勉強している内容の備忘録: マンキュー経済学 マクロ経済 第7章(生産と成長)
第6章「国民の生活費」に続いて、一国の成長に関する基本的な知識を学ぶ。マクロ経済学は究極的には「長期の成長と短期の不景気の循環(サイクル)の理由を説明する」ことが目的であるとマンキューは定義しており、そのためにはまず成長をもたらす要因を探る必要がある。
マンキュー経済学 マクロ経済 第6章: 生産と成長
● 生産性の決定要因 ●
一国の経済的な厚生(あるいは単純に国民の所得)を決定するのは、一人当たりの生産性だ。閉じたモデルを考えれば、一国の消費は全て自国内で生産されたものであり、消費が多いということは生産が多いということを意味している。
そしてこの生産性を決定するのは、大きく分けると4つの要因となる。
- 物的資本: 過去に生産された資本のうち、再度生産に回される資本
- 人的資本: こちらは人間に関する資本だが、過去に教育などにより生産されている
- 天然資源:
- 技術知識: 人的資本との区別に注意(技術知識は社会全体の教科書のようなもの・・と説明がある)
● 経済成長と公共政策 ●
上記のように、一国の経済レベルは一人当たりの生産性によって決定されるとすると、政府は政策により経済成長を実現しようとするのであれば、一人当たりの生産性を向上させることが必要になってくる。本章ではこの「生産性を向上させるための政策」の代表的なものが挙げれている。
- 貯蓄と投資: 貯蓄により生産材への投資が増えることで、資本ストック(物的資本)が増加し、その結果として生産性が向上する。ただしこの生産性の向上は、生産材が増加するにつれて増加率が減っていく。これを限界生産力逓減と呼ぶ(数学的に言えば、微分した際の傾きが小さくなっていくということ)
- 外国からの投資: 対外直接投資であれ、対外証券投資であれ、海外からの投資は上と同じく資本ストックの増加をもたらし、生産性を向上させることもある(必ずするわけではない)
- 教育: 人的資本の増加
- 健康と栄養: 同じく人的資本の増加を結果としてもたらす
- 所有権と政治安定性: 自分の財産が取り上げられるかもしれないような環境で、誰が労働をするだろうか?
- 自由貿易: 内向き政策は長期的には国の生産性を下げる
- 研究開発: 技術知識の向上をもたらす
- 人口成長: これは+と-の効果があるため、一概には成長に寄与するとは言えないところがある
「所有権と政治的安定性」「自由貿易」の2つは、最近の中国経済を見ていてもなんとなく理解できるところがある。ただし中国の場合は、今は経済成長を第一の目標としているわけではないだろうし、まだ国内市場が十分に大きいことから、おそらく今の成長のスピードダウンは織り込み済みなのだろう。
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