いまさらながら、ノーベル賞の受賞をコンサルっぽく考えてみる。
一番最初に断っておくて、僕はコンサルではないし、いわゆる「ロジカル・シンキング」というものを体系的に習ったことはないので、あくまで「っぽく」考えてみた・・・というお話です。
昔、今となっては随分昔の話になってしまうのだけど、僕たちが学生時代だった時のボストンコンサルティング・グループ(以下ボスコン)のインターンのための試験(外資系戦略コンサルの中には、インターンからしか入ることができないところがあり、そのインターンに参加するためには試験を受ける必要があるのだ)のお題で
『日本が○○年後のオリンピックで金メダルを××倍にするにはどうすればよいか?』
というものがあった(○○、××には実際には数字が入っていたのですが、もう昔のことなので忘れてしまいました)。
この目標を達成するには、いわゆる普通の強化方法ではだめで、もっと抜本的な方法を考える必要がある・・そんな値が設定されていました。この問題は普通ではとくことが出来ないような問題について『ゼロベース』で考えて、いかに論理的にそれを語ることが出来るか・・ということを見るための問題だった、と記憶しています。
(ちなみに回答例としては『日本が特異なスポーツ(剣道)を種目にする』『とにかく気化させまくる』『茶道・華道などをスポーツとみなした上で、種目とする』なんかが考えられます。あくまでカンですが)
さて、ノーベル賞の受賞でどうしてこんな話が出てきたかというと、今回のノーベル賞の発表を聞いて昔日本政府が公言していた『今後50年以内に日本人からノーベル賞受賞者を30人出す』という目標を思い出したから、なんですね。
すでにいくつかのニュースで触れられていましたが、今回のノーベル賞物理学賞受賞者のお三方のうちの南部先生はアメリカ国籍を取得されており、○○人というくくりでいうと、アメリカ人に分類されます。
(参考記事:日本にノーベル賞が来た理由)
日本人の心情からするとどう考えても南部先生は日本人だと主張したい・・ところではあるでしょうが、国際法にのっとれば国籍を保有している国の人とするのが当然ですから、やはりここはアメリカ人とするのが妥当でしょう。
で、今回一番かいておきたかったのはここです。
『日本人からノーベル賞受賞者を30人出す』というのは、いったん何だったのか??
まず『この問いの真の目的を考えず』『この問題だけを解く』という姿勢でいけば、実は結構この問題は簡単に解けることが、今回のノーベル賞受賞でわかりました。
・現在のノーベル賞は受賞までには業績発表から20年以上かかることもまれではない、
逆に言えば、今後10年~20年の単位でノーベル賞受賞の可能性がある研究はすでに現段階で明らかである。
・この研究業績を持っている人たちをとにかくどんな方法でもいいから『日本国籍』にする。必要があれば、
二重国籍をOKにするように国籍法も改正する。最悪の場合、無理やり国籍を押し付けることも可。
・これでも厳しい場合には、とにかく現在進行形で業績を出している人を片っ端から日本に呼び、国籍を・・
(以下同文)
さすがにこれを50年続けていれば、30人ぐらいは楽勝で『日本人』のノーベル賞受賞者を出すことが出来るでしょう。実際には、ノーベル賞はいろいろな政治的な意図で出されるので、こんなに単純ではありませんが・・・(参照:日本にノーベル賞を出すもう一つの理由)。とはいえ、今回の金融危機でもそれほど痛んでおらず、まだまだ金が余っている日本が本気を出せば比較的簡単なはず!
当然ながら、実際には上記のような方法をとるはずもなく、とれるはずもなく、そして何よりも望んでいないのは明らかです。
では、政府が出した宣言の『目的』とは何なのか・・と、ここで初めて『目的』の部分に戻ってくることになるのです。
ここから先は、すでにいろんなところで書かれているので僕が付け足すことは特にないのですが、今回のノーベル賞受賞で日本の国会で『国籍法の改正』が検討されそう・・と見るたびに、ふと日本の矮小化に触れて、空しい気になるのもまた一つの事実なのです。
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