勉強している内容の備忘録: マンキュー経済学 マクロ経済 第11章(貨幣システム)
この章と次の12章は”長期における貨幣と価格”というセクションに分類され、経済において最も重要な概念の一つである「貨幣」について取り上げる。日常の生活では貨幣とは、いわゆる「お金」を指すに決まっている・・と感じるのだが、マクロ経済という観点からは必ずしも直感的ではないのがこの「貨幣」という概念だ。自然科学畑の自分にとっては、人間が生み出したものを人間自身が定義し直すというのは何か不思議な感じがしないでもないが、この辺りが経済学が人文学系の要素もある理由の一つだろう。
本章では主に概念の説明について多くページが割かれており、その中には自分が見知った概念も多くあるので、そのような部分はさっさと飛ばして読んでいくようにした。
マンキュー経済学 マクロ経済 第11章: 貨幣システム
● 貨幣の意味 ●
日常で我々が利用しているいわゆる「お金」とは違い、経済学においては貨幣とはより限定的な意味で使われている。
マンキューによれば、 貨幣には3つの機能がある。1つ目は「交換手段」であり、財やサービスを買う時に交換をして利用することが可能である。2つ目は計算単位であり、異なる財やサービスの価値を比べることに利用ができる。
そして、3つ目は価値貯蔵機能であり、貨幣を利用することで財やサービスを異なる時点で利用・交換することが可能になる。もし貨幣がなければ、農家は農作物がある時にしか他のものを手に入れられないし、 原材料を必要とする工業等は発展をしなかっただろう。
経済学的に言えば、上記の機能を満たしていれば貨幣なので、必ずしも我々が日常的に使う紙やコインの「お金」である必要は全くない。実際に歴史上(あるいは紙やコインが利用できない場合)では、ある特定のものが貨幣として流通していた。それは金であったり、 貝殻であったり、あるいはタバコであったりする。
● 中央銀行について ●
世界各国には 経済を運営するための期間として中央銀行が存在する。アメリカだけは連邦準備と呼ぶが、 昨日としたほぼ同じであり、金融システムを維持するための様々な権限を持っている。
本書によれば、中央銀行の職務は大きく分けると2つある。 1つは銀行に対する最後の貸し手としての機能であり、もう一つは貨幣供給を調節することにより経済をコントロールすることだ。
前者の「最後の貸し手」としての機能が大きくクローズアップされるのは、金融システムが動揺した時だ。例えば、過去には銀行の取り付け騒ぎがあったときに、中央銀行が銀行に現金を供給することで騒ぎを収めることができた。 現代においても、例えばアメリカの金融危機においては、連邦準備が現金を大量に供給することによって危機をコントロールしようとしていた。
もう一つの貨幣供給には、より複雑な効果がある。 一般的に中央銀行は、銀行に対して獲得した預金の一部を中央銀行に預金することを命じている。この準備は通常は預金の数%程度であり、それ以外の預金は銀行が貸出に回すことが出来る。 この貸出が他の銀行に預金されると、その銀行はまだ中央銀行に準備をとして一部を回し、それ以外をまた貸し出しすることが出来る。 このようにしてもともとあった貨幣が、預金をされ再度貸し出しをされることによって増えていくことを、貨幣想像(信用創造)と呼ぶ。
中央銀行は、国債の売買や準備の割合(公定歩合と呼ぶ)をコントロールすることにより、市中に回る貨幣の量をコントロールすることが出来る。 ただし公定歩合を毎日のように変更することは実務上は現実的ではなく、日常の貨幣量のコントロールは国債の売買によって行われることが多い。
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