北京聖火リレー -チョモランマ登頂の中国報道-
ちょっと古い話になってしまうのですが、北京オリンピックに向けての聖歌リレーで市場初めて(というか、今までたぶんOKが出なかっただけでしょうが・・)チョモランマの登頂が行われました。
これ、日本国内ではどのように報道されているかちょっとわからないのですが、中国では『大変な快挙』というトーンで報道されています。まあ、確かにすごいことなんですが・・。
当日は生中継(と信じたい)が行われて、ベースキャンプからの道のりが刻一刻と表示されていましたし、登頂成功後はとにかくニュースでも繰り返し繰り返し報道されています。登頂隊のメンバーなんてホント国の英雄って扱いです。
確かにチョモランマって昔に比べればずっと上りやすくなったとはいえ、世界最高峰の山なわけですから、落ち着いて考えれば火をつけっぱなしにしたまま上るってすごいよね・・・と考えてみると、それは間違い。実際にはトーチに火をつけたのは頂上に上ってからです。それまではニュースでも繰り返し出てきている火を守るためのカンテラみたいなのを持っていったようです。まあ、当たり前といっちゃ当たり前ですが。
このチョモランマに限らず聖火リレーの『火』って実際にリレーされているのはこのカンテラの火なんですよね。今回はものすごくたくさん消されているわけですし、そもそも走ってないじゃんというツッコミもありつつ、リレーというよりは、もはや意地でもチョモランマに上りたかったということじゃないでしょうか。
ニュースを見る限りではこの登山隊の人、普通のおっさん(失礼、登山家)という感じで、他の聖火リレーの走者とは違って政治色があまりしない人です。まあ、登山直後に『チベットのみんなの協力で達成できた』とか言ってしまっているので、それなりに言葉はリハーサルをつんだようですが・・・。周りはものすごく盛り上がっているのに、普通に『いい機会でした』みたいなことをサラリといってしまう、ナイスガイという印象です。
僕が中国に住んでいて、いまひとつ世界中の反オリンピックに賛成できないのは、結局末端・・・というか現地の一般人は普通に一生の名誉としてがんばっているんだよねというのが見えてしまうからだと、このオジサンを見てあらためて気づきました。
たぶん、彼らは国際政治とか国内の統治システムとか知らなかったり、知っていても日々の生活を送るだけで精一杯なわけです。そんなまあ言ってしまえば何もないような人生に「オリンピックの一部でがんばることができる」というイベントが訪れるというのは、理性ではわかっていても、心情としてはがんばってほしいという気持ちになってしまいます。
昔、確か『人生交差点(ヒューマンスクランブル)』という漫画で東京オリンピックのことを取り上げた話があったと思うのですが(確か、田舎の少年がお母さんと東京オリンピックを見に行くけど実はチケットが偽者でがっかり・・といった話。すいません、これだとぜんぜん伝わりませんね・・・)、今の中国でもやっぱりオリンピックは一大事なわけで、それが多少政治に利用されようがされなかろうが、やっぱりみんなのためにという観点からいけば、やっぱりそれなりに成功してほしいな・・と思うわけです。
もちろん、それとチベットの問題とか東シナ海の問題は別ですが、国対国の話ではいろいろ思うことはあっても、やっぱり庶民としては一庶民が参加できる機会というのは大切にしたい、と思う今日この頃なわけです。
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