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2023年8月

2023年8月28日 (月)

処理水排出への中国の反応

東日本大震災での被害からずっと東京電力福島第一原子力発電所の建屋内にためていた、放射性物質を含む水(通称ALPS処理水)の海洋放出に対して、中国がかなり強硬に反対をしている。これまでの報道によると、日本の水産物を全面禁輸する通達を出したり、日本からの水産物を利用しているレストランなどは営業停止にするという通達があったようだ。
大使館からも、この問題に関連して日本人が何らかの被害に遭う可能性があるので、十分に注意してください・・という連絡があったようだ。

こういった反応を見ると、もしかしたら2005年や2012年の反日抗議のようになるのかもしれないという気持ちになる。
2005年はまだ中国にはいなかったのだが、2012年はMBA在学中で現在の妻と一緒に上海に住んでいて、中国人の友達からもそれ以外の学校の友達からも随分と心配された。上海で親しくしていた中国人は、”何かあったらいつでも逃げてきて”と言われて安心させてくれたりもした。ただ街中では一応警戒していたし、実際にはそれほど怖い目には合わなかった。何か暴動のようなことが起こる時は、なぜか不思議と情報が流れてきて、そこで暮らしていて警戒をしている人間には事前にわかるようになっていたのだ。


2005年も2012年も”結果としては”反日という行動になっただけで、その根っこにあるのは国内の政治状況だった。中国では国内が不安定になると、対外的に敵を作ることで圧力を外に逃そうとする。日本は歴史的な経緯や地理的な理由により、最もその対象として選びやすいのだ。
今のところは今回の活動はまだせいぜい地方団体や民衆レベルで起こっているだけなので、これから中央がどのように動くかはまだわからない。もし外交部以外の部長級(閣僚級)以上が何か積極的にコメントを始めるようになったら、きっと国内で何かしらの危険信号が出たということなのだろうと想像がつく。それはもしかしたら、輸入禁止や反日という”現在出ている結果”以上に何かまずいことを引き起こす可能性があるということで、これからの中央のコメントには注目した方がいい。

2023年8月 6日 (日)

大衆皆喜に関わった人間による”『ゼクシィ』のメディア史: 花嫁たちのプラットフォーム”の感想(5/5) : 大衆皆喜はなぜ撤退したのか?

(その1その2その3その4から続きます)

ゼクシィという媒体のメディア的な変遷を辿る「ゼクシィのメディア史」の最後の章では、著者の 故郷である中国において発行されていた大衆皆喜ぶについて取り上げられている。日本での成功モデルの輸出に失敗したとして概ね評価としては否定的であり、実際に撤退をしていることからもその評価については妥当であると言わざるを得ない。一方で著者がその根拠として挙げているのは主に編集コンテンツであり、これまでも書いてきたようにビジネスとしての側面は考慮がされていない。またその編集コンテンツについても、明らかな誤解がある部分も存在する。この感想の最後に、実際に大衆皆喜に一時関わったものとして、その点を指摘しておこうと思う。


編集コンテンツの提供タイミングについて

本書では大衆皆喜(以下わかりやすく中国ZEXYとする)の編集コンテンツの変遷とポリシーが次々と変わっていった点に対して、どちらかというと否定的なスタンスで評価を行っている。撤退したという結論、そして本書のスタンスを考えれば、市場やカスタマーのニーズに合ったコンテンツを提供できなかったということに関して厳しい評価になるのは仕方がない。

ただしその評価の中で事実誤認をしている部分があったので、その部分は明確に指摘を行っておきたい。それは、中国ZEXYではコンテンツを出すタイミングが発行タイミングの関係で遅れてしまい「情報の鮮度」が日本と違いがあったという点だ。
確かに創業者の江副は、情報誌ビジネスにおいては「情報の鮮度」が非常に重要であるということを言っていたし、当時のリクルートにおいてその感覚は事業を問わずに維持された感覚であったと思う。ただしここでいう「情報」は、編集コンテンツではなく、クライアントから提供された広告情報のことを指しているのだ。

マッチングという事業形態を考えればわかる通り、広告情報はなるべく最新のものをカスタマーに提供することが望ましい。求人であればポジションが埋まってしまうかもしれないし、枠があるような商品の広告(たとえば不動産)であれば先着が重要になる。
一方で編集コンテンツについては、そこまでの新鮮度は求められていないというのが正直なところだ。確かに季節性があるものはコンテンツを出すタイミングが重要になるが、本書でも記載されている通り、そもそもZEXYは編集コンテンツのテーマを数カ月ごとにローテーションしていた。 言い換えれば多くのコンテンツは明確に時期を決めて”出す必要のない”コンテンツだったということだ。このことと合わせて考えても、少なくとも発行タイミングが異なるということが中国ZEXYの道のりを決定する上で、重要な要素になったとは考えられない。


中国ビジネスでの最大の困難

それでは中国ZEXYが撤退をした理由はなんだったのだろうか、という疑問が出てくる。もちろん本書に挙げられているような編集的な側面も合ったことは間違いない。編集コンテンツとは結局のところ、リボン図におけるカスタマー側を”動かす仕組み”に他ならないからだ。しかし、その4で書いたようにリクルートは情報誌をビジネスとして展開している。言い換えれば事業継続の意思決定は、結局のところビジネスとして成立するか、あるいは今後の成長が見込めるか否かにかかっている。

ビジネスとして成立していると判断し、かつ今後の成長が見込めるかどうかの予想をするためには、複数の要素を検討しなければならない。一方で事業継続のための要件というのは、意外にシンプルでもある。一言で言えば「その事業は自分たちでかかるコストを賄えているか」だ。

少なくとも自分が在籍していた期間においては、中国ZEXYはこの点でまず非常に難しい状況にあった。波があるとはいえビジネスは少しずつとはいえ成長しており、自分が作ったようにネットなどのチャンスも存在した。しかし実を言えば当時最も難しかったのは、商売の基本である「売上を回収する」という点だったのだ。

中国ビジネスに関わっている人であれば知っている通り、中国では支払いサイトが非常に長い。日本では請求書の受領から翌月払いか遅くとも翌々月払いというのがある程度スタンダードになっているところが多いが、中国では数ヶ月先の支払いというのはごく普通だ。その上、中小企業の場合には支払いが遅れたり、あるいは支払い期日が来る前に倒産(あるいは夜逃げ)をしてしまうということもある。中国ZEXYの対象としていた企業も中小企業が多く、そういった企業は請求書に沿って振り込みをしてくれるというところは少ない。営業担当がしっかり入金まで確認をして、支払い催促に行かなければ払わないというところが多いのだ。そして催促をしても100%払ってくれるわけではない。

こういった未払い(あるいは売上未回収)というのはボディーブローのように効いてくる。中国では外国企業に関わらず黒字倒産というのは普通に起こるのだが、 これを避けるためには営業やあるいは会社全体で資金回収をしっかりマネジメントしなければならない。残念ながら当時のリクルートにはそういった中国のビジネス環境の経験がほとんどなく、資金回収にはかなり手こずっていた記憶がある。

ビジネス環境の違い

上に書いた資金回収の問題に加えて、日本のゼクシィと中国ゼクシィでは環境が大きく異なる点が2つあった。一つは外資が情報誌ビジネスを展開するための規制であり、もう一つは急速なネット化だ。

まず前者の規制について説明しよう。中国では当時雑誌を出版するにあたっては「刊号」呼ばれる登録番号を取得する必要があった。この刊号は外資系には提供がされておらず、内資の出版会社にしか割り当てられない。しかも申請をすれば取得することが出来るものではなく、割り当て数に上限があった。本書でも取り上げられているような中国国内での展開スキームは、この刊号に関係する部分もあった。
詳細なスキームを紹介するのは避けるが、当時外資系で出版関係のビジネスを展開する企業はこの「刊号」を内資企業から実質的に”借りて”ビジネスを行うことが一般的だった。ただし、この方法は当時の中国ビジネスによくあるようにグレーな領域に属していたといっていい。リクルートが日本で上場するにあたり、この事業が問題になったかどうかについては、自分はすでにリクルートを離れてために知らない。だが、上場にあたってリーガルリスクを洗い出した際に、少なくとも何かしらの注意が向けられだと考えるのは当然だろう。


もう一つは本書でも取り上げられているように、中国では急激なネット化が進んでいたという事実だ。そもそも中国では日本のようにコンビニや本屋で雑誌が売られているということはあまりなく、雑誌や新聞は日本でいうところの「キオスク」のような街頭のスタンドで購入するものだった。そのため人口に比べて雑誌/情報誌の発行部数が少ないというのは、事業開始時点でもわかっていたことだった。

その情報の空白を埋めたのがインターネットだった。当時はまだスマホはなかったが、いわゆるガラケーでも情報はかなり流通していたし、ネットカフェのようなものも多く存在した。本書に書かれている通り、紙の情報誌では圧倒的なブランド力を持っている日本でも、ZEXYはインターネットで同じようにブランド力を構築することができなかった。本屋やキオスクなどの物理的な「面」を抑える情報誌ビジネスとは違い、インターネットは無限に情報を発信することができるからだ。

中国においても同じような問題は常に存在していた。その上、大衆点評のような口コミサイトも急速に盛り上がっており、中国ZEXYがブランドを構築するにはかなりのリソースを必要としていたのは間違いない。外資系企業に対してはインターネット上でのビジネスには制限がかかっていることもあり、成長し続ける競合と戦うのは難しいとリクルートが判断したとしても不思議ではない。

撤退という判断は、上記のように様々な問題を総合的に考慮しての決定だったと思う。そしてこの”撤退という学び”により、リクルートという会社は自前で情報誌/マッチングビジネスを海外で展開するという試みは事実上放棄し、M&Aによる海外展開という道を選ぶようになる。そして現在では、マッチングビジネスを海外で展開するためのM&Aもあまり試みてはおらず、海外ビジネスは派遣会社の買収とIndeedの展開を進めている。自分の中国ZEXY/大衆皆喜での取り組みは、リクルートの歴史においては失敗というカテゴリーに属する結果になったということだ。ただ個人的には、そこから中国での生活がはじまり今に至るわけで、自分の決断が失敗だったとは全く思わない。

 

全5回にわたって「『ゼクシィ』のメディア史: 花嫁たちのプラットフォーム」を題材にして、ZEXYというビジネスについてグダグダと書いてきた。改めて強調したいのは、自分の指摘はビジネスという側面から著者の研究に対してコメントを付け加えたということであって、著書及びその元となった論文を批判したいというわけではないということだ。むしろ「『ゼクシィ』のメディア史: 花嫁たちのプラットフォーム」は、自分のようなビジネスを主戦場にする人間にとっては新鮮な視点を提供してくれる、素晴らしい一冊だった。



2023年8月 5日 (土)

大腸内視鏡検査を受けてきた

精密検査を受けないといけない何かが発見されたというわけではないのだが、昨日は大腸内視鏡検査を受けてきた。40歳を超えたら一回は受けた方がいいよと、オバマ元大統領も言っていたし(そんな記憶がある)、家族が軽い気持ちで大腸内視鏡検査を受けたら腫瘍が見つかった・・ということがあったのが理由だ。ちなみに家族の腫瘍は悪性ではなかったので、内視鏡でとってしまい今は問題ないらしい。
本当は6月末に 予約を取っていたのだが、事前のコロナ検査で引っかかってしまい8月まで延期したのだった。ちなみに6月のコロナはいわゆる無症状コロナと言うやつで、検査を受けなければ自分がコロナである事は気づかなかっただろう。

今までカテーテル手術や胃カメラは何度もやってきたが、大腸内視鏡はできればやりたくなかった検査のトップに位置している。とにかく準備に時間がかかるし「何かを飲んでお腹の中を空っぽにする」というのが生理的に辛い。昔はしょっちゅうお腹を壊していたので下痢になるのはまあいいか・・と思えたかもしれないけど、結婚してからはほとんどお腹を壊す事は無いのだ。

 

当日は人間ドックと合わせての検査だったので、まず午前中に通常の検査を終えてしまう。その後大腸内視鏡の準備に入ると言うことで個室に通されたのだが、向かった先は普通の入院病棟だった。 部屋に入ると机の上に置かれているのは、どうやら下剤の入った大きなビニール袋。表面を見るとニフロックと書かれている。「きっちり2リットル入っているので、2時間で全部飲んでくださいねー」と看護師の方が明るく去っていたが、こっちはその量にゲンナリする。

とりあえず1口飲んでみると、レモン水のような味がするがなんとなくドロっとしていておいしくない。せめて冷やしてくれればもう少し飲めるようになるかもしれないが、とてもじゃないが時間をかけないと2リットルは飲めない。最初は15分かけて200ccほど飲めと言われたので、家から持ってきたiPad見ながらゆっくりゆっくりとのんでいく。
30分ほどかけて飲み進んでいくと、今度は全く便意が来ないことに焦りを感じ出す。 説明書を見ると、どうやら1リットルほど飲むと便が来やすいと書いてある。また軽い運動すると便意が来るのが早くなると書いてあったのでコップを持ちながら部屋の中をぐるぐると散歩してみたりする。

そのうち説明書に書いてある通り、1リットルを超えたあたりで急速に便が来てトイレに駆け込むことになる。 説明書によると大体5回から8回ぐらいトイレに行くと検査準備が完了するらしい。 多分これまでも「準備が充分だ」と嘘をつく人がいるのだろう、十分に準備ができた便の状態になったら、流さずに看護師さんを呼んでくださいと書いてある。自分の便を人に見てもらうと言うのは生理的にかなり辛いものがあるが、見てもらわないと次に行けないのでは仕方がない・・・。トイレの回数がかなりになり、自分で十分だと思ったタイミングで呼んだら「ちょっと底の方に固形物があるので、もう一回出してくださいー」とこれまた明るく言われて、精神的大ダメージを負ってしまった。

 

そんなこんなで無事に2時間強で準備を終えたが、順番が決まらないと言うので今度はそのまま病棟で休むことになる。朝から食事を食べていないのでかなり辛い上、iPadの電源がなくなってしまいやることもなく、仕方なくベッドの上でごろごろと時間をつぶしていた。 結局「順番が来ました」と呼ばれたのは、そこからさらに2時間以上経ってのことだった。予約が入っていてもスケジュール設定が困難と言うのは、病院という業態はどういった管理をしているのだろうと疑問に思いながら検査室へ向かう。

検査室に入ると、まず鎮静剤を体に投与してもらう。鎮静剤は一応選択性になっていたのだが、過去に胃カメラを飲んだときに鎮静剤なしで死ぬほど辛い思いをしたので、今回は悩むことなく選んでおいたのだった。本当は大腸内視鏡検査だけが希望だったのだが、そういったコースがなかったので、今回は胃カメラとセットでの検査になる。

検査に入る前はお尻に大腸カメラが得られると言うのはどんな気分なんだろうなぁ…、と不安だったのだが、疲れがあったのと鎮静剤が想像以上に効いたのか、 ほとんど検査をされたことすら気づかずに気がついたら1時間が経っていた。あれって鎮静剤っていうよりも、麻酔に近いんじゃないの?

そこから今部屋に戻ると軽食が準備してあり、鎮静剤の効果がなくなったら出ていいですよと言われる。ただ実際には、部屋にいて良い時間は決まっていたらしくまだ頭がちょっとフワフワした状態のまま部屋を出ることになった。個人的には下剤よりも何よりも、朝から食事が殆どできないのが辛い。ストレスが溜まってイライラしてしまうし。

想像していたよりはずっと楽だった(何せ実際の検査はほぼ覚えていない)のだが、出来れば一回きりで終わりにしたい検査なのは間違いない。ただ、自分の場合は血液サラサラの薬を飲んでいるから生検ができないので、何か異常があったら薬のコントロールをした上でまたやらないといけないんだよなぁ・・・。

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