第13週目終了! -更なる幸運、日本企業のプレゼンス-
本日でMBA生活も第13週目が終了。少しずつ授業が減ってはきているのだが、自分でデータを拾ってこなければならないプロジェクト系の課題が増えてきて、その重みがずっしりと迫ってくるこの頃である。
Caseを読んで準備をする・・というのは確かに時間がかかる一方で、新しい情報をしいれるという楽しみがあるのだが、こういうプロジェクト系はとにかくまず「どこにデータがあるか」から調べないといけないので、「時間を無駄にした~」という感覚があるせいか精神的な疲労感が大きい。
今週は統計学のプレゼン準備をしなければならないので、米国のマクロデータやら株価やら、各企業のPerformance系のデータを片っ端からあさっていたのだが、最初はどこにデータがあるのかわからずどうしてもあっち行ったりこっち行ったりをしなければならず、時間だけが経っていくのが残念。何となく修士課程に戻ったような気がする(正確にいえばMBAも修士課程なんだけど)。
ここは昔取った杵柄でうまく乗り切れると信じて、とりあえず自分の担当の分はきっちり終えるようにしたい。
■ 早くも一つ決まったIntern ■
そうやってしんどい一週間を過ごしながらも、今週は夏のInternに向けてある会社に面接に行ってきた。以前にも書いたようにとりあえず広告業界を狙って活動をしていて、先週ラッキーなことにアポをとることが出来たので、早速訪問をしてきたというわけだ。
訪問は水曜日だったのだが、日本人のマネージャーの方二人に対応していただき、面接というような堅い感じではなくいろいろと率直にお話をすることが出来た。上海生活、CEIBSについて、自分の経験、そして今後やりたいことなど、とにかく率直に話すことが出来て(これはお互いに母国語を使えるというのもあると思う)、大変満足だったのだが、その上でなんとInternshipというかPart-time jobのお話までいただくことが出来た。
このInternshipというのはちょうど今の時期のMBA学生にとってはかなり意識するもので、志望企業でInternをできればそのままjob offerをもらったりすることもできるし、少なくとも自分の履歴書を飾ることが出来る。ただ人気企業は当然競争率が高いし、どこにもいけないと悲しい夏休みを過ごすことになるかもしれない・・という恐怖感があって、まずは一社決めたいというのが学生の本音でもある(ここは日本の就活と同じ)。
といってもこの時期はまだ来夏に向けてInternの応募をする段階であって、個人で接触をしない限りまずこの時期にofferをもらうことはできない。はっきり言えば、外国人学生(あるいはキャリアチェンジを図る学生)の中では一番早くもらった学生らしい・・・※1。
業界誌でも取り上げられていたのだが、現在の中国の広告業界では経験者は少ないし、さらに日本人向けに日本語・英語・中国語が話せる人間なんてほとんどいないわけで、これはもう100%ラッキー、自分の国籍のおかげ以外の何物でもない。実際、今回ご連絡をいただいたfirmはMBA学生というよりも、とにかくスキルセットに合う人間が欲しかったわけで、そういう意味で自分のMBA生活が評価されたわけではないということもわかっている(そもそも成績も出てないわけで、評価のしようもないわけだけど・・)。
自分としてはとにかくこの幸運に感謝するとともに、これからも引き続きInternshipに向けて努力をしていくだけである※2。もちろん、かなりホッとしたのも事実だけど。
■ 海外にいる日本人、日本経済、そして日本企業 ■
長引く不景気(というが、自分はバブルのころを知らないので感覚的にはずっと下り坂な感じである)の影響・・というものがあるかどうかは別として、ここ数年は若い人が海外にいくことは良いことであるという雰囲気があるように思う。実際に海外に定住してしまう人というのは「いい・悪い」では判断していなくて「好き・嫌い」で判断しているので、そういう議論とはなかなかかみ合わないのだが、とにかく海外で働くというのは今や「ものすごく特別な」選択肢ではないと思う。
また日本では「和僑」という言葉が一つのバズワードになっているようで、日本に戻ると「和僑を実践しているんですね」と言われたりすることもある。日本には和僑支援をビジネスとしようとしている会社もあるようだ※3。
日本から支援というと・・・例えばラーメンを送ってくれるのだろうか(おいしいラーメンを食べたい・・宅麺はいつになったら中国に来るんだ・・)、とかカードの請求先として登録可能にしてくれるのだろうか、といった極めて個人的な内容か、ストレートに仕事を日本から発注してくれるのだろうか、という仕事の結びつきしか思いつかないのだが、もっとはっきり言ってしまえば海外のいる日本人にとって最も助かる支援と言うのは間違いなく「日本企業、そして日本という国家がプレゼンスを発揮し続けること」にほかならない。
今回のインターンも日本企業対策が必要と言うfirm側の戦略にたまたまカチっとはまったわけで、もし日本経済が弱ければそういったチャンス自体がそもそもなかったのだ。実際にタイ人の友人には「タイ企業を相手にしたい欧米企業なんて、まだあんまりないからね・・」と言われたのである※4。
もちろんその逆もあるわけで、我々のように海外にいる人間が日本企業進出の手助けになることもあるわけで「海外で働く」ということと「日本企業が引き続きプレゼンスを発揮し続ける」というのは背反するものでは決してない。むしろ、それが両輪となって良いスパイラルを描くことが出来るはず。
よく人からは「もはや日本人じゃないね~」と半分からかわれる自分ではあるが、良きにつけ悪しきにつけ、日本人でなくなる(国籍という意味でも、文化的にも)ということは想像もできない※5。これからも恩恵にあずかりながら、何か少しでも恩返ししていかなければ・・と思っている、のである、これでも。何せ税金も払ってないわけだし。。
※1・・・冗談半分、本気半分で「I hate you!」とか「I envy you!」と友人たちに言われた。でも、欧米TOPスクールだと入学前に決まっているということも結構あるんだけどな。。
※2・・・今回は自分の希望とfirmとして提供できるものが微妙に異なるということで、まずはこのまま他の仕事を探すことにもご理解をいただくことが出来たのである。
※3・・・個人的な意見を言えば、この和僑という言葉の軽さは耐えがたい。僕は自分のことをそういった人間だと思ったことはないし、たかだか数年海外に住んだぐらい、そのように括られるのもお断りしたい。もし真に和僑ということを考えるのであれば、WW2中に苦労された米国日系人たち、あるいは戦後南米に移住された日本人の方々など、尊敬すべき方はたくさんいるはずで、まずはそういう方に敬意を示すべきであるというのが僕の考えだ。
※4・・・とはいえ、ここ数年でタイ企業の上海進出は大分進んできている。もちろんそれ以上に大陸系資本のタイ進出は激しいわけだが。
※5・・・脱藩人の竜馬にはシンパシーを覚えるが、外に出てちょっと変わった日本人をからかうというのが、自分には全然理解できない。環境が変われば考え方も変わるわけで、脱藩するとか、ある状態を脱するということはそういう(時には)嘲笑に負けない図太さは必要。
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