【書評】たまには息抜きに密室でも -そして名探偵は生まれた-
語学の勉強やら、経済書やらを読んでいるとやっぱり頭を使うせいか、肩がこってきます。何せ肩こりがひどくて病院通いになってしまったぐらいですから、そんなに硬いことばかりしてはいかん!ということで、この長休みはたまっている本を読んだり、ゲームもしたりして生活しています(ゲームなんてするの、一年ぶりぐらいじゃないかな・・・)。
ということで、今日読んだ文庫本の感想を簡単に。
海外に住んでいるとどうしても日本のベストセラーをダイレクトに購入することが出来ないので、帰国時にまとめてAMAZONで購入するというクセがついています(AMAZONの配達って実は海外も出来るのですが結構面倒くさいので、あまり使っていません)。
ただ、そういう買い方をしているとどうしてもNETの書評によってしまうので、帰国時には必ず本屋によって文庫本を買い込むようにしています。基準は特になくて、本が「買え!」って圧力をかけている本を買うって感じですね。
で、前回の帰国でたまたま購入していたのが、本日紹介するそして名探偵は生まれた (祥伝社文庫 う 2-3)です。
歌野晶午さんの本は、大学院時代の葉桜の季節に君を想うということ (本格ミステリ・マスターズ)でその語り口に感動して以来、本屋で見るたびにとりあえずは購入しています。昔はもっと熱心にミステリを読んでいたのですが、さすがに今はそこまでではなくなってしまって、本屋で見つけたら買う・・という程度ですが、気になる著者の本が平積みされているときには、とりあえず買うようにしています。
本書に収められている話はすべて「密室」をテーマとしていて、全部で4つの短編(長さ的には中篇)が収められています。何せ短編だけにあらすじを紹介するだけで、物語の構成がわかってしまう人も多いでしょうから、タイトルと「○○の密室」という紹介だけしておこうと想います。
- 第一話 そして名探偵は生まれた :雪の山荘もの
- 第二話 生存者、一名 :孤島もの
- 第三話 館という名の楽園で :館もの
- 第四話 夏の雪、冬のサンバ :日常の密室
全体としてはガチガチの密室ものではなくて、軽いタッチでかかれた作品集なんですが、その中でもちょっと異色でかつ短編向きだな・・と思ったのが「生存者、一名」。もうこのタイトルだけでわかってしまうような内容なんですが、短編作品では少し結末に余韻を残すような作品のほうがあうと思っているので、こちらはお勧め。
「そして名探偵は生まれた」と「館という名の楽園で」は、既存の密室モノというかミステリの一種のパロディなのですが、構成はしっかりとしているためフェアな推理を楽しむことが出来ます。ただ、どうしても短編ということで多少「どこかで見たことがある話し」になってしまうのは仕方がないのですが・・・。
ゆっくりゆっくり味会うよりも、まずはぱっと読んで、その後ゆっくりと伏線を確かめるために再度読み直す。そして最後に「うまい!」とうなる、そんな読み方が似合う一冊です。
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