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カテゴリー「育児」の記事

2018年2月 9日 (金)

港区の幼稚園事情(3)

第一回の記事はこちら第二回の記事はこちら) 私立幼稚園の面接は結果を受け取るまでもなく落ちたということが確信できたので、面接が終わって家に戻ってすぐに次の行動に移ることにした(実際に私立幼稚園は二園ともご縁はなかった)


● 認可外保育園とインターナショナルスクールの見学 ●

第一回でも書いたように、ここ数年のトレンドから確実に抽選となってしまう区立幼稚園のみに期待をかけるのはリスクが高いし、仮に区立幼稚園にも落ちてしまうと、行き先確保の競争倍率がさらに上がってしまうと予想されるので、区立幼稚園への申し込みと並行して認可外保育園とインターナショナルスクールの見学と応募を行うこととした。

港区は子供の数が増え続けているし、比較的お金を持っている家庭が多いということで、幸運なことにインターナショナルスクールや認可外保育園の選択肢は数多くある。こういうこともあろうかとリストアップしておいたことも幸いし、私立幼稚園の面接が終わったその日のうち3件の認可外保育園+インターナショナルスクールの見学申し込みを行うことができた。認可外保育園やインターナショナルスクールは確かに費用がかかるものの、いわゆる入園試験のようなものがほとんどなく、空き枠があれば先着順で入ることが出来るというメリットがある。逆にいうと枠がなければ入ることが出来ないわけで、最も重要になるのは選考へ進むスピードだ。

どこに空き枠があるのかわからないので最終的には全部で家から通うことが出来る5園の見学に行ったのだが、インターナショナルスクールと認可外保育園に実際に見学に行って見ると、私立幼稚園以上に各々の個性があるということを感じた。もちろん私立幼稚園の場合には、いわゆるお受験園は最初から対象にしていなかったというのもあるだろうけど。


まずインターナショナルスクールだが、英語を本気で学習させる園からとりあえず英語で子供と遊ぶことを目的とした園までレベルが様々で、自分の子供にどういったことを期待するか・・・ということを明確にするひついようがあるということがわかった。また、日本語と英語を半々で行う園もあるし、完全に英語だけという園もある。うちの場合、まず「集団行動に慣れてほしい」という気持ちのみだったため、正直なところインターナショナルスクールとはあまりあっているとは言い難かった。

また、インターナショナルスクールへの入園を考えるのであれば、3歳時の入学(幼稚園で言うところの年少入学)ではなくて、なるべく早い時期に行かせた方が良いということもわかった。どこの園でも3歳になると、幼稚園と同じような教育カリキュラムを英語で行おうとするので、それまで全く英語を知らない児童がいきなり参加するというのは、かなりハードルが高いと感じた。


認可外保育園については、港区の場合は早めに声をかければ3歳からの入園はかなり期待できる。港区も他の区と同じように待機児童問題はあるのだが、認可外保育園の場合には親が働いていなくても入園できるという特性上、必ず何人かは保育園から幼稚園に転園する子供がいる。なので、逆に言うと3歳児向けの枠が少し空くと言うわけである。

また認可外保育園は費用を縁側が自由に設定できるため、非常にコストがかかる。一番高いところは家賃とほぼ変わらないぐらいの金額がかかるのだが、それだけ費用をとるだけあって設備も最新だったし、一人当たりの保育士が見る児童数も少なく、行き届いた保育がされるのではないかと感じた。認可外保育園の見学には二園いったのだが、両園ともに喜んで遊んでいたし、「甘えん坊で集団生活に慣れていない」といううちの場合はこちらのほうがあうのではないかということを思うようになった。


● 最終的な行き先 ●

11月はほぼ上述した見学と申し込みで時間と精神を費やしたのだが、インターナショナルスクール3園と認可外保育園2園を見て、最終的にはモンテッソーリ型教育を行なっている認可外保育園に無事に枠を確保することが出来て、4月からお世話になることにした。家から自転車で通える範囲内にあったということが重要だったのは言うまでもないが、最終的には子供がその場所を気に入ってくれたことと、園の教育方針に大変感銘を受けたと言うことが決定要因となった。

実のところ、その園は見学に行くまではあまり志望順位が高くなく、また当初は見学会が一杯で1月以降になりそうだということで候補から外していたのだが、偶然にも空き枠が出来たと言うことで11月中旬に見学会に参加できたという園だった。実際に行って見ると、思ったよりもずっと広く(とはいえ庭がないのが残念だが・・・)、また保育士の数も多く安心して子供預けることができる環境であると感じられた。また、個別面接では色々と細かいところまで話を聞くことが出来、特に「他の幼稚園では受け入れが難しいと言う子供を積極的に受け入れるようにしている」という言葉がとても心に響いた。私立幼稚園の面接では他の子に比べて難しいと感じたうちの子ももちろん問題ないと言うことであったし、「そういった子でも一緒に教育をしていくと変わって行くんです、そういった子供を排除しちゃダメなんですよ」という考え方は素晴らしいと素直に感じることが出来たのだった。


前述したようにインターナショナルスクールと認可外保育園の見学と並行して区立幼稚園の抽選にも申し込んでおり、結果としては幸運にも区立幼稚園の抽選に引っかかることが出来たのだが、その頃には上述した園からご縁をいただいていたこと、先生一人当たりが見ている子供の数が少ない方が自分の子供にはあっているのだはないかと感じていたので、速やかに辞退届を提出した(行き先がないと困っている親御さんがいるだろうと容易に想像がついたので・・・)。

こうして無事に行き先を見つけることが出来たのだが、振り返って見ると幼稚園選びを始めた時にはなんとなく近くの私立幼稚園に行ければいいぐらいにしか思っておらず、子供のことをちゃんと理解できていなかったのではないかという気がしてくる。右往左往しながらも色々な園を見ることで、自分の子供にあうような場所というのを具体的にイメージできるようになったし、最終的には「ぜひここでお願いをしたい」という場所に出会うことができた。まあ、もう一回やれと言われたら嫌だと思うぐらい、心と時間をすり減らしたのは事実だけど。


我が家はおそらく二度とこういう経験はしないだろうけど、2018年以降も港区は子供の数が増え続け、より幼稚園選びは厳しくなることは間違いなく、この長い全3回の文章が誰かのお役にたてれば嬉しい限りである。

2018年2月 2日 (金)

港区の幼稚園事情(2)

前回は港区で「保育園に行っていない子供が幼稚園に入るとしたらどのような選択肢があるか」ということについてまとめたので、今回は具体的に我が家ではどういうように幼稚園選びをしていったかを書いていこうと思う。

● 子供状況の簡単なまとめ ●

幼稚園に受かるか落ちるか・・あるいはどの幼稚園に行くかというのは、実際に経験して見ると子供の個性によって大きな差が出ると思う。人生の選択は大なり小なり「個性」によって変わるところが多いが、この年ぐらいの子供は能力というよりも、まずは生活態度(もっと言えば生き方)に差がありすぎる上に、親のコントロールがきかないので、しっかり子供の特徴を捉えることは重要だと、振り返って見ると思う。うちの子供はだいたいこんな感じ。

  • 体は非常に大きく、2歳半の時点で身長・体重ともに4歳児なみ。どこにいっても「大きいね」と言われる。
  • 性格は頑固、かつ自分の好みが明確にある。服も自分の好みのものしか着ないので、同じ服が何着もある。
  • 人の話をちゃんと聞いて答えたり親とは意思疎通が出来るが、「嫌なものは嫌」という性格なので、例えば知らない人に「お名前は?」と聞かれても答えないことが多い。
  • 一時保育などに行っても、他の子と一緒に遊ぶには好きではない。一緒にいられないというわけではなく、他の子がみんなでダンスをしている時も、横で見ている方が好き。
  • 基本的に家が大好き。知らない場所は大嫌いで、基本的に抱っこされている(重いので親の背中は常に痛い)。
  • 受験段階ではオムツは取れていなかった(便意はわかるらしいが、オムツを取りたくないという強い意志故) 

さすがに親で有る自分は常に一緒にいるので、もう少し外での経験を積んだりした方がよいな・・・というのは気づいていたのだが、知らない場所で知らない人といるのは頑なに拒否したので、結局習い事のようなことはほとんどせずに、入園考査シーズンに入ることになった。


● 幼稚園選びのステップ - 事前準備 - ●

幼稚園選びは、まずは自分の通える範囲内の幼稚園を調べるところからスタートするというのが一般的だと思う。この時に考慮すべきなのは「小学校お受験をさせたいのか」「幼稚園バスが有るか/無いか」「車での送り迎えが許されているか/いないか」の2点だ。バスがあれば楽だが、必ずしもバス停が家の近くを通っているわけでは無いのでルートを事前に調べる、幼稚園によっては車での送り迎えを認めていない、といった要素があるのでしっかり調べておくことが大切。我が家の場合は車もないし、お受験をさせる予定もない。3年間雨の日も含めて子供を通わせるわけで、この段階で無理をすると後々家族が辛くなることが目に見えることから、家の近くで私立2園、区立3園をピックアップした。 また、この時に"念のため"認可街保育園やインタースクールについても通える範囲のものをピックアップしておいた。結果的にこれがあとでものすごく役に立つことになる。


対象となる園をピックアップしたら、次は幼稚園の見学をする。幼稚園によって見学の機会は様々だが、例えば区立であれば月1回〜2回の未就園児向けイベントが開かれていることが多いし、電話を事前にすれば見学のための時間をとってくれるところもある。我が家の場合は、5月くらいから少しずつ活動を初めて、区立1つ、私立1つをそれぞれ見学に行った。もう1つの私立は見学会の時間が限られており、当日に電話をしたが暫く繋がらず、つながったと思ったら既に申し込みがいっぱいということで、その後の激戦を予感させる結果にたじろいだだけであった。

我が家はいわゆる街の保育サークルには参加していなかったので、幼稚園選びの情報を人から聞くということがほとんどできなかった。同じマンションに住んでいる人と立ち話をしたり、区内に住んでいる友人で既に子供が経験をしている人に話を聞くことはできたが、それで手に入る情報は限られているので、やはりここは現代人らしく・・ということでネット検索をしたのだが、これは全然役に立たなかった。というよりもむしろ闇が広がっている感があり嫌になった( のでこういうブログを書いている)。

ネットでは顔が見えないコミュニケーションなので悪口がエスカレートしやすい、とか嘘でたらめが広がりやすいとか、そういう色々なデメリットがあるというのは一般的な話だが、この幼稚園入園情報というのは「本当のところがよくわからない」が「親は必死になっている」ということで、そのデメリットばかりが強調されたような情報交換がなされていた。●●幼稚園は兄弟枠でほぼ一杯だ、とかxx幼稚園はほぼコネで決まっているので事前のコネづくりが重要だ、とか、たぶん実際にあっているところが多いのだろうけど、ちっとも取るべき手が見えなくて、ただ読んでも辛いだけだった。


● 幼稚園選びのステップ - 説明会参加 - ●

私立幼稚園は9月になると説明会を開くので、志望している2園は両方とも夫婦で参加したのだが、これもかなり精神的に疲れるイベントだった。説明会は定員を切ることはしないので希望すれば全員参加できたのだが、両園ともに多くて30人ちょっとの募集のところに200人以上が参加しており、まず競争率の高さにげんなりした。

その上、参加されているお母さんがほぼ99%揃いもそろって紺色のワンピースで参加しており、これも心を暗くさせた。みな本当に同じ格好をしており、そういった服装の方が一斉に会場に入ってきたり、立ったり座ったりするわけで、こういった光景を見るのは大学の入学式が最後だったような記憶がある。 もう一つ驚いたのがいくつかの家族はこれから入園となるお子さんも連れてきていたのだが、説明会の間ちゃんと席に座ることができているのである。我が家の場合には、まず「同じ服をきた大勢の大人がいる」という場に入ることすら嫌がるだろうし、たとえ入ったとしても何もしないで座っているのというのは5分程度しかもたないであろうことを考えると、驚異的だった。


説明会の内容自体は特別なものはなく、園の教育方針や送り迎えのあるなし、通常の園の教育終了後に習い事のようなものを提供している場合にはその説明などがなされる。こういった情報は願書を書く時に重要になるであろうとちゃんと話は聞いておいたし、実際に書く際の参考になったが、それぞれの幼稚園ですごい差があったわけではないように個人的には感じた。むしろ、説明会では実際の園に入ることができるので、設備を見ることが出来る数少ないチャンスであると捉えた方が良いと思う。

ちなみに、説明会の場でしか願書を配布しない幼稚園もあるので、要注意である。


● 幼稚園選びのステップ - 願書提出から面接まで- ●

説明会の参加が終わるといよいよ願書記入と提出の時期がすぐに迫ってくる。願書は一般的な内容の他に「どうしてこの幼稚園を志望するのか」とか「子供の教育で気をつけていることは何か」といったことを書かなければならないのだが、これまた大変に難しかった。本音を言ってしまえば「家から近い幼稚園」で「元気に育ってくれればいい」と思っているのだが、そういう書き方ではダメだろうと、それなりに教育方針やら説明会で聞いた園の良さを交えて願書を作成した。

IT業界にいる人間からするとまず願書はPCで作成したいのだが、配布された願書に手書きという形になっているので、複数枚コピーを取って練習してから本番を完成させた。手書きの書類など、中国でビザ申請をする時以来なのではないか・・・。また、願書はメールで行えばいいと思うのだが、願書提出時に面接の順番を決めるというオペレーションを行なっているところがほとんどだったので、願書は手持ちで提出する必要がある。


「願書提出は早い方が熱意を示すことが出来るので有利」というような噂はネットではよく言われることで、実際のところはどうだったのかよくわからないが、確かに願書を出すために1時間以上前から並んでいる人はたくさんいた。港区では私立幼稚園の面接がほぼ同じ日(だいたい11月1日〜3日)に行われるので、複数の園を受けるためには面接時間が被らないようにしなければならない。並んでいる人の中には夫婦で手分けして願書を提出しており、時間が被らないように列の順番を入れ替えるようなことをしていた。我が家の場合も2園受ける予定でいたので、最初に願書を出すところは早めの日程になるように、30分ほど願書の列に並んだ。最初の方の方々は代行を頼む・・・ということをしていたようである。


願書を出すと面接日程の時間をもらえるので、あとはその時間に園に行くだけである。 面接では子供もいわゆる「面接用のお服」を着て行くことがほとんどであろうが、我が家に関していうと子供が強硬に反対したために普段着で参加した。見た限り普段着で参加したのはうちだけだった・・・。また面接では名前がわかるように名札を胸につけるのだが、これも強硬に嫌がったために、隙を見て背中に貼り付けるということをした。この段階で、明らかに一人だけ浮いている。

1園目の面接は、まず子供と親が別々の部屋に入り子供の遊びを見て、その後に園長と親が面接をするというものだった。子供と親が別々になるというところで泣く子もいたのだが、うちの場合は奇跡的にそこは泣かずに遊ぶことができた。別々になっているので何をしているかはわからないのだが、親としては泣かなかっただけでも良しとしたい気分である。 園長との面接ではまず出した願書を読んで質疑応答があるとのことだったが、質問は一つしかなく終了した。ネットではほとんどコネで決まると言われている園であり、また面接で何をみているかさっぱりわからないといわれている園だったのだが、まさしく同じ状況に出会い、受かろうが落ちようが運次第だけど、たぶん落ちただろうと気持ちを切り替えた。

2園目の面接は、親子が体育館に集まり書類を記入し、その後まず子供だけで能力を見るということだった。こちらの場合は子供が早々と大泣きしたため考査をする部屋に呼ばれてみることができたのだったが、例えばりんごの絵を見せて名前を言わせるとか、園の部屋内に簡単なアスレチックみたいなものを作りそれがどれだけ出来るかを見るというものだった。説明会では「日頃の様子を観察します」と書いてあったのに全然違うじゃないか・・と思ったのだが、まあ、幼稚園業界というのはそういうものなのかもしれない。 うちの子供の場合、部屋の雰囲気と先生の雰囲気がとにかく嫌だったらしく(これは家に帰って来て一緒にお風呂に入って聞き出した)大泣きしていたため、考査らしきものは何もできず終了。考査の部屋で大泣きする我が子を抱っこして絶望的な気持ちになったものである。あれだけ願書の準備とかしたのに・・・・。


園の合格発表は翌週に速達で届きます・・と言われていたのだが、この段階で1000%受かることはないということを確信できたので、迅速に行動を始める必要があるということを決心して、家に帰って早速次の行動を開始することにした。 長くなったので、園決定までの活動についてはまた次回へ。。。。

2017年12月15日 (金)

港区の幼稚園事情(1)

2017年後半の最大のトピック、かつ最大のストレスは迷うことなく息子の幼稚園選びだった。「選び」というとまるでこちらが自由に選べるように聞こえるが実際はそんなことはなく、「なんとか年少(3歳児クラス)で行けるところを見つけなければならない・・・という使命感で右往左往したという感がある。
世の中には「幼稚園浪人」なる、「3歳になったけど行くところがない子供を指す」言葉があり、おそらくほとんどの地域においては全く縁のない言葉だと思うのだが、我が家においては極めて現実的な出来事だった。やはり一人の親としては何とか子供に行き先をみつけてあげたいという気持ちがあり、神経をすり減らしつつも無事になんとか乗り切ることができたので、今後誰かの役に立つかもしれないので、今回の活動と考えたことを残しておこうと思う。

住んでいるところがかなり特定できてしまうので本当は区までは公開したくなかったのだが、WEBで調べると魑魅魍魎な情報ばかりで心が暗くなること間違いないので、何かのお役に立てるのであれば・・・ということで、区名までは公開することにした。


● 港区の状況 ●


東京都港区は雑誌なんかで面白おかしくとりあげられたりするセレブな街である・・・と思われていて、実際にそういうところもなくはないのだが(なんせ区内に六本木やら麻布があったりするわけで・・・)、いわゆる湾岸部にはかなりの数のタワーマンションがボコボコ建てられている人口増加区である。タワーマンションがたつとだいたい数100世帯が一気に地域に増えるのだが、この中にはかなりの数の「乳幼児を持つ家族」が含まれる。実際に住んでみると、確かに家賃は安くはないのだが馬鹿高い一部の物件を除けば、東京都内に住む共働き夫婦であれば十分に払えるレベルであり、周りに子供が多いと子供向けの施設が増えていくので、より子供が増える・・・というサイクルが回り始めて、子供がドンドン増えている。


共働きの夫婦に子供ができた場合には、どちらかが会社をやめない限りは保育園という選択肢を取ることが一般的なので、港区では保育園もドンドン増えている。ただ、いわゆる「待機児童」問題は港区にもあるため、港区は独自で"保育室"という制度を作って、就業している夫婦の子供を受け入れる体制を整えようとしている(※1)。

一方で、幼稚園というのはだいたいにおいて9:00〜14:00(5時間)を基本としているので、こちらに子供を通わせたいと思うのは専業主婦家庭か、自営業、あるいはどちらかが自宅勤務をしている家族になる、というのが一般的なところなのだが、港区の場合には「小学校受験への準備」のために通わせたいと思っている家庭もそれなりにいる。幼稚園のHPをみるとわかるが、かなりはっきりと「お受験準備」をうたっている幼稚園もあり、こういったニーズにより「2歳までは保育園 → 3歳から幼稚園」というルートもある。


さらに港区の場合、隣の品川区からの流入もある。品川区は区立幼稚園が全て2年保育のため、3年保育を考える家庭は区をまたいで応募をするということがよくあるとのことである(※2


こういった「子供が増えて、かつそれぞれの家庭の事情により保育園ではなく幼稚園を選択したい」という世帯が増える一方(需要が増える一方)、幼稚園の供給はそれほど増えない。
まず幼稚園は保育園より設置基準が厳しいため、土地がただでさえ少ない都心ではそれほど増やしようがないという事情がある。保育園であれば、例えば都内では認可保育園・認証保育園・認可外保育園という区分けにより、経済合理性を一定レベル追求しても合理的に増やすことができるだろうが、よう恵鎮の場合にはそういった機動的に数を増やすことが難しい。
また、保育園の増加というのは政治的な議論によるものが大きいが、幼稚園の増加というのが政治的な議論になっているというのはほとんど聞いたことがない。港区の場合、清家あいという区議会議員の方がかなり積極的に活動しているとのことだが、行政の積極的な介入対象となるのはどうしても区立幼稚園のみなので、なかなか枠が増えていかないというのが現状のようだ。


この需要と供給のアンバランスにより、まず区立幼稚園の3年保育は毎年抽選を行う幼稚園が発生している。2016年までは、「区立全体の定員」と「区立全体の入園希望者」はほぼバランスが取れているものだったが、これはあくまで全体の話なので、個々の通園可能な幼稚園を見てみると、どうしても区立に入れない子供も出てくる(※3)。
だいたいの親は子供がどこにも行けないということは避けたいと思うものなので、自分の通える範囲内の区立幼稚園が抽選になりそうだと思うと、通える範囲の私立幼稚園にも応募する。高校・大学受験と同じように、どうせ受験するなら数園と考える親が多いので、結果として私立幼稚園の倍率は凄まじいことになる。

・・・ここまでが、港区の幼稚園事情である。


● 取りうる選択肢 ●

今まで、区立幼稚園とか私立幼稚園という言葉を書いてきたが、保育園に行っていない3歳児を持つ家庭が取りうる選択肢というのは以下のようなものがある。

  • 区立幼稚園・・・文字通り港区が運営している幼稚園。3年保育を行っている幼稚園と2年保育のみの幼稚園が混在している。上述したように、毎年多数の3年保育を行う幼稚園で抽選が行われる。区立幼稚園は私立幼稚園の入園試験が全て終わった後に行われるので、区立一本で行こうとすると、抽選落選 → 幼稚園浪人という恐怖を親が持つことになる。

  • 私立幼稚園・・・お受験向けから街の幼稚園まで様々であるが、学校法人が運営している私立幼稚園。区の条例だったか、もう幸せだったかは忘れたが、全ての私立幼稚園が同じ週に試験を行うので、あまり多くの幼稚園を受験することはできない。できる限り多くの幼稚園を受験したい家庭は、並ぶ順番などを工夫して、試験日が重ならないようにしている。

  • 認可外保育園・・・港区には多くの認可外保育園があり、特色ある保育(教育)サービスを提供している。認可・認証保育園であれば両親ともに働いていることが求められるのだが、認可外保育園であればそういった基準はないので、幼稚園にもともと入れる予定だった家庭がこちらを選択することもできる。保育園なので0歳〜2歳から持ち上がってくる子供がいるが、保育園 → 幼稚園ルートを選ぶ家庭が必ずあるので、4月からは枠が開くというところが多い。ただし、幼稚園に比べると桁違いに高い。家賃が2倍になりまして・・・みたいな感覚になるところもある。

  • インターナショナル・・・法的には認可外保育園となっているところとそうでないところがあるが、いわゆる「英語の幼稚園」。バイリンガルと、完全な英語という2パターンがあるが、いずれにしても英語教育が行われているところが共通点。多くの場合は、保育園のように3歳以前の幼児も対象としている。親が英語が全くわからないと、大変辛い目にあいそうである。ここも幼稚園に比べると桁違いに高い。

  • 認可・認証保育園・・・厳密に言うと条件から外れてしまうが、認可・認証保育園も対象となる。ただし、2号認定を受けないといけないので、これまではどちらかが働いていなかった家庭は、共働きにしなければならない。パートでも認定対象になるということだが、いずれにしても家庭生活が大きく変わってしまうことは避けられない。こちらも3歳からは枠が空いているところが多い。我が家も一時これを検討した。

  • 塾や習い事・・・上記で分類できないような、「塾・習い事」を提供している企業も多く存在している。ただ、毎日というわけにはいかないので、こちらの選択肢を選ぶ場合には複数の場所を掛け持ちすることが多いようだ。


書き出してみると結構多いのだが、大体の場合においては当初は「区立」か「私立」かの二択になるのではないだろうか。我が家もそうだったが、認可外保育園やインターは必要とされる金額が全然違うし、共働きを行うというのは結構大きな選択肢である。そもそも働きたくても様々な制約により働けない人もいる。


一方で、区立か私立か・・という選択肢しか頭にないと、私立に落ちた時に一気に追い詰められることになるので、実はいろいろ選択肢があるのだよ・・ということを知っておくのは良いと思う。


こういった環境下で我が家も幼稚園選びのシーズンを迎えたのである(以下続く)。

※1・・・これは上述の通り、子持ち世帯の人口が増え続けているということが要因として多いらしい。
※2・・・区立幼稚園は港区在住が条件であるが、私立幼稚園はその限りではない。
※3・・・港区にはお台場も含まれていて、お台場にある区立幼稚園はだいたい定員に満たないことが多いが、他の地域から通うのはかなり大変。

2009年7月29日 (水)

ベネッセの方にお話を伺いました -中国でのサービス業展開のコツを聞く-

本日はちょっと会社を早めにあがって、大学の先輩とお食事にいきました。
今回お時間をいただいたのは、前回の大学同窓会で出会ったベネッセコーポレーションの方。実は転職直後にNBOnlineで記事を読んでから、一度ベネッセさんの話を聞いてみたいと思っていたのです。同窓会という場でお会いできたのをこれ幸いとばかりに御連絡させていただき、早速お時間をいただいたという次第。

海外展開成功の秘訣は“基本に忠実”たること(NBOnline)


ベネッセといえば、しまじろうをメインとした教育事業がまずは想像される企業ですが、中国で展開しているのは1歳~6歳の幼児向け知育事業。今回お会いした方のお仕事はその幼児向け商品の企画を統括をされている方でした。これまでほとんど接点のない事業だったのでいろいろと根掘り葉掘り聞かせていただきました・・・。


■■中国での事業展開について■■

中国では外資系企業が教育に関する事業に参加することは厳しく制限されています。またメディア(出版・テレビなど)事業を行うことも同じく厳しく管理されており、基本的には事業展開を行うことは出来ません。そんな中で、教育×出版ということで難易度が高い事業を展開している・・・というのが、まずはベネッセについて一番の驚きのポイントです。

幼児向けということで、教育色がやや薄く「知育」ということで許可を得ているとのことですが、おそらく事業開始時の交渉は厳しいものがあったことでしょう。とりあえず申請すればほぼOKが出る業態とはそもそも異なるフィールドですから。

僕が子供のころはそもそも知育グッズとか知育事業といったものはほとんどなくて、絵本や紙芝居といったものがメインでしたので、どういう事業かもわからずに「幼児向けというとお受験ですか?」という質問をしたのですが、それも一つではあるものの、それだけではないとのお答え。
幼児向け事業ではオムツのお稽古といった「しつけ」の部分と、お受験用の「知育」がメインの軸で、日本と中国ではそれぞれに求められるニーズが当然異なっているとのこと。・・・というか、中国でも「しつけ」用の教材が売れるとのことが驚き。てっきりおばあちゃん・おじいちゃんがやるとばっかり思ってました。


リクルート時代は雑誌+NETというビジネスをやっていたものですから、やはり意見が一致したのは、社会インフラが日本とは大きく異なるというところ。日本では当たり前のように書籍や雑誌が流通し、個別宅配もほぼ100%機能しますが、この国ではそうではありません。結局、一つ一つ地道に解決していくしかないのですが、それが機能するようになったのもここ数年とのことでした。10年以上かかって、ようやくある程度形になる・・ってのが中国という感じなんですよ。本当に。

■■サービス展開のコツ■■

事業展開以外にもこれまでの苦労とか(10年近く中国におられるとのことで、苦労も半端ない・・・)、ご家族のこととかも伺ったのですが、やはり聞きたかったのはサービス展開のコツ。これまで他の会社の方にも伺った話に近い部分もあり、やはり共通点があるのだなぁ・・・と改めて感じました。


1.中国では人との出会いが全て

これまでに比べてずっと法治化が進んでいるとはいえ、やはり中国ではまだまだ人脈やコネというものが効きます。なにせ、13億の巨大国家の上、建前上は社会主義なわけで官僚(公務員)の数も半端ではありません。ただでさえまだまだ不透明な取引が行われている中国では、新しいことをやろうとすれば、この官僚組織との交渉が最も重荷になってきます。

この交渉がうまくいくかどうかも所詮は『人』。誰にどのように話を持っていくかでほぼ全てが決まってしまうのです。ベネッセもいろいろと紆余曲折があった末に最終的に今の提携業者とであったのが今の成功のきっかけになったとのこと。そして、この出会いは結局は『運』でしかない・・と。

ここら辺りがやっぱり理論どおり行かないこの国でのビジネスの面白さだと思うんですよね。


2.TOPの思い入れが事業の継続性を生む

中国では上記のように、当局との交渉やいろいろな法的規制により「思ったように」事業が進むことなどほとんどありません。もちろん勝算のない戦いならやらないほうがよいのですが、一方では日本と比べて変動要素が多いのも事実。どうしても「経営計画」どおりには行かないことが多いのです。

こうなった時にやっぱり最後にきいてくるのがTOPに思い。最終的に事業の継続・非継続はTOPがどれだけその事業にコミットできるかにかかっていると思います。事業展開の一つとして中国進出を行うというのは間違っていない。けれど、特にサービス業という「モノ」もない事業が、日本とは異なる社会インフラの国に出てくるにはやはりそれなりの覚悟と辛抱強さが必要なのです。


3.戦線を広げすぎない

マーケティングに関しても、流通にしても日本ではほぼ単一のサービスを展開することが可能です。もちろん例外もたくさんありますが、基本的には東京である程度知名度があるようなWEBサービスや出版サービスであれば、本気で全国にマーケティングをしているのであれば、ある程度の知名度を手に入れることは可能です(もちろん地域密着のマーケティングという方法もあるので、程度の問題の話です)。

しかし、中国ではなかなかそのようには進めることが出来ません。上海で人気の雑誌やWEBサービスでも、北京では知られていない・・といったことはザラです。ですから、ある地域で一定の成果を収めたからといってすぐに他地域に戦線を広げていくのは非常に危険です。

確かに、中国にも誰もが知っているようなメガブランドがたくさんあります。しかし、これは資金力が豊富で展開のスピードも速く出来るようなベンチャー企業か、長年の蓄積が実っているような一部の企業のみです。基本的に資本をあまり必要としない(と思われている)サービス系企業が中国で戦っていくためには、まずは個別地域での戦いを行うほうが良いように思います。

と、いろいろ話を伺うことであっという間に2時間がすぎました。最後に、『最低5年は中国にいてほしいですね』とおっしゃられたのが強く心に残っています。まだ2年弱・・・。先は長いってことです。。