馬に乗って羊を喰らう旅! -内モンゴル旅行一日目-
中国は毎年10月1日から一週間、建国記念のお休みになる(国庆节という)。今回で中国に来て4回目の国庆节を迎えることとなったわけだが、基本的にこの時期には中国国内を旅行することはない。なにせ民族大移動のレベルで観光地への旅行と実家への一時帰宅が行われるので、飛行機の値段は上がっているし、宿は取りづらいし、どこもそこも混雑しているし、と旅行には全く向いていないからだ(とはいえ、この時期を逃すとさらに民族大移動レベルが高い春節しか長期休暇がなかったりする)。
しかし、今年は学生気分も手伝って友人たちとちょっとした旅行に出かける気になった。向かう先は内モンゴル自治区・・・この時期には夜に0度となるような北の地へ向かったのであった。
■ 内モンゴル(内蒙古)フフホト(呼和浩特)へ! ■
そもそも当初の予定ではこの時期、わざわざ内モンゴルまで行くなんてことは全然想定していなかった。何を好き好んで朝晩冷え込む田舎までいかなければならないのか。自分の当初の予定ではアモイ(厦门)のコロンス島あたりへゆったり出かける予定だったのだ。(もちろん人混みがあることは想定済み)
一方、一緒に行く友人(アメリカ人)は強硬に「中国以外」に行きたい、という。第一候補はタイだったのだが、これは即座に却下(タイは行ったことがあるので)。第二候補はモンゴル。何でも草原で馬に乗ってみたいとのことだったが、これも却下。そもそも、この時期海外に行くと、飛行機代だけで6000元とかしてしまうので、海外に行くことは論外である。そもそもチケット購入から宿手配までやるのは全部僕になるわけだし。
とまあ、こんな感じでああでもないこうでもないという話をしていたわけだが、さすがに時期が迫ってきた・・ということで、お互いに妥協をして「国内で」「馬に乗れそうな」内モンゴルに行くことに決めたのであった。
ちなみに内モンゴル自治区といっても東西は日本よりもデカイ。当然街もたくさんあるのだが、どこにいけばいいのか全然わからない。友人に聞いてみると赤峰という街だと綺麗な草原があるらしいのだが、北京から10時間電車に乗らなければならず、二級都市ということで友人がまたも反対する(反対ばっかりだ)。
結局上海から飛行機で直行で行くことが出来るフフホト市に行くことにした。何も情報がないのだが、とりあえず省都なのでホテルなんかも期待できそうという安易な理由である。
■ どこを観光すればいいのでしょうか・・・ ■
当日は朝5時過ぎに集合で、虹桥航空からフフホトへ向かう。一応事前にホテルは予約し
てあったものの、他には何も情報がない状態で同級生3人で初の内モンゴルへ旅立ったのであった(一応検索用にパソコンを持っていった。同級生の日本人はガイドブックを持参。予想通りアメリカ人の友人はNo idea!)
2時間半のフライトを終えて、飛行機から降り立つともうそこは内モンゴル。やはり・・・寒い(想像してたほどではなかったけど)。そしてやはり馬がお迎えしてくれる。上海に比べると、空気が乾燥していて澄んでいるので、日本の冬を思い出す。
全然情報がないので、とりあえずタクシーを拾ってホテルまで向かうことにした。乗ってすぐ
にメーターがないタクシー(白タク、中国語だと黑车)だということに気が付いたのだが、そもそも元々の値段がわからないので、文句のいいようもないし、旅行まで来て喧嘩をするのも面倒くさいので、言い値を払うことにした(50元で正規の値段の倍くらい)。
我々の中で一番中国語話せるアメリカ人(かれは華僑)が色々と話しかけて情報を収集したところ、フフホトでmust seeな場所は「博物館」「五塔寺」「大召」という場所だということがわかる。おお、そこは全部ガイドブックに載っていたし、日本語で検索した時にも引っかかった場所だ!ということで、ホテルで翌日の草原ツアーの予約をして、早速博物館へ向かったのであった(ホテルでは結婚式をやっていて、なぜか新郎新婦の両親が民族衣装を着ていた)。
■ フフホト観光して羊を食べるのだ ■
最初に向かったのは博物館だったのだが・・・これがデカイ。もう無駄にデカイ。中国では地 方に行くと「博物館」とか「市庁舎」みたいな公共建築が最も大きい建物だったりするのだが、このレベルの都市にこれほど大きい建築物が必要なのだろうか・・・。
ただ中はさすがによくまとまっていて、内モンゴルの歴史が古代か
ら現代までコンパクトにまとめられていた。内容がどうしてもプロパガンダっぽく見えてしまったり、進歩史観(一応中国は社会主義の国である)の匂いがするのは仕方ないとしても、各民族から現代の産業まで網羅されているので、観光客には非常に役に立つ内容だった(恥ずかしながらレアアースの産地であるということを初めてしった。レアアースは中性子爆弾に欠かせない・・という展示があった・・・)
お約束の抗日戦線展示もあり、こういうところではちょっとドキッとするものの、これも勉強の一つと思い直ししっかり内容を読んできた。僕の理解では現在の内モンゴルが中国東北部も含んでいるた
め、こういった展示がされているようである。
博物館終了後は「五搭寺」「大召」と呼ばれる、二つのお寺に向かった。モンゴルにはチベット系の仏教が伝播したとのことで、密教系の仏像や曼荼羅が多く展示されていた。wikipediaによれば、チベット仏教とモンゴル仏教は微妙に異なるが大差ない・・とのこと だったのだが、お寺には一部上部座仏教の影響があ ったようにも見えた(ここらあたりは知識が曖昧なので僕の見間違いかもしれない)。こちらも思ったより大きくなく、あっさりと観光終了。
モンゴルと言えば羊!ということで、夜はWEBで調べた羊料理屋に日本人同級生と出かけた(もう一人はホテルで熟睡していた)。
僕
はこちらに来てからすっかり羊肉が好きになったのだが、今回の旅行で食べた羊肉はどこもこれまでにないおいしさだった。
上海で食べられる羊肉はほとんど臭みがなくあっさりしているの
だが、内モンゴルで食べる羊肉は適度に臭みがあり、脂身もこってり乗っている、まさしく「肉!」という感じの味である。このお肉をタレにつけて食べるのだが、タレの味と肉の味(と香り)がまざってとにかく箸が進む。デブ一直線である(結局最終日まで毎日食べていた)。
食事に大満足してホテルに戻ると、友人は盛大ないびきをかいて寝ていた。あまりに大き いいびきで眠りに就くこともできない我々日本人二人は、翌日は部屋を別にすることを固く決意して、布団をひっかぶって眠りについたのであった・・・(でも結局眠れず)。
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