうが安定的でよい、また学校に勤めれば休みのたびに実家に帰省することが出来るではないか、ホームシックになってもすぐに休みがくるでしょう・・・、ということです。
彼女は大学院を卒業している(今度の三月に卒業予定)のですが成績も優秀なため、大学の先生からもこれからも勉強を続けることを進められているとのこと。
この二つにあわせて、彼女の「一生勉強を続けて行きたい」という思いもあり退職したいという意思が固まったようです。
こういった場合日本ではいろいろな説得方法があると思うのですが、今回はしっかりと話を聞き疑問点が解決したところですんなりとOKをしました。もちろん残念なことは変わりません。
今回あっさりとOKをしたのは、僕がまだ中国での経験が短く、親や大学の先生の意見がどの程度大切なものなのかを理解することが出来ないからです。これが日本であれば「人生はお前が決めるんだ!」という強気な対応も出来るのですが、儒教の影響が色濃く残った中国では、親や先生の意見は日本よりもずっと大切にされるはずです。
そのさじ加減がわからなかったため、今回はあっさりとOKをしたというわけです。
(このさじ加減は彼女が正式に退職した後、いろいろな人にヒアリングをしてみようと思います)
今回彼女は勉強を続けて最終的には大学に残りたいということで退職するわけですが、一方ではその道のりは中国では日本よりもはるかに厳しいというのも事実です。中国では一流と呼ばれる大学の教授はだいたい留学経験を持っています。
いわば国を挙げて最先端の知見を導入している最中ということです。そのような中でこれまでとは違う専門(史学 → 心理学)に進むということ、博士過程に進むということは人生をかけた一大決心が必要です。
このことは人事からも僕からも繰り返し伝えました。年齢や社会状況を考えれば、一生を決める大きな決断だということを・・・。
最終的には彼女の意思が強く、僕も快く送り出したいと思うものの、やはりはじめての部下がこういう形で去っていくというのは残念で仕方がありません。自分が上司になって初めて『部下が去っていく寂しさ』というものを知った・・・と思いました。
こういうような突然の退職も、中国の就職事情のひとつなのです。
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