アメリカ出張は取りやめになったけど、結果オーライかもしれない。でも、今年はかなりしんどいことになる。
二週間ほど前に、「このままだと日本からの入国が制限されるという可能性もないとはいえなくなってきた」と書いた米国出張。今の所少なくともアメリカではそういった事態は起こっていないけど、出張はキャンセルになった。一緒にいくはずだったお客様が、2月25日から国内外の出張を一斉にストップさせたからだ。
お客様から連絡があった段階では自分だけいくというオプションもあったのだけど、あまり意味がないし、もし家族に何かあった場合には海の向こうから心配しないといけないし・・・ということで自分もキャンセルした。結果として、3月2日段階では正解だったと思っている。
お客様から連絡があった段階では自分だけいくというオプションもあったのだけど、あまり意味がないし、もし家族に何かあった場合には海の向こうから心配しないといけないし・・・ということで自分もキャンセルした。結果として、3月2日段階では正解だったと思っている。
アメリカは2月28日までは対岸の火事だった
今回のキャンセルを伝えた時に、アメリカ側の最初の反応は「日本は大変だなぁ」だった。アメリカ側ではそれほど問題ないんだけど、お客さん側がそうやって決めてしまったなら仕方ないよねぇ・・という感じだったのだ。
週末である28日(日本時間では29日)は少しトーンが変わって、「風邪をひいてしまったようだけど、コロナではないと思うので心配しないでね」という感じで、まだジョークで話せるレベルだった。ただ、現地の社員が日本にくるのは避けた方がいいかもしれない・・というメッセージは出てきていた。
週末である28日(日本時間では29日)は少しトーンが変わって、「風邪をひいてしまったようだけど、コロナではないと思うので心配しないでね」という感じで、まだジョークで話せるレベルだった。ただ、現地の社員が日本にくるのは避けた方がいいかもしれない・・というメッセージは出てきていた。
だが、この雰囲気も今週に入ってだいぶ変わってきた。
一つは日米間のUA便が減便になったこと。UA便は本数も多く日系の航空会社に比べて運賃も安いため、日本に来るアメリカ人はよく使っている。これが減便したということで、米国から日本への出張についても本格的にキャンセルが発生するようになった。
一つは日米間のUA便が減便になったこと。UA便は本数も多く日系の航空会社に比べて運賃も安いため、日本に来るアメリカ人はよく使っている。これが減便したということで、米国から日本への出張についても本格的にキャンセルが発生するようになった。
次に、アメリカでも感染者が少しずつ増えてきたこと。
インフルエンザが猛威をふるっていようとあまり気にしないアメリカ人ではあるが、今回は予防方法が事実上なく、かつ誰がかかっているかがわからないということで、それなりに心理的に影響が出て来るようになった。うちの会社でも、会社に入る時には手のひらのアルコール消毒をしっかりするようにとの通達が出ている。
インフルエンザが猛威をふるっていようとあまり気にしないアメリカ人ではあるが、今回は予防方法が事実上なく、かつ誰がかかっているかがわからないということで、それなりに心理的に影響が出て来るようになった。うちの会社でも、会社に入る時には手のひらのアルコール消毒をしっかりするようにとの通達が出ている。
最後は、もしかしたら本当に他国からの帰国後に隔離措置がされるかもしれないという雰囲気が出てきたことだ。
現段階ではまだ出国時の制限(といっても強制することはできないが)だけだが、入国時に隔離される可能性があるとなると大事だ。アメリカではこういった措置が一回発表されると、しっかりと運用がなされる。隔離措置により家族と会うこともできなくなるし、仕事にも大きな影響がある。これで、アメリカ側の雰囲気もだいぶ変わったようにみえる。
現段階ではまだ出国時の制限(といっても強制することはできないが)だけだが、入国時に隔離される可能性があるとなると大事だ。アメリカではこういった措置が一回発表されると、しっかりと運用がなされる。隔離措置により家族と会うこともできなくなるし、仕事にも大きな影響がある。これで、アメリカ側の雰囲気もだいぶ変わったようにみえる。
2020年は不況になる、少なくとも会計年度上半期は(9月までは)
それからもう一つ見えてきたのが、今回のコロナウイルスの問題は2020年度の予算設定に対してメチャクチャでかい影響を与えるということだ。
出張や会議が減ることは色々な方面に影響を与えるけど、それ自体が経済を冷やすことはあんまりない※1。インバウンドや旅行、イベント関連といったところは、現在も既に大打撃を受けているが、これもある意味で「コロナによる直接的な被害」ということで、コロナの問題が解決すれば少しずつ回復して来るだろう(とはいっても、いつまでかかるかわからないので、決して優しい問題というわけではない)。
出張や会議が減ることは色々な方面に影響を与えるけど、それ自体が経済を冷やすことはあんまりない※1。インバウンドや旅行、イベント関連といったところは、現在も既に大打撃を受けているが、これもある意味で「コロナによる直接的な被害」ということで、コロナの問題が解決すれば少しずつ回復して来るだろう(とはいっても、いつまでかかるかわからないので、決して優しい問題というわけではない)。
これに加えてお客さんと話していると、この先行きの不透明感により2020年度の予算が影響を受けていることをヒシヒシと感じる。先ほどは「直接的な被害」という表現をしたが、こういった予算策定の問題 == 正確に言えば、保守的な予算計画による支出削減は「間接的な被害」ということができるだろう。
うちのような研究開発を生業にしているような業者は真っ先に影響を受けるし、成長戦略やデジタル・トランスフォーメーション系のB2Bも影響を受けるだろう。そして、そういった影響は回り回って消費者にも影響を与える。昨年の米中貿易摩擦や消費税増税で弱っていたところに、最後の一撃が加わった感じで、いよいよ不況が来ることがほぼ確定してしまったといっていいだろう。
少なくとも予算の組み換えが行われる可能性がある下半期(10月以降)までの6ヶ月はかなりの厳冬になるに違いない。
少なくとも予算の組み換えが行われる可能性がある下半期(10月以降)までの6ヶ月はかなりの厳冬になるに違いない。
このコロナウイルスの影響がつらいのは、ある意味で世界同時に発生してしまうことだ。人口減と高齢化の影響で国内がしんどいから、インバウンドや海外展開で稼ごう・・というストーリーが使えなくなってしまった。もしかしたら中国は予想よりも早く立ち直るかもしれないけど、彼の国もこれから2022年に向けて、決して安定しているわけではない。
今から出来る準備などタカがしれているのだけど、想定していたよりも冬の寒さははるかに厳しくなる予感がしている。これが「終わりの始まり」にならなければいいのだけれども、とこの頃は真面目に心配している。
※1・・・「3月はじめに取締役への報告を行い、3月下旬に納品完了してください」みたいなプロジェクトは結構あると思うのだが、こういったものは今回の措置が直撃するけれど・・・年度内に締めたかったプロジェクトはどうすればよいんだろうね。。。
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