勉強している内容の備忘録: マンキュー経済学 マクロ経済 第2章
第1章の経済学の十大原理に引き続きイントロダクションと位置付けられている第2章には”経済学者らしく考える”というタイトルが付けられている。自然科学ではない経済学という領域において、学問として経済を研究するとはどのようなことを行うのか・・ということを紹介するのが、この第2章の目的なのだろう。
マンキュー経済学 マクロ経済 第2章
この章は「経済学者とは何か」あるいは、「経済学者はどのように考えるかのか?」といったテーマを取り上げているため、ややエッセイ風の章となっており、章全体として大きな流れがあるわけではない。なので、内容をまとめるのもどうしてもテーマ別の記載になってしまう。
● 科学者としての経済学者
自然科学ではないとはいえ、経済学は「科学である」というのが、まず本章でマンキューが伝えたいことだ。ここでいう科学的というのは、観察をして、理論をたて、その理論の正しさを検証するという一連のサイクルが回るということを意味している。ただし、経済学は自然科学とは異なり実験を行うことが難しい場合が多いため、過去のデータを用いた検証が多くなる。
また自然科学(特に物理学)がそうであるように、理論を検証するために様々な仮定をおき、観察する事象をシンプルにする。これにより検証しようとする理論はモデルとして記述される。本章ではその例として「フロー循環図」と「生産可能性フロンティア(production possibilities frontier)」の二種類が例示されている。
● 政策アドバイザーとしての経済学者
アメリカでは日本よりもずっと経済学者の活躍の幅が広いということもあるのか、いわゆるエコノミストとしての考え方や働き方にもマンキューは触れている。彼がこの段落で強調しているのは、経済学者の主張には“実証的な主張“と“規範的な主張“があり、規範的な主張には価値観が反映されるということだ。
この違いをわざわざ強調しているということは、日本だけでなくアメリカでもこの二つの違いを切り分けることが出来ない人が多くいるということを意味しているのだろう。
この章では上の2つに加えて章の補論という形で、理論を可視化する/グラフ化するための基本的な考え方が示されている。驚くのは、この内容がおそらく日本であれば高校レベルで習うような初歩的なことであるということと、数式がほとんど使われていないということだ。
これは本題の部分でも同じで、モデルの説明をする時に“傾き“という言葉はあっても、“微分“という単語は全く出てこない。日本だと間違いなくこの部分は“微分“で説明されるはずで、この辺りも日本の教科書とアメリカの教科書のスタンスの違いがよく出ている。
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