第62週目終了! -寧波で後輩の結婚式に参加 -
国慶節休みがあけて最初の一週間は、選択している授業であるRetailing Strategyの集中授業週間。なにせ教授が日常はフランスに住んでいるため、一週間ずつの集中授業を二回やるという日程になっているのである。休みあけにもかかわらず読み込むCaseが盛りだくさん、かつ簡単なグループプロジェクトの発表もあるということでかなりしんどい一週間だったのだが、何とか無事に発表までこぎつけることが出来た。これで今のTerm5-Aは残り授業が三回のみと、ほぼTerm5-Aも終了。空いた時間はまた就職活動に充てるということで、だいぶ心の余裕を取り戻してきた。ということで、MBA生活第62週目も無事に終了。
■ 2年ぶりの寧波 ■
今週末はMBAの日本人の後輩が結婚式を行うということで、せっかくの機会に参加しないわけにはいかない・・と寧波まで足を伸ばしてきた。寧波に行くのは、MBA受験の準備をしていてTOEFLを受けるために寧波大学に行った2年前以来の二回目である。あの時も前日夜入りから試験を受けて、ちょっと観光ですぐ帰るという弾丸ツアーだったのだが、今回も1泊2日の弾丸ツアーである。
寧波は上海から湾を挟んでちょうど南側にある街で、直線距離だとだいたい車で4時間(滅茶苦茶長い橋が通っていて、上海から寧波までは車で行けるようになっているのである)。高速鉄道を使えば、杭州やお酒で有名な紹興を抜けて、だいたい3時間強といったところにある港町である。近頃では上海の経済発展が落ち着いたこともあり、かなり経済成長のスピードが上がっているらしいが、二年前に行った時にはまだまだ田舎だったな~という記憶しかない。また、観光地が市内中心部から30kmとかそのくらい離れている御寺だったりするので、なかなかフラッと観光に行けるような場所ではないのが残念な街である。
今回も前回と同じように虹橋駅から高速鉄道(中国では「動車」という)で寧波東駅まで行って、そこからタクシーでホテル入りという至極シンプルな計画をたてて、寧波に向かったのであった・・といいたいところなのだが、中国では新しい街に行くと全然土地勘がなくて結構苦労する。
- 自分が行く場所が有名かどうかわからない
- タクシーがつかまるかどうかわからない
- トイレがあるかわからない
上海のように土地勘がある場所では、では例えば自分が「○○ホテルに行きたい」と言う時に、そのホテルが有名でなければ近くの道路の名前を調べておく、ということが出来るのだが、新しい場所では自分が行く場所が有名であるかどうか・・というのは事前にはわからないので、たとえサイトを使って予約しておいても必ず道路の名前を覚えておかなければならない※1。その上、自分が調べた道路の場所をタクシー運転手がわからないということもあるので、近くにある太めの路をおぼえておいたほうがベターである※2。
中国の地方都市に行くと、ほぼ100%移動はタクシーに頼ることになる。地下鉄はまだ通っていない都市が多いし、バスは本数が多すぎて自分がたどり着きたい場所にたどり着くという保障がどこにもない。それで結局タクシーを使うことになるのだが、駅とホテル(出来れば外資系)の間であればタクシーを捕まえるのは容易でも、たとえば観光に行ってしまうと、その近くでタクシーを捕まえることが出来るかどうか・・というのが全然想像がつかない。つかまらなくて電車をのりすごすということになったら洒落にならないので、結果として地方都市での旅行はやたら予定がスカスカということになってしまう(タクシーを捕まえる時間を長めに想定しておくため)
正確にいえば「綺麗なトイレが」あるかどうかわからない、ということ。中国のような都市にいるのだから、汚いトイレでも我慢できる、いやすべき・・というのは頭ではわかるのだが、心でそれを受け入れるのは容易ではない。お腹に張りを覚えれば出すべきものは出さなければならないのだが、それでも出来る限り綺麗な場所でするに越したことはない・・のだが、地方ではなかなかそういう場所を見つけるのは容易ではない※3。僕は既に5年も中国に住んでいるのだが、旅行に行く時にはトイレから逆算した行動をするようにしている。一回失敗して万里の長城でトイレに行く羽目になり・・・(以下略)
二年ぶりに訪問した寧波は駅の周りこそほとんど変わらなかったものの、宿泊するホテル
の回りはかなり整備されていて、外国人もかなり多く住んでいるようだった。駅周りがものすごく中国らしさが残っていたので、数キロ走るだけで全然変わってしまうというのに驚きもしたし、上海のように市内中心部がかなり開発された場所ではちょっとこういう体験はできない※4。
そこかしこにまだ建設途中のショッピングモールや、あまり人が住んでいなそうなマンションが並んでいて、ここでも中国の地方政府得意の不動産開発による経済発展(というかGDP底上げ)をしているということが見て取れる。日本企業でも商社と組んで、寧波の開発を手掛けている会社の話を聞いたことがある。それでも夜になれば、外国人が住むような場所でもまだ屋台があるのをみかけることが出来た。
本当は街をしっかり見たかったのだけど何せ弾丸ツアーだし、結局ちょっと時間があまった
日曜日の午後も、前回来た際に観光した天一閣という古い図書館をもう一度訪れるというヘタレッぷりで、早々に上海まで戻ってきたのであった。
ちなみに観光情報を調べると寧波は市内にはこの天一閣と月湖という大きな湖が観光地として紹介されていて、後は市内から遠くて弾丸ツアーではたどり着くことが出来ない。中国の地方都市は、地方と言っても数100万人が住んでいるという場所はザラなので、ちょっと一泊二日でいっただけでは、何がどうとかいうことはできないのだ(もし寧波に住まわれている方がいらっしゃり、情報の間違いなどあれば優しく訂正いただけると嬉しいです)
■ 中国らしい賑やかな結婚式 ■
MBAというのは短くて1年間、長くて2年海外に留学するわけで、ついでに人生の一大事である結婚をしてしまうという学生は結構多い。特に我々の年齢ぐらいだと、留学をするので一緒に来てください → 結婚というのはよくあるパターンだ。
一方、MBAというのはある意味価値観が似通っているし、それなりに将来の収入も期待できるということで、MBA schoolで出会って結婚というカップルも結構いる。うちの学年でも順調にいけば少なくとも2カップルは近いうちにゴールインすると思われている。
ただ、結婚式までやるとなると話は別で、MAB schoolは仕事をしている時と比べれば暇だとはいえそれなりに忙しいし、海外にいて準備を進めるのも一苦労と言うことで、在学中に結婚式をあげるカップルというのはかなり少ない。今回、僕が参加して後輩の結婚式も奥様が中国人であるということで、中国留学中に結婚式をというのがあったのだと思う(本人に聞いたわけではないが・・)
中国の結婚式というのは、日本の結婚式と比べるとよく言えば鷹揚、悪く言えば適当で始まる時間に全員が着席していないこともザラだし、終わる時間も一応司会者が終わりを宣言するものの、食事が残っている間はダラダラと残っていていいというものだ。
これまでは上海の結婚式にしか参加したことがないのだが、上海でお金持ちが結婚する場合には、男性側は一回もお色直しはないが女性は3回以上お色直しをする・・ということもあったりと、かなり女性が強いのも特徴だ※5。
さらに日本ではほぼ絶対見かけないが、いわゆる司会者が歌を歌ったりゲームの司会をやったり、マジックをやったりとかなり活躍をする(というか単純に目立つ)。こちらでは結婚式の演出をする「プロデュース会社」という業界があり、各社は提供するサービスで差別化しようとしているので、たくさんの結婚式に参加すれば、もっと突飛な出し物を見ることが出来るかもしれない。
今回の結婚式は、新郎新婦は日本語が堪能で日本で出会ったという背景がある一方で 、式が行われるのは寧波という地方都市ということでどういった結婚式になるか非常に興味があったのだが、結論からいうと前半は日本的、後半は中国的な結婚式だった。新郎新婦入場時には日本でもよく見られるように、生まれてから今までを写真で振り返るというイベントがあり、入場後も新郎新婦の挨拶へと続いていく。ただ、後半は中国らしくお祭りになる予定が決まっていたらしく、日本であれば最後に 持ってくる新婦側両親への挨拶も最初の段階で終了。お色直しのためにいったん新郎新婦は退席。
戻ってくると今度は中国色で、司会者が歌ったりゲームの司会をして、新郎新婦が各テーブルを回って乾杯をするまでの時間をつないでいる。日本では普通正面にいる新郎新婦に客側があいさつにいくものだが、中国は全く逆で新郎新婦が参加者全員にお酒やジュースをついで回るのだ。今回はおそらくお酒にあまり強くないということで、新郎はジュースだったが、以前参加した結婚式では新郎側が白酒を何杯も飲むことになり式が終わったころにはベロベロになっていた。中国ではなんだかんだいっても、まだまだお酒に強いといことは男性に求められることだったりするのだ。
フィナーレは皆で恭喜発財を歌って、式は約2時間半ほどで終了※6。新婦が中国らしい真っ赤なドレスを着て、本当にうれしそうに笑っているのが大変印象に残った結婚式だった。また料理も非常においしくて、持って帰ってこれなかったのが大変残念だった(もしかしてお願いすれば持って帰れたかもしれないが・・・)。
schoolに戻ってきてから話を聞いたところでは新婚旅行の予定などはまだ全然たっていないとのことだったのだけど、MBA生活は長い夏休みがあるので、2人でたっぷりと時間を使うチャンスもあると思う。今回は結構日程的には厳しく、授業も一つスキップして参加したのだが、本当に幸せそうな結婚式で参加できたことを嬉しく思ったのであった。新郎新婦のお二方、本当におめでとう!
[追記]
新郎よりご連絡をいただき、いくつか僕の勘違いがあったようなので訂正します。
1. 写真を使って生い立ちから結婚までを振り返るのは中国でも今はメジャーなようで、司会者側から提案を受けたとのことでした。数年前はまだあんまりみなかったけど、少しずつ変わっていってるのだね。。
2. お酒に関しては寧波では車での移動がメインということで、中国人でも飲まない方も多くいたそうです。また若い人はあまりお酒を飲まないとのこと。これは上海でもだいぶそうなってきているかな・・・。ただ、上海はタクシーでの移動が普通に行われているので、結婚式だとやはり飲む人は多いかもしれない(少なくとも数年前は・・)
※1・・・中国ではタクシー運転手が目的の場所の名前を知っていることは少ないので、基本的には目の前を通っている道路の名前を伝えるほうが効果的。
※2・・・上海に住み始めた外国人が失敗するのがだいたいこれで、細い道名をいってもタクシー運転手がわからなくて、家の近くまでたどり着けないということが結構ある。近くを通っている太めの路を覚えておいて、そこから先は「右行け、左行け」というのが正しい方法。
※3・・・中国のトイレのカオスっぷりは、綺麗好きな人であればトイレに入った時点で帰国したくなるレベル。ほぼ100%安心できるのは自分の家と、外資系ホテルのみ。自分の家ですら時折詰まってしまい泣きそうになる人もいるらしい(自分はそういう経験なし・・上の家から汚水が漏れてきたことはあったが。。)
※4・・・二年前に寧波に来た時には寧波東駅から北側に向かったのだが、今回は南側に向かったので単純に比較することはできない。二年前から立派な建物が建っていた可能性は十分にある。
※5・・・とにかく中国くて結婚式のようなイベントは各地によって全然違うので「中国の結婚式は○○」のようなことを言うことはできない。上海は女性が強いのだが、北のほうにいったらまた違う形かもしれない。あと今回のエントリーでは新郎新婦の許可をもらっていないので、お二人が移っている写真は掲載しないようにしています。
※6・・・恭喜発財というのは中華圏では大スターのアンディ・ラウの歌で、ノリノリのメロディと馬鹿明るい歌詞で中国人ならほぼ全員が知っているであろうと思われる歌である。
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