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2009年10月 8日 (木)

結婚情報といえども「紙」でなければならない理由はない

メディア・パブから引き続きもう一つネタを拝借(意味がわからない人は前回のエントリーを参照してください)

前職のリクルートに僕が在籍していた時に、社内で繰り返し議論されていたのが「紙とネット」の問題。情報収集の方法でネットが占める部分が大きくなってきた時に、紙の存在意義は何なのか?というのが議論の主なトピックでした(紙(雑誌形式)が続いたほうが、独占・寡占の力が効きやすいので、経営的にはよいというのは前提の議論です)

  1. 紙にはNETにはない閲覧姓がある。紙はなんとなくパラパラ見ることが出来るが、NETでは検索などによる閲覧制は低い
  2. 紙は保存性がある。
  3. 情報の質感として紙はまだ表現上優位である
  4. 紙はパッシブなメディアなので「偶然の出会い」を期待できる

確かに僕が在籍していた期間、特に営業をしていた2005年はまだまだ上記のTOPICが当てはまったのですが、技術が進歩してきた今、かなり上記の優位性は薄れてきています。

  1. 閲覧製:まだまだ紙に及ばない部部もあるがパーソナル検索や行動履歴の参照からより個人にあった情報が出るようになりつつある。
  2. 保存性:まさに前回のエントリーのような電子BOOKが問題解決するデバイスとなる
  3. 表現性:今ではNETのほうが上の部分も多い
  4. 偶然性:1とあわせてメディア側が『意図した偶然』を引き起こすことも可能になっている


ただ、こういった技術変化の中でもなかなか紙の牙城が崩れないだろうな・・と思っていたのが結婚情報(リクルートでいうとZEXY)。まず圧倒的な表現力が挙げられます。結婚をしようという人で、あの雑誌を見てワクワクしない人がいないのではないだろうか?と思うほどの驚きと感動がありました(身びいきではないと思うのですが・・)。

また2009年の今はどうなのかわかりませんが、僕が学生のころなどは「ZEXYを買うと結婚するんだなと幸せになる」というぐらい圧倒的な支配力を持っていた媒体で、女性のほうから結婚したいというメッセージを出す時に、ZEXYを買ってドッグイヤーをしておくとよい、などといったものでした(以前の僕の上司がプロポーズに踏み切ったのは、彼女が毎月買うZEXYが積み重なっていくのを眺めているのがつらくなったから・・・といっていました・・・)。NET化が少しずつ進むとはいえ、あと2~3年は結婚情報業界に関しては紙優位だろうなーと思っていたのです。


前置きが長りましたが、ようやく本日のトピックへ。そんな結婚情報紙は当然世界各国で販売されています(中国にもあります)。で、アメリカにある結婚情報誌がこのほど休刊したとの情報がメディア・パブに掲載されていました。

大手出版社コンデナスト,「グルメ」など4誌を一気に休刊(メディア・パブ)

このコンデナストという会社は、さまざまな分野で雑誌を次々と創刊し、その広告費で稼ぐ・・という、ある意味リクルートと似たようなビジネスモデルを持つ会社(情報紙か雑誌か、という違いはありますが)。前職にいた時には、一つの参考ケースとして動向を追っていたものです。

この記事を読むと、結婚情報もいよいよNETの時代になったのだな・・と思わずにはいられませんが、中国ではどうか・・・というと、個人的な意見では、ず~~っと前からNETの時代になっていると思います。むしろ、これから逆に(コストとしてペイするかどうかは別として)紙が「希少価値」として情報価値が上がる時代が来るのではないか・・と思っています。


まず先ほどあげた紙の優位性ですが、中国では文化的・経済的な背景からこれまでも成り立っていないが理由の一つとしてあげられます。

  1. 閲覧製:そもそも閲覧に時間をかけることをいとわない人が多く、かつ決定で重要なのは口コミなどであくまで情報は参考的に利用される
  2. 保存性:これは紙のほうが圧倒的に上。ただし、日本と比べて雑誌を手に入れにくい環境にある(販売拠点が少ない)
  3. 表現性:編集技術や印刷技術が日本に比べてどうしても差があるため、表現力でいえばNETのほうが優位にある
  4. 偶然性:NET広告がさかんなこの国では、意図した偶然を引き起こすのも容易


また何よりも違うのは「中国では日本ほど雑誌が購入されない」という事実です。日本は雑誌大国ともいわれますが、おそらく世界で一番一人当たりの雑誌購読数が多い国ではないでしょうか。そして、肝心なことは「日本が雑誌購読においては特別であって、今後発展途上国が成熟する過程においてはNETでの情報収集をメインとする層がコアを担う」ということです。

グローバリズムが最も顕著にでるであろう情報収集においても、やはりその国固有の行動様式や文化は影響を及ぼさずにはいられません。日本の一部のコンテンツ産業は世界の中でも高い競争力を持っていますが、戦略的に海外に出て行くためには、コンテンツだけではなく、やはりその伝え方 -パッケージ- の部分との相互作用も計算した上での展開が必要なのではないかと思います。

少なくとも現状で中国で「紙・雑誌」でなければならない情報は、ほとんどない・・というのが現実です。

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