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2011年11月10日 (木)

言語以外の部分で「ジャパンクオリティ」を!

中国というのはいうまでもなく「超巨大なマーケット」である。こちらに来た時に最初に驚いたのは今までは「ニュースで見るだけのブランド」が普通にそこらに看板を出していることであり、カルフール(家乐福)に行けば日本には入ってきていない製品をたくさん見ることが出来る。

決して規制が緩いとはいえない中国ではあるが(とはいえWTO加盟以来規制の数はかなり減っている・・今でもかなり多いが・・)、少なくとも上海・北京・広州といった大都市は日本以上に競争が激しいマーケットである※1。もちろんこの競争には日本企業も参加しているが、日本企業はあくまで外国から来たプレーヤーの一つである。このあたりの感覚は日本でニュースを追っているだけでは、なかなか感覚としてつかめないかもしれない。

日本企業が来る場所といえばまずは上海であり、現在はほぼ全ての業種で日本企業のサービスを受けることが出来る。当然、こういった企業のウリは「日本クオリティのサービス」であり、またこれまでお手伝いをしてきた(あるいは自分の企業も含めて)進出時の企画書には必ず「日本で培ったノウハウ」云々ということが書いてある。


■ 日本クオリティって何? ■

もちろん僕は日本人だし、日本クオリティというのは大体どういうものかをわかっているので、値段にあまりこだわらない時・安心を買いたい時には日本企業にお願いをすることにしている。先日もとある業種の日本企業に訪問して、こちらの要望を伝えた上で見積もり提出をお願いした。

1週間後にその見積もりがさらりとメールで送られてきたのだが、見てみると見事にこちらの伝えたことが反映されていない。おそらくこれまでお客さんに提出したものの日程と内容を多少アレンジしたものだと思うのだが、最も基本的な要件まではずしていたので、さすがに即座に突っ返した。


もともと会社に訪問した時に担当者(日本語が話せる中国人)と日本人の上司 -上海では良く見る組み合わせ- に話をしている時から、担当者があまりこちらの話を理解していない・・ということは何となく感じていたので、上司にccを入れて返信をしたところ、謝罪と再提出のための時間が欲しいという内容が送られてきた。

こういったことには慣れっこなので別に腹も立たないのだが、ふと企業としてこういう対応はどうなんだろう・・と考えてしまった。僕のこの数年の経験では、日系企業でクオリティをウリにしている企業の一番の特徴は「日本語でやり取りが出来る」であって、それ以外に「お~これは日本と同じですね!」というのはほとんどなかった。


はたして「日本でやり取りが出来る」ことをもって、日本クオリティを実現していると行っていいものなのだろうか。


■ 言葉よりもクオリティ、でも言葉で表せないものは実行できない ■

日本企業が「日本クオリティ」で勝負に来ている以上、当然顧客は中国人になるはずだ。もちろん日本からの出張者とか、現地に住んでいる人間も顧客になるだろうけど、中国マーケット全体と比べたら小さすぎる。
そう考えると「日本クオリティ」というのは、単純にコミュニケーションを日本語にすればよいというものではない、ということにすぐ気付く。今後は日本人でも中国語を話せる人間は増えてくるだろうし、日本語が必須・・という日本人はドンドン減ってくるだろう。

極端なことを言えば「日本クオリティ」が単に「日本語でサービスを提供する」だけであれば、それは何もクオリティの保障になっていない。時間通りに対応する、要望の可否を一つ一つ対応する、手抜きをしない・・・こういった日本では当たり前と思われることを実行することが、結局日本クオリティであり、そこで差別化をはかりたいというのが本当の日本企業の目標なのではないだろうか。


もちろんそれをクオリティへの期待値・バーが異なる中国人と実行をするのは、すぐにはできない。しかし今回の訪問のように、日本人の上司が一緒に作業をして、しかも謝罪対応をせざるを得ない==クオリティが伝えきれていない、というのは明らかにコスト過多だし、日本人が来ている意味がない。

ノウハウを伝える、とか自社の強みをLocalizeするということを言う時、じゃあ具体的にどういうのがノウハウなの?とか、どうやって伝えるの、背中で見せるってこと?という質問をすると、明確な言葉で返ってくる会社と言うのはかなり少ない。もちろんやって見せるとか、言葉で判断基準を表すことが出来ない部分を実際に見せるというのはすごく重要なのだが、あまりに無策な企業もまだまだある。少なくとも、

  1. 自社でノウハウと言っているものが、日本の文化的要因・暗黙の基準値により担保されているかどうかということを確認する。
  2. その上でノウハウと言っているものが現地のコンテキストと要望にマッチするかを洗い出す※2
  3. 必要なノウハウを作業レベル(実行可能なレベル)まで明確にする。もう行動一つ一つをマニュアルにしてしまうぐらいのレベルで細かく書く

の3つぐらいはできないと「ノウハウを移植する」ということはできないと思う。


中国と言うのは極めて運用が適当な割には、かなりマニュアルがきっちりしているという会社が非常に多く、マニュアルの多さというのは全くマイナスにならない(むしろマニュアルがあってもそれを実行できないのが問題)。日本クオリティを実現する・・のは差別化において有効な業種も多いはずなので、ぜひ「日本人がいなくても、日本クオリティが実現できる!」ぐらいの高い目標をもって、日系企業(特にサービス業)には頑張ってほしい。




※1・・・正確にいうと「ゲームのルールが日本とは違う」のであって、日本の競争は緩いというわけではない。
※2・・・よく例で出すのだが、例えば恋愛で「毎日料理を作ってあげる」ということをウリにしている女性がいたとして、その女性がどんなに家庭的で素晴らしい人でも「基本的には放っておいてほしいし、食事は外でしたい」男性には刺さらないわけで、強みと相手の要望がかみわないと全く意味がない。

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