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2020年11月19日 (木)

精密検査で狭心症が見つかり、ステント手術をした話(その3)

(病院を見つけるまでの経緯はその1を、手術が決まるまでの経緯はその2をご覧ください)


10月下旬: 最終意思決定


手術を受ける意志を病院に伝えてから2週間後に、今度は手術を担当してくれる先生との打ち合わせが設定された。同じ内科でも微妙に担当が分かれているらしく、同級生の先生は手術は担当しないのだという。

この打ち合わせでは、改めて自分の症状がどのようなものであるか、どのような部位に狭窄が起こっているのか、そしてどのような器具と術式で手術を行うかの説明をかなり丁寧にいただいた。医療工学についてある程度の知識がないと理解することが難しいような内容まで踏み込んで説明をいただいて、非常に納得度の高い説明だった。最初の入院時の説明では、やや曖昧な説明でそこが不満だったので、正確な説明をいただけたことはありがたかった(一般的に心臓病で入院される方は高齢の方が多いので、その年代にあわせた説明の仕方/内容が標準になっているのだと想像した)。

面白かったのは「執刀されるのは、(今、お話をしている)XX先生ですか?」という聞いたら、「私のように若いのが担当だと不安ですか?」と聞き返されたことだ。自分としては、一度も顔を合わせたことがない人が執刀だと嫌だな〜と思っての質問だったのだが、どうやらベテランの先生を希望される方もいるらしい。
話を聞く限りはそれほど難しい場所に狭窄があるわけでもないし、術式も確立されているようだから、むしろ若い人に経験を積んでもらうにはいい機会なのでは・・・とも思ったぐらいだ。何事も人は経験しないとうまくならないことだし。

話を聞いていて現代の医学はすごいな・・と思ったのは、術式の説明を受けた時だ。今回はステントで狭くなった血管を膨らませるという手術なのだが、ステントを広げると細い部分についていたカス(血栓やコレストロール)が剥がれて血管を流れて行くリスクがあるという。当然そのまま流れていくと先の血管に詰まってしまう可能性があるのだが、そのリスクを回避するために、血管中にパラシュートみたいなのを広げて回収するということができるらしい。

また、そういうリスクがどのくらいあるかどうかを評価するにあたっては、カテーテルを通して血管中に超音波を出す器具を入れて、内部を検査するらしい。ようするに、これは「人が通れない管の内部を評価する」という話と、ほとんど変わらない。医学というよりも、むしろ工学だな〜と思いながら聞いていたのだった。工学部に進んでよかったと、こんな場面で実感するとは。


手術に向けての準備というのは特になかったのだが、コレストロールを下げるための薬は強めにいただくことになった。自分は「中性脂肪が高い値だが、コレストロールは正常値」という脂血異常症を持っていて、中性脂肪を下げるための薬はずっと飲んでいたのだが、コレストロールも80以下に下げるようにとのことで薬を飲むことになったのだった。


11月上旬: 手術の実施


手術は検査と同じくカテーテルを利用するので自分の精神的には随分楽だったのだが、今回は手術をするということで家族にも説明と同席が求められた。なので、入院日には妻と一緒に病院に行って、最終の説明を受けた。


手術の説明では当然リスクも説明されて、一応「最悪の場合」というのも説明を受けることになる。この「最悪の場合」というのは、手術中に何らかのアクシデントがあって死ぬことも含まれるのか・・と思っていたのだが、過去5年の実績では死亡事例はないとのことだった。自分が入院した病院の過去5年間の事例では、最悪の場合は「トラブルがあって開胸手術を行う」ということだった。開胸手術を受けると退院が遅れるな〜と思ったぐらいで、あまり気にも留めなかったのだが。

むしろこの説明は、最後だし・・と思って色々な質問ができて、純粋に楽しかった。
例えば、ステントは血管を広げるために用いられるのだが、詰まっているところを"削る”という方法もあるのでは・・・と思っていたので、それを質問してみた。すると、なんと血管内で人工ダイヤをつけたドリルで削る術式や、カンナのように細くなった部分を削るという術式もあるらしい。ただ、どうしても血管は曲がっているためそれだけではダメらしいのだが。

また、この病気がわかってからずっと気になっていた、病気のきっかけについても質問してみた。
統計を見ると自分の年齢で狭心症を起こす人はかなり少ない。狭心症は生活習慣病の一つときているので、つまり「自分はものすごく生活習慣が悪かったのか?」というのを疑問に思っていたのだ。

先生が言うには、まず血管の詰まりと言うのはコレストロール”だけ”が積もり積もってつまるわけではなく、血栓によるものもあるらしい。また、時間と比例してつまりが細くなっていくわけでもない・・・ということだった。
こういう前提を踏まえた上で、自分の場合は他の部分は血管が綺麗な状態であることを考慮すると、痙攣(冠攣縮性痙攣)によって何らかの傷のようなものができて、そこに急速に血栓ができたと言う可能性もあるとのことだった。断言はできないが「ものすごく生活態度が悪い」と言う理由だけではここまで細くはならないだろうということであった(もしかしたら気を使ってくれただけかもしれないが・・・)。

こういったやり取りは先生から見れば面倒であるかもしれないが、患者側としては疑問点が消えるのはとてもありがたいことだった。こうして翌日の手術は安心して迎えることが出来たのだった。


手術は前回と同じく左手の局部麻酔で実施された。残念ながら前回と同様に麻酔の効きが悪い上に、前回よりも太い管をいれるということで、左手首はかなり痛かった・・・が、そういったことはこちらの事情なので、どんどんと手術は進んでいく。


ところが、なぜか左手の血管に入れている管(あるいはワイヤーのようなもの・・さすがに首は動かせないので見えないのだ)を先生が入れたり出したりしている。また「あれ、うまくいかないな・・」みたいな声も聞こえてくる。なにせ、局部麻酔なので頭はしっかりしているし、手術室内の会話はばっちり聞こえてくるのだ。

不安というほどではないが、心配になったので看護師さんに話を聞くと、どうやら体の内部でワイヤーがうまく"ひっかからない”らしい(どこに引っかかる、のかまではわからないが)。そうしているうちに、奥の方から上司というかベテランらしき先生が出てきて、「ここはこうやって捻るといいんじゃないか」とか「管はこっちの方がいい」というアドバイスをしだした。執刀医の説明の時に「私の後ろにはベテランが控えてますから」という説明をうけていたのだが、なるほどこういう事態のためにいるのだな・・・と納得できた。

看護師さんの話を聞くと、年をとってくると血管の感覚が鈍くなってくるらしく管を入れられても一切感じない人もいるらしいのだが、残念ながらこの手術では若い自分はばっちり管が入るのを実感できる。中から圧迫されているような感じであまり気持ちがいいものではないし、”お、今この辺り通ってるな"とかもわかってしまうのである。出し入れを何度もするというのは、それを何度も感じるということで、あまり気持ちのいいものではなかった。


そうやって30分ほど先生も格闘されていたのだが、そのうち狙ったところに届いたようで、そうなると痛みもないし嫌な感覚もほとんどなくなった。そこからは内部を評価して、バルーンで血管を広げ、ステントを入れるというところまでスムーズに進んだ。バルーンを広げるタイミングでは血管が一時的に狭くなるので痛みがあります・・・という説明があったのだが、それほどの痛みではなかった。
どちらかというと辛いのは、造影剤を入れることで、毎回のどの奥が焼けるような感じがするのだ。時々咳き込むのだが水が飲めるわけでもなく、体も固定されているので放ったらかしである。

ただ、全体としては手術中に聞こえる話が面白くて、聞き耳を立てていたら終わってしまったというのが正直なところだ。

特に内部評価時に先生が「キャリブレーションお願いします」というのが気になってしまい、手術が終わったら絶対その話を聞こうと心に誓っていた。何を補正しているんだ?管の位置?それともカメラの軸?ということを考えていたら、後半はあっという間に終わってしまった感じだ。


結局手術時間は1時間15分程度だった。前回よりもきつめに左手を止血する必要があり、そのための空気を使った止血バンドが大変痛かったのが唯一辛い点だ(この左手は1週間以上たった今でもまだ少し痛い)。手術後は造影剤を外に出す必要があるため、点滴を一晩打ち続ける必要があり、もう一泊することになっていた。

手術はちょうどお昼をまたいで行われたので、昼ご飯を食べて休んだ後に、夕方には執刀医から手術結果の説明を受けた。ステントを入れて膨らんだ血管の写真を見せてもらい、ようやく手術が成功した実感を感じることができた。映画の見過ぎかもしれないが、ステントを入れたら体にエネルギーがみなぎるかも?と少しは期待していたのだが、全くそんなことはない。退院後に軽い運動をした時に息苦しさがなくなったので、体はよくなっていることは感じられている。


先生によれば、前半の苦戦は体の血管のつき方が少し想定と違ったことと、血管が痙攣して収縮してしまい管の動きが悪くなったことが要因らしい。確かに、一度管を抜こうとした時に手がもっていかれるような感覚があったのだが、どうやらその時は”血管が管を締め付けている”みたいな状態になっていたらしい。
冠攣縮性狭心症という診断からそういうことは事前に予想していたらしいが、痙攣が思ったよりも強く、かつ頻発する可能性はあるかもしれないというのが先生の術後の見立てだった。そのこと自体がすぐさま致命的な状況を引き起こすわけではないが、ストレスを「増やさないでください」という注意はあった、「溜めない」は結構簡単にできそうだが、「増やさない」はかなり難しい。このお話を受けて、仕事や生活の仕方も見直す必要があるな・・・と心に書き留めた。

今回の手術により、とりあえずの問題は解決されたのだが、一方で今回の検査や手術で「血管の痙攣」という体質がわかったため、引き続きそれに対応する薬と血栓ができづらくなる薬は相当の期間(一部は一生)飲み続けることになった。また、これまでの不摂生で大きくなった体も小さくする方がよいということで、相当の減量を、心臓に負担をかけすぎないように行う必要がある。

また再狭窄の可能性もゼロではないので、おそらく来年の中頃には再度カテーテル検査を受ける必要があるだろう。再狭窄が何度も怒ると、それは体質ということになってしまい手が打ちづらいということだったので、こればかりは再狭窄が起こらないように祈るのみだ。
「このタイミングで自分の体質がわかり、手を打っておいてよかったね」といえるかどうかは、これからの人生次第だ。これから数十年間は、”体にチューブが入った人"として生きていけるように頑張らなければならない。

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