北京オリンピックを地元から振り返る
何かいまさらという感じも大いにしますが、自分への備忘録という意味もこめて、北京オリンピックを振り返りたいな・・と思います。中国文化・・というよりも、どちらかというとスポーツよりの話になりますが。
①中国、金メダルは目標枚数(50枚)を超えて獲得
これ、普通にすごいです。というか、きわめて戦略的。
中国は金メダルを量産するために、ちゃんと種目数が多いものを狙ってメダルを取りに来ました。例えば今回圧倒的な強さを見せた重量挙げ。
あれは種目としては『重量挙げ』だけなんですが、体重により階級が細かくわかれているため、国全体として強化を進めればかなりの数の金メダルを獲得することが出来ます。他にもっ飛び込みなんかはこういった流れにある種目ですね。実際、たくさん金メダルを取っていましたし。日本における柔道ってちょうどそういう位置づけにあるはずなんですけど・・。
反対に、日本中が(たぶん)大騒ぎしていた野球はあれだけ盛り上がっても結局獲得できるのは金メダル1個。種目による価値の上下はないとは言え、明確に「個数」を目標においた場合、中国の戦略って正しいです。
②JUDOと柔道・・・って?
今回日本柔道(特に男子)は金メダル二個ということで、いろいろといわれています。で、もっとも代表的なのは「JUDOと柔道」は違い、国際ルールに対応できなかったから・・・という意見。
弱いながらも13年間柔道をやり、一応二段をもっている柔道経験者の僕としては、個人的には「え?」という感じです。
このJUDOと柔道の違いというやつですが、大きく分けると二つに分かれると思います。
・柔道はしっかり組んでから始めるが、JUDOは組まないところから始める選手が多い
・柔道は一本を狙うが、JUDOはポイントを狙っていく
まず前者について。
確かに柔道(講道館ルール)とJUDO(国際ルール)は違っている部分が多いです。組まないということに関しては柔道のほうが厳しいかもしれない。
でもちゃんと国内の大会を見に行くと、特に軽量級の場合は、国内の試合でも『しっかり組んで』る試合なんてほとんどないです。だいたい国内TOPクラスの選手なんて、しっかり組めば一本をとる技を持っているので、いかにいい組み手になるかが勝負。日本選手権のように玄人ばっかりが見るような試合だと、いい組み手をとった瞬間に観客が準備するのがわかります。
ということで『しっかり組んでからはじめる』というところは間違いであると思います。正確には、『しっかり組まないと技が出ない』というところが敗因だったのではないかと。もちろんこんなことえらそうに言える立場ではありませんが。(昔、東京都の大会で東京第三位(たぶん全国でもベスト8ぐらいの強さでしょう)の学校と試合をした時には組んだ瞬間『怪我をせずに負けたい』とだけ思いました。それくらいTOPクラスは人間外です)。
次に後者のほうですが・・・う~む、確かにこれはあるけど・・・。実際に日本の選手で僅差のポイント差で負けた選手ってほとんどいないのですよね。だから、本当にどのくらい影響があったかはなんとも言えません。
もちろんTOPクラスになれば、ルールのほんのわずかな違いで自分のリズムを崩す可能性というのはあるわけで、そういう影響はおそらくあるとは思うのですが。では、実際に結果ではっきりとわかるのは谷選手ぐらいですね。
谷選手の場合でいえば、日本では間違いなく両方に指導が出るパターンです。柔道の判定も人がやる以上、どうしても『名前負け・名前勝ち』というのは出てきます。これは日本国内だけでなく、国際試合でもそう。
今でもはっきり覚えているのですが、アトランタオリンピックで古賀選手が銀メダルに終わった時「日本だった古賀の勝ち」と当時の顧問の先生が言っていました(顧問の先生は講道館六段)。古賀選手は『平成の三四郎』とよばれるぐらい一本背負いがすばらしく、世界中にファンがいたものです。もちろん、ほとんどの審判もファン。
なので、古賀選手の一本背負いでは多少甘くても一本が出る傾向にある・・と先生はおっしゃっていました(本当かどうかはわかりませんが・・)。他にも今回は残念だったものの60kg級の野村選手も同じで、シドニーオリンピック決勝の一本なんかは野村選手だから出た・・といってもいいような気がします。
とはいえ、国際試合ではイロイロな国の審判がいるわけで時には、今風に言えば「KY」な人もおり、もちろんこれはスポーツでは正しいことなのですが、そういうことで判定に差が出るということがあります。
と、ここまで来て、3つ目も書こうと思ったのですが、あまりに長くなってきたのでやめます。。気がむいたらまた次回。
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