(勉強内容備忘録): Next 教科書シリーズ 国際関係論[第3版] 第I編 序論と歴史分析
自分が大学生になった頃はまだインターネットがそれほど普及していなかったこともあり、国際公務員になるにはどうしたら良いか?という情報を手に入れるのは容易ではなかった。今では例えば”法学部に入って国際政治などを学ぶ”とか、”経済学部に入って、そこから経済の専門家になる”みたいなロールモデルを見つけることは難しくないが、当時は周りにそういう大人がいない限りはなかなか情報を得ることが難しかったのだ。
東大の場合、理系に入学した学生がそういった国際公務員に進もうと思った場合の選択肢の一つが教養学部後期の国際関係論コース(通称”国関”)だった。教養学部は文理どちらからも進学が可能だし、名称もずばり「国際関係論」とわかりやすい。当時は東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻という専攻が出来たばかりで、新しい組織特有の熱気もあったように思う。
当時の自分はそのまま工学部(工学系)に進むか、この教養学部の国関に進むか悩み、最終的に「駒場にずっといたくはない」という今となってはどうでもいいような理由で工学部の新設専攻に進んだのだった。その選択自体は全く後悔していないが、国際関係論をちゃんと勉強したいという思いはなんとなく残っており、40代半ばになってアカデミックなことをやり直そうと思った時のターゲットの一つになったのだった。
そこで実際に勉強を始めようと思った時に困ったのが、教科書選びだ。学部2年生の自分は進学先を決める際、「理系は実験や演習を教えてもらう必要があるが、文系科目はちゃんと教科書を読めばなんとかなる」と思っていたのだが(実際に単位が足りなくなって受講した法学部の商法は授業に一回も出なかったが、教科書と判例集+シケプリで優をもぎ取った)、国際関係論のような学際科目の場合には明確な教科書がわかりづらい。数学のように”この領域にはこの定番教科書”のようなものが、門外漢にはわからないのだ。東大のページには参考図書が載っていないし。
そこでとりあえずネットで調べたり、関連する他の大学のページを調べたりしたところ、全体を掴むのに良いと紹介されていたのが「Next 教科書シリーズ 国際関係論[第3版]」だ。何せ教科書の良さ/悪さの判断すらつかないので、まずはこの一冊を読んでみて少しでも進んでみることにした。最後には参考図書が豊富に載っているので、それを得るだけでも意味があるだろう。
冒頭ではおそらくよく質問があるのだろう、”国際政治学”と”国際関係論”の違いについて述べられている。こういった「XX学はAだが、YY学はBである」というのはどうしても自分が属している学問をよく見せようというバイアスがかかるので話半分に聞いておくべきだろうと思うのだが、国際関係論の特徴は以下の4つであると本書では定義している。
東大の場合、理系に入学した学生がそういった国際公務員に進もうと思った場合の選択肢の一つが教養学部後期の国際関係論コース(通称”国関”)だった。教養学部は文理どちらからも進学が可能だし、名称もずばり「国際関係論」とわかりやすい。当時は東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻という専攻が出来たばかりで、新しい組織特有の熱気もあったように思う。
当時の自分はそのまま工学部(工学系)に進むか、この教養学部の国関に進むか悩み、最終的に「駒場にずっといたくはない」という今となってはどうでもいいような理由で工学部の新設専攻に進んだのだった。その選択自体は全く後悔していないが、国際関係論をちゃんと勉強したいという思いはなんとなく残っており、40代半ばになってアカデミックなことをやり直そうと思った時のターゲットの一つになったのだった。
そこで実際に勉強を始めようと思った時に困ったのが、教科書選びだ。学部2年生の自分は進学先を決める際、「理系は実験や演習を教えてもらう必要があるが、文系科目はちゃんと教科書を読めばなんとかなる」と思っていたのだが(実際に単位が足りなくなって受講した法学部の商法は授業に一回も出なかったが、教科書と判例集+シケプリで優をもぎ取った)、国際関係論のような学際科目の場合には明確な教科書がわかりづらい。数学のように”この領域にはこの定番教科書”のようなものが、門外漢にはわからないのだ。東大のページには参考図書が載っていないし。
そこでとりあえずネットで調べたり、関連する他の大学のページを調べたりしたところ、全体を掴むのに良いと紹介されていたのが「Next 教科書シリーズ 国際関係論[第3版]」だ。何せ教科書の良さ/悪さの判断すらつかないので、まずはこの一冊を読んでみて少しでも進んでみることにした。最後には参考図書が豊富に載っているので、それを得るだけでも意味があるだろう。
Next 教科書シリーズ 国際関係論[第3版]: 第Ⅰ編: 序論と歴史分析
国際関係論と国際政治学の違い
冒頭ではおそらくよく質問があるのだろう、”国際政治学”と”国際関係論”の違いについて述べられている。こういった「XX学はAだが、YY学はBである」というのはどうしても自分が属している学問をよく見せようというバイアスがかかるので話半分に聞いておくべきだろうと思うのだが、国際関係論の特徴は以下の4つであると本書では定義している。
- 国以外の多様なステークホルダーを含めて分析する
- 学際的である
- Global Issueも検討範囲に加える(人権や環境問題など)
- 地域研究も含まれる
一方で本書では、「国際政治学は、国家間の政治を研究する社会科学の一分野であり、政治学の延長線上にある学問分野」と定義している。
国際システムの形成と展開
国際関係論というだけあり、国際関係の歴史的な形成と変化は最初に学ぶ必要がある。本書によればまず、国際関係を理解するにあたり基礎となる概念として、国際システム(International System)という概念を提示する。この国際システムは「複数の主権国家による集合体」を示す概念である。
ジョセフ・ナイによれば国際システム(≒ 国際社会)は歴史的に3つの形態が存在していた。
- 世界帝国システム(world Imperial System)・・・ローマ帝国
- 封建システム(feudal System)・・・ローマ帝国崩壊後の西側世界と19世紀までの中国を中心とする東アジア
- 無政府的国際システム(anarchic state system)・・・現在も含む複数の国家によるシステム
歴史分析における仮説
国際関係研究の基本となる、歴史を理論的に分析するための3つの仮説が提示されている。仮説1: 現代国際システムはウエストファリア体制の延長線上にある
ウエストファリア体制とは、17世紀にヨーロッパで争われた三十年戦争後の新しい国際秩序を指す。この体制では「国際法」や「勢力均衡」といった現代につながる基本的な概念が生まれ、西側の国際システムが生まれた。
仮説2: 近代500年間は覇権国家の交代劇であった
16世紀のスペインから、オランダ、イギリスを経て、20世紀に入ってから現在まではアメリカが覇権国家となっている。一方でそれぞれの時代に挑戦国が存在するが、その国は争いに勝利して次の覇権国家になることはなかった。17世紀のオランダの覇権に挑戦したのはフランスだったが、その次の覇権国家となったのはイギリスだった。
仮説3: 911事件によりポスト冷戦時代の国際システムは終わった
近代国際社会は戦争 → 講和会議 → 新国際秩序 → 秩序の崩壊 → 戦争というサイクルで変化してきており、国際秩序が保たれている間は国際システムが機能していたと言える。それでは、911により、国際秩序は崩壊したと言えるのだろうか?
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