リーマン・ブラザーズ破綻で人生のあやってやつを思う
今週の月曜日(一昨日)、めずらしく中国でも日本でも休日が重なった日、米系投資銀行のリーマン・ブラザーズが破綻しました。まあ、破綻といっても実際はチャプター11の申請ですから、何らかの格好で生き残るでしょうが、きっとリーマンという名はなくなってしまうのでしょう。
日経ビジネスオンラインのサブプライム関連の記事
http://business.nikkeibp.co.jp/news/subprime/
私のように金融とは関係ない仕事に就き、しかも中国で働き、その上経営にはあまりタッチしない立場だとそれこそリーマンが破綻しようがどうだろうがあまり人生には関係ない・・という気もするのですが、実は結構な感傷に浸っています。
私が社会人になったのは2005年の4月です。だいたい、就職活動はその1年ちょっとぐらい前からはじめるので、2002年末ぐらいから就職活動を始めました。
当時は(今もそうですが)外資系コンサルタントや投資銀行(いわゆる外銀・コンサル)を受験するのがファッションのようになっていて、当然のように私も両方を受けていました。今、考えると全然違う仕事なんですが、学生の目から見ると要求される能力はあまり変わらなく見えたんですね(僕の友人は「求められるプロパティは同じだが、求められるスタンスは真反対」と表現しました)。
新卒採用をする外資系など数がたかが知れているので、そこを希望している学生は大体一通り受験をするわけです。僕も例にもれず、全ての外銀・コンサルを受験しました。その中には当然リーマン・ブラザーズも入っていたのです。
当時の学生の目からみてもやっぱり外銀といえばゴールドマン・サックスかモルガン・スタンレーがTOP2であって、リーマンはやっぱりちょっと異端という感じでしたね。ライブドアの増資を手がけたり、ちょっと癖のある案件をやっているという会社というイメージがありました。採用人数も少なかったですし。
リーマン・ブラザーズは六本木ヒルズにあるのですが、専用の入り口を持っているんですね(これはゴールドマンも一緒)。で、筆記試験を受けるためにいくと、なかなか担当者が降りてこない。就職活動・・といっても生意気な学生ばかりですから(少なくとも僕はそうでした)、それだけで『もう何この会社』という感じになるわけです。もう、どうてもいいや、と。
私は担当者が降りてきて実際のフロアに行ったときにも、もう筆記試験のこととかどうでもよくなっていて、僕は六本木ヒルズから見える風景がすごくて、携帯で写真を撮っていましたね(今、考えると最低の学生です)。筆記試験のために通された部屋というのはおそらく誰かのオフィスで、子供の写真が張ってあったりパームストーン(案件がクローズするたびに作る記念品のようなものです)がたくさん並べてありました。
その部屋の持ち主の方は確か東京三菱銀行から転職してきた方で、当時の学生のイメージからすると外銀のような殺伐とした職場に子供の写真があるなんて不思議でしょうがなかったです。
私はそういった調子に乗った学生でしたから、当然即戦力を求める外資系には受からず、今の会社に入社したわけですが、当時の僕はまさか自分が受けていたリーマンやらメリルやらが今のようになるなんて想像もしていなかったわけです。私達にとってのリスクとは、外資系がオフィスをたたんでしまうことであったり、パフォーマンスが出せなくてクビになるかも・・・ということであって、会社がつぶれるなんて想像もしていなかったのです。
あの就職活動から5年しかたっていないのに、僕は今中国にいて、そしてもうすぐ転職をしようとしている。あの時に会ったほとんど人たちや入社した友人達はきっとすでに他のところにうつっているはずですが(こういう危ないって話はだいたい中にいて鼻がキク人ならわかるものです)、それでも、もし僕がリーマンに受かっていたら・・と思うと、人生の不思議というものを感じずにはいられない。そんな風に思うのです。
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