「僕たち」という言葉 -「グループでいる」事の意味-
本日で中間テストも無事に終了し、ようやく一息つくことが出来た。中間テストと言っても統計学・経済学(Micro)、会計(accounting)の三科目だけで、点数の配分もそれほど高くはないのだが、やはり成績に関係があるとなるとみんな目の色が変わってくる。
事実今回は全て個人で勉強をしたのだが、親しい台湾人からは「お前はFinancialのバックグラウンドを持ってないから、いつか俺に助けを求めてくるはずと思ってたのに、なんで電話をしてこないんだ!」と怒られる始末。基本的には自分で勉強するタイプなので、あまり人に聞くってことはしないんだけど。。。でも、とてもうれしかったのもまた事実。
中間テストが終わったくらいでは全く変わらずMBA生活と言うのは続いていくのだが、さすがに気分転換と言うことで、今日は何人かで近くの焼鳥屋(というと間違いで正確には烤肉といって串焼きを食べることが出来る店)に行ってきた。課題にそれなりに形をつけてから出発したので、24時近くになってしまったのだが、それでも先にいたメンバーをあわせて15人ぐらいはいたのだろうか。
偶然にも今日はMarketingの最初の課題評価が発表された日で、結構な数の同級生が成績の悪さに凹んでおり、今日はその話で盛り上がった。もちろん、その中には僕も含まれている・・・(自分のグループの成績も思ったほどではなかった)。
成績優秀者のグループを見ると、ほとんどが以前の業務で専門的にMarketingに取り組んでいた人間が入っており、まあ素人だった我々(広告業界はMarketingといってもちょっと違う・・)が高得点を取るのはなかなか難しいというのは、理屈としてはわかるよねという状態である。それでもCEIBSは「China Marketing」をウリにしており、かなりの学生がMarketing志望であることを考えると、やっぱりショックを受けるのも当然だよね・・という気がする※1
さてその成績だが、CEIBSでは成績は中間テストと最終テストを除きグループで採点されるので、グループの良しあしというのがダイレクトに成績に反映される。もちろん学校側も意図をもってこのグループ制を推進しているわけだが、データがない状態でグループが決定されるため、どうしてもグループの良しあしにもばらつきがでる。
以前にも書いたが酷いグループになると別々の発表を行ったりするようになり、せっかく13週間も過ごすのに全く持って不幸だったという思いでしか残らないような状態になったりするのだ。
僕らのグループと言うのはこれといった専門知識を持っているメンバーがおらず、言ってしまえばハードスキルでは平凡なグループである。ミーティングの時間は長いし、クオリティへの要求はそれほどでもないので、どうしてもoutputのレベルが落ち気味なったりするので、時にはお互いに不満を言いあったりもする。Bestではないが、Betterであるというのが僕の評価だった。
一方、人間関係には最高に満足していて、事実僕たちは休みの日も含めてほぼ毎日集まって、課題についてあれやコレヤと話しているのである。他のグループを見てもかなり仲が良いグループだと言えるだろう。
今日の飲み会でも成績の話から自然と自分のグループの話になったので、いつものように何気なく僕は今言ったような自分の感覚を正直に同じグループメイトに伝えたのだが、彼らの返事は僕が想像していたよりもずっと僕を感動させた。
「Term2以降になっても、今のグループがずっと続いていけばいいと思うんだよね。変える必要なんて何もないし、今がすごい楽しい(※2)」
MBAというのは1年半(普通は2年)の間に集中的にビジネスを学ぶ場であって、日本でいうと合宿形式の勉強に近いものがある。当然、人間関係は濃密になるので、学校側も学びの半分以上はグループや同級生から学ぶもの・・と想定しているフシがある。そして実際に内容の多くは同級生との議論の中で学んでいくのだ。
MBAに進む学生と言うのはただ勉強をしたい・・というのは極めて少数で、人脈を広げたい・一生の友達をつくりたいという要望がすごく強い。もちろん濃密な人間関係の中では好き嫌いがはっきりし、また個性が強い集団の中では「嫌い」のほうがより強く出てしまうということは避けられない。
そんな環境の中で、同じグループのメンバーが「ずっと同じグループでいたい」というのは、自分にとってもまたグループメンバーにとっても、すごくすごく幸せなことだと思う。一生の友達をつくる・・というのは言葉では簡単でも、実際に実現するのはすごく難しい。
そんな中で、最初のTermから -学校側もほとんど情報がない- 中でこういった友人に出会えたことはすごく幸運だったし、こういった幸運の中にいて、自分はすごく幸せだと実感した、そんな一日だった。
※1・・・こういう僕も成績にショックを受けた一人だった。落ち着いて考えて見れば経験者と未経験者の差は明らかなのだが、思い入れがあるだけのかなり落ち込んだ。
※2・・・CEIBSではTermごとにグループは強制的に変更させられ、グループはschool側が決定したメンバーに従わなければならないとされている。
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コメント
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どもどもCEIBSのUK(大関)です。過去ログ少し読んだけど、やっぱり理系院卒の人だとMBAのハード面は楽っぽいね。Mathewの場合は中国語もいけるから、なおさらやりやすそう。
数学も苦手で会計もやってない上に中国人じゃない学生とか苦しんでない?
投稿: UK | 2011年10月13日 (木) 06時35分
コメントありがとうございます!
インド人と韓国人は大きなグループなので、結構飄々とやってるみたいですが、マイノリティの欧米人は結構苦しんでるみたいです。ただ中国語が話せない欧米人は、中国で働き続ける気があまりないので、成績よりは学生生活を楽しんむほうが重要なようです・・
投稿: GP | 2011年10月13日 (木) 13時52分