accounting基礎テストにて -言葉が概念を支配する-
本日は入学初日にも関わらず、早速accounting(会計)のテストが行われた。なんでも昔はこういった「事前学力確認テスト」みたいなものは一切なかったようだが、学生の基礎知識のバラツキが余りにも大きく授業運営がうまくいかなかった・・という反省があったらしく、個々人の基礎知識を確認するために行うようになったらしい。
確かに自分のように学生時代に趣味である程度金融の勉強をしておく、みたいなことをしていない限り、仕事で関係がない人は貸借対照表とかキャッシュフロー計算書みたいなのを見たことも聞いたこともない人がいるだろうから、こういう知識系の事前テストは必要だと思う。
MBAの入学では過去の職歴を見る以外はこういった「基礎知識」系のテストは一切ないので、個々の能力や背景知識はかなり違う。もちろん学校側としてはわざとそうしているわけだが、確かに授業を運営する方としてはどのレベルに学生があるかを知っておきたいというのが本音だろう(逆にいえばそういったバラツキがある中でよい授業を展開できるようにする・・というのが指導側に求められるスキルなのだろう)。
実際のテストだが、だいたい8割ぐらいはできたと思う。一回しか教科書をなめる時間がなかったので完全に覚えていない部分もあったのだが、それでもおそらくここら辺は出るだろうな・・と予想したところはだいたい当たっていた。
驚いたのはそもそもテストに参加しない生徒や、始まってすぐに退席してしまった学生がかなりの数いたこと。後で話を聞いたら、そもそも授業を受けてないのでわかるわけもないし、経験がないから補修を受けたほうが効率的だと思った・・という意見が多かったのだが、なんというか「テストはしっかり受けましょう」的な教育を受けている我々からするとずいぶんと新鮮な割り切りだと感じた。結局最後まで残っていたのはほとんど中国人だけ・・・さすがに彼らは真面目(要領よく)やっている。
さて、毎日発見がある!と書くと、さもblog用に無理やりネタを発見しているかのようだが、本当に嘘偽りなくこのテストでも新しい発見があった。僕は今回先輩の助言に従ってまず簿記三級(なんというか事前に勉強しているレベルがこれでちょっと情けない・・)の教科書を読んでから指定教科書を読んでいたのだが、勉強の際には各単語を日本語に置き換えて理解していた。概念を理解するならそれで十分・・と思っていたのだが、実際にテストを受けてみるとそれでは駄目だということに気が付いたのだ。
(以下僕の使っている教科書に準じて書いているので、実務では違う!という場合には突っ込みをいただければとありがたいです。何せこの分野は語るのも恥ずかしいぐらい初心者なので・・)
例えばshareholderとstockholderは日本語にすれば両方「株主」だが、教科書によれば正式な書類はshareholderを使っている。また「減価償却」は日本語では無形資産(のれん)にも有形資産にも使えるが、英語ではamortizationとdepreciationという言葉を使い分ける。
金融の勉強をされている方には「何を当たり前のことを・・」という感じかもしれないが、実際にテストを受けてみてようやくこの当たり前のこと、-英語で勉強するのであれば「概念」も英語で勉強しなければならない-ということに気が付いた。考えてみれば、会計を学ぶということは概念・定義・ルールをセットで学ぶことなのだから、明確に定義された単語を使わなければならないのは当たり前だ。
理系の内容 -工学とか数学- であれば自分も厳密な定義を求めているくせに、自分の専門とは違う内容になるとこの有様というのは非常に自分で情けない※1。議論がかみ合わない時の原因の一つが、この「言葉の使い方の曖昧さ」による「認識の食い違い」であるので、今後のMBAで行われる議論をより有用にするためにも、改めてちゃんと言葉を使う癖を自分に沁みつかせないと駄目だな・・と反省した経験でした。
明日は数学のテストと、キャノンが好例取り上げられていたethicsの授業があるので、それの準備をせねば。。。
※1・・・例えば原発の問題の時、僕は一度も『メルトダウン』という単語を使わなかった。メルトダウンはmelt-downのカタカナ読みであり、工学の現象としては明確な定義がされていない言葉であるからだ。
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