母親の死去と相続で大変だったことの記録(その3)
(前回から続く)
とりあえず書類を見つけることができたので、財産の確認や借金の確認等は少し進めることができるようになった。それでも相続というのはそんな簡単に進まない。まず物理的な問題として、母親が住んでいた場所が自分が住んでいた場所から片道1時間半程度の場所で、車がないとかなり不便な場所にあることだった。昔でいう「東京のドーナッツ地域」に 住んでいるのだが 大きな都市からはさらに私鉄かバスに乗って行くか、車で移動するしかないような場所に家はある。もしもっと遠ければ、まとまった時間を休んで書類整理をしただろうし、あるいはいっそのこと代理人に全てを任せてしまったりできたのだろうが、中途半端な距離にあったために全部自分で作業することになった。最終的に家が片付くまでに10回以上は往復しただろう。
書類を整理してわかったのは、少なくとも数回は市役所に行かなければならないということだった。社会保険や地方税の未納は発生していたし、マイナンバーカードは得ていなかったので、情報を確認するためには都度市役所に行かなければならない。
また母は亡くなるまで地方自治体の外郭団体に職員として働いていたので、そことのやりとりもしなければならなかった。この「 地方自治体の外郭団体」というのはかなり厄介で、民間企業であれば人事総務が窓口になる社会保険の対応等をいちいち役所に確認しなければならない。その上、業務の管轄が「市」が担当する部分と「県」が担当する部分に分かれており、不安内な自分は何度も間に入って確認をしなければならなかった。
病院に運ばれた時に無くしてしまったのか、保険証をどうしても見つけることができなかったので、在職証明を出してもらう必要があったのだが、その手続きもすごく面倒くさかった。最初に県の役所にまず連絡をし、その後市の担当者に対応してもらい、さらに外郭団体に証明書を郵送してもらうと言う手続きが必要で、結局1ヵ月半位の時間がかかってしまった。その間母が亡くなった病院には支払いをしていなかったわけで、 病院に対して申し訳ない気持ちでプレッシャーを感じていたりした。
そういった自分でできる対応しつつも、同時に葬儀社から紹介された司法書士と連絡を取って相続の手続きを始めることにした。そこでわかったのは、母は自分の父(私にとっては祖父)が 9年前に亡くなった時に、相続手続きを一切していなかったことだった。 公共料金の支払いはすべて祖父の口座からなされていたし、 土地の登記も祖父のままだった。当時は相続税の控除金額が違ったので、おそらく手続きをしたとしても相続税は発生しなかったはずだが念のために再計算も必要となったし、銀行口座も母の分だけでなく、祖父の分の確認も必要になった(再計算の結果も相続税は発生しなかったのには安心した。正確には時効なので納税義務は発生しないのだが、やはりなんとなく気持悪い)。そういった手続きを一つ一つ司法書士と連携をしながら進めていく事は、仕事を変わったばかりの自分にとっては決して楽な作業ではなかった。
また、生命保険の確認等も非常に時間がかかった。母は民間企業の生命保険にはほとんど入っておらず、いわゆる「共済」に加入していたのだが、 勤めていた団体の関係で加入先が複数に分かれており、共済といった制度になじみがない自分にはちんぷんかんぷんだった。その上、共済は基本的に受け取り人が自分に指定されているので、相続をするときには相続人全員の同意書が必要になる。
この書類を個別に取得できれば少しは楽だったのだが、様式が定められていて1つの書類に全員が署名捺印をしなければならない。相続人が一つ屋根に住んでいれば簡単だが、自分のケースのように別れて住んでいる場合には、レターパックを大量に消費して資料をやり取りする羽目になった。自分が入っている生命保険は、自分が亡くなった場合には妻の連絡で即日入金がされると言うタイプなので、この共済のシステム は大変不満だった。 自分が共済に入る事は生涯ないと誓って言える。
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