第70週目終了! - MBAでのテスト内容-
MBA生活最後(だと思う。単位を落としさえしなければ・・・)のテストも今週で終了。最後のTermはテストになる科目は一科目しかなかったのだが、教授が激しくやる気がある方だったため、大変重いテストだった。・・・というか、ふたを開けてみたら重いテストで、かなりの数の学生がページを開いた瞬間にあきらめの表情を浮かべていたのが、妙に面白かった。自分にとってはかなり好きな教科であったし、ある程度どこが出るかの予想がついたので、それほど動揺はしなかったのだが、いつものテストぐらいの気分で受けた学生には結構しんどかった内容だった。
ということで、勉強生活ほぼ全て完了したMBA生活第70週目も無事に終了。
■ MBAのテスト形態 ■
これまでもMBAとかうちのschoolに興味があるという方から、時々質問をいただいていたのが、MBAではどのようなテストを行うか・・ということ。MBAといっても一応はAcademicな部分もあるので(そうでなければ修士資格を出すべきではないと思っているのだが・・)テストの方法は基本的に大学/他の大学院とあまり変わらない。ただ、何回もご質問をいただいているので、ちょうどいい機会なので今日はどんなテストがあるのかということを紹介したいと思う。
- テストがない
- 計算問題
- 選択肢問題/記述問題
- ケース
そもそもMBAの科目ではテストがないというものが結構多い。プロジェクト型の授業もあるし、テストではなくてレポートを提出してそれで終了という科目もかなりあった。例をあげれば、CEIBSで最も長く時間をかけ、また単位数も多いISP(Integrated Strategic project)はクライアントと外部からきた講師陣へのプレゼンが成績判定に使われていたし、Strategyなどはレポート提出が最終課題だった。
レポート提出の場合は、テストに向けて集中的に勉強する必要がないため楽といえば楽だが、客観的な判断基準がないので、なんでこの成績になったのか自分でわからない・・・という難点がある。またうちのschoolのように、ほとんどの課題をチームで行わなければならない場合、チームメンバーとの掛算で成績が良くも悪くもなるという傾向がある※1。
自分が回りを巻きこめるぐらい優秀であれば関係ない・・というのはその通りなのだけど、日本人でそこまでの能力と語学能力を持っている人はなかなかいないのではないかと思ったりする。
OperationやFinanceなど数字を使うような科目の場合はこのようなテストもある。特にTerm1では統計学を履修するので、その科目だけは大学の時に戻ったような雰囲気でテストを受けることが出来る。
一般的にうちのschoolの場合、学部時代の専攻がビジネスだったり金融だったりする場合が多いので、数学は全体的に苦手である。友人の中には統計学でΣのマークが出てきた時点ですでに理由をあきらめようかと思ったという人間すらいる(彼女にはテスト前に集中的に講義をして、無事に単位を取得できた)。
僕が理系ということもあるが、計算問題は語学的なハンデがなく答えも「一つしかない」ということが明らかなため、日本人にとっては得意な分野だと思う※2。中国人やインド人もこういった分野に強い・・・と世の中では言われているが、実際にはそういった専攻を選択していない学生はすっかり内容を忘れているので、全員が得意と言うわけではない。
一点だけ、日本と異なるな~と思ったのは(もしかしたらうちの大学だけなのかもしれないが)、論理構成があっていても点数がほとんどつかないところ。極端にいえば「論理さえあっていれば計算結果が間違っていてもかまわない」と言われるような大学でテストを受けていたので、計算結果が違っていたために点がつかないというのはある意味で新鮮だった(ビジネスは結果が全てという立場からすれば、当たり前といえばあたりまえだけど・・)。
これも日本の大学とほぼ同じようなテスト形式。ただし、このような形式のテストはあまり多くない。CEIBSでいえば、MacroEconomicsなどがこのようなテスト形式を一部採用していた。
このテスト形式は誰にとっても楽ちんなテストではあるのだが、誰にとって最もメリットがあるかと言えば、ずばり教授である。必修授業ではうちの学年の場合約190人がテストを受けるのであるが、さすがに200人をレポート形式で採点するのはかなりシンドイらしい※3。
うちのschoolの場合、人気教授はEMBAの授業をドンドン割り当てられてしまうため表で見えるよりもずっと自分の時間は少なく、テストの採点はかなりの重労働だとのこと(これはたぶん日本でも一緒なんだと思う。学生時代はそんなこと全然考えなかったが・・)。なので必修授業のように、ある程度は「基礎的な知識や考え方をどのくらい理解したか」を確認するような科目ではこの方法が使われている。
日本人的には、記述問題は教科書の内容をしっかり覚えていけば致命的なミスをすることはないので、結構気楽に受けられるテストではある。
だいたい3時間のテスト時間で20ページ弱のケースを読んで、授業で学んだ考え方を利用して分析を行うという形式。うちのschoolの場合には後半戦からはこの形のテストが増えたが、全体としてはあまり多くはなかった(米国のschoolではこの形がメインというschoolもあるとのこと)。
まずテスト時間という限られた時間でケースを読んで理解し、自分の回答までも記述しなければならないということで、英語がnativeではない学生にとっては結構厳しい形のテストである。僕はMBA生活後半にはかなり読むスピードがあがったため、だいたいnative×1.1ぐらいのスピードで読むことが(読むだけなら・・)出来るようになったが、前半を適当にすごした中国人学生の中には、そもそも読むので制限時間が終わってしまうという学生もいたようである。。
この形式は大学時代にはなかった形式で、ある意味最もMBAらしいと思っていて僕は非常に好きな形式なのだが、やはり自分でしっかり記述をしないといけないということで、はっきりいってnon-nativeには辛い形のテスト形式である。どうしても時間が限られている中、しかも手書きだと英語能力の差によって、そもそも伝えたかったことが正しく伝わらないということは発生してしまう。
また成績を判定するのが、完全に教授の主観なため、どうしてこのような点数になったのかが全くわからないということもデメリットとしてはある(これはレポート形式と同じ)。うちのschoolのように、後半は客員教授ばかり・・みたいになると、自分の回答の何が駄目だったのかを確認するのも一苦労という状況になってしまうので、この形式の場合教授がどのくらい説得力のある授業をしているかによって、テストそのものの満足度も大きく変わってくるように感じる。
■ 成績判定はかなり緩め ■
このようにテストと言っても結構幅があるのだが、総じてMBAの成績と言うのは緩く設定されているので、テストにそれほど真剣に向かい合うという感じではない。そもそもうちのschoolの場合には、企業側が求めれば成績を開示しているが、米国のschoolの場合には既に成績開示が行われていないところもあるため、良い成績をとることにあまりメリットがないということもある。
CEIBSの場合には良い成績をとることのメリットは、交換留学の際に希望順位の半分は成績で決まるということ(もう半分はエッセイやschoolへの貢献度)、上位10%は表彰を受けるということである。ただこの制度に関しても、前述したようにグループワークの比重が非常に大きいので、ちゃんと機能しているかどうかというと結構疑問な点はある※4。
結局こういった運も含めてMBAという感じで終わってしまったのではあるが、やはりやる以上はよい成績をとりたいというのが人間として自然なことだろうと思うし、MBAにいる人間の多くはは学生時代は受験競争の勝者であったことは間違いないわけで、テスト前にはそれなりに勉強する人間も多い。
「成績に一喜一憂するなんて、馬鹿らしいぞ」と言っている教授もいたが、個人的にはやるならいい成果を残したいと思うので、これまでもテストに関しては真剣にやってきたし、school側もなるべく公正な採点をしてくれるように努力を続けてくれればいいな、と思っている。
※1・・・学年で誰もが認める優秀なチームメンバーと一緒になると、ほぼ確実にAが
つくという効果がTerm1/Term2ともにあった。過去にコンサル経験がある・レポートを書くのがうまい(nativeでかつ表現がうまい)というメンバーはやはりMBAでも強い。
※2・・・のはずだったのだが、統計のテストは問題を読み間違えるという痛恨のミスをしてしまい、平均並みの点数に落ちてしまったという苦い思い出がある。
※3・・・仮に一人20分としても、約70時間ということで、一週間の労働時間をまるまる使っても終わらない。
※4・・・そのようなことも含めてうちの学年では、最初のころに"Life is not fair"という標語が流行ったりした。
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