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2021年8月

2021年8月26日 (木)

[書評] ビッグ・クエスチョン 〈人類の難問〉に答えよう: 際立った知性は同じ方向を向く

51asfysfirl_sy346_自分がスティーブン・ホーキングという人物を認識したのは、小学校の頃だった。学校の図書館に「ホーキング 宇宙を語る」があり、当時宇宙に興味を持っていた自分はとりあえず”宇宙”という単語に惹かれて手に取ったのだ。今となっては本の内容は全く覚えていないが、卒業アルバムには将来の夢を「NASAで働くこと」と書いていたくらいなので、宇宙への興味はそれなりに強いものがあったのだろう。

 

結局その夢は大学1年生の時に捨ててしまったが、それでも宇宙への興味は変わらず、教養過程では宇宙論や相対論を受講した。しかし、そのロマンあふれる授業名から想像される内容とは異なり、大学のこれらの授業は数式を駆使した物理学だった。数学が得意ではなかった自分はあっさりドロップアウトし、そのままついにその領域を本格的に学ぶことなく40歳を超えてしまった。

 

それでも、志半ば・・というか、そもそも大きな志などなかったであろう自分にとっても、ホーキングという存在は特別な存在であり続けた。ALSという難病でありながらも研究活動を続けた・・という事実を持って、一般的にはある種の超人性・聖人性を付与されてしまった彼が私生活では決して聖人ではなかったということを知っても、自分の中での存在の大きさは変わらなかった。もしかしたら、その理由の一つには「難しいことを平易に語る」という、自分の中では得意であると思っている領域の偉大な先駆者であるという意識があったからかもしれない。実際、内容は覚えていないとはいえ「宇宙を語る」は小学生にも十分理解が可能な語り口だった。

 

 

そういうわけでaudibleで本作を見つけた時も、迷うことなく購入を決めたのだった。audibleは「聞く読書」なので、どうしても向き不向きがある。一番の難点は、前のページを参照したり、わからなくなった時にパッと戻るということができないことだ。しかし、ホーキングの語り口であれば、文字を追わなくても大丈夫だろうと考えたのだ。

実際に聴き始めてみると、この領域に多少の知識を持っている人間であれば朗読でも全く問題なく内容が頭に入ってくることに気がついた。ブラックホールとそれに関連する物理学的理論の説明が行われているにも関わらず、まるで挿絵があるかのように”絵として”内容が頭に入ってくる。彼が生涯をかけて研究した内容が、その本質にまで触れることはできなくても、外縁から十分に理解が可能なように構成と語り口が工夫をされているのだ。

そのこと自体で科学啓蒙書としての本書の価値は十分に満たしてくれているのだが、それよりも驚くのはホーキングの興味の方向性が非常に幅広く、かつその全てが現代科学において重要な領域であるということだ。列挙すれば、彼の興味の対象は核融合技術、自然破壊と環境保護、宇宙開発、そしてAIになる。彼は宇宙物理学という、ある意味で究極の「根本的な課題」に取り組みつつも、その視野には工学の最先端がちゃんと含まれているのだ。

そしてその理由は、本書内でも明確にされているように、人類という種(よりわかりやすくいえばホモ・サピエンス)の生活範囲が地球のみであるとすると、いずれ滅亡をしてしまうという問題意識によるものだ。その滅亡の理由は、例えば核戦争かもしれないし、地球環境の大変化かもしれない。あるいは恐竜が絶滅した時と同じように隕石の衝突かもしれない。その「何が」「いつ」起こるかということは正確に予知することはできないとしても、今後の1,000年単位で考えれば、人類がこのような問題に直面することは避けられない・・・と彼の卓越した頭脳は判断したのだろう。


自分はこの下りを読んでいて、優れた知性というのは最終的に同じような問題意識に到達するのかということに驚いた。衰えていく地球から宇宙に飛び出し、そのためには物理的な理論や核融合の知識がいる・・・というのは、まるでインターステラーで描かれた世界のようだ。おそらくかなり近い将来、こういった問題がより身近になり、より真剣に議論されるようになるのだろう。そして、自分が生きている間ではないかもしれないが、これらの問題が解決されて、人類が他の星で暮らすような未来が来るに違いない・・・と、本書を読むとそう思わずにはいられない。

 

2021年8月22日 (日)

モデルナワクチンの2回目接種を終えた

自分が住んでいる港区は、ワクチン接種クーポンの配布開始まではどちらかというと23区内の中でも進行は遅い方だった。子持ち家庭には施策が手厚い港区だが、それは区役所が優秀というわけではなく、政治側(特に清家議員)の力のおかげだったのか・・とも思ったものだ。

しかし大規模接種が可能な場所が多いのが港区の強みだったのか、一度クーポンの配布が始まると、怒涛の勢いでワクチン接種の予約枠がリリースされた。
このワクチン接種を支えている一つの要素が、森ビルである。森ビルは職域接種で10万人もの人間に接種を行うと発表し、さらに、虎ノ門ヒルズのセミナーホールを活用した大規模接種を開始したのだ。
他にも増上寺での大規模接種や、大規模病院での一斉接種など、とにかく箱と物量を抑えての戦いで一気に接種率を上げてきた。8月18日の段階で1回目接種は50%近くに来ているし、職域接種も含めばもっと数が増えるだろう。

自分も家からそれほど遠くない虎ノ門ヒルズで2回の接種を行って来た。昨年の心臓手術によりハイリスクとなった自分は、予約枠が解放された瞬間にパソコンから確実に枠をおさえて、1回目は7月の下旬、2回目の接種は8月中旬に完了することが出来たのだった。

両日ともに副反応が出ることを予想して、土曜日の午前10時に接種した。
1回目は接種後24時間では微熱が出るくらい、そこから熱は上がらないものの倦怠感がかなり強く、ほぼ1日をベッドの中で過ごした。月曜日からは普通に仕事をすることが出来たが、腕の痛みは一週間ぐらいは続いた。
ただ、自分のように打撃系の格闘技の経験がある人間にとっては、あの程度の腕の痛みはそれほど辛いものではなかった。空手系の練習では新人に肩や二の腕を殴らせることをするので(通称: 肩パン)、そういった痛みには慣れているのだ。


2回目はもう少し副反応は強かった。WEBなどでカロナールが良いと聞いていたので、事前に準備をしておいたのだが、それでも38度を超える熱が出た。だいたいの経緯は以下のような感じだ。

  • 接種後1時間: 副反応予防用にカロナールを服用
  • 土曜日午後(接種後4時間ごろ): 微熱が出て来たがそれほど辛くない
  • 土曜日18時(接種後8時間): あまり食欲がないので、軽く夕食を取りカロナールを再度服用
  • 日曜日2時(接種後16時間): 寒気と熱、からだの痛みで目がさめる。関節痛というよりも、山登りで全身がだるい・・みたいな感じの痛み。薬を飲みたかったが、あまり服用量が多いのはよくないと、布団にくるまって我慢する。
  • 日曜日6時(接種後20時間): 熱が少し下がった感じがするが、どうにも体が痛いので、ベッドから抜け出しカロナールを服用。同時に熱を測ったところ38.2度だった。
  • 日曜日10時(接種後24時間): 熱は下がったが、体はまだ痛い。猛烈に腹が減ったので、一気に食事をして睡眠。このタイミングではカロナールは取らず。
  • 日曜日17時(接種後31時間): 熱はだいぶ下がり37度ちょっと。相変わらず腹は減っているので、しっかり食事をとりベッドへ。カロナールを再度服用して、痛みはだいぶ楽になって来た。
  • 月曜日8時(接種後46時間): 熱は平熱に。体の痛みも消えたが、やや倦怠感は残っている。この段階で薬は必要ないと判断。念のため、この日は有給を事前に取得しておいた。
  • 火曜日8時(接種後70時間): 体の倦怠感もほぼなくなり、問題なく普通の生活が可能に。ただ、これまでのダメージが残っているのか、ちょっとしたことで疲労がズシンとくる。
  • 水曜日7時(接種後93時間): ぐっすりと眠ることが出来たためか、疲労感も消えている。

ワクチンを打つ・打たないの最終決定権は個人にあるので、これからも打たない人も一定数は残るのだろう。ただ、個人的にはワクチンを打つことができて、これまでは自覚していなかったものの、ストレスがかなり軽減されるのを感じた。「できることがあるのに、自分ではどうしようもない」というのは、自分の中ではかなりの負荷だったのだろう。
これからも行動には何も変化はないし、マスクはつけ続けるけど、自分の中では一つ肩の荷が降りた。

2021年8月 3日 (火)

コロナ感染者数とパラリンピックの開催

オリンピックでの日本の金メダルラッシュで盛り上がる一方、あれよあれよとコロナの感染者数は増えてしまい、気がついたら東京で4,000名/日を超える感染者数がカウントされるようになってしまった。陽性率が20%を超えるというのは明らかに検査数が足りないということであり、都市中にはもっと多くの感染者がいるだろう。

一方で数が増えたといっても。自分も家族もこれまで基本的に自粛生活を続けていたので、生活は大きく変わらない・・・というか、出来ることがほとんどない。とはいえ危機感はこれまでよりも遥かに大きくなっているので、例えばマスクは不織布マスクをこれまでに比べて使うようになったし、子供の習い事も子供が教室に詰め込まれるタイプのものは不参加としている。

自分がコロナになるかもしれないというのはもちろん怖いが、もっと怖いのは夫婦の二人がなってしまい子供だけが残されてしまうことや、あるいは子供が感染してしまうことだ。これまでは子供の重症化はほぼないと言われていたが、デルタ株は子供への感染と重症化も強くなっている。

自分と妻はワクチンをうつことができるが、子供はまだワクチンを打つことができる年齢にもなっていないので、とにかく自衛するしかないのだ。ちなみに自分が住んでいる港区は高齢者を除く対象へのワクチン接種は7月に開始したが、これまでのところは接種自体の遅れはなく進んでいる。森ビルが虎ノ門ヒルズを提供したり、東京タワーのお膝元である増上寺でも接種が出来るということで、かなり順調に接種が進んでいるようだ。
自分はワクチン2回目接種が10日後であり、妻はまだ1回目をうったばかりだ。ここばかりは焦ってもしょうがないので、最初に書いたようにこれまで以上の危機感で毎日の生活を過ごすしかない。


パラリンピックの開催は?

オリンピックは既に12日目を迎えて、後半戦に入っている。コロナの拡大も止まらず、選手たちを隔離するといったバブルもあまり機能していないように見えるが、ここまできたら最後まで突っ走るのだろう。・・・というか、今更オリンピックを中止しても得るものはほとんどない(オリンピックが中止された!という心理的な影響で、外出は減るかもしれない)。

気になるのはパラリンピックの開催だ。よく勘違いされるのだが、今回のオリンピック開催ですっかり悪役となったIOCは実はパラリンピックの主催者ではない。パラリンピックの主催者はIPC(International Paralympic Committee)だ。IOCとIPCは協力関係にあるが、別組織であり、それぞれがそれぞれの組織を持っている。

さて、そのIPCが開催するパラリンピックだが、容易に想像される通りオリンピックほどのパワーを持っていない。加入国・地域数もIOCとIPCには差があるし、財政規模も異なる。財政規模の違いはすなわちスポンサー数と金額の違いでもある。端的にいってしまえば、パラリンピックの商業的な価値はオリンピックよりも小さいということだ。


こういった理由もあり、パラリンピックが中止されるかもしれないという見通しが、感染者数の増加とともに、メディアに載るようになった。もちろん国も東京都も否定はしているが、水面下では真剣に検討されているだろうと思う。

自分はオリンピック開催是非の議論がなされていた際も、一貫して開催に賛成だったので、こういった事態になってもパラリンピックの中止には反対の立場だ。どちらもアスリートにとっては人生をかけた場であるということは変わらないし、パラリンピックの方が人類にとってより意味のあるものだとすら自分は思っている。オリンピックの理念はDiversity & Inclusionだという報道があったが、であればこそ、その理念はパラリンピックでこそより輝くはずだ。


一方で、現実的に今の東京の医療状況が「パラリンピックを開催するに相応しくない」という観点もあるだろう。パラリンピックに参加するアスリートの方がコロナにかかりやすい・・ということはないだろうが、障害のレベルによっては治療を実施するのがより難しいという場合もあるだろう。また、ボランティアや開催に関係する人間で大規模クラスターが起こってしまうという可能性もある。

オリンピックでもかなりの数の医療従事者が必要とされていると報道があったが(おそらくこれはIOCとの開催契約の中に含まれるのだろう)、パラリンピックでも現場で待機する医療従事者が必要とされるのは間違いないだろう。そうなった時にただでさえ疲弊している医療現場のリソースを分割するのかという懸念は大いにある。


以上のことを考えると、時期の分散開催といった方法論まで含めて延期という選択肢が浮かび上がってくる。現実的かどうか?と聞かれると技術的には非常に困難であることは承知しているが、東京という都市は「オリンピック/パラリンピックを開催する権利」とともに「オリンピック/パラリンピックを開催する義務」を負ったと感じている自分としては、パラリンピックを中止すべきでないという気持ちが強いのだ。

 

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